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2005-07-14 08:46:41

「麦の海に沈む果実」/不安感

テーマ:講談社

恩田陸「麦の海に沈む果実」

全編を覆うのは不安感。主人公は美しい14歳の少女、水野理瀬。本文によると、これは「私がなぜトランクを失い、どうやってそれを取り戻したか」という物語。

わたしが少女であったころ、
わたしたちは灰色の海に浮かぶ果実だった。
わたしが少年であったころ、
わたしたちは幕間のような暗い波間に声もなく漂っていた。

理瀬は風変わりな全寮制の学園に転入する。その学園は、湿原に続く巨大な池に浮かぶ、青い丘の上に建つ(陸の孤島―湿原の中の要塞)。ここでは、各個人のファミリーネームは奪われ、ファーストネームのみの存在となり、生徒同士はファミリーという単位を作る。「三月の国」である学園に、二月の終わりに転入した理瀬「ここに三月以外に入ってくる者があれば、そいつがこの学校を破滅に導くだろう」。伝説が彼女を悩ませる。

美貌の校長(その日の気分で男になったり、女になったりする)、三種類に分けられる生徒たち(過保護な親に送り込まれた「ゆりかご」組、技能を磨くためにやってきた「養成所」組、存在を望まれずに入れられた「墓場」組)。閉ざされた学園内で起こる、失踪事件、殺人事件。これらが不安感を煽り、居心地の悪さを醸し出す。

ラストはあまり好みではなかったのだけれど、独特の世界が構築されていて、興味深かった。「夜のピクニック 」と「ネバーランド」も読んだのだけれど、同じ学園物でありながら、全く違うテイスト。でも、恩田さんの本領はこちらなのでしょうか。Amazonのレビューによると、「三月は深き紅の淵を」「図書室の海」「黒と茶の幻想」「殺人鬼の放課後」「黄昏の百合の骨」と、世界が繋がっているとのこと。ぼちぼち、読んでみようかなぁ。でもちょっと人が死にすぎなのですよ。口直しに、明るい本を用意しておいた方が、よいかもしれません。


「美」についての本を併読していたので、ヨハンと聖の「美少女考」
印象深かった。
ヨハン:
「ただ存在しているだけなのに、その存在が友人を傷つけてしまったり、世渡りの武器になったり、妄想や先入観を植え付けて攻撃されるきっかけになったりするんだから、だんだん用心深くなるよね。そこに辿り着くまでに、いいことばかりではなく相当嫌な思いをしなきゃならない。ただ驕慢に自分の美しさを鼻にかけている女の子ってそういうバランス感覚がない。そういう子って全然きれいだと思わないんだ。その一方で、僕は無垢な美少女っていうのも信じない。ごくまれに自分の美しさに気付いてない子もいるけど、それだってほとんどは演技だ。どこかで分かってるはずさ。自分の美しさに気付かないというのも、ただの無知で、怠慢だよ。自分の美しさに傷つくデリカシーのない女の子って、僕にとってはきれいな女の子じゃない」
聖:
「時々すごく男性的な部分を感じるんだ。彼女が居心地悪そうにしているのは、『きれい』ってところじゃなくて『きれいな女の子』ってところなんだと思うんだけど」


 ←私が読んだのはこちら
恩田 陸
麦の海に沈む果実
 ←既に文庫化されているようです

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、御連絡下さい。

その後に読んだ、「三月シリーズ」本のリンク。

・「三月は深き紅の淵を 」、「図書室の海 」、「黒と茶の幻想 」、「黄昏の百合の骨

残るは「殺人鬼の放課後」! ヨハンのその後も気になる~。

コメント

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1 ■ここだけの話。

じつは一回だけ短編を漫画にした事があったりして。随分前なんですが。(ああ、告白)

