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2005-06-02 07:31:44

演じる/「野ブタ。をプロディース」&「前略・ミルクハウス」

テーマ:河出書房新社
白岩 玄「野ブタ。をプロデュース」

人にはその生活において様々な役割がある。だからその所属グループ(家族、友人、会社などなど)によって、少しずつ異なる貌を見せている。「本当の自分」というのはよく分からない言葉だけれど、きっと多少の演じ分けは皆がしていること。

これは超自覚的な演技で、クラスの人気者として君臨する、高校生・桐谷修二くんの物語。彼のクラスに小谷信太(信太、だから野ブタ)くんが、転校生としてやってくる。容姿に恵まれず、オドオドと挙動不審な「野ブタ」くん。クラスの仲間にも勿論入れてもらえないし(「キモい」、から。嗚呼、高校生って!)、早速いじめのターゲットになってしまう。偶々、いじめの場面に出会ってしまった修二。「野ブタ」に弟子入りを志願される。

修二は「野ブタ」をプロデュースして、人気者に仕立てあげることを決意する。「野ブタ」は見事人気者になるが、プロデューサーに徹していた修二の演技力は鈍る。さて、最後はどうなるのか?

これ、こんなにも若い作者が書いたのか、とびっくり。非常に上手い小説だった。今後の作品はどうなるのか? 次作にも期待。


「演じる」で思い出したのが、小説ではなく漫画だけれどこちら。

川原由美子「前略・ミルクハウス」

これは下宿屋「ミルクハウス」を舞台にした物語。ひょんな事から一緒に住むことになった男女数名。細かい所はもう覚えていないのだけど、日々演技をして生きていた「涼音」の事が強く印象に残っている。

涼音は過去色々屈折する思いがあって、本当は真面目なのにわざとちゃらんぽらんに見せて、誤魔化して、生きている(大体、男性なのになぜか女装しているし。しかも超のつく美少女っぷり)。途中までは普通にドタバタコメディなのだけれど、印象に残っているのは後半の展開。

平穏に暮らしていたミルクハウスに、ある日突然「涼音の元カノ」が転がり込む。涼音の元カノは、涼音の屈折した思いや日々を知っていて、「だから、私はあなたが分かる。あなたは私と付き合うべきだ」と復縁を迫る。涼音の元カノも、彼と同じような痛みを抱えて、彼女は「私はそんなに強くない」から、自分を分かってくれる、知っていてくれる人が欲しいのだ。でも、涼音は「演技しているのを解られるのは辛い」。それでどうせ演じるなら「何も知らない観客の前がいいよね」。

彼が好きなのは、多分自分の事を何も分かっていない、ちょっと鈍い天然ボケの主人公・芹香。芹香だって悩まないわけじゃない。「自分の知らない涼音さん」の存在に悩むし、それを私にも教えて欲しいと迫る。大体、涼音の告白の仕方がずるいんだよね。毎度ただ、「好き、好き」「芹香ちゃん、可愛い~。愛してるわっ(抱きっ)」と言うだけなの。ある意味、一番賢い口説き方なのかもしれないけど。

涼音は芹香の自分を見る目が変わることを恐れ、過去を知られることを恐れる。結局、芹香は過去の涼音を知ってしまうのだけど、それでも丸ごとの彼を受け入れる。「ほんとうの自分」なんてものはないと思うけど、「このように見られたい自分」と「あまり知られたくない自分」というものがあることは、分かる。大人になるにつれ、この間の差は縮まっていったけれど。

きっと涼音と元カノでは、傷の舐め合いのようなことになってしまったのだよね。芹香と生きることで、涼音は新しく生きることが出来る。芹香の魅力が当時はよく分からなかったのだけど、このある種の「鈍さ」と包容力が彼女のいい所だったのだと、今は思う。


冒頭に戻って、高校生・修二の今後はどうなるのかなあ、と思う。

著者: 白岩 玄
タイトル: 野ブタ。をプロデュース
著者: 川原由美子
タイトル: 愛蔵版 前略:ミルクハウス [少年向け:コミックセット]

*「前略・ミルクハウス」が手元にないままに、書いてしまいました。細かい部分など、間違っているかもしれません。そして、説明が分かり難くて申し訳ありません。うーん、ぐだぐだ。 うはー、そして画像も出ないですね。そんでもって、これって少年向け漫画だったのか??

