「哀しい予感」/喪失と再生と発見
テーマ:角川文庫吉本ばなな「哀しい予感」
「哀しい予感」の始まりはこう。
その古い一軒家は駅からかなり離れた住宅街にあった。巨大な公園の裏手なのでいつでも荒々しい緑の匂いに包まれ、雨上がりなどは家を取り巻く街中が森林になってしまったような濃い空気がたちこめ、息苦しいほどだった。
ずっとおばがひとり住んでいたその家に、私はほんのしばらく滞在した。それはあとで思えば、最初で最後の貴重な時間となった。思い出すと不思議な感傷にとらわれてしまう。いつの間にかたどりついた幻のように、その日々は外界を失っている。
おばと2人で過ごした透明な時間を私は悼む。全くの偶然から産み出された時のすきまの空間を、共に持てたことを幸運に思う。いいのだ。終わってしまったからこそ価値があり、先に進んでこそ人生は長く感じられるのだから。
この部分が気に入った人は、是非読んでもらいたいと思う本。既に読んでおられる方には、懐かしい部分かなぁ。失われた家族の発見と、新しい愛する人を発見する物語。主人公は19歳の弥生。
引用したおばの家、おばの生活も素敵。
弥生の弟の哲生、弥生の両親も素敵だ。
ばななさんの本に出てくる男の子は、たいていの場合真っ直ぐで正しい。
私は彼をかなりずさんに扱ってきたが、心の底ではその物事に対する無垢な熱心さを尊敬していた。彼は生まれつき、自分の内面の弱さを人にさらさないだけの強さや明るさを持っていて、何にでも怖れを知らずにまっすぐぶつかってゆくことができた。
ごく普通の食べ物が美味しそうに見えるところも好き。
ばななさんの小説に出てくると、マクドナルドだって、非常に好もしく美味しい食べ物に見える。
最近の作品はほとんど読んでいないけれど、一時期ばななさんの本を集中して読んでいた。だから、余計内容が覚えられないのかもしれないのだけれど、「キッチン」と、この「哀しい予感」だけは内容もきちんと覚えていて、さらに時々読み返したりもする。
- 吉本 ばなな
- 哀しい予感
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。











1 ■トップコメントなのに
恐縮ですが。。。
今ちょうど夫が通りかかったので、
「ぐた夫ちゃん、吉本ばななの哀しい予感読んでたよね?」
「うん」
「どうだった?」
「あのな、吉本ばななちゅうから、吉本興業の芸人かと思ったんやけど違うんや」
((((;゚Д゚)))ガクガクガクブルブルブル
そんなこと知ってます!
恐るべし、帰国子女男!
いや、これはネタではなくマジなんです。(号泣)