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2007-04-30 11:08:03

「酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記」/恩田陸さんの紀行文

テーマ:講談社
 
恩田 陸
酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記  

旅行とはすべからく、楽しいもの?
直前には、ドキドキわくわくして仕方のないもの?
ましてや、その地は恩田さんが憧れ続けたという、イギリス・アイルランドだというのに。

「酩酊混乱紀行」とあるとおり、紀行文にも関わらず、その始めの文章は「なぜか新国立劇場にいること」と題され、ビールを飲みながら書かれた、旅行前の観劇の話なのである。そう、恩田さんの「酩酊」と「混乱」は、冒頭から既に始まっていたのだ・・・。

憧れのイギリス、アイルランドに渡るためには、そう、「あれ」に乗らなくてはならない! 恩田さんが恐怖してやまないその乗り物といえば、そう、「飛行機」なのだ!

飛行機と小説家の関係のこと」でつらつらと語られるのは、飛行機嫌いの小説家や監督のこと。スティーヴン・キングしかり、アーサー・C・クラークしかり、レイ・ブラッドベリしかり、スタンリー・キューブリックしかり、・・・。ただでさえ、普段から半ば妄想のように荒唐無稽なプロットを考えている連中が、飛行機を怖がるのはむべなるかな、と恩田さんは考える。勿論、これは恩田さんにも当てはまるわけだけれど・・・。「あれ」に乗る前には、「あれ」に対する恐怖に煩悶し、憧れの地を踏んでも、「あれ」のことが頭にちらつき、帰国が近付けば、再度訪れる「あれ」との遭遇に頭を悩ます・・・。混乱の様すらさえ面白いとは、さすが小説家とも思うのだけれど、じっとりと脂汗が滲むような様が読んでいるこちらにもひしひしと伝わってくる・・・。

というわけで、これは恩田さんの酩酊(ほんとに良く飲んでおられるんだ、これが! ビール、ビール、ビール!という感じ)と混乱、時に妄想が楽しい紀行文。随所に小説や劇、映画についての感想がさらりと忍び込むのも嬉しいところ。飛行機に乗る直前の、成田エクスプレスの中では、「のだめカンタービレ」の千秋真一に感情移入していたりもする。勿論、恩田さんも書かれているとおり、飛行機嫌いの千秋さまに助けてもらう事は出来ないんだけど。きっと、恩田さんの中では、日常とその他の物語の区別がないのだろうな。ま、今回の場合、恐怖に駆られて、思考が特に飛んでいるのかもしれませんが・・・。

そして、興味深かったのが、恩田さんが旅先でよくやるというゲームの事。恩田さんは気に入った場所、雰囲気のある場所に出会ったとき、その場所を舞台にして何が起こるのか、自分やその場所に聞いてみるのだそうだ。ここで何が起きたら驚くか、何が出てきたらお話になるのか。タラの丘で恩田さんの頭に浮かんできたイメージも、いつか小説として紡がれ、形をなすのだろう。

ところで、この明らかに「地球の歩き方」シリーズを模したこの装丁。最終章の「そして、一年後のこと」では、恩田さんはスペイン北部にあるオビエド空港で、冷や汗を流し、立ち尽くしているわけですが、また、こういうの書いてくれないものかな。恩田陸、「酩酊混乱紀行」シリーズ。楽しそうなんだけど。ま、でも、恩田さんの寿命が何だか縮みそうで、それはあんまり嬉しくないわけですが。

コメント

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1 ■こんにちは^^

TBさせていただきました。
旅行記っていうよりは、飛行機とお酒の話でしたよね^^;
私、飛行機って嫌じゃなかったんですが、この作品を読んだ直後に飛行機に乗る機会がありまして、離陸する時に思わず怖い!って思っちゃいました^^;
恩田さんに洗脳されちゃいましたよ。
こんなにお酒を飲まれる方だって初めて知りました^^;

2 ■無題

これ、まだ恩田先生の作品を一冊も読んだことがない時に、何故か最終話だけ読んだことがあります。確か「IN☆POCKET」かなんかで連載されてました。

僕も今年の夏休みに飛行機に多分乗ります。「黒と茶の幻想」に影響されたせいか、屋久島に友達といってみようかと。行く前にこれも読んでおきたいです!

