「ちいさなちいさな王様」/大きくなるってどういうこと?
テーマ:講談社
ミヒャエル ゾーヴァ
私たちが住むこの世界では、人間は何も出来ない、何も知らない赤ちゃんとして生まれ、成長して、知識を増やし、大人になる。でも、この表紙に見える、分厚い深紅のビロードのマントをまとった、太った小さな王様の世界ではそうではないのだ。
王様は、名を十二月王二世という。彼の父は十二月王一世、そのまた父は一月三日王という(この辺、原語だとどういう風になっているのだろう。何か意味があるのだろうか)。
さて、この小さな王様に言わせると、私たちの世界の方が非論理的であり、王様の世界の方が理にかなっているのだという。
「最後にいなくなるっていうなら、どうしてはじめにいちばん大きくて、次第に小さくなって消えていくっていうふうにならないのかね?つまり、けしつぶみたいに小さくなって、とうとう見えなくなるという意味だが」
王様の世界では、何でも知っており、何をやらせてもそつなく出来る、そういう状態で人は産まれ出るのだという。人生というのはある日起き上がって、それで全てが始まるのだ。ただし、王様の世界では大きくなるにつれ、次第に物を忘れ、小さくなっていくのだという。そして最後には見えなくなってしまう。
小さくなって、忘れていく事は悲しいことかって?いえいえ、決してそうではない。仕事や人生の雑事から解放され、頭の空いた空間は遊びや空想で埋める生活。小さい方が人生経験豊か。小さい方が偉いのだ!大きな連中などに、文句など言わせてなるものか!
これは気まぐれに「僕」のところにやって来るようになった「小さな王様」と、ちょっぴり人生に疲れた普通のサラリーマン、「僕」とのお話。
目次
1 大きくなると小さくなる
2 眠っているときに起きている
3 存在しないものが存在する
4 命の終わりは永遠のはじまり
5 忘れていても覚えている
美しい挿絵といい、少々意味深なタイトルといい、これは大人の童話。余裕がないときに読むと、ちょっと辛いかもしれませんが、私はこの王様のお話、好きでした。
「おまえのところについて、ちょっと話してくれるかね」
絵も好き、王様の少々尊大な物言いも好き。
そして、なかなか素敵な、王様の世界での生命の誕生場面。
「地面についたとき、二人がちゃんとしっかりと抱きしめあい、なおかつ、目もちゃんとしっかり閉じていたら、地面はまるでトランポリンのように弾み、その勢いで二人は天までとびあがることができる。そのときに、二人は空から星をひとつ取ってきて、それをベッドの中に入れておく。朝になると、そいつが目を覚まして、おれたちの一人となるわけだ」
*この本のことは、柳田さんの「砂漠でみつけた一冊の絵本」 で知りました。
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。











1 ■こんばんわ。
コメントありがとうございました。
折角TBしてくださったのに、すみません。
何で、出来ないんでしょうね。
私もTBしてほしいのですが。
ライブドアめ・・・。