「経済ってそういうことだったのか会議」/そういうことだったのか!
テーマ:その他の文庫本格的に経済学を修めた人による評価は分かりませんが、全くの門外漢である私には、まさに「そういうことだったのか!」と面白く読めた本。
シンプルな問いに対する答えも、分かりやすくシンプル。佐藤雅彦氏による質問に、竹中平蔵氏が答えるスタイル。
*表紙扉の著者紹介より抜粋した、佐藤雅彦氏の経歴
電通のクリエイティブ局を経て、94年独立。
現在、TOPICS代表。99年より慶応義塾大学教授。
90年クリエーター・オブ・ザ・イヤー賞。
90、91、01年ADCグランプリ受賞。などなど。
(「だんご3兄弟」の企画もこの方なんだって)
そもそも、この本がなぜ出来たかというと、それは佐藤氏と竹中氏の出会いにさかのぼる(佐藤氏によるプロローグ、「こうして会議は始まった」より、以下引用)。
「佐藤さん、エコノミクス(経済学)って、ギリシャ語の“オイコノミコス”から来ているんです。オイコノミコスとはどういう意味かといいますと、共同体のあり方、という意味なんです」
経済学は、利己的な利益の追求を理論づけるだけの学問だと思っていた僕は、その言葉に少なからぬ感動さえ覚えてしまった。我々が、個人としてだけではなく、みんなでどのように生きたらみんなで幸せになることができるのか。それを発端とする学問がオイコノミコス、つまり経済学の始まりだったのだ。
オイコノミコス、共同体のあり方という観点に立って、経済についてもっとあの経済学者と話したい。何とかそれをかたちにして、みんなに経済学の本来の意義を知ってもらいたい。
これらのことは、知っている人にとっては当たり前のことかもしれないけれど、全く知らなかった私にはかなり新鮮でした。「経済学」って一部の学者だけが分かる、もっと小難しげなものだと思ってました。でも経済は、生活に直接関わってくる話なんだよね。
目次
第1章 お金の正体・・・・・・貨幣と信用
第2章 経済のあやしい主役・・・・・・株の話
第3章 払うのか 取られるのか・・・・・・税金の話
第4章 なにがアメリカをそうさせる・・・・・・アメリカ経済
第5章 お金が国境をなくす・・・・・・円・ドル・ユーロ
第6章 強いアジア、弱いアジア・・・・・・アジア経済の裏表
第7章 いまを取るか、未来を取るか・・・・・・投資と消費
第8章 お金儲けはクリエイティブな仕事・・・・・・起業とビジネス
第9章 人間とは「労働力」なのか・・・・・・労働と失業
終章 競争か共存か
会議を終えて
会議 その後
4、5、6章のアメリカ、ユーロ、アジアの話は、歴史的なことから説き起こしてくれるので、とても分かりやすかった。ちなみに、4章での問いは「アメリカをアメリカたらしめているものとは何か?」、5章は「なぜヨーロッパは独自の通貨を捨てたのか」、6章は「なぜアジアの経済危機は起きたのか」。
対談中に佐藤氏が竹中氏の言葉のなかで感銘を受けたものを「竹中語録」とし、これを佐藤氏が直筆で書いておられる。
■「新」も含めて全51ある語録の中で、更になるほどと思ったものを、抜書き
語録10:民主主義というのは税金の問題から始まっている(3章)
語録20:アメリカは国内政治の中にすでに外交の要素が入っている(4章)
語録21:フロンティアがある時は、アメリカは他の国よりも絶対強い(4章)
語録26:自らをリスクのなかに置くことによって初めて自分たちの社会が
変われる(5章)
←通貨主権を放棄してまで、統一の基準がないと、古い社会で
あるヨーロッパは自らを変えることが出来ない
(たとえば、イタリアのシエスタ)
語録28:日本では環境対策や海外援助、国際協力といったものにおカネを
使うのはいいことだ、という無条件の賛美論がある(5章)
語録29:アジアは経済の取引という実利を通して結びついていった地域
(6章)
←ヨーロッパを繋ぐものはあるが(ギリシャ文明からきたということ)、
アジアにはそれがない(敢えて言えば、中国の漢字文明である
が、昔の中国が存続しているため、ヨーロッパのギリシャと違って
言いづらい)。アジアはさらに、宗教も言葉も食べ物も違う。
語録30:多元主義というのは、大きな間違いを防ぐ重要なシステム(6章)
語録36:組織そのものが、ひとつの生き残りの組織力学を持つ(7章)
←狭い国土の中で、必要な道路を全部作ってしまった後の「道路
公団」が、例として挙げられている
語録37:公共投資はリスクを担わない(7章)
語録43:大きな会社じゃない社長でも大企業の部長に比べたら全然世の中
を見ている。それはリスクを負っている人の真剣さですよね(8章)
文庫化にあたって収録された「会議 その後」ですら、2002年6月収録なので、そう新鮮ではないことは確かだけれど、「物事の見方」「世の中で起こっている出来事の見方」の話なので、あまり古さは感じないように思う。
- 佐藤 雅彦, 竹中 平蔵
- 経済ってそういうことだったのか会議
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡下さい。











1 ■経済学
ひとくちに経済学と言っても、なんつか、学者の数だけ種類があるような感じで、そこらへんの感覚は社会学と同じですね(汗)。