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2006-05-25 21:52:55

「ゴルゴン―幻獣夜話」/異形のものたち

テーマ:ハヤカワ文庫
タニス リー, Tanith Lee, 木村 由利子, 佐田 千織
ゴルゴン―幻獣夜話

表紙の美しさに惹かれて、古本屋にて購入♪

私のタニス・リーのイメージは、幻想的で美しくエロティックというもの。
幻獣夜話」という副題があるように、きっとまたそういう作風なのかなぁ、と思っていたら、意外にもちょっとコミカルな現代ミステリ調のものもあり、切なく美しいお話あり、と色々な作風を楽しめてしまった。

目次
ゴルゴン
アンナ・メディア
にゃ~お
狩猟、あるいは死―ユニコーン
マグリットの秘密諜報員
猿のよろめき
シリアムニス
海豹
ナゴじるし
ドラコ、ドラコ
白の王妃


◆「ゴルゴン」◆
小説を書くために、ダフォー島に渡ってきた「私」は、沖近くに浮かぶ小島に興味を持つ。「地元向けに口から出まかせを並べ、地元向けにとびきりの愛想笑いを浮かべ、そして地元向けに、さらにとびきりの価格を払えば、それと引き替えに、欲しいものは何でも手に入るはず」のこの島で、なぜか島の人々は小島に渡る事を拒否するのだった。
「私」が小島で出会ったのは、ヨーロッパ風の二階建ての建物に住み、仮面を被った奇妙な女。島の人間が忌んだのは、ゴルゴンの顔を持つこの女。ゴルゴンは伝説の通り、本当に人を石に変えるのか?

◆アンナ・メディア◆
両親も手を焼く、恐るべき子供達の元にやって来たのは、家庭教師アンナ・メディア。彼女は苦もなく、子供達を手懐けるが、屋敷には不気味な黒魔術の影が・・・。

◆にゃ~お◆
現代ミステリというか、ホラー調? アシモフ編のアンソロジーなんかに、入ってそう(「犬はミステリ」はあるのに、そういえば、猫のはないのかしらん)。
スティルの恋人・キャシーは、両親の遺した屋敷にひっそりと住まう、若い女の子。問題はそこが猫屋敷の呈をなし始めていたこと。スティルはキャシーを屋敷から引き剥がそうと試みるのだが・・・。

◆狩猟、あるいは死―ユニコーン◆
これは、全くタニス・リーらしい作品のように思う。
両性具有、生まれ変わり変質していくものたち・・・。

◆マグリットの秘密諜報員◆
これも途中までは、現代ミステリ風の味付けに感じた。
下着売り場で働く「わたし」はある日、車椅子に乗せられた非常に美しい青年と出会う。青年は非常に美しいけれど、その瞳には何もうつしておらず、彼を介助するのは、彼と似ても似付かぬでっぷりとした黄色い女、ミセス・ベスマス。
ミセス・ベスマスは、かの美しき青年、ダニエルを正当に扱っていないと感じた「わたし」は、義憤若しくは恋情に駆られ、二人の住まいに押しかけるのであるが・・・。

◆猿のよろめき◆
少々、変わった冒険譚?何というか、冒険好き、若しくは植民地趣味の英国人を皮肉ったような物語。ええ、主人公も「栄国人」のエドモンドだしね。
青く艶のある肌、燃え立つ琥珀色の髪、おまけにサファイアの瞳を持つ、尋常ではない美しき魔物から、エドモンドは逃れる事が出来るのか?

◆シリアムニス◆
アポロのような麗しい若様が買った、美しい奴隷娘・シリアムニスの正体とは。
これ、ちょっと気持ち悪かったよ。

◆海豹◆
殺伐とした無口な男、ハス・ハラスが、本土の女との約束のために、狩った見事な海豹の毛皮は一体誰のものだったか。
荒涼とした島、デューラの風景、<海の民>シールスの哀しみが印象深い。

◆ナゴじるし◆
彼の美しいペット達。それは、地球の言語であらわすならば、「猫」に相当するものたち。しかし、彼らはとんだ無法者だった!

