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2005-10-18 08:54:40

「哀しい予感」/喪失と再生と発見

テーマ:角川文庫
よしもとばななの作品は、とても好きなのに、感想を書こうと思うといつもぼやけていってしまい、言語化が難しい。それは、死や喪失が身近にあるものの、決してドラマティックには描かれないためなのかもしれない。でも、死や喪失を越えて、生きていく人々の心持はいつも明るく好もしい。

吉本ばなな「哀しい予感」

「哀しい予感」の始まりはこう。

 その古い一軒家は駅からかなり離れた住宅街にあった。巨大な公園の裏手なのでいつでも荒々しい緑の匂いに包まれ、雨上がりなどは家を取り巻く街中が森林になってしまったような濃い空気がたちこめ、息苦しいほどだった。
 ずっとおばがひとり住んでいたその家に、私はほんのしばらく滞在した。それはあとで思えば、最初で最後の貴重な時間となった。思い出すと不思議な感傷にとらわれてしまう。いつの間にかたどりついた幻のように、その日々は外界を失っている。
 おばと2人で過ごした透明な時間を私は悼む。全くの偶然から産み出された時のすきまの空間を、共に持てたことを幸運に思う。いいのだ。終わってしまったからこそ価値があり、先に進んでこそ人生は長く感じられるのだから。

この部分が気に入った人は、是非読んでもらいたいと思う本。既に読んでおられる方には、懐かしい部分かなぁ。失われた家族の発見と、新しい愛する人を発見する物語。主人公は19歳の弥生。

引用したおばの家、おばの生活も素敵。
弥生の弟の哲生、弥生の両親も素敵だ。

ばななさんの本に出てくる男の子は、たいていの場合真っ直ぐで正しい。

私は彼をかなりずさんに扱ってきたが、心の底ではその物事に対する無垢な熱心さを尊敬していた。彼は生まれつき、自分の内面の弱さを人にさらさないだけの強さや明るさを持っていて、何にでも怖れを知らずにまっすぐぶつかってゆくことができた。

ごく普通の食べ物が美味しそうに見えるところも好き。
ばななさんの小説に出てくると、マクドナルドだって、非常に好もしく美味しい食べ物に見える。

最近の作品はほとんど読んでいないけれど、一時期ばななさんの本を集中して読んでいた。だから、余計内容が覚えられないのかもしれないのだけれど、「キッチン」と、この「哀しい予感」だけは内容もきちんと覚えていて、さらに時々読み返したりもする。

吉本 ばなな
哀しい予感

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

コメント

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1 ■トップコメントなのに

恐縮ですが。。。
今ちょうど夫が通りかかったので、

「ぐた夫ちゃん、吉本ばななの哀しい予感読んでたよね?」
「うん」
「どうだった?」
「あのな、吉本ばななちゅうから、吉本興業の芸人かと思ったんやけど違うんや」
((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル
そんなこと知ってます!
恐るべし、帰国子女男!

いや、これはネタではなくマジなんです。(号泣)

2 ■最近・・・

今更ながらばななさんにはまっています^^
哀しい予感は見ていないのですが、最近「キッチン」を読みました。
ばななさんの本って、死とか、喪失がテーマのものが多いんですね。
「キッチン」がそういうテーマで、でも、凄く感動したんです。
結構昔の作品なのに、それを感じない。
これから、ちょこちょこ読んでいこうと思ってます^^

3 ■>ぐたさん

流石、ぐたさんの旦那さま~!笑
そして、旦那さんは帰国子女なんですねえ。大阪弁を操る帰国子女。かっこいいっす!

最近(でもない?汗)、ばななさんは平仮名表記にされたようですが、「吉本ばなな」の方に馴染みがある私です。うーん、もし平仮名表記だったら、どう思われたのでしょうか。笑

4 ■>苗坊さん

私も一番流行っていた時に読んだわけではなくって、どちらかというと小馬鹿にしていて(ベストセラーなんて、と思いがちな頃でしたので)、大学の頃にブームより少し遅れて読んだんですよ。
なんとなーくですが、自分が苗坊さんと近い年齢の頃に読んだからか、苗坊さんが今読んでおられるのも、ちょっと嬉しいです。もし良かったら、「哀しい予感」も手にとって見てくださいね~。

5 ■実は。。。

ここだけの話ですが(秘)、大阪訛りの英語なんです。(爆)

6 ■>ぐたさん

大阪訛りの英語ですと?笑
ちょっとズーズー弁のタレントさん(ダニエルさんでしたっけ?)を思い出しました。なんか、力強そうですねえ。笑

7 ■読んでましたよー。

私も最近の作品は読んでいないのですが、このころの作品はかなり読んでいました。私にしては珍しく、単行本で持っているので、結構リアルタイムで読んでたんでしょうね。
吉本ばなな作品は、現実逃避したいときによく読んでました(笑)うん、私の中では、かなり「現実逃避度」高いです。村上春樹もけっこう高いけど。
一見、淡々と日常を語っているようで、実は完全に非日常の世界ですよね。そしてよく人が死ぬ・・・
「つぐみ」と「キッチン」は映画も見ました。牧瀬理穂と川原亜矢子が主演だったはず。

8 ■そうそう

ばななさんの本に出てくる男の子って
みんなまっすぐで素直でいいですよね。
こんな息子に育てたいわ♪って感じの子がいっぱい。(笑)