2 ■>ぐるぐるさん

すごーい!そういえば、原稿は見付かりましたか?文庫化されたら、是非買いたいので、こっそり(バーンとでもいいのですが。笑)教えてくださいね~。待ってまーす。

3 ■原稿。

捜索中です。
というか、中断中。
とりあえず、フィルムが存在していたので、発行は出来ますが、より良い画質の為には捜索をします…シクシク。
烏帽子被ってる漫画です。

4 ■>ぐるぐるさん

原稿の管理ってとってもアナログなんですね。そんなの、たいへんー!
烏帽子ですか。
陰陽師ものか、平安朝(ジャパネスクとか、ざ・ちぇんじ!とか)しか、思い付きません。そういう系統なのでしょうか。そういえば、コバルトの表紙もって以前お聞きしましたよね♪
元漫画少女さんの鍵のように、出てくるといいですね!

5 ■TBありがとうございます。

私も、ヨハンの言葉にぐっときました。でも、男の子(中学生なので)はここまで気付かないんじゃないかな~。特に「無垢な美少女」なんて信じないだなんて女の暗黙の了解を言い当てられちゃった感じ。そうだ、そうだともろ手を挙げて賛成しちゃいます。少なくとも私は今まで無垢な美少女なんて会ったこと無いですもの。
しかし!そういう幻想を信じている男どものなんと多いことか!まぁ彼らも「信じたい」という願望からなのかもしれませんけどね。って本筋とは全く別の感想ですみませんっ。
私もTBさせてくださいな。

6 ■>喋喋雲さん

トラバ返し、どうもです~。
いえいえ、私も本筋とは関係ないのに、思わずぐっときて、抜書きしちゃいましたから。笑 ねえ、でもヨハンみたいな男の子は、食えなくて面白いかも。自身も「天使みたいな笑顔」で、人を騙くらかしているわけですし。

7 ■読みました!

「麦の海に沈む果実」いいですよね。
ホント不思議な一つの世界が出来ている感じです。
恩田さんのいろいろな本にこの学園のことが書かれていますよね。
そして、確かに人がたくさん死にますよね^^;
そしてそれを生徒があまり恐れていない。
それはやっぱり退屈な毎日だから飢えているんですかね。
そう考えると恐ろしいです。

8 ■>恩田さん

>苗坊さん
これから、「いろいろな本」を辿ろうと思ってます。楽しみが残ってるようで、嬉しいのです。でも、私の読書は図書館中心なので、読み進めるのは遅くなりそうです。恩田さんの本、あまり置いてないのですよねー。前の図書館は、恩田さんの本がいっぱいあったのにー。

9 ■私も、

TBさせていただきます~♪

10 ■>苗坊さん

トラバ返し、ありがとうございまーす! 私は年齢のせいか、高校生物よりも、もう少し大人世代のものが好きなようです。

11 ■恩田

恩田といえば、僕にはすみれさんなのだが(笑)

つなさんのブログととらさんのブログには、凄く本を読みたいと思わせる魔力があるようで、僕も、高村薫(購入は既にした!)とこの恩田陸が気になっている。気になっているが、まだ入れない・・・・インプットされているんで、何かのきっかけで、ガーと読むか、すると思う。この本も気になる。。。

この美少女考もいいねぇ。自分の美しさに傷つかないやつは、美しくない(笑)か、難しいこというね。

12 ■>ペトロニウスさん

すみれさん、可愛いですよね。ペトロニウスさんの好みっぽいなー。笑 「青島くん!」

>凄く本を読みたいと思わせる魔力
おー、ちょー嬉しいです。しかも、とら兄貴と並べてもらっちゃった!嬉 そうそう、「マークスの山」購入された、ってどこかで読んだ気がする。高村薫は、ぎちぎちに書き込んだ少女漫画で、ミステリーとかサスペンスではなく、ロマン小説なので、そこの所をおさえて読めば、大丈夫かなぁと思います。波長がそうなった時に、読んでみてね~。

