「いぬはミステリー」/ワンワン!
テーマ:新潮文庫アシモフ他編、小梨直訳「いぬはミステリー」
アイザック・アシモフといえば、本来はSF界の巨匠なのだろうけれど、私にはアンソロジーの編者としてのイメージが強い。アシモフ編のアンソロジーには、どれも外れがないように思う(ま、そんなに沢山読んだわけでもありませんが)。
これは「いぬ」をテーマとしたミステリー。
目次
まえがき……アイザック・アシモフ
眠れる犬……ロス・マクドナルド
敵……シャーロット・アームストロング
ジャズの嫌いな犬……ウィリアム・バンキア
闇の中を……ポール・W・フェアマン
非常口……マイケル・ギルバード
なぜうちの犬は吼えないか……ロン・グーラード
ブーツィーをあの世へ……ジョイス・ハリントン
レオポルド警部、犬レースへ行く……エドワード・D・ホック
リンカーンのかかりつけの医者の息子の犬
……ワーナー・ロウ
こちら殺犬課……フランシス・M・ネヴィンズJr.
ポピーにまつわる謎……Q・パトリック
シャンブラン氏への伝言……ヒュー・ペンティコースト
ラッフルズ、バスカヴィル家の犬を追う……バリー・ペローン
コヨーテとクォータームーン
……ビル・プロンジーニ&ジェフリー・ウォールマン
薪売り……ジョン・ルーディン
真昼の犬……レックス・スタウト
作者についての予備知識がなくても、大丈夫。
短編の扉に、詳しい著者のプロフィールが載せられている。
■「闇の中を」
手違いで誘拐された少女ティナ。彼女は両親と共に、過去ブダペストで<恐怖>に襲われた経験がある。<恐怖>は両親を、彼女の元から永遠に連れ去ってしまった。ティナは過去に、<恐怖>と対決した時の教訓、「あきらめてはいけない」を胸に、ただ一人、誘拐犯のアジトから脱出する。森を抜けて、安全な叔父フーゴーの元へ。
今回の「いぬ」は、ドーベルマンのプリンス。ティナとプリンスは、ブダペストの家のベランダの下で、<恐怖>から身を隠している時に初めて出会い、その後はいつも一緒に生きてきた。
でも本当はそんなことはない。海をひとつ越えたくらいで<恐怖>から逃れられるわけはないのだ。そんな簡単なものではない。<恐怖>はいろいろな顔を持っていて、またいつか舞い戻ってくるに決まっている。これまでもそうだった。
だからぜったいに気を許してはいけない。
常に用心して、どんなことがあっても、くじけたりあきらめたりしてはいけないのだ。
ハンガリーからオーストリアの国境を抜けて、アメリカにやって来たフーゴーとティナとプリンス。
ティナの固い決意と、脱出行が息詰まるような作品。
■「ラッフルズ、バスカヴィル家の犬を追う」
コナン・ドイル博士に罠が仕掛けられた。
それを知った、ラッフルズとバニーは…。
この「ラッフルズ」という人物自体も、「E・W・ホーナングの作で人気を博した怪盗ラッフルズの使用権を得て」書かれたものとのこと。勿論、タイトルにある、「バスカヴィル家の犬」とも関連した作品。
■「コヨーテとクォータームーン」
純粋なユマティラ・インディアンである、ジル・クォータームーンは美しい二十六歳。動物管理局に勤める彼女は、高級住宅地のガレージに閉じ込められたドーベルマンを救出する。住人の名は、エドワード・ベナム。しかし、登録書類上は、ベナムが飼っているのは、ドーベルマンではなく、雌のハスキー犬のはず。不審な点が多いこの住人を、ジルは上司の命令を振り切って調べ始める。
■「真昼の犬」
褐色砂岩造りの家に住む、巨漢の探偵、ネロ・ウルフ!
私はアンソロジーでしか、この探偵を読んだことがないのだけれど、ネロ・ウルフ物は結構好み。
ネロの助手、アーチーが殺人事件の現場で出会った“ハット・ハウンド”(アーチーの帽子を救ったのだ!)のラブラドル・リトリバー。かのリトリバーは、勝手に彼の家である事務所までついて来てしまう。いつもうるさいウルフを慌てさせるつもりが、意外にもウルフは文句を付けながらも、リトリバーを飼うという魅力に取り付かれた模様。彼らは成り行き上、殺人事件にも首を突っ込むことになる。
**************************************
猫をテーマにしたものとは違って、ここに出てくる犬は、人間と一緒に事件を解決してくれるだけではない。なんといっても、人間よりも強い体と力を持っている犬種もあるわけで。でも、「いぬ」と「ミステリー」が好きな人には、楽しめるアンソロジーだと思う。
- アイザック アシモフ, Isaac Asimov, 小梨 直
- いぬはミステリー
(赤い表紙も可愛いのだけれど、残念ながら表紙画像が出ませんでした)
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。










