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2006-06-22 21:56:49

「海と炎の娘」/姫君たちの旅路

テーマ:ハヤカワ文庫
パトリシア A.マキリップ, 脇 明子
海と炎の娘

前作「星を帯びし者」 で、モルゴンと「偉大なる者」の竪琴弾きが、エーレンスター山に消えて一年、彼らの行方はようとして知れなかった。

そんな中、モルゴンの世継ぎである、彼の弟エリアードは、モルゴンの死の気配を感じ取る。「偉大なる者」が支配するこの王国においては、領国支配者はその領国に強く結び付けられ、その土地の木や風の動きまでもはっきりと感じ取ることが出来る。 エリアードはそれまでも、モルゴンの苦闘の様を夢の中で感じていたのだが、ある日、自らが領国にしっかりと結び付けられ、領国支配者となった事を感じる。それは即ち、それまでの領主であったモルゴンの死を意味する。

ヘドの領主、モルゴンの死の知らせは、王国内を駆け巡る。さて、アンの国の領国支配者マソムの娘であり、モルゴンの婚約者であるレーデルルは、アンの国で彼の帰還を待っていた。彼女の元にも、彼の死の知らせがやって来る・・・。さて、彼女はどうでるのか。

モルゴンの死の知らせが届いてから、王国は不穏な空気に包まれる。皆は「偉大なる者」に信頼を寄せていたというのに、彼は自分の王国の中で、ヘドの領主、モルゴンを守ってはくれなかった! アンの国の領国支配者のマソムは、鴉に姿を変えてエーレンスター山へと向かい、街道では変身術者たちがうごめくようになる。

レーデルルは、モルゴンに死をもたらした者を、「偉大なる者」に問いただそうと、エーレンスター山へと旅に出る。勿論、レーデルル一人で旅に出られるわけではない。彼女はヘルンのモルゴルの娘であり、近衛隊長でもあるライラとともに、船長ブリ・コルベットを脅し、船を乗っ取ってエーレンスター山へと向う。そして、そこにはさらに、モルゴンの妹であるトリスタンまでもが、密航してきて・・・。

この三人の娘たちがそれぞれに魅力的で、この旅の様子が私は好きだったな~。彼女らに乗っ取られた形の、船長ブリ・コルベットもまた良くって。「乗っ取られた」とはいえ、本当に抵抗出来なかったわけではなく、レーデルルたちの身を案じ、自分の船を愛しているからこその行動なんだよね。主人公であるモルゴンが出てこない前半の方が、前作に比べするすると読み進められる始末。この道中の様子は楽しかった。

ところで、この第二巻のタイトルは、「海と炎の娘」。星を帯びし者<スター・ベアラー>の隣にいる事になるだけあって、レーデルルもまた、ただ美しいだけの娘ではありえない。彼女は強い力を持った、アンの国の海と炎の娘。最終巻に向けて、物語は進む。

コメント

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1 ■変身術者

ペーパーバックとか買っていないので、推測なのですが、たぶん、2巻で重要になってくる変身術者は、shapeshifter となっているんじゃないかと思うのです。
外形が移り変わる、というような意味なのでしょう。実際、ぱっと変身するんじゃなくて、みにょ~、と粘土かゴムでできてるみたいに形がかわるわけです。
で、なぜか、英米のファンタジイやSFには、しばしばこの、shapfeshiter なるものが登場するのですよ(しかも、たいてい、邪悪なものとして)。なにか原型があるのか、不思議な事なんですが、つきとめていません。

2 ■>とらさん

そうそう、変身術者が気になって!笑 いや、最後に書こうかなー、と思ってたんですが、他の訳はいいと思うんだけど、「変身術者」と「領国支配者」だけは、どうにかならなかったのか・・・、と思いまして。
そもそも、「変身術者」というものに、馴染みがないと考えると、私が違和感を覚えたのも尤もだったのかもしれませんね。
おお、とらさんでもご存じないとは!笑 突き止めた暁には、是非教えてください。