恩田さんは、日常を描いてるんだけど、何だか不思議な味わいなんです。この人は感情面が面白いと思う。すごく人間を観察してるんだろうなぁ、と。

そうそう、本物の美少女は自分の美しさに傷ついているらしいですよ。十人並みでよかった!笑 でも、ほんとに美しい女の子というものは、驕慢だと思うんで、これはそうだな~、と思う。そこも含めて「美しさ」なんじゃないでしょうか。

13 ■コメント

>そうそう、本物の美少女は自分の美しさに傷ついているらしいですよ

そうそう。かといって、驕慢なのもまた本当。優越感と孤独感などが混ざり合って、「美少女」というものができる・・・となんかの主節で読んだような気がする。三島だぅたかな?。

恩田さんは読んでみたいなー。

ちなみに、最新コメント欄を過ぎると、どこにじぶんおかいたかわかんなくなっちゃうよー。。。

14 ■>ペトロニウスさん

美少女を形作るのは、優越感と孤独感か。確かに。

で、最新コメント欄。うんうん、そうですよねー、ごめんごめん。
一応、メモ取っておきました。残りはここっす。

http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10002111083.html
http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10000468226.html
http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10001726664.html
http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10002905515.html
http://ameblo.jp/tsuna11/entry-10001693122.html

古い記事にコメントくださって、嬉しかったです、ありがとー!

最後の宮本輝のコメントおかしなことになってますが、「テニスの才能に恵安斎が」は「テニスの才能に恵まれた安斎が」です。いじってる間に、おかしくなっちゃったみたい。

15 ■おくればせながら

先ほど読み終わりました。
そういえば、つなさんも記事書いてらしたなーと思い出して見にきました。
ヨハンの美少女考、鋭すぎます。こんなにズバリと女の子の本質見抜いた考察、みたことないですもん。
ヨハンもなかなかのもんだったけど、私は理瀬がいちばんおそろしいです。
それにしても、恩田ワールドはどこまで繋がっているのか。まだまだ読まなくては!
今更ですが、TBさせてくださいね。

16 ■>まんぷくガールさん

お、まんぷくガールさんも、ヨハンの美少女考、引っかかりました?笑 これ、凄いですよねえ。真実を突いている。
そして、理瀬はねえ。余裕のない理瀬も、不安定な美しさがあったけれど、余裕綽々の理瀬は、また違った怖さがありますよね。
探し出してのトラバ、ありがとうございます。こちらからもお返しさせてくださいね。そして、トラバはいつでも歓迎です。ありがとー!

17 ■霧の向うのどこか

黒と茶~の世界も、非日常ではあり、登場人物たちの過去も独特ではあったけれど、とても共感できたり身近なあなたや私と言う風に感じられました。
それに対して、麦の海~の登場人物たちはなんだかとっても遠い存在に思えてしまって。
現実の高校生や、自分が高校生だった頃とは、考えていることも話の内容も相当開きがありますよね。 つなさんが引用されている美少女考察についても、ほっほう~と唸らされるんだけど、こんなこと言える高校生いるのか?みたいな(笑)。

三月~は、もう手元にあるので楽しみです。
今読みかけている本たちを終わり次第、そちらの世界に入る予定です!

18 ■>有閑マダムさん

ええ、これは共感とか理解というよりは、雰囲気を楽しむ物語だと思います。後は、私にとっては、「三月~」を読むための物語であったかと。笑
恩田さんの本って、「理解しよう」と思って読むと辛いときが、時々あるのですよね。私の中では、雰囲気と予感の作家さんかなぁ。

ふふ、こんな高校生いたらイヤかしら?笑
<ヨハンの美少女考
ま、でも、どこかにいるといいなー、と私は思います。

トラバ返し、ありがとうございました♪
「三月」の記事も楽しみにしています。

19 ■無題

結末を読むまでは大好きだったんですよ、結末を読むまでは…(笑

20 ■>おんもらきさん

トラバ返し、どもです。
結末、ねえ。笑 分かります。笑
このテンションのまま、最後までいってくれないものか、と思うのだけど、なかなかそういう作品に出会えないですよね、恩田さん。や、好きなんですけど。

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