「恐怖の黄金時代」/怖い話は好きですか?
テーマ:その他の新書
集英社新書
目次
はじめに
第一章・・・四大の使徒
-アルジャノン・ブラックウッド
第二章・・・セント・ジョンズ・ウッドの市隠
-アーサー・マッケン
第三章・・・師匠と弟子
-ダンセイニ卿とラブクラフトについて
第四章・・・ケンブリッジの幽霊黄金時代
-M・R・ジェイムズその他
第五章・・・霊魂の交わるとき
-メイ・シンクレア
第六章・・・レドンダ島の王たち
-M・P・シールとジョン・ゴーズワース
第七章・・・魔の家を見し人は
-H・R・ウェイクフィールド
「枠の中の顔」 付録-M・R・ジェイムズ最後の怪談
あとがき
参考文献一覧
第三章からは、ラヴクラフトについて。神話を、宇宙そのものを創りあげたダンセイニに心酔し、同じく古典や過去の神々を借りる事をせず、幻想境に遊んだラヴクラフトであったが、聡明な彼は他人の亜流たる事を良しとしなかった。ラヴクラフトは「小さき神々」の別天地に遊ぶ事をやめ、その代りに現実の、彼の時代の地球上に、禍々しき暗黒神の一群を連れてくる。クトゥルー、ダゴン、ヨグ・ソトホート、ニャルラトホテプ、”旧支配者”、これら「異界の神々」は、孤独な詩人が人間に追われた神々の復讐をするために召喚した「別の神々」に他ならない。
うーん、読みたくなってきたぞ~。
「怪奇小説」とはただ怖~い物語をいうのではない。それは古めかしくも、香気溢れる物語。人は「怪奇」の向こうに、自然の神秘や、その力に対する畏怖、日常世界の危うさを見るのかもしれない。とすると、美しい自然を持つ、英国や日本で香り高い怪奇の書が生まれたのも、何だか分かる話。
で、「あとがき」を読んで、またまた南條さんってすごいなぁ、と思ったことをついでにメモ。
中学三年の文化祭の時のこと-文芸部の部屋に行ったら、客は誰もおらず、部長である友人が一人で吉川幸次郎全集を読んでいた。この友人は中学時代から漢文学の研究を志し、今はさる大学で教鞭を執っている。漢文などそれこそチンプンカンプンのわたしに、閑なので、阮籍の詠懐詩についてひとしきりレクチャーしてくれた。
わたしはそのおかえしに怪奇小説の話をすることにした。急遽特別講演を行うということで、その部屋に人を集め、一時間くらいしゃべったのである。七、八人は聞き手がいたと思う。話した内容は忘れてしまったが、ただ「ラヴクラフト!ラヴクラフト!」と連呼したのだけは記憶に残っている。
なんだか豊かな中学生活。
さて、ついでに過去記事のサルベージ
・南條竹則 「ドリトル先生の英国 」
・南條竹則 「中華文人食物語 」
← 一方では英国に関する本があり、またその一方では中国の食に関する本もある(で、上では「漢文などチンプンカンプン」と書かれておりまするが、これを読むと決してそんな事はないことが分かる。というか、それは中学時代限定の話?)。
・南條竹則 「酒仙 」
・南條竹則 「猫城 」
← 「猫城」なんかは、本書にもちらりと登場する、萩原朔太郎の「猫町」的でもあり、これもまた一種の怪奇小説?
・小田卓爾 「ふり返らない少女-英国21人の幽霊たち 」
← 「黄金の~」では、ケンブリッジの教授による怪奇譚が語られるけれど、こちらはオックスフォードの日本人留学生が出会う幽霊の話。
*臙脂色の文字の部分は、本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。