3 ■領国支配者

ああ、これも気になりますよねえ。
国主とかでもよさげな気がするんだけどなあ。
変身術者 shapeshifter は、たいてい、どの作品でも、訳者が苦労している。てか、投げてるようです(笑)。変身術者、となっている事が多いんだけど、これ、ほんとに、適当な訳語がないですね。

4 ■>とらさん

三巻に至るまでは、慣れちゃいもしたのですが、うん、「国主」の方がすっきりしますよね。笑<領国支配者
対して、三巻まで全く慣れなかったのが、「変身術者」。笑 うーん、でも、そういう事情だと仕方ないですよねえ・・・。確かにあんまり想像出来なかった・・・。笑

5 ■なぜ違和感があるのか

これね。
そもそも、変身術者と言ってしまうと、たとえば普通の人間が「術」として変身ができる、と考えるじゃないですか?
でも、shapeshifterの場合、生来の特質としてできるという事になっています。だから、ほんとは「術」じゃないよね。むしろ「能力」です。
かといって、変身能力者といわれると、チープな超能力ドラマを連想してしまいます(笑)。
あえて無理矢理、漢字で訳語を作るとしたら、形が移り変わるのですから、遷形人とか。

6 ■>とらさん

そうそう、そうだ!あれは、「術」ではありませんね!笑 「術」と考えるから、何だかおかしく見えるのですね。
「変身能力者」。・・・確かにチープな超能力ドラマに出てきそう。笑
ある程度の格式なども欲しい感じだし、うん、そうすると、とらさんの「遷形人」って言葉も美しいし、いい感じです♪
(とらさんが翻訳される時も、こういうの、色々苦労されたのですか?)

7 ■苦労

翻訳は商業ベースで売った事はありませんが、やった事はある。
苦労しました(笑)。
で、そういう「苦労」をした後が見えない商業翻訳は非常に見ていて腹が立つのです。プロ意識が感じられないじゃん。

8 ■>とらさん

「苦労」した後が感じられない商業翻訳。笑 なるほど、確かにそう思いますよね~。
でも、翻訳って、その背景の文化なども知らなければならないし、難しいお仕事ですよね。難しいからこそ、面白い仕事でもあるんだろうけど。うんうん、「プロ意識」でもって、仕事をして欲しいものであります。

9 ■でもね

そういう、手抜きの翻訳はかなりたくさんあります(汗)。
困ったものだ(笑)。

10 ■>とらさん

手抜き翻訳。笑
特に、ファンタジー、SFなどでは、横行してたりするんだろーか。汗
(真剣に訳すと難しいのに、てけとーな人は、思いっきりてけとーなのかなぁ、と)

11 ■いやー

ミステリでも海外の歴史小説でも、神話伝説の本でも、よくみかけますよ。
不勉強はなはだしいというか、中学生レベルの知識が欠けてるのでは、と思う事も多々。

12 ■>とらさん

中学生レベルとは手厳しい。笑
私は知識がないので、その手のは良く分かりませんが、シリーズもので雰囲気が全然違ったりすると興ざめですねえ(って、それはズバリ、ポアロ!笑)。ま、どっちの雰囲気が本物なのか、原文当たったわけじゃないし、分かりませんが。

13 ■たとえば

玉蜀黍はアメリカ大陸原産です。
というのは中学生レベルの知識だと思うんだけど(笑)。
大航海時代以前のヨーロッパが舞台の物語に「玉蜀黍」の出てくる翻訳が、ずいぶん目立つのには呆れるばかりです。つまりやらかしてるのは一人じゃないのだ!