9 ■>まんぷくガールさん

読んでましたかー。笑 単行本も装丁が綺麗なんでしょうね。「キッチン」と「哀しい予感」は単行本で持っていても、元が取れたかもしれません。笑
現実逃避に、ばなな作品。分かるような気もします。私が一番読んでたのは、大学2、3年の頃だったかなぁ。「日常」だけど、確かに全然「日常」ではありませんよね。笑 そして、「喪失と再生」がテーマだからか、常に死が身近ですよね~。記事中にも書きましたが、私は異様に(これも、よく使われる言葉でしたよね)美味しそうな、ごく普通の食べ物とか、なんでもないのに美しい緑の記述などが、凄く好きです。
あー、私、映画はスルーしちゃったんですよね。ただ、川原亜矢子さんを見ては、「セレブ」になっちゃったのねえ、と思います。笑 あの、ぱっつんと切った髪で、すっくと立っていたちょっと色黒の「キッチン」の彼女の方が、今のセレブ然とした彼女よりも好きなのです。

10 ■>みわさん

そうなんですよー!
なんかすっごく、「健やかな」男の子ばかりだなぁと、思います。
みわさんの息子さんを、是非「いい男の子」(ばななさんの本って、「いい男」というよりも、「いい男の子」ですよね。笑)に育ててください。
「えり子」さんになれ、とは言いませんが。笑

11 ■懐かしいな

よしもとばななさんの初期の頃の作品、今でも持ってます。
デビューしたときからしばらく、リアルタイムで追っかけてました。
一時期遠のいてたんだけど、私も最近、なぜか気になりだして、読み返したりしてるんですよ。
彼女のサイトの日記も好きで、毎日チェックしています。

12 ■>Kyokoさん

Kyokoさんは、ちゃんとリアルタイムで読まれていたのですね。私がこれを書いた切っ掛けは、みわ(book-love)さんの「キッチン」記事です。笑
みんな、偶然にも気になっていたとしたら、面白いですね。
サイトの日記なんてあるんですねえ。では、探してこなければ。

13 ■気になりだしたきっかけは

亡くなった岡本敏子さんとずっと交流されてたから。よしもとさんのコメントって嘘がなくていいなーと、思ったのがきっかけです。

そうそう。みわさんのブログでも紹介してましたね。
何の連鎖でしょうね?(笑)

14 ■>Kyokoさん

Kyokoさんの切っ掛けはそういうことだったんですね。私は干刈あがたさんとばななさんの対談を読んだ事があります、そういえば。ばななさんって色々な方と交流されているんですね。

みわさんも「なぜか急に読みたくなって」って書かれてましたもんね。笑 どこからか、ばななさんの波がやって来たのか? こういう記事の流れも面白いなー、と思います。

15 ■哀しい予感・・・

懐かしいな 私はもっと古い本
「ムーンライトシャドウ」が大好き
キッチンの後ろについていますが
キッチンより好きだったな(^^♪

16 ■連鎖といえば

そうそう。紫音麻衣さんが書いておられる、「ムーンライトシャドウ」もいいですね。

それと、干刈あがたさん。懐かしい。若くしてお亡くなりになってしまいましたものね。
よしもとさんと言えば、本のデザインを手がけられた銅版画家の山本容子さんも気になる存在です。
と、興味の対象がどんどん広がってきますね。この連鎖どこまで続くんでしょ?(笑)

17 ■>紫音麻衣さん

「ムーンライトシャドウ」も、不思議なお話ですよね。私は「キッチン」の中の、キッチン2である「満月」が好きです。
「ムーンライトシャドウ」の、セーラー服の男の子、好きでした。

18 ■>Kyokoさん

私はどうもカツ丼の描写に惹かれて(笑)、「満月」の方が好きなんですよー。「ムーンライトシャドウ」もいいんですけどね。

干刈あがたさん。ほんとにお若くして、亡くなってしまいましたよね。あの空気感がとても好きでした。おー、山本容子さんも素敵な女性ですよね。エッセイとか、書かれてましたっけ?どこかで文章を読んだ気がするんですが、新聞とかなのかなぁ。
興味の対象は、アメーバブログなだけに、まさにアメーバのように。笑

19 ■山本容子さん

は、何冊か出されていますよ。対談集は文庫で、自伝も確か二冊くらいは。他にも文章も書いた絵本や、料理本なども。どれもセンスよく、彼女の色になっているのはさすがですが。自伝は少しイメージが違ったかな。ちなみに私も吉本ばななさん、ムーンライトシャドウとても好きでした。今の作品も小説はやっぱり同じような香りです。エッセイはちょっと雰囲気違うけど。

20 ■>b-seasonさん

こんばんは!
おー、b-seasonさんはご存知なのですね。料理本も出されているのですか。教えてくださって、ありがとうございます。
b-seasonさんは、すごく広がりのある読書の世界を持っておられるなぁと、貴ブログの記事や、とらさん、ペトロニウスさんのコメント欄で感じています。
ばななさんの、最近の作品も読まれているのですね。

21 ■貴ブログって

照れますね。そんなものじゃあございません。単に活字なら何でも、気が多くて抵抗しないだけで。玉石混合、といわれております。ちらっとかじってもっともらしいこと言ってしまうんですよねえ。きちんと読み込んで、自分の言葉で文章にしているつなさんたちがうらやましいときがあります。まあそれぞれのスタイルなので仕方ないのかな。

22 ■>b-seasonさん

わははは、ずーっとb-season さんと、繰り返すのも何だよなー、と思いまして、ちょっと普段使わない難しげな言葉を使ってみました。笑

いえいえ、b-season さんがきちんと読み込んでらっしゃることは、コメントでも分かりますよー。ここの所、新しいブログを知る切っ掛けは、たいてい良くお伺いするブログのコメント欄だったりするのです。
b-season さんは、どこからここに辿り着いて下さったのでしょうか。ブログは本当に沢山あって、なかなか出会えなかったりもするので、登録してくださって、嬉しかったです。

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