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2006-07-12 22:17:04

「続巷説百物語」/御行奉為・・・

テーマ:角川書店
京極 夏彦
続巷説百物語

扉から、そのまま引きます。言葉の調子が実にいいんだよ。

人の世に凝るもの。恨みつらみに妬みに嫉み、泪、執念、憤り。
道を通せば角が立つ。倫を外せば深みに嵌まる。そっと通るは裏の径。
所詮浮世は夢幻と、見切る憂き世の狂言芝居。見過ぎ世過ぎで片付けましょう。
仕掛けるは小悪党、小股潜りの又市。山猫廻しのおぎん。事触れの治平―。
手練手管の指の先、口の先より繰り出されるは、巧緻なからくり、眼眩。
邪心闇に散り、禍は夜に封じ、立ち上がるは巷の噂、物怪どもの妖しき姿。
野鉄砲、狐者異(こわい)、飛縁魔(ひのえんま)、船幽霊、死神、老人火(ろうじんのひ)―。

「御行奉為(おんぎょうしたてまつる)―」

前作を読んでから、あまりに時が経ってしまったので、全然気付かなかったのだけれど、本書は「時系列でまとめると、前作の7つのストーリーの間に今回の各話がそれぞれ差し挟まれるという凝ったつくり」になっていたのだった。言われてみれば、途中に「~の仕掛けが」などというフレーズが、随分入っていたよ。汗
しかし、流石、京極さん。凝ってますね~。

法で裁けぬ悪人に、怪異を利用した狂言芝居で、引導を渡すのは前作と同じ。
前作での事件は、ほとんど金で請け負うものだったけれど、本作の事件は又市らの過去に大きく関わるもの。その分、哀しくやり切れなくもある。

八方丸く治める術は、京極堂の憑き物落としにも共通しているけれど、昭和初期と江戸時代という舞台設定の差が、解決策にもあらわれる。悪人を倒してしまえば嘘も方便。狂った藩主を、領民のために後に領地の護り神とすることだってある。悪しき真実は皆が知らなくともよいことであり、又市の狂言芝居は、「その後」の人々の暮らしまでおさおさ抜かりない。

又市の鈴の音がりんと鳴る時、悪しき行いは怪異の衣をまとい、形を与えられた事で、解決出来るものとなる。 無宿人の又市一味と異なり、唯一堅気の山岡百介。本作では前作に比べ、又市たちの側に随分と寄っている。堅気でありながら、自分が堅気であるとの確信を持てない百介は、あちらにふらふら、こちらにふらふら。彼は、又市らの仕掛ける狂言芝居に信頼性を持たせるための、単なる巻き込まれ役から、仕掛ける側に。とはいえ、堅気の彼と、又市らとの間にはやはり大きな差があるのだ。昼の世界と夜の世界。これらを自在に行き来していたような百介であるが、又市らとの蜜月のような日々はやがて終わる。

後半、「飛縁魔」「船幽霊」「死神」からは話が連続し、一気に畳み掛ける展開に。老人火」は全ての幕引き。又市、おぎんは、そしてあやかしの者となる。

これ、図書館からハードカバーを借りてきたのだけれど、作りも美しい本でした。章の扉に載せられた妖怪画(?)もカラーだし♪ 文庫、ノベルス、色々あれど、単行本もいいねえ。

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コメント

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1 ■これかも

店頭に積んであって、京極堂より軽く感じた新書。紙などが違うのだろうな、きっと。

2 ■>とらさん

これでしたかー。笑
でもね、巷説シリーズは京極堂シリーズよりも、ボリュームが若干少ないかも。だって、余白あるし。笑
京極堂の場合は、台詞であってすら、余白がないような気がします。笑

3 ■セリフの余白

京極堂のせいだ!(笑)
滔々とあやつがしゃべるから、紙面が字でうまるのです。
映画見ていませんが、キャラとしては、息をもつがせず、(しかし速くもなく遅くもなく)延々としゃべってるイメージが強いですね(笑)。

4 ■>とらさん

私もそんなイメージです。笑<息もつがせず

巷説の場合は、みな、基本的に言葉少ななんですよー。これはでも、一巻よりも続編の方が面白いと思いました。<私が文庫で持ってるのは一巻。

5 ■饒舌

そういえば、京極堂シリーズの場合、京極堂以外の人も、けっこう長いセリフしゃべりますね(笑)。
キャラの自己主張が激しいというか。
そうか、巷説は、違うのか。

6 ■>巷説の余白

>とらさん
こちらは、余白というか、きちんと行間のある物語なんですね。笑(京極堂は行間までぎっちり描かれているイメージ。笑)
おぎん姉さんの台詞とかいいですよ。カタカナ混じりの、婀娜な感じが色っぽいです。
うん、キャラは立ってるけど、闇の世界の住人だけに、自己主張とは違うのかも。

7 ■いいですよね。

フリークとまではいきませんが、京極夏彦氏は好きです。京極堂シリーズでは、ぎっしりと詰まった文字の中に溺れる楽しさを見出しましたが、嗤う伊衛門や巷説シリーズでは、行間に漂う雰囲気を味わえますね、こちらの方が好みかな!
私も続巷説の方が面白かったと思います。百介の昼の世界と闇の世界のどちらにも属せないもどかしさとか、又市の仕掛けとか、言い出したらキリがないけど、もう上手いなぁ・・・。
この文体のリズムも心地いいですね。後巷説も私は好きでした!