シリーズものが途中で翻訳家がかわると……っていうのはありますねえ。ファンタジイやSFなどは固有名詞の読みなどが違っちゃう事があり、いきなり雰囲気ぶち壊しになります(笑)。

14 ■>とらさん

あは、不安になって、「トウモロコシ」、自分で変換しちゃいました。笑(読みに自信がなかったのだ)
ほー、なるほど。有り得ない物が有り得ない時代に存在しちゃうわけですね! でも、私、するっと読み飛ばしそー。笑

そうそう、固有名詞が違ったり、一人称などが違うと、雰囲気全然変わっちゃいますもんね。日本語って結構バリエーションもありますよね。

15 ■日本語

ヨーロッパの言語と共通性が皆無ですからねえ。
たとえば、ジョージという名前がドイツに入るとゲオルクになり、フランスに入ればジョルジュと読まれる、なんてのはヨーロッパでは普通でしょうが、日本にくると、それぞれ「ジョージ」「ゲオルク」「ジョルジュ」という3つの名前になってしまう。
だからこそ、固有名詞の読みは、翻訳家が変わっても、統一しないと日本の読者に不親切なんだよな~(笑)。

16 ■>とらさん

なるほど、名前の読みという問題もありましたね! 私、世界史選択ではなかったので良く分かりませんが、世界史をやってる人たちが、良く混乱していたような・・・。嗚呼、日本語の太郎なら「たろう」の単純さが美しい!笑
言語の共通性っていうのは、確かにありますよね。うん、あの圏内だったら、たいてい類推できちゃったり、常識なんだろうなー、と思うことも多いですもんね。

17 ■名前

これは、漢字文化圏の場合、漢字に助けられていますからね(笑)。
同じ漢字で書いておいて、読みはそれぞれの民族語で読んじゃう。
それで理解にはなんの問題もないと(笑)。
ヨーロッパでも、状況はある意味同じなのですが、文化圏(言語圏)がまったく違うので、混乱が生じるわけです。

18 ■問題なしですね(笑)

>同じ漢字で書いておいて、読みはそれぞれの民族語で読んじゃう。
それで理解にはなんの問題もないと(笑)。

あー、とらさんのおっしゃる通りですね。私もこちらで台湾人の子としゃべるのに「漢字」を使ったりすると、簡単に意思の疎通ができる。発音も微妙に似ていたりするのでおもしろかったです。

19 ■>☆とらガーベラさん

>とらさん
読みは違うけど、込められた意味は同じ事も多いですもんね。<漢字
どの言語圏にいるのかによって、「分かり易さ」も違うんですね。

>漢字
流石、漢字! ジェスチャーよりも、伝わる確立が大きそうです。笑
 ちょっと違う発音も、教えてもらうと面白そうですね♪

20 ■もっとも

残念なことに、本来漢字文化圏であるはずの朝鮮半島二国では、長らくハングル優勢で、漢字がだいぶんすたれているそうです。(最近、韓国では一部復活のきざしがあるという事だけど)。
ハングル文字も良いけど、ちょっともったいない話ですねえ。

21 ■>とらさん

平仮名若しくはカタカナ・オンリーみたいなもんですもんねー。そいえば、それによる弊害もあるみたいですね(同音異義語を区別できないとか)。
平仮名とカタカナだけだったら、本もさぞ読みづらかろう、と思います。笑 書き物は、流石に漢字が混じるのでしょうか。

22 ■同音異義語

日本も、GHQ指導下で、もしかするとアルファベットが表記用文字として採用されていたかもしれないらしいですが(しかしそれに先だって行われた識字率調査の結果があまりにも良かったため、断念したらしい)、もしそれが実現していたら今頃は(汗)。
……大変だったでしょうね。
もっとも、それを言えば、今や日本はひらがなカタカナ漢字にアルファベットも混合で使っているわけで、こんなめちゃくちゃな国も、他にはなさそうですねえ。

23 ■>とらさん

ほんと、漢字がきちんと残されてよかったですよね~(「きちんと」残されてはおらず、「少なすぎる!」と怒っておられる文も、読んだ事あるけど。笑)。
ひらがな、カタカナ、漢字にアルファベット。確かに今はチャンポンだ~、でも、便利♪笑

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