つな
おすすめの100冊(amazon)

(bk1)

にほんブログ村 本ブログへ





Google

WWW を検索
ブログ内検索

フィードメーター - 日常&読んだ本logあわせて読みたい
2007-07-03 23:01:42

「夜市」/異世界と少年と

テーマ:角川書店
恒川 光太郎
夜市

雷の季節の終わりに 」が良かった恒川さん。
デビュー作であるこちらも借りてきました。

どこか懐かしく、切なくもある雰囲気は、こちらも同じ。こちらの方が、随分「切ない」によっているけれど。「懐かしい」という感情には、失われたものを悼む思いも含まれるわけで、そもそも「懐かしい」と「切ない」は非常に近い場所にある感情なのかもしれない。

読後感としては、中村文則さんの「
土の中の子供 」を読んだ時に似ているな、という印象。虐待されているわけでも、シチュエーションが似ているわけでもないのだけれど、世界との不器用な関わり方に、似たものを感じたのだと思う。

目次
夜市
風の古道
 選評


第12回日本ホラー小説大賞受賞作の「夜市」「風の古道」の二本立て。

「夜市」は、何でも手に入る市、「夜市」を描いたもの。それは夜に開かれ、異形の者どもが異形の品々を売る市場。私たちと同じ世界だけではなく、こことは異なる世界からも、夜市を目指してやってくる客がいる。夜市の仕組みは一つ。それは、取引をする場所であるということ。取引を済ませなければ、客は夜市を抜け出ることは叶わず、夜明けが来ることがない。

高校時代の同級生、祐司の誘いでこの夜市へとやって来たいずみ。夜市の仕組みなど知らず、ちょっと変わった場所に行くという程度の軽い気持ちで、入り込んだいずみとは異なり、祐司には祐司の目的があったようである。彼は、子供のころにこの夜市へ、迷い込んだことがあるようなのだが…。

「風の古道」は、こちらもまた異世界のお話。この世界のどこかには、古より伝わり、特殊な力が働く「道」がある。その呼び名は、古道、鬼道、死者の道、霊道、樹影の道、神わたりの道、とさまざま。本来、ただの人間が、この道に入ることなど、叶わないはずなのであるが…。

十二歳の夏休み、「私」とカズキは、ちょっとした冒険のつもりで、その道の中へと入ってしまう。このちょっとした冒険は、思いのほか、高くつく。古道を旅する青年「レン」に助けられ、「私」とカズキは出口を目指すのであるが…。道のものは何一つ持ち出せず、道で生まれたものは道が世界の全てとなる。

輸入業を営むホシカワ、「悪い奴を退治する」コモリには、「雷の季節の終わりに」の穏の世界を思い出す。

どちらも、少年が異世界に放り込まれ、自分たちの世界とは違う、その異世界のルール、仕組みに翻弄される話とも言えましょうか。自分たちの世界のルールとは違うとはいえ、放り込まれた少年たちは、その世界のルールに異を唱えることも出来ず、歯を食いしばりながら、食い下がっていく。風の古道」のラストにもあるように、これは成長の物語ではなく、何も終わらず、変化も克服もしないけれど、少年たちの必死の判断が痛い。夜市」の祐司しかり、風の古道」の「私」しかり…。

何が何でも成長主義!とは異なる道を行く、幻想的な物語。甘いばかりではない痛みも残るけれどね。

コメント

[コメント記入欄を表示]

1 ■無題

これ、いいですよねぇ。『雷の季節の終わりに』よりはこちらのほうが好きですね。
『風の古道』の人間でないものたちが使う「古道」というアイデアは、最近話題になっている「百鬼夜行抄」にもありました。
何か日本の古典に元ネタがあるのだろうか、と思っているのですが…。

2 ■>「夜市」

>ディックさん
ディックさんは、「雷の季節~」よりも、「夜市」の方がお好きなのですね。私、「雷の~」も結構好きだったんですけど、ほかの方もやはり「夜市」の方が良いと仰っておられました。
味わいとしては、「夜市」の方がいいようにも思うのですが、ハッピーエンド好きの私としては、「雷」も捨てがたいです。笑

「百鬼夜行抄」は、まだ文庫版の一巻しか読んでないんですよー、続きが気になります。
「古道」はどこから来たものなのでしょうね。中国などにも、何となくありそうな気もしますが…。

3 ■ちゃんとTBできてます?

