つな
おすすめの100冊(amazon)

(bk1)

にほんブログ村 本ブログへ





Google

WWW を検索
ブログ内検索

フィードメーター - 日常&読んだ本logあわせて読みたい
2005-11-30 09:32:24

「イン・ザ・プール」/名医?

テーマ:文藝春秋
奥田英朗「イン・ザ・プール」

2005年春にドラマ化されたのを、つらつらと流し見していて、これが結構好感触だったので、図書館で借りてきた。ちなみに、ドラマ化の際のキャストは、トンデモ精神科医伊良部に阿部寛、相棒のセクシー看護師・マユミは釈由美子。阿部ちゃんは色白でも肥満でもないよー、と思うけれど、それを除けば残りは全てドラマの空気感(逆に言ってしまうと、ドラマで見たものは、読まなくても大丈夫なくらい)。軽く、楽しく読める。

「伊良部総合病院」の地下一階には、「神経科」が存在する。
総合病院自体は、白壁の清潔そうな建物なのだけれど、「神経科」は閑散としていて、如何にも怪しげ。そして、ここに常駐しているのが、注射フェチのトンデモ精神科医伊良部。患者は大抵、階上のまともな科から、匙を投げられ、回されてきた者たちばかり。彩を添えるのは、セクシーな看護婦マユミだけれど、彼女もまた無愛想この上ない。伊良部は病院の跡取りであるために、何とか仕事を与えられているように見える・・・。

■イン・ザ・プール
患者:大森和雄
職業:出版社勤務
症例:心身症(不定愁訴)
治療:一緒に泳ぐ!

「会社依存症とかボランティア依存症だとか無農薬野菜依存症とか、人間にはいろいろな依存症があるけど、水泳なんてのはもっとも害がないんじゃないかな」

心身症は神の采配、抗わないこと。『なすがままに』が一番いい。

■勃ちっ放し
患者:田口哲也
職業:中堅商社勤務
症例:持続勃起症または、陰茎剛直症
治療:感情を爆発させる

伊良部は、自分がこれまで出会ったことのない変人中の変人だ。彼にはきっと悩みなどないのだろう。欲望の赴くままに行動し、わめいて、笑って。
五歳児に悩みがないのと一緒だ。

人間には修羅場の経験が必要で、それがまた生の実感に繋がる。
たまには、体中を熱い血が駆け巡る体験が必要なのかも。

■コンパニオン
患者:安川広美
職業:コンパニオン
症例:被害妄想
治療:肯定してあげる

「眠れない人に眠れって言っても無理でしょ。眠れないなら起きてればいいって言えば、患者はリラックスするじゃない。結果として眠れる」

思いっきり肯定して、寄り添ってくれる人がいれば、何とかなってしまう事もある。

■フレンズ
患者:津田雄太
職業:高校二年生
症例:ケータイ中毒
治療:ただダベる

伊良部の無邪気さがうらやましかった。それはもしかすると、今の世の中ではもっとも強い武器のように思えた。

セクシー看護師マユミの理想のタイプは、”大勢で遊ぶのが苦手だから”、「友達がいない奴」。孤独はさみしくはあるけれど、それは決して怖いものではない。

■いてもたっても
患者:岩村義雄
職業:ライター
症例:強迫神経症
治療:確認行為の習慣化&ライバル医院に嫌がらせ?

「ルポライターは天職じゃん」「楽天家じゃ務まらないわけだから」

人を深刻にさせない精神科医って、名医なのかもしれない。
心配する人と、させる人で成り立つ世の中。でも、心配ばっかりしているのは、天職に役立つものとはいえ、ちょっと損した気になりそう。
****************************************
ストレスは人生についてまわるもの、無理やりではなく別の事に目を向けさせる伊良部は、やっぱり名医? 深刻な悩みは難しいものだと思うけれど、脱力出来た時点で、悩みの大半は溶け去っているのかもしれない。行く度に注射されてしまうのは、嫌だけれどね。

奥田 英朗
イン・ザ・プール

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

コメント

[コメント記入欄を表示]

1 ■精神科かぁ

精神科って医者として特別なジャンルの気がする。
誰でもなれるというものじゃなさそうだよね。
とても楽天的で、人のマイナス感情を
吸収せずにすむタイプじゃないと絶対に無理な気がするよ。
誰かの負の感情を吐き出させて受け止めて。
そして、的確に答えを返してあげることができるのって
すごいことだよね。

行くたびに注射ってのはかなり嫌だ。
注射は嫌いだよー。(>_<)

2 ■こんにちは

これもドラマ化されていたんですか・・・。しらなかったぁぁ。
原作、おもろかったっす。
なんとなく、「イン・ザ・プール」は伊坂幸太郎の「チルドレン」と似た雰囲気だなって思いました(イン・ザ・プールが先だったか)
この人のその後の作(最新作)「サウス・バウンド」のんをトラバさせてください。

3 ■>☆イン・ザ・プール・レス

>みわさん
そうですよねー、この伊良部氏は人の言うこと聞いちゃーいないので、マイナス感情も吸収しようがないという人物です。笑
的確に答えを返しているとはとても思えないのだけれど、ただ聞いてもらう、肯定してもらうだけで、随分良くなる事も実際にあるよね、と思いました。
私も注射嫌い! でも、伊良部医師は、何せ注射フェチだからねえ。私たちでは、セクシーな看護士さんの太ももや、胸の谷間が見えても、あまり嬉しくないですよね。笑

>ahahaさん
そうなんです、ドラマ化されていたんですよ~。昨今は映像化が本当に多いですよね。メディア・コンプレックスの一貫なのでしょうか。
まだ「チルドレン」を読んでいないので分かりませんが、あちこちで拝見する限り、この飄々として人のいうこと聞いちゃいない所が、似た雰囲気なのでしょうか。結局、感情を押し込めては駄目で、自分で気づいて自分の好きなように生きるしかないのかな、とも思います。
トラバ、ありがとうございました♪ この後、お返しいたしますね。

4 ■2発投下!

