「櫻の園」/ 美しく短い季節
テーマ:その他の文庫桜に囲まれた女子高では、毎春の創立祭において、チェーホフの「櫻の園」を上演するのが慣わし。彼女たちが通う学校は、桜の季節ともなれば花に霞み、まるで薄紅の花の冠を被せられたよう。
目次
花冷え
花紅
花酔い
花嵐
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スクールガール・プリンセス
点線で区切った「花」シリーズまでが、「櫻の園」のお話。花に囲まれた乙女たち。桜の花には、やはり少々妖しいイメージが付きもの。彼女たちはそれぞれ何かに縛られ、まるで呪いをかけられた囚われの姫君のよう。
「花冷え」の中野敦子は、ボーイフレンドの「シンちゃん」と、付き合ってもう一年。「シンちゃん」は「その先」に進みたいようだけれど、敦子はまだその決心が付かない。敦子の気持ちを固めさせたのは、10歳年上の結婚を控えた姉の言葉。
誰かを好きになるというのは、その一瞬一瞬が貴重な時間で、同じ時はもう二度と来ない。
「花紅」は「フツーの子」たちから、「ハデな人たち」と認識されている杉山紀子のお話。ハデな人たちと呼ばれるものの、本人にもいまいち「ハデ」の意味は分からない。声を掛けてきた男の子たちとちょっと遊びに行ったり、時々授業をフケるくらい。ほんとは「フツーの子」たちも、そういうことをやりたいのではないの? 自分は男の子の思い通りになんかならないし、押し切られたりしない。うまく切り抜けてみせる、と考えていた紀子だったけれど、ボーイフレンドの俊ちゃんに「思い上がり」を指摘される。紀子は、「ハデな人たち」のひどい噂を流さずにはおられなかった「フツーの子」たちの気持ち、男の子たちの気持ちを思い遣ることが出来る様になる。
「花酔い」は、倉田千世子を見つめる優等生、志水由布子のお話。潔癖な少女のまま成長したような由布子が、次の一歩を踏み出せるようになるまで。
そして、ラスト「花嵐」では、いよいよ「櫻の園」が上演される。今度の主人公は、倉田千世子。彼女は背が高く、演劇部ではいつも男役を担っていた。女子高だけにファンも多く、その気にならないでもなかったけれど、実際の彼女は体も心も実は女らしい。自分がもっと小さくて女らしかったら、誰かが好きになってくれるのだろうか。最後の場面には、「櫻の園」の上演を見に来た、敦子の姉と婚約者が現れる。
「スクールガール・プリンセス」は、それまでの女子高生たちからうって変わって、主婦乃々子のお話。大切なことを思い出す話。どうして夫のことを好きになったのか。いつか忘れることがあっても、きっとまた思い出せるはず。
「櫻の園」の話は自分にとっては既に喪われた時間なわけで、それがまたなんとも懐かしい痛みを感じさせ(ちょっと、「胸キュン」?)、「スクールガール・プリンセス」はそうだなー、しみじみ。感覚が似ているって、やっぱり重要だよなぁ。
これ、チェーホフを読んでいると、更に楽しめたのでしょうか。そこはちょっと残念。
☆関連過去記事 「ラヴァーズ・キス」











1 ■大好きな本。
約一年前ぐらいに記事にしたような記憶があります(^^;
サクラの頃に。
後ほどTBさせていただきますね。