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2007-05-19 23:43:52

「フェルマータ」/もしも時間を止められたなら?

テーマ:白水社 

 
ニコルソン ベイカー, Nicholson Baker, 岸本 佐知子
フェルマータ

訳者の岸本さん目当てで借りてきた、ニコルソン・ベイカーの本。

妄想力が爆発していた岸本さんのエッセイ(→「
気になる部分 」)同様、こちらの本も物凄く変わってました~。

 もしも、時間が止められたなら?

基本設定はこれです。ワン・アイディアといえば、ワン・アイディア。

自由に時間を止める事が出来、全ての物たちが静止した状態の中、一人、自由に動く事が出来たならば、人それぞれやりたい事、やれる事は違うでしょう。

でも、この物語の中、主人公で自伝的記録をものしている途中のアーノがする事と言えば、そう、この文庫版の表紙にあるように、女性の服を脱がせたりなどの、セクシャルな行為ばかり。

アーノは、どんなタイプの女性であれ、それは純粋に女性の美を礼賛するための行為だと言うのだけれど・・・。

<襞(フォールド)>の中に入り、好き勝手に、時や他人の身体、人との関係性を弄くるアーノ。これ、amazonなどを見ると、基本的に男性目線の妄想なので、女性には不評では・・・、という意見が多かったように思うけれど、私は結構楽しんで読んじゃいました。まぁ、近くにアーノのような男性にいて欲しくはないけれど。ワン・アイディアだけど、流石に最後まで同じ展開というわけではなく、ラストの17、18章があるので、食傷せずに済んだというのもある。

アーノは実際に時を止めているわけだけれど、本来は過ぎ去っていってしまう、何でもない一瞬一瞬を愛おしむような、時を手の平で優しく撫で擦るような感触が新鮮でした。ま、やってる事は、セクシャルな妄想を実行に移しているという、ほんとけしからん事ばかりなんだけどね。

訳者の岸本さんのお遊び(? というか、訳語の工夫か)も、随所に見られまして、成長物語(ビルドゥングスロマン)をもじった性腸物語(ディルドゥングスロマン)という名の張形とかね・・・。この訳語でも分かるように、途中に挿入されるアーノ自身による猥文(ロット)は、ほとんどポルノ小説なので、そういうのが大丈夫な人じゃないと、ちょっと読むのは辛いかも。

俗語はそれなりに触れたことがあると思っていたんだけど、乳房を<ジャマイカ>っていうのは知らなかったな~。何からきているんだろう??? 英語に堪能な方ならば、岸本さんの訳やルビを更に楽しめるのかもしれません。

*私が実際読んだのは単行本なのですが、表紙絵が出てきた白水μブックスのソフトカバー版を載せています。35歳、派遣社員(テンプ)のアーノ。アーノっぽさが良く出ている表紙だわ~。

白水社

コメント

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1 ■こいつも読みたい

妄想全開の岸本さんは、やはり妄想傾向にある作家のポルノ小説を翻訳されていたんですね。このコンビの本、探さなきゃ!

(追記)
この表紙絵を描かれているマンガ家さんも好みだったりする。(名前をど忘れしてしまった・・・)

2 ■>nanikaさん

ふふ、ポルノ小説と断定しちゃうのは、ちょっと御幣があるかもしれないのですが・・・。笑
「フェルマータ」は男性目線の妄想ですが、男女双方の妄想としては、同じコンビの「もしもし」があり、セクシャルな話抜きでは、「中二階」があるそうですよ。私、次は「中二階」に行こうかと。

や、私も気付かなかったのですが、これ、桜沢エリカさんのようです。このアーノの表情がいいですよね~。

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