小説はちゃんと読んだのは「最悪」だけなんですが、「延長戦に~」はなかなか面白かった。

もう立派な人気作家ですよね。

5 ■>tujigiriさん

お、どうも!
では、こちらからも、いそいそとお返ししますね。
「イン・ザ・プール」は軽いけど、巧いな、と思う小説でしたよー。

6 ■無題

イン・ザ・プールは、「空中ブランコ」の続編なのですよね? 空中ブランコしかまだ読んでいませんが、あの伊良部医師が阿部寛さんとは・・・あまりにイメージギャップが!! でも、阿部さんの演技力でそれなりに見えるんだろうなあ。
伊良部医師みたいな精神科医って、実際にはなかなかいなさそうですけどね(笑)。

7 ■>有閑マダムさん

amazonを見た所、どうも「イン・ザ・プール」→「空中ブランコ」みたいです。でも、ドラマでは「空中ブランコ」もやってましたよ~。
私は本を読む前にドラマを見たんですが、読んでいてもそんなに違和感はなかったです。阿部ちゃんって、いつの間にか「怪演」という言葉が似合う俳優さんになりましたよね。笑<演技力
どうなんでしょう、伊良部医師の様な精神科医。初日で見切って、逃げ出してしまうかもしれませんね。笑 こんな医者、嫌~!!って。

8 ■空中ブランコ

そうなんですか!
まさか、阿部ちゃん、空中ブランコにも挑戦!?
あの人、ノンノモデルから俳優に転換した頃には、どうせ大根であっという間に消えていくんだろうと想っていたけれど、大物になってきましたよね~。 

9 ■>有閑マダムさん

そうそう、挑戦してましたよー。<空中ブランコ
彼はつか氏の舞台で鍛えられたのでしたっけ。ほんと、色々な役をこなすことが出来る貴重な俳優さんになったなー、と思います。
ドラマ「空中ブランコ」に関しては、こちらのページを見つけました。よろしかったら~。
http://www.fujitv.co.jp/Dr-Irabu/index2.html
ぐるぐる見てたら、阿部ちゃんが、空中ブランコをやった時の、派手派手衣裳も出てきましたよー。笑

10 ■この系統は嫌いではないな

この系統の作品は嫌いではないから読んでみようかな。でもまぁー人の精神の歪んでいる部分の背後にある、人間の豊かさは複雑さを垣間見させるという手法は、よくりがちといえばありがちですねー。

11 ■>人間の精神

>ペトロニウスさん
多分、すぐに読めますよー。有閑マダムさんのコメントにもあるけど、続編は「空中ブランコ」。こちらもすぐに読めました。
「垣間見させる」という意図よりも、妙な突き抜け感のある物語でした。続編の「空中ブランコ」の中に、夫婦間の問題みたいなのが、ちらりと出てきたのだけれど、江国さんの小説などより、こっちの夫婦の方がいいなぁ、と思いました(いや、比べるのも、ほんとは変なんだけど)。

コメント投稿

コメント記入欄を表示するには、下記のボタンを押してください。
※新しくブラウザが別ウィンドウで開きます。

一緒にプレゼントも贈ろう!

トラックバック

この記事のトラックバック Ping-URL :

http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10006623382

  • 1 ブログタイトル:◆Ahaha堂本舗◆
  • 記事タイトル:「サウスバウンド」奥田英朗
  • 記事概要:奥田 英朗 ?? サウス・バウンド あちこちのブログで、評判は聞いていました。 ぱっと思い出すだけでも、「駄犬堂書店 」の黒犬さんと白犬さん、「デジタル編集者は今日も夜更かし 」のeditorさん、「活字中毒日記! 」のトラキチさん・・・。 みなさん、異
  • 2 ブログタイトル:辻斬り書評 
  • 記事タイトル:「延長戦に入りました」 奥田英朗
  • 記事概要:著者: 奥田 英朗 タイトル: 延長戦に入りました 先般の直木賞受賞で一気に名前が知れ渡った小説家。もっとも本好きの間では以前から話題にのぼっていたのだが。 てなわけで、僕も初読のくちです(笑) 雑誌「オール読物」にて抄録された「空中ブランコ」に、喧伝され
  • 3 ブログタイトル:辻斬り書評 
  • 記事タイトル:「最悪」奥田英朗
  • 記事概要:最悪 奥田 英朗 「延長戦に入りました」 以来気になっていた奥田英朗の長編小説を、やっと読むことができた。 犯罪小説としては僕好みの無軌道ぶりや疾走感に欠けるものの、しっかりと読ませる筆力は評価したい。 なんでも「延長戦~」のエントリで引き合いに
powered by Ameba by CyberAgent