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2006-04-07 22:42:01

「おしろいとスカート」/妖精の物語

テーマ:その他の出版社

アーサー クィラ・クーチ, Arthur Quiller・Couch, Kay Nielsen, 岸田 理生, カイ ニールセン
おしろいとスカート
新書館

「12人の踊る姫君」 と対になる本。私は先に「12人~」の方を読んでしまったのだけれど、こちら、「おしろいとスカート」の方に、編者である「通称Q卿による前書き」が寄せられているので、こちらから読むほうが正解のよう。物語としてはどちらからよんでも差し障りはないけれどね。

原題となっている「パウダー・アンド・クリノリン」はカイ・ニールセンの発案によるもので、Q卿はこのタイトルに諸手を挙げて賛成したそう。パウダー(おしろい)とクリノリン(スカート)とは何か? 妖精物語の変遷史のなかで、パウダー(おしろい)時代」と名付けられる時期、クリノリン(スカート)時期」と呼ばれる時期が過去あったのだそうだ。そしてこの二冊の本には、「パウダー期」から四篇、「クリノリン期」から三篇の物語が収められている。

パウダー期は妖精物語の黄金期であったため、どれを選ぶかという楽しい悩み以外に苦労はなかったそうだけれど、一方の「クリノリン期」でQ卿たちは困難にぶつかったのだとか。この時代、クリノリン*をはいた貴婦人、山高帽をかぶった紳士の周りには、妖精たちは飛んでいなかった模様(妖精物語があんまりないのに、「クリノリン期」とはこれ如何に?、とも思うけど)。

*クリノリン:スカートを大きく優雅にふくらませるため硬い布、針金や鯨骨の輪を使って作った一種の巨大なペチコート。1840年代から1860年代の終りごろまで、ヨーロッパ中に大流行した。フランスの第二帝政、イギリスのビクトリア女王の時代を飾るファッションの一大エポックである。
目次
通称Q卿による前書き
ミニョン・ミネット
フェリシア-または撫子の鉢
ジョンと幽霊

あとがき風に 岸田理生
解説 宇野亜喜良

一番印象深かった、「ミニョン・ミネット」について少し。これは、王家の命名式には必ず妖精たちが招かれていた頃のお話。幼い頃に両親をなくした少年王スーシは、名付親の妖精ジルエットに養育されて成長した。ジルエットは底抜けに気の良い妖精だったけれど、唯一つ、十分と落ち着いて物事を考えられないという欠点を持っていた。そう、「ジルエット」という名は、まさにくるくると意見の変わる風見鶏を意味している。

悪気はないけれど、風見鶏のようなジルエットは、スーシの養育に成功したとは言い難い。スーシは美貌と才気、学識を備えた青年だったが、「人を喜ばせる」性質に欠け、また世間を知らず、自分の能力を発揮する手段を知らぬ青年だった。そうこうする内に、国内の経済は破綻をきたし、ついには内乱まで起こってしまう。そんな中、ジルエットはよんどころない用事で隣国に出かけたまま、帰ってこなくなる。

国政が混乱をきわめる中、臣下たちはスーシの花嫁選びに活路を見出そうとする。

隣国のふわふわと文字通り飛んで行ってしまう、ディアファニー姫との見合いに失敗したスーシは、一人ひっそりと旅に出る。スーシが辿り着いたのは、妖精王アヴェリーヌが、スーシ同様早くに両親をなくした王女ミニョン・ミネットに代わり、執政としてまつりごとの実権を握っている国。 本当の母親以上にミニョン・ミネットを慎重に育て上げてきたアヴェリーヌは、スーシにミニョン・ミネットの花婿候補としての試練を与える。彼を王と証しだてるもの全てを奪われ、自分の力と才能しか身に着けるもののなくなったスーシは無事にミニョン・ミネットを射止めることが出来るのか。

スーシもミニョン・ミネットも実に爽やかな若者で、美しい挿絵とあいまって、いい物語でありました。ミニョン・ミネットは王女ではあるけれど、ただ守られるのを待つだけの姫ではなくって、自ら危機に陥ったスーシを助けに行ったりもするのだ。

もう一つ、ジョンと幽霊」も面白かった。 ジョンにすっかり手玉に取られて、憮然とした幽霊がちょっと可哀想でもあるんだけれどね。

コメント

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1 ■一太郎

おや、「妖怪」の物語かと思ってやってきたのだけど違うようだねぇ。

おや!
ブックマークにあるだらしな村は
本をメシのように読む藤田香織どののブログだね。

私は彼女の好きな本を知っているのだよ。なかなかいい戦術眼だねぇ。

バタッ。


妖精一同
「若だんな!!」

2 ■>一太郎takam16坊ちゃま

ふふ、妖「怪」ではなく、妖「精」の物語です。笑
妖怪もいいけど、妖精も好きなのです。

そうそう、だらしな村は藤田香織さんです。でも、ずーっと更新がないんですよねー。淋しい。

ご存知かもしれませんが、こちらでも更新されてて、以前は「だらしな村」から飛べたんだけれど、今はなぜか飛べなくなっています。
http://www.rbbtoday.com/column/darashina/
そして、こちらのアドレスでの更新も滞ってます。お仕事、忙しいのでしょうか。

藤田さんの原稿を、紙媒体で読んだ事はないんだけれど、ネット上で見つけて一時期読みふけりました。いいですよね、藤田さんの目。

そして、また倒れてるし!笑
妖精は化かしたりもするから、一太郎坊ちゃま、ふと気付くと知らないところに置き去りにされてるかもしれませんよ~。笑

3 ■読みましたよー

つなさん、おはようございます。
カイ・ニールセンの2冊読みましたよ~。
話もとても面白かったし、絵も美しかったです!
素敵な本を教えて下さって、ありがとうございました。
ほんと、妖精物語があんまりないのに
「クリノリン期」とはこれ如何に、ですよね。(笑)

この2冊、図書館で借りたんですけど
すっかり欲しくなってしまって困ってます。(笑)
洋書でニールセンの画集みたいなのを見つけて
それが結構お手ごろな値段なので、そっちでもいいかも…なんて。
同じシリーズでラッカムとデュラックもあるんです。
美しい本は目の保養なんですが、
どんどんお財布が軽くなってしまいそう~。

4 ■>四季さん

こんばんはー。
わーい、待ってましたー♪笑

ね、これ、お話もいいし、絵もいいですよねえ。
私も四季さんの記事が読めて嬉しいです!
(良かった本は、他の人の視点でも、また楽しみたい♪という欲深さ。笑)

綺麗な本は、場所もとり、また、お金も・・・、ですもんねえ。笑 ま、また見たくなったら、図書館で!という手もありますが・・・。
そうか、洋書という手があったのか~。でも、これはこれで、全てのシリーズを欲しくなったりとか?笑 悩ましいですねえ。

こちらからも、この後、再度お返ししますね♪

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