◆ドラコ、ドラコ◆
<ドラゴン殺し>のお話。

ビス・テリビリス(二倍怖いのは)―
ビス・アペラレ(二度呼ぶこと)
ドラコ!ドラコ!(竜よ!竜よ!)

語り手の「わし」の背景が気になる。英雄、騎士に対する、少々皮肉な見方が面白かった。あと、引用したこのヘンな呪文のような言葉が妙に気に入った。ドラコ!ドラコ♪、と意味なく呼ばわりたくなった。

◆白の王妃◆
美しく、切ない物語。年老いた王の元に嫁いだ、若く美しいブランシュ。ところが、新婚初夜に老王は身罷ってしまい、寡婦となった彼女は、無人の塔で一人死ぬまで暮らすことになった。そこに現れたのは、真夜中よりも黒いカラス。白と黒の対比、若さと老いの対比の残酷さが美しい。
童話の趣きもあり、アーサー クィラ・クーチ編、カイ ニールセン画「十二人の踊る姫君 」 のような構成の本にしたら、さぞ美しかろう、と思った。

☆関連過去記事☆
幻獣の書-パラディスの秘録 」/醜き獣
(同じくパラディスシリーズである、「堕ちたる者の書」は挫折しましたが、こちらはうっとり読みました・・・)

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

コメント

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1 ■読まれましたか

きっと、つなつなは気に入るだろうと思ったけど、やっぱり?

2 ■>とらさん

ん、気に入りました。笑
でも、現代ミステリ調(or ホラー調?)の作風は意外でした。こんなんも書かれていたんですねえ。

3 ■タニス・リー作品

けっこう、幅広いですよ。
ジュヴナイルもありますし(笑)。

4 ■>とらさん

ええっ。健全なジュブナイルもあるんですか。笑
エロティックなイメージが強いのにー。いーがーいー。笑

5 ■この本は

持っているし読んだのですが、なぜかあまり憶えていません。健全なのは受け付けない性質なのかもしれません(違)。
昔のハヤカワFTはジュブナイルも多かったような。古本屋に出れば105円で買えると思います。
(ところで一太郎書店さんのコメント、笑ってしまいました…笑)

6 ■タニス・リーのジュヴナイル

健全かどうかはわかりませんが(笑)。
rizwordsさんが紹介されているように、昔のハヤカワ文庫FTに収録されたタニス・リー作品にはかなりジュヴナイルが含まれますし、今はなき、教養文庫A&Fにも入っていました。<復刊されないものだろうか
BOOK OFFタイプの古本屋なら、確かに、105円コーナーにあると思います。「その筋の古書店」ではプレミアついていたりしますが(笑)。

7 ■>rizwordsさん

あはは、健全なのは受け付けない性質でいらっしゃいますか。笑 「パラディス」に比べれば、健全だと思いますが、それ程「健全」というわけでもなかったような。でも、ワタクシ、まだまだタニス・リーの初心者でありますので。笑

一太郎書店さんには、いつも面白いコメントを頂いております。笑(でも、やっぱり本はあんまり買わない生活を送っているのですー。ああ、また突っ込まれちゃう。笑)

8 ■>とらさん

え、ジュヴナイルであっても、健全ではないと。さーすが、タニス・リー。笑 
ううむ、教養文庫A&Fを知らないです。「その筋」では有名な文庫だったのでしょうか。笑
そして、BOOK OFFタイプだと、かえって105円本に分類されちゃうのですねー。笑<いかにも、ありそう。笑

9 ■ブックオフだと

そうです、多分105円。
なぜなら、新しくないから。
A&Fを含め、教養文庫は出版社がずいぶん前になくなっちゃったんですよ。
ミステリも出していまして、このうち、「修道士カドフェル」ものは、光文社海外文庫に再収録されています。

