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2006-08-29 22:21:13

「蛍の行方」/お鳥見女房・第二弾!

テーマ:新潮社
 
諸田 玲子 蛍の行方―お鳥見女房  

前作、「
お鳥見女房 」において、珠世の夫であり、矢島家の当主である伴之助は、幕府の密命を帯びて沼津に入り、そこで消息を絶ってしまった。次男、久之助もまた父を追って沼津に入り、珠世の心痛を見かねた居候の源太夫もまた彼を追う。

果たして、伴之助は無事でいるのか? 久之助、源太夫の二人は、伴之助を無事に珠世のもとに連れ帰ることが出来るのだろうか。

緊迫した沼津に流れる時間とは異なり、源太夫の五人の子たちが引き起こす騒ぎは相変わらず。とはいえ、源太郎、源次郎の二人は剣術の稽古に勤しむようになり、他の子たちも、武家の子としての躾を喜んで受けるようになるんだけどね(源太夫父ちゃんが帰ってきたときに、吃驚させるんだい!)。

福は福を呼び、災いは災いを呼ぶ。どんなに辛いことが身に降りかかろうとも、笑う門には福来るを実践するような珠世母さんは、どうやってこの辛い主(あるじ)不在、生死も知れぬ二年間を乗り切ったのか?

婿養子であり、本来は「お鳥見役」とは何の関わりもなかった伴之助。お鳥見役にはお鷹様の世話をする表向きの仕事だけではなく、裏のお役目が存在する。嫡男に仕事を譲った後、父親は裏の仕事に就くことが決まりのようで・・・。それはお鷹様に喰い殺される、弱い雀の姿を見るようでもある。裏の辛い役目は、穏やかな日常を愛する温厚な伴之助をも変えてしまう。

伴之助が戻ったその後に、珠世の肝っ玉母さんぶりが、より必要になるのかもしれない。心の傷は難しい。珠世の父、久右衛門もまた、過去のお役目から暗い影を背負いこんでいる。しかし、珠世がいるならば、伴之助に笑顔が戻る日も近いのだろう。珠世には諦めるつもりはない。

目次
第一話 ちまき泥棒
第二話 蛍の行方
第三話 捨案山子
第四話 緑の白菊
第五話 大凧、揚がれ
第六話 雛の微笑
第七話 裸嫁
第八話 風が来た道

このシリーズのいいところは、何ともふくよかな珠世さんの人柄や、鬼子母神近くののどかな情景。さらりと読めるんだけど、爽やかな風がシリーズ通して吹いているような感じ。時代物ではあるんだけど、登場人物たちの悩みは現代的でもあり、またその辺の描き方もいい塩梅。

コメント

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1 ■無題

>何ともふくよかな珠世さんの人柄や、鬼子母神近くののどかな情景

あくまでそっちが主体なのですけど、そんな中にときおり挟まれる緊迫感溢れる場面、『蛍の行方』から次作『鷹姫さま』へと進むにつれて、そういう部分もけっこう効いているなあ、と思うようになりました。

2 ■>ディックさん

そうですね、人情部分と政治的な部分のバランスもいいですよね。
庶民(武士だけど)としての生活が、現代の私たちにも共感を持って読むことのできる部分なのでしょう。

諸田さんは、こちらはちょっとした妖しさもあるのですが、平安時代を舞台とした「髭麻呂」、「まやかし草子」なんかも面白かったですよ~。

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