2005-09-15 09:01:15
「六番目の小夜子」/怖さに惹かれる、謎に惹かれる
テーマ:新潮社
彼らが通う地方の進学校では、三年ごとに行われるサヨコ・システムが存在する。ある一人の生徒が「サヨコ」として選ばれ、決められた手順どおりに事を行う。これは、そのサヨコ・システムの六代目の話。だから、「六番目の小夜子」。サヨコ・システムはすでに十五年もの間、引き継がれている。色々と面倒な決まりを踏襲するサヨコ・システム。これがこんなにも長い間受け継がれてきたのはなぜなのか?そこには誰の、何の意志が存在するのか?
学校とは回っているコマのようなもの。いつも、同じ位置に真っ直ぐ立って回り続けている。紐を持つのが生徒で、コマが失速して倒れないように、一生懸命叩いて努力する。生徒はどんどん変わり、紐は次の生徒たちに受け継がれる。このコマの回り方が、それぞれの学校の個性と伝統なのだ。
主たる登場人物は、転校生の津村紗世子、花宮雅子、関根秋(しゅう)、唐沢由紀夫。彼らは高校三年生(関根秋の姉は、「図書室の海
」の夏)。受験という「祭り」を控えた高校三年のこの一年に、小夜子というもう一つの「祭り」が重なる。
津村紗世子は顔よし、スタイルよし、頭よし、運動神経よしと、ほぼパーフェクトな転校生。人身掌握の術だって大したもの。地方の進学校に三年生で転校してくる生徒は、とても珍しい存在。出来すぎの『謎の転校生』を迎えて、サヨコ・システムが発動した、この一年間の緊張感は否応なしに高まる。
サヨコ・システムの決まりによって上演される学園祭の芝居において、その緊張感はクライマックスを迎える。諸事情で行われない年があって、芝居が行われるのは、実に9年ぶり。芝居のタイトルは「六番目の小夜子」。暗闇の中で行われるこの芝居、読んでいるこちらにもその緊迫感が伝わってくる。
おおよその謎が解き明かされるラストを読んでも、何だか割り切れないものが残る。直截的に「怖い」小説ではないのだけれど、これは解説の綾辻行人氏も書いておられる通り、「魅力的なホラー小説」だった。
- 恩田 陸
- 六番目の小夜子
この本は、普通とは逆の道を辿っている。新潮文庫ファンタジーノベル・シリーズの一冊として刊行され、その後、文庫版を大幅改稿して単行本が刊行されたそうだ。私は単行本を読んだのだけれど、文庫版とはどう異なっているのだろうか。
トラックバック
この記事のトラックバック Ping-URL :
http://trb.ameba.jp/servlet/TBInterface/10004300317
- 1 ブログタイトル:まんぷくガール日記
- 記事タイトル:ホラーじゃなくてよかった。(六番目の小夜子)
- 記事概要:恩田 陸 六番目の小夜子 「光の帝国」で恩田陸にはまった私が次に読んだのがコレ。 本屋で平積みされてたので、あまり深く考えずに買ってしまったのですが、文庫の裏表紙に書いてあるあらすじを読んで、実はちょっと後悔していた。(以下、文庫本裏表紙より。)
- 2 ブログタイトル:苗坊の読書日記
- 記事タイトル:六番目の小夜子 恩田陸
- 記事概要:六番目の小夜子 オススメ! ある田舎の学校で、不思議なゲームが受け継がれていた。 3年に1度、サヨコと呼ばれる生徒が見えざる手によって選ばれるのだ。 そして今年は「六番目の小夜子」が誕生する年。 サヨコに選ばれた生徒は、始業式にバラを自分のクラスに置く。
- 3 ブログタイトル:"やぎっちょ"のベストブックde幸せ読書!!
- 記事タイトル:六番目の小夜子 恩田陸
- 記事概要:六番目の小夜子 ■やぎっちょ書評 これは、たしか。恩田陸さんの処女作?ですよね?? 驚きました。今まで「古い本」のイメージがあって読まずに来ましたが、もっと最初に読んでおくんだった。 普通に小夜子さんのお話なんだなぁと思っていたら、なんと関根一家のお話で.
1 ■タイトル見て
たぶん、コワイ系なんだろうと判断し、これまた素通りしてたんですが。(笑)
逆にずっと気になって、横目で見てた作品です。最近、このパターンばっかり。