「新宿っ子夜話」/新宿、その様々な貌
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青蛙房
目次
学校が消えた
花駒さん
ハナの散るらん
明治御家人奇談
亀のハイダシ
鯨の大八
豊倉屋お倉
伊賀者「由緒書」
一銭学校
旭町分教場
御料地の噂
地蔵と石鹸
江戸金ちゃん
町場の怪談
浮かれ河内山
幕末維新の宿中騒動
荘厳寺の無縁物
白山の話
宿場のくさぐさ
少年、老い易く
1926年、東京新宿生まれの著者の学校が姿を消す「学校が消えた」から、「明治御家人奇談」、享保三年(1718年)の「大八事件」を題材とした「鯨の大八」など、大分昔の新宿まで、様々な顔をした新宿が立ち現れる。
内容は、地域を限定した、近代の歴史こぼれ話といった感じ。
例えば、「明治御家人奇談」の主人公、山本伝太郎は、著者の曾祖母の甥。
新宿っ子の著者の周囲から、丁寧にとられたお話が続く。
戊辰戦争の話もちろりと出てくるので、新撰組を脇の剣士から描いた、浅田次郎の「壬生義士伝」なんかを思い出す。
住宅地であったり、宿場、またそれにつきものの遊郭の話であったり、裏路地であったり。そこに生活があった頃の新宿のお話。ますます変貌を遂げる新宿だけれど、近代化した高層ビルなどの裏には、色々な顔が隠れている。











1 ■一太郎
仁吉
「若だんな、つなからこんなものをいただきました。」
一太郎
「おや、立派な下駄、それに杖のおくりものだね。」
仁吉
「いつも若だんなに迷惑をかけていることを気にしたことへのつななりの誠意でしょう。」
一太郎
「うむ、この杖と下駄はとても軽やかで動きがよくなるねぇ。」
仁吉
「まがいものではないそうですね、なら一安心です。」
一太郎
「あまりにも軽やかだからちょっと表でも歩いてこようかねぇ。」
仁吉
「目に埃が入らないようにしてくださいよ。」
--------後 日-------------
仁吉
「あのみやげはいったいどういうことなんだ!」
つな
「あら、お気にめしませんでした?」
仁吉
「若だんながつなのみやげで怪我をしたんだ。1週間は寝込むことになりそうだ。」
つな
「え.....、私のおくりものがなぜ?」
仁吉
「なんだか理由がわからないんだ。だから送り主のつなのせいだ.。おや、佐助じゃないか。」
佐助
「若だんなの散歩を見たんだが、なんだか変だったよ。妙に小走りで下駄のペースに若だんながつき合わされてる感じだったぞ。」
仁吉
「つまりは下駄の性能に若だんなが付いていけないというわけかい。」
佐助
「ああ、それにあの下駄の色が気になったんだ。
あの"あかい"下駄が。」
仁吉
「ん?あかい下駄..........さてはつな!!!」
つな
「すみません。おもちゃ屋で 3倍増しの速度を保証するあかい下駄がお買い得とあったものでついつい。」
仁吉
「お体に悪いものを渡すんじゃないよ。まったく。」
つな
「脳波を使って遠くの妖を一撃するららの音色っていうのもあって.....」
仁吉
「江戸時代に浮世話はごめんだよっ!!
江戸に生きるものは江戸らしく若だんなをお守りしな!」
つな
「すみません......」