「IWGPⅤ反自殺クラブ」/マコト!
テーマ:文藝春秋石田衣良「池袋ウエストゲートパークⅤ反自殺クラブ」
「Ⅳ電子の星」
と二冊揃って図書館にあったので、勿論こちらも借りてきた。 **********************************************
■スカウトマンズ・ブルース
マコトがこの秋知りあったのは、池袋東口五差路の角で、毎月のようにでたらめに色っぽい隕石に打たれている、凄腕のスカウトマン・タイチ。コラムのネタを探していたマコトは、ストリートで発見したタイチに近付き、男の友達がいないというタイチの友人になる。トラブルはいつだって甘い顔をしてやってくるし、自分から飛び込んでしまうもの。
その夜おれはヘッドフォンで音楽をきいた。四畳半の窓を開け、妙に黄色い月の光を室内にいれてやる。CDはクイーンでもイーグルスでもなく、モーツァルト。『ドン・ジョヴァンニ』は稀代のプレイボーイが、石像の騎士に連れられて地獄に堕ちるまでを描いたオペラの傑作。これがどんなふうにきいても、自分の欲望に忠実な主人公の女たらしだけがまともで、まわりの登場人物はみんな間抜けに見えるのだ。
■伝説の星
輝くためには燃えなきゃならない。そのための燃料は誰だって自分のなかから調達するしかない。マコトがこの冬であったのは、彼が生まれるまえに空を駆けたヒーロー。スターから学んだのは、いくつになっても、無理してカッコをつけなきゃいけないってこと。この正月、いにしえのロックスターから学んだ教訓のひとつは、「自分のだらしないところを、最大の魅力にする」ということ。
「2ドアだろ。どっちかがおりて、ドアを開けなきゃのれないよ」
白い毛皮の女は、まだガムをかみながらおれを見ていた。神宮寺はいった。
「おいおい、おまえ映画観たことないのか、こういうクルマのうしろにはサイドを飛び越えてのるもんだろうが。なんならボンネットでツイストを踊ってからでもいいぞ」
いかれてる。
■死に至る玩具
人形の名は、ニッキー・Z。資本主義の世界では、数百万という子どもや女たちが、ニューモデルの人形を求めて、デパートやおもちゃ屋で列をつくる。だが、センスのいい箱におさめられたかわいい人形が、命がけの労働の成果だなんて誰も想像しない。「労働者には資本主義より厳しい共産主義の国なのです。福利厚生も、健康保険も、残業手当もありません」。正義を求めて、コモモは共産主義の国から、見知らぬ国へとたった一人やって来た。
この春のおれのマイブームといえば、なんといっても俳句だった。中学の夏休みの宿題で無理やりつくらされてから、いい思い出などひとつもなかったのだが、本屋で手にした一冊の近代俳句集でガツンと後頭部をやられてしまったのだ。だいたい俳人の名が、みなGボーイズみたいでカッコいい。三鬼とか、亜浪とか、水巴とかね。男っぽいのでは、不死男、不器男、赤黄男なんて男のなかの男の三連発もいる。
■反自殺クラブ
ある日突然、そいつはこの世界から消えうせて、やつがいた場所に真空の傷を残していく。残された者が無数に投げる言葉は、ただ誰もいない空間にのまれていく。今回はネットに巣をはる真空のスパイダーvs.反自殺クラブの話。「わたしたちが出会ったのは、育英会の会場だった。そこには交通事故や自然災害や病気なんかで親をなくした子がたくさんいた。でも広い会場のなかでヒデとコーサクを見つけたとき、すぐにわたしはわかった」「ああ、この人たちは、わたしと同じだ。親が自殺して遺された子どもだって」
ヴォツェックの心が壊れていく過程を、西洋のクラシック音楽の歴史を最終的に破壊することになる十二音技法で描いた無調のオペラは、素材と技法がどんぴしゃではまってカミソリみたいな傑作になっている。なあ、チャイコフスキーの『弦楽セレナード』から始まったおれの音楽の旅もずいぶん遠くまできただろう。あんたも、いい音楽をたくさんきいてくれ。
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「反自殺クラブ」ではネットの話が主になるのに、ゼロワンが出てこない所に不満。ドラえもんと一緒で、「あの道具(ゼロワンは道具ではないけれど)を使えば、解決するのにー」という感じかな。
すっかり、寅さんと化しているマコト。その回ごとのヒロインはいるのだけれど、ステディな関係の彼女は、なかなかあらわれない。マコトに彼女を!と思うけれど、マコトに似合う、魅力的な人物造型の女の子って、難しいのかも。
- 石田 衣良
- 反自殺クラブ 池袋ウエストゲートパーク 5
*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。











1 ■実は・・・
石田衣良氏の本って読んだことがないのです。新聞記事のコラムは目を通したことありますけど・・・。
図書館で借りたいのですが、いつも無くて残念な思いをしています。つなさんの記事を読んでますます読みたくなってきました♪
文章にリズムがあって軽快ですね。ウキウキと嬉しくなっちゃうくらいの軽さがあるのに、言葉や思考が骨っぽいというかロックっぽいというか。なんとも面白い魅力ありますね。
読みたい~!!