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2006-03-08 22:01:41

「十二人の踊る姫君」/絵つきの炉辺の夜語り

テーマ:その他の出版社
アーサー クィラ・クーチ, Arthur Quiller・Counch, Kay Nielsen,
岸田 理生, カイ ニールセン
十二人の踊る姫君
新書館

さくらももこさんの本 で知った「十二人の踊る姫君のお話。あちらは、エロール・ル・カインの手によるものの紹介だったのだけれど、こちらはカイ・ニールセンが描いたもの。大判だし、絵本にも見えるのだけれど、実際は字の分量が多くて、それに美しいカラー挿絵が付けられている感じ(表紙も美しい本だというのに、amazonでもbk1でも画像が出ず!)。

目次
はじめに
ロザニー姫と浮気な王子さま
十二人の踊る姫君
笑わぬ男
ロシア皇后のすみれ
解説 荒俣宏

絵も美しいけれど、文章もまた美しい。童話はたいていの場合、美しくもどこか残酷な部分を残すもの。それが典雅な絵と相まって、より一層魅力を増す感じ。

はじめにから引くと、アーサー・クィラ・クーチ卿が編んだ『パウダー・アンド・クリノリン(原題 In Powder and Crinoline,1913)から、四作を収録したのが本書なのだそう(そして、更にQ卿が選び出したもとの本も、当然それぞれ存在する)。このQ卿は、児童文学者というよりは、一代のディレッタント(好事家)と呼んだ方がふさわしい人物なのだそうだ。ディレッタントってどうやって訳すのだろう、と思っていたのだけれど、なるほど、好事家という意味もあるのですね。

さてお話の方は、「ロザニー姫と浮気な王子さま」は妖精同士の力比べのお話、「十二人の踊る姫君」は夜毎一足の靴を履き潰す姫君たちの謎とマイケル少年の話、「笑わぬ男」はパンドラの箱を開けてしまった青年の話、「ロシア皇后のすみれ」はビスマルク公が発見したロシア皇帝の庭園の謎の話。

この中で、どれかをとるとするならば、毒気は一番薄いけれど、時期が春なので「ロシア皇后のすみれ」かな。美しいお話で、ラストもよし。

荒俣さんによる解説、「再話の名手クィラ・クーチと様式美の絵師ニールセンとの出逢い」もおいしい。イギリスはretold物(古謡・伝承の類の再話)の確固とした伝統を持つ国。繰り返し語られる炉辺の夜語り。また、クィラ・クーチはオクスフォードで古典文学を講じた学者でもあるそうだ。オクスフォードってほんとに、繋がっているんだなぁ、と今更ながらに感心。そりゃ、幽霊 も出るよね、と改めて思いました。

対になる本 → 『おしろいとスカート』

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