10 ■>とらさん

ブックオフ的ピカピカ古本屋は、確かに「新しく」なかったり、「売れ筋」じゃなかったら、やっすくなってますよねー。
出版社がなくなっちゃったんですか。汗
ええっ、「修道士カドフェル」ってとらさんとこで記事読んで、面白そーと思っていたような・・・。作者名を自分が見ていなかったようでありますが、ミステリも書けるんですねえ、ほえー。

11 ■カドフェル

いやいや、同じA&Fマークだっただけで、こちらは、作者がエリス・ピータースという人です。
イギリスはもとより、日本にも熱烈なファンがいるシリーズです。

12 ■>とらさん

お、そゆことでしたのね。笑
面白そうだけれど、「シリーズ」ですもんねえ。なかなか手が・・・。

13 ■シリーズとはいえ

20冊もありませんから、ぜんぜんへいきですよ。
1冊もそれほど分厚くないですし(笑)。

14 ■>とらさん

・・・「20冊もありません」・・・。笑
うわーん、とらさん基準だー!笑
(泣きながら走り去る、つな五才)

15 ■とら基準?

そんなことはないよ~。
しかも、基本的に1巻1話ですから、全巻読まなくてもだいじょぶですし。
ほらこわくないよ~。

16 ■>とらさん

大人はすぐそうやって!!
(by すぐ修正しちゃうカミーユつな。笑)
騙されないもーん(?)

17 ■大人じゃないよ

とらだよ(笑)。
だからだいじょうぶ。
ほらねほらね(しっぽゆら~ん)。
長さでいうと、1作あたりが、クリスティの作品と同じくらいじゃないかなー。

18 ■>成獣とらさん。笑

なるほど、クリスティの作品も全部読まなくても大丈夫ですもんね。笑<長さ的にも形式的にもそんな感じなのでしょうか。

19 ■そうそうそんな感じ

ポアロも、全作品読めば、ポアロがロンドンに来てからその足跡がずっとたどれるわけですが、別に幾つかとりだして読んでも全然問題ない。
カドフェルもそんな感じです。
つなつなは絶対にはまりそうな気がする。もしも読んだなら(笑)。

20 ■>とらさん

じゃ、どこかで出会い頭にぶつかる事を楽しみにしています。笑
古本屋で見つけても、一冊だけでもOKなわけですね~。

図書館でついつい10冊借りてきちゃうもんだから、その他の読書がなかなかすすみませぬ(貧乏性なので、10冊借りられるとなると、目一杯借りてしまうのです。笑)。

21 ■どこか1冊

そう、それでも全く問題ありません(笑)。
もし見かける事があったら、ぜひぜひ。

22 ■>とらさん

では、出会いを楽しみにうろついてみますねー。笑

23 ■監視員takam16

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図書館でついつい10冊借りてきちゃうもんだから、その他の読書がなかなかすすみませぬ(貧乏性なので、10冊借りられるとなると、目一杯借りてしまうのです。
-----------------------------------


「パキュ~ン。」

24 ■>takam16さん

・・・わーん、どのヘンが「監視」に引っ掛かったのでしょうか。笑

takam16さんを監視したところ、新ブログに向けて着々と準備中のようで。楽しみにしてますよーん。

25 ■監視員takam16

ぴぴぴぃぃぃぃっ~(笛)

新刊書店と古本屋と図書館はバランスよく使うように!!
図書館に偏重しすぎとる!

カード没収!!!
ついでに駐車違反きっぷもペタンと。

26 ■>監視員takam16さま

そ、そこだったか!笑<バランス

えーと、bk1の書評ポイント買いとかもしてるんですが、やっぱダメ?笑

新刊書店は、ぴっかぴかの本たちを眺めに行くだけだなぁ。汗

ああ、また違反切符切られちゃう?笑

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