3 ■γーGTPは大丈夫だろうか

こんにちは。これ読みました。
ここだけの話ですが、
最近の恩田さんの小説よりこっちのほうが
面白いような気がうわなにをする、はなせ、よせやめ(以下略)

4 ■>苗坊さん

アルバートを恨み、ロバートを褒め称える恩田さんが面白かったですよね。私もこれ読んだ直後は、飛行機に乗りたくないな~。笑
『三月は~』を読んだときに、きっと良く飲み、良く食べる方なんだなぁと思ったのですが、それがズバリ当たってました。ほんと、気持ちのいい飲みっぷりですよね。
*トラバどもです♪ お返ししますね~。

5 ■>おんもらきさん

わー、屋久島行かれるんですね!いいなー。
計画練るのも、楽しみですね♪

ふふ、これ、面白いですけど、苗坊さんも仰っているように、飛行機に乗る直前に読むことはオススメいたしません。飛行機が怖くなること請け合いであります。笑 

6 ■>拉致?笑

>木曽のあばら屋さん
ああ、木曽のあばら屋さんが拉致されてる~。

いやぁ、「気になる部分」とこれを立て続けに読んだもので、何だか自分が妄想界に頭までどっぷり浸かってしまったような気分になりました・・・。

ええ、でも、小説よりも面白いというのにも同感、うわぁ、やめて~、はな(以下略)。笑

7 ■かわいい妄想

妄想が、飛行機への恐怖もかき立てながら、それを紛らわそうとする方向へも走る様子が面白かったですね。
個人的には各章最初の扉絵も見所でした。

8 ■恩田さんの素顔

へえ~、こんな本が出ていたとは!
なんとなく恩田陸さんって謎の人に違いないと、勝手に決め付けていたので、エッセイは書かないのかと思っていました。
今後読みたい本、増えます~(うれしい悲鳴)。
旅行に出て酒飲んでるエッセイって、角田光代さんを思い出してしまった。

9 ■>bookbathさん

そうそう、妄想が暴走してましたよね。笑
bookbathさんの記事を読んだら、いちいちツボが同じで面白かったです。記事には書きこぼしたのですが、扉絵も良かったですよね!

10 ■>旅行とお酒

>有閑マダムさん
こちらは旅(というか、飛行機怖い)の本ですが、『小説以外』というエッセイもあるそうです。私は今度、そちらを読んでみたいなぁ、と思っています。
この本は面白いですが、くれぐれも飛行機に乗る前に読まれませんよう! 恩田さんの恐怖が伝染しそうで、危険ですよ。笑
角田さんのエッセイは読んだことないんですよ。今度、図書館で探してみます。

11 ■この本は読んだ事無いけれど…、

恩田さんはエッセイ等も結構面白いと思います。
…と言っても「小説以外」の他は読んで無いんだけども。

>ほんとに良く飲んでおられるんだ、これが! ビール、ビール、ビール!という感じ

恩田さんはホントにビールお好きですね。
ビール党!と明言してるくらいだし…。

12 ■>saoriさん

いらっしゃいませー。
関係ないですが、私はペトロニウスさんとこの『裏庭』記事にコメントするの挫折したんですが、さすがsaoriさん!と思いました。笑

さて、恩田さんのエッセイ。
「小説以外」は、図書館の順番待ちをしてまして、次あたりには借りられる予定です。
わー、楽しみだなぁ。

そ、そうか。恩田さんはビール党でいらっしゃるのですね。ビールっていいけど、おなか一杯になりません?笑<まさにビールっ腹とか。

13 ■無題

……あわあわ、そ、そうですか?
でも、全然、理知整然としていない…orz
超感情論!ですね;

「小説以外」なかなか面白いですよ!
紹介されてる上品且つゴージャスな海外ミステリの数々が読みたくなります!

…ビール、、、はあんまり飲めないんで良く解らないんですよ(汗)
お酒は甘いのしか飲めないお子様です(笑)
飲み会とかでうっかりビール注がれると泣きそうになります。

14 ■>saoriさん

そうなのです!笑
そして、こういうコメントのやり取りは、感情がこもらないとつまらない~と思うので、「超感情論!」素敵だと思いまーす。

おお、「小説以外」を読むと、また読みたい本が増えてしまうという罠。海外ミステリ、そんなに読んでないからなぁ。

おお、saoriさんはビール苦手女子なのですね。笑 カクテルの方がお好きなのかなぁ。
私、酔いたくない時はビール飲んでます。笑<それもどうよ。

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