すみません、送ったつもりなんですけど…FC2とアメブロ相性悪いんでしょうか?(^^;;

”懐かしさ≒切なさ”ってのはわかる気がします。若さだったり、大切な人だったり、今はもうないものに対して懐かしさを感じますもんね~。

どこか懐かしくて幻想的な雰囲気がいい作家さんですね。「雷~」も図書館にあったので次借りてきます。

4 ■>おんもらきさん

あ、ほんとだ、fc2とって確かに相性悪いのかも(苦笑)。何度かつかない、と言われたような。
いっぱいついちゃったら消しておくので、お手数ですが、また何度かチャレンジして頂けないでしょうか?

さて、「夜市」。やっぱりなんだか懐かしさを感じる作風ですよね。幻想的な雰囲気にとっぷりつかれるし。
「雷~」も私は好きでしたー。

(御不幸があったそうで、ご愁傷さまでした。もう大丈夫なのでしょうか?)

5 ■トラバ

横から失礼します。
どうもですね、FC2側で特殊な文字コードを使ってる(らしい)のが原因かもしれません<トラバの相性が悪い
しかも、規則性がないとか。
トラバがとおるかどうか、運頼みっぽいです><

6 ■>ねこ姫さん

わー、教えてくださって、ありがとうです♪
そうか、そういう理由なのですね…。涙
しかも、双方向だダメってどうゆうことー!笑
(あっちからも、こっちからもダメでしたのよ、しょんぼり)

最近、ブログいじるのが、ブログのゴールデンタイムっぽい遅い時間なので、混んでるのかなぁ。困りますよねえ。

7 ■異世界のルール

の残酷さにとどまらず、現実世界のやるせなさまで照射していてとても良かったです。

8 ■>goldiusさん

恒川さんは沖縄に移住しておられるそうですが、そういう所からもなんだか異界が近いようなイメージを持ちました。
異世界の特殊ルールはあるけれど、とにかくこの異界が物凄く近いよなぁ、と。独特の世界観ですよね。

コメント投稿

コメント記入欄を表示するには、下記のボタンを押してください。
※新しくブラウザが別ウィンドウで開きます。

一緒にプレゼントも贈ろう!

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10038672043/dc33c384

  • 1 ブログタイトル:ディックの本棚
  • 記事タイトル:夜市/恒川光太郎
  • 記事概要:夜市  アルバイト先で知り合った高校生時代の同級生に誘われ、いずみは岬の公園の森で開かれているという「夜市」へ出かけた。  「夜市」って何? と訊ねても、相手の男の子はなぜか話しにくそうだ。「行けばわかる」という。「どんなものでも手に入る」というその「夜
  • 2 ブログタイトル:ディックの本棚
  • 記事タイトル:百鬼夜行抄/今市子
  • 記事概要:百鬼夜行抄 (4)  祖父の飯島蝸牛は怪奇幻想小説家として知られていた。蝸牛というのは祖父のペンネームだ。  その祖父の指示で、律は小学校にあがるまで女の子の恰好をさせられていた。魔を除けるためだ、ということだった。祖父以外の家族も、友だちも、ほかの人た...
  • 3 ブログタイトル:目次が日本一のブログ(自称w挑戦者求む)
  • 記事タイトル:『夜市』 恒川光太郎 角川
  • 記事概要:夜市/恒川 光太郎 ¥1,260 Amazon.co.jp 本書のベストセリフ 「少女は学校に行っている。洋服からみて裕福な家庭の子供だ。 比べて、自分は学校には行っていない。 だから文字すら満足には書けない。独学で勉強をしているが…。  少女は成長すれ
powered by Ameba by CyberAgent