「ニシノユキヒコの恋と冒険」/とめどないこの世界の中で
テーマ:新潮社
パフェー
草の中で
おやすみ
ドキドキしちゃう
夏の終りの王国
通天閣
しんしん
まりも
ぶどう
水銀体温計
十四歳の西野少年は、全てを受け入れ、全てを拒むようなキスをする少年であり、長じて彼は、上司である年上の女性を縫い止め、奪うような大人の男性となった。獲物をとらえるときの獣は、凶暴でありながら、優雅で無駄のない動きをする。そういう意味で、ユキヒコは獲物を駆る獣のようでもあった。
ニシノユキヒコ、西野幸彦氏は一般に言うならば、女性にもてるプレイボーイ。一連の短編は、全てニシノユキヒコの恋を描いたものであり、様々な時系列の女性との出来事(時にそれはクロスする)が、彼に関わった女性の視点で語られる。
ユキヒコは「おやすみ」の真奈美の言葉を借りると、「こわがりやのユキヒコ」であり、優雅に女を扱う事が出来、凶暴にもなれるというのに、女の子を好きになることが出来ない。一時的にある女性に傾倒することは出来ても、やはり時が来れば飽いてしまう。彼が女の子にもてるのは、なめらかな無関心でもって、優雅に事を運ぶから。しかしながら、本当の彼はどこかぎくしゃくとした人間でもある。
それを愛しく思ってくれた女性もいたし、彼がどこかぎくしゃくした人間となった遠因を知って、彼から逃げてしまう女性もいる。また、ユキヒコの持つ闇に全く気付かない女性もいる。ユキヒコも大概ずるい人間なのだけれど、彼が付き合った女性の中にも、彼のいいところだけ、美味しいところだけを味わった女性もいるのかもしれない。
とはいえ、ユキヒコは彼が出会った全ての女性が、幸せを祈らずにはおられないような男性である。ユキヒコの生涯は幸せだったのか。形は結ばなかったかもしれないけれど、私は幸せな一生と読んだ。
とめどないこの世界の中で、ニシノユキヒコの恋と冒険は実を結んだのか。誰よりも器用に生きながら、どこか戸惑った、迷子のようだったユキヒコ。全編読むと、またこの順番も味わい深い。最初に戻って、じんわりと読みたくなる。
さて、この本には様々なタイプの女性が出てくる。自分だったらどの短編のどの立ち位置にいるのかなぁ、としばし考えた。うーん、私は「通天閣」のタマちゃんかなぁ。友達の昴と「ニシノ」との恋を、「ニシノ」に惹かれ、昴を心配しつつ、何だか気に入らないなぁ、と隣でじっと見ている彼女。素敵なのは、「おやすみ」の真奈美さんと、「夏の終りの王国」の例なんだけど、ま、私はこんなにクールにはなれません・・・。











1 ■一太郎
「通天閣」のタマちゃんもいいけれど、
薬種問屋の一太郎もお願いしたいものだねぇ~。
妖一同
「若だんなのいうとおりだ!」