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2007-05-10 00:03:48

「停電の夜に」/世界とわたし

テーマ:新潮社

 

ジュンパ ラヒリ, Jhumpa Lahiri, 小川 高義

停電の夜に

目次
停電の夜に
ピルザダさんが食事に来たころ
病気の通訳
本物の門番
セクシー
セン夫人の家
神の恵みの家
ビビ・ハルダーの治療
三度目で最後の大陸
 訳者あとがき


各所で高評価をお見掛けするこの短編集。そんなに良いなら、と借りてきたのだけれど、これは皆さまが書かれていた通りの、良い物語でありました。
でも、この「書かれていた通り」というのがちょっぴり曲者で、あんまり予備知識無しに読み始めた方が、この世界にどっぷり入れたのかもなぁ、とも思いました。予備知識があったので、「あ、こういう世界なんだよね」と思いながら読んでしまったのが、ちょっと勿体無かった感じ。

カルカッタ出身のベンガル人を両親に持ち、幼い頃に渡米したジュンパ・ラヒリ(そして、これまた各所に書かれていた通り、実にお美しい!)が描くのは、私にはあまり馴染みのない、アメリカにおけるインド系の移民や、インドを舞台としていても、普通の人たちからは少し外れた人たちが生きる世界。
移民である人々は、遠く故郷を離れた町で暮らし、故郷を思う。少し外れた人たちは、「普通」を思う。ここではないどこか、現在ではないいつかに、心を残し、または緩やかに心を奪われている人たちが、織り成す物語。

国と人との関係においても、この物語の中の登場人物たちは、ぽつんと一人立っている感じがするのだけれど、それは人と人との関係においても同じ。夫婦の関係においても、一人一人は他人なんだなぁ、という感じがする。「停電の夜に」における夫婦も然り。暗闇の中だから言えること、暗闇の中ではなく、明るいところで告げたかった事・・・。好みとしては、「三度目で最後の大陸」の夫婦だけれど。「三度目で最後の大陸」で、主人公である男性が語る夫婦の歴史にはじーんとくる。

わたしたちが孤児だったころのあとがきに引用されたカズオ・イシグロの言葉のように、「突然、世間の荒波の中に放り出されたわたしたちも、言ってみればみな孤児のような時期を経験している」わけで、移民という存在を通して、そういう世界が描かれているように思いました。


 ←文庫。でも、クレスト・ブックスの美しさで、単行本の装丁の方に軍配をあげたい。

コメント

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1 ■恐怖の報酬ではないですが

表紙についてのコメントをしているところが同じでしたね。

書評の永遠の課題ネタバレ問題も根が深いですね。
書評を読まないと面白そうか分からないし、読みすぎると雰囲気が分かってしまうし。
ブログにもいつもどのぐらい書くか悩んでいます。

前情報なしで読んだ新しい作家にうまくはまれたときは、本を読む醍醐味を感じますが、なかなかそういう幸運には出会わないものです。

短編では、「停電の夜に」は都会人の退屈さを刺激するために書いたような後味の悪さがイマイチなじめませんでした。

「三度目・・・」はよかったです。
「ビビ・・・」は短編ならではの切れ味が印象的でした。

長編「その名にちなんで」も是非読んでみてください。内容は・・・

2 ■>bookbathさん

あ、ほんとですね。笑<表紙
せっかくのインド的な表紙をどうして変えちゃったんだ!!、と勿体無く思いますよね、これ。

書評のネタバレ問題。
いや、私は基本的には気にしない方だし、この本自体、元々はbookbathさんとこで気になった本だったんですよ(なので、bookbathさんの記事は読みたい!という原動力になりこそすれ、読書の楽しみを阻害するものではありませんでした)。
多分、全然似ていないのですけれど、何となく私と似た感じ方をされるブログの記事を読んじゃったのですね。それが敗因だったかも。
その「感じ方」を少しなぞる感じになってしまったのですよ。いやー、失敗、失敗。
「感じ方」は自分だけのものですからね。引きづられてはつまらない。

「停電の夜に」は、確かにちょっと後味悪いですよね。それに比べて「三度目~」のほっこりと温かくなる事。途中まで、「停電の夜に」みたいになったらどうしよう・・・、と思っていたのですが、いい意味で裏切られました。
「ビビ~」も印象深かったですねえ。どことなくユーモラスな香りがあるところも、ジュンパ・ラヒリの良いところなのかなぁ。

ええ、次は是非長編を! 内容、書いても大丈夫ですよ~。笑

3 ■無題

つなさん、こんにちは~。
私も表紙について書いてます。
みなさん、同じことを思ってらっしゃるんですね♪
ほんとクレストブックスの表紙が好きなのに~。
この本、図書館で読んだ後で自分で買ったんですが
思わずクレストブックスの方を選んでしまいました。(笑)

でもほんと、どこまで感想を書くかというのは
すごく難しいですね。
浅くなぞるだけでは興味もそそられないでしょうし
だからといって深く突っ込むのも問題が色々と。
最近はミステリをあまり読んでないので
そういった意味でのネタバレは気にせずに済んで
ちょっと楽なんですけどね。(笑)

TBさせていただきますね。^^

4 ■>四季さん

クレストブックスシリーズいいですよねー♪
「ペンギンの憂鬱」もクレストブックスだったし。
セレクトといい、表紙といい、ほんといいですよね。
あ、文庫よりも単行本を購入されたのですね。笑 でも、分かりますー。「停電の夜に」だから、この表紙って、なんか違う~。

感想については、あはは、ちょっと書いてしまいました。
後は自分の備忘録でもあるので、あとで見る時ように、ある程度は書き込んでおきたいという事もあり。書いておかないと、結構忘れちゃうんですよね~。ミステリのネタバレも、そうですよねえ。
反転表示しておいても、うっかりスキンを変えると、丸見えになっちゃったり。笑

トラバありがとうございました。
後でお伺いします♪

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