8 ■>喋喋雲さん

京極堂シリーズの快楽は、まさにあの文字の洪水に耽溺するところにありますよねえ(うっとり)。私もフリークではないけど、好き、くらいかな。フリークになるには、関連本ともども、何だか多すぎますし。笑
しばらく離れていて、久々に京極さん読んだんですが、やっぱりいいですねえ。
うん、京極堂シリーズもいいけど、この語られない行間、余白もいいですよねー。
続巷説は、何せ起こる事件が陰惨ですが、語りの巧さや、仕掛けの巧さが良かったですよね。最後、きっちり始末をしていくところも・・・。
途中、おいおい、百介、こんなに仲良くなっちゃっていいのかよー、と思いながら、読んでたんですが、もっとこのシリーズ続けられそうなのに、ここできっちり線を引いてしまうんだな、と。京極さんは、惰性でずるずるシリーズ化はしないんですね。

9 ■うんうん。

そうなんですね。「お気楽仕掛け人珍道中」的な雰囲気にはしないのが流石ですね。又市さんが分を弁えていて、キッチリしている。その佇まいが京極さんの姿勢をよく表している気がします。
「後巷説」は、お爺さんになった百介さんが若い人達に昔話を聞かせるような形式になっています。読み終えた時、京極さんの潔さに唸りました。これ以上は出ないんだろうな、と。
「後巷説」を読むと寂しい気分になりますが、一編一編色々考えさせられます。つなさんの感想を是非聞いてみたいです。

10 ■>喋喋雲さん

ですよね~。やろうと思えば、「お気楽仕掛け人珍道中」(ピッタリ!笑)にも出来るのに。又市もいつもきっちり線を引いていたわけですが(「奴(やつがれ)」って結構好きでした)、京極さんもまた、きっちりと線を引かれたのですね。
私が気になったのはねー、百介が出世(?)したのはいいけど、百物語は出来たの、出来なかったの?、ということです(ああ、私がお気楽なんだな・・・。笑)。もう二度と旅に出なかった、というラストも淋しかったなー。
うん、一遍一遍考えさせられますね。特に後半三篇からは一気!ですよね。絶対哀しい方にいくんだろうな、と思いつつ、読むのをとめられない感じでした。

11 ■間違えて

続巷説百物語を買ってしまってから、全巻揃えて読もうと思ったのに、すっかり忘れていて。(笑)
つなさんの記事(後巷説~)を読んで、改めて手にとってみた。
なななんと、裏表紙の中に隠し絵が!(嬉)

今さら気づくなよ!

本を購入しただけで満足してしまって、そのまま読み忘れている本が結構あります^^;(汗)
ってか、自分の本棚の在庫を把握していない。(呆)

12 ■>ぐたさん

いきなり、「続」から購入されてしまったのですか!笑 でも、これ、全巻通して読むと、面白いですよー。
で、隠し絵ですって? えーえー、私もそれわからないです。笑 どんなのがあったのかしら。うーむ、本屋で見てこなくては(って、でも、単行本のことかしら、新書のことかしら??)。

購入しただけで満足。ふふふ、私はケチだから、それはないな。笑 でも、時々、本が行方不明になります。笑 伊良部医師シリーズの、奥田さんの「最悪」という本を確かに買ったはずなのに、現在行方不明です・・・。

13 ■すみません

単行本の方です。
表紙を取ると、裏にも絵が印刷してあるので、表紙をひっくり返して付け直してもいいみたいですケド、結構過激な絵なので。。。(汗)
「英名二十八衆句 月岡芳年・落合芳幾 筆」
とあります。
この手の絵はどこかの美術館で見た事がありますが、不勉強ゆえよくわかりません。

14 ■>ぐたさん

なるほど、なるほど。
私は図書館本だったので、びっちりビニールカバー(?)が、付けられちゃってて、それは見られませんでした。
Wikipediaを見に行ったところ、確かにちょっと過激な絵が・・・。汗
(こちら→http://ja.wikipedia.org/w/index.php?title=%E6%9C%88%E5%B2%A1%E8%8A%B3%E5%B9%B4&oldid=8019192)
物語中でも、この「無残絵」というやつが、重要な役割を果たすので、だから裏表紙になっているのですねえ。そうか、これ、ほんとにあった絵だったのか・・・。不勉強な私は、思いっきりスルーしていました。笑
教えてくださって、ありがとうございまーす♪

15 ■こんにちは

報告が遅れました。(汗)
巷説百物語の方も手に入りました。
この裏表紙は「九相詩絵巻」でした!
チャンスがあったら本屋さんで見てみてください。
怖いよ~!

16 ■>ぐたさん

おお、とうとう揃いましたね!笑
いいなー、これ、ハードカバーの方が雰囲気ありますよね。でも、重そうです。笑 そして、カバーを剥げないという弱点があるわけですね。笑
「九相詩絵巻」も物語に関係あったと思います。京極さんって、ほんとこの手のにもお詳しいなぁ。

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