コメント

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1 ■こんにちは

TBいただいて、有難うございます。
「ミルクハウス」は読んだことがなかったのですが、興味深く拝見しました。結論部分に、深くうなづきました(読んでないのに、ナンですけど)
「野ブタ。を」は、うまいですよねぇ。新人が書いたものと思えない。コメントに書いてくださったように、私も、どういう次作になるのか、興味津々です。
 こちらからもTBさせてください。

2 ■>ahahaさん

消化不良気味の長文を読んで下さって、ありがとうございます。
今日は、ahahaさんオススメの、姫野カオルコさんを読んでいました。いやあ、よかったです。何となく、まだ現実に戻ってこれない。
また、遅れて付いていくかと思いますので、これからも本の紹介、よろしくお願いしまーす。
*TB返し、ありがとうございました。

3 ■有望新人!

つなさん☆コメント&TBありがとうございます。

昨年話題になった新人女性陣に?だったわたしにとって、白岩さんの作品はとっても興味が持てました。
人の目を気にして生きている高校生かぁ、これぞ今時の若者像なんだよなって思えるんです。

4 ■>Rokoさん

トラバ返し、ありがとうございまーす。
私も去年の女性陣には?でした。特に「蛇」。白岩さん、今後が楽しみですよね。次はどんなのでくるのか、ワクワク。
青春って、着ぐるみ被ってるものなのでしょうか。うーむ。

5 ■前略ミルクハウス

僕は、ミルクハウスに反応しました。この作品大好きで、何度も読み返しました。涼音って、人格が複雑で知的だったけど、結局『それ』が故に袋小路に入り込んでいて、ブログにある「日常の演技」が演技だかなんだか分からなくなり、、、つまりそれは現実を現実として受け入れられなくなぅているんですよね。普通は、そういう演技は続きません。けど、涼音は頭も才能も財力も美貌もあり、そういう「ごまかし」が続いてしまっていました。ここって微妙な文学的難問だと思うのです。いろんな解決の仕方があるから。・・・ちょっと長くなってスミマセン。。。

6 ■>petroniusさん

ああ、ミルクハウスに反応して下さる方がいらして、とってもとっても嬉しいです!いい作品でしたよね。全然長くないでよー。petroniusさんの考察、大好きなので、お話を聞くことが出来て本当に嬉しいです。ミルクハウスって、前半に比べ後半は本当に深い漫画でしたよね。

7 ■なんだか、読み返したくなってきました

ミルクハウスは、中学ぐらい?に読んだのですが、いま思い出すと、涼音の感覚って、大人になった視点で見ると、凄く感慨深い。今でも通じる大人の「悲しさ」も感じますし、同時に、今の視点で見ると彼は子どもだったんだなー、子どものまま大人になれなかったんだ、と凄くあわれさも感じます。何度も読み返したいい作品でした。

8 ■>petroniusさん・ミルクハウス

私も今これが手元にないのが、残念です。同じく中学生だか高校生の頃に、読み込んだと思うのですが、何だか「涼音」にはずっと引っ掛かっていたのですよね。後、実は教授の恋(水城さんでしたっけ?)や、結衣ちゃんの恋も印象的でした。
私も読み返したくなってきました。笑

9 ■ミルクハウス!

私も激しく反応してしまいました!
実はミルクハウスって、私が初めてはまった漫画なんですよね。なつかし~。当時、子供に「涼音」って名前つけようと思ってたくらいです。
昔は後半のシリアスな感じより、前半のドタバタコメディーの方が好きだったけど、今はきっと、違う感想をもつんだろうな~と思います。実は大人向けの漫画だったのかしら。
また読み返してみることにしました。

10 ■>まんぷくガールさん

どうも、いらっしゃいませー。バオバブをまだ載っけてなくて、申し訳ない。発芽はまだのようです・・・。悲
「ミルクハウス」面白かったですよね。前半の良さと後半の良さはまた異なっていて、何となく印象に残るったのが、私は後半の方だったのです。
読み返す、ということは、お持ちなのでしょうか?羨ましい~。

11 ■無題

TBいただいて恐縮です。
ミルクハウス、前半のどたばたコメディの印象しかないんです(TT)
子供の頃読んだ本って、大人になって考えてみると奥深く、あんなこと読んでよかったかしら、と思うことってないですか?
またミルクハウスをきちんと読みたくなりました。

12 ■>freeplanetさん

いらっしゃいませ。こちらこそ、古い記事で恐縮です。
ミルクハウス、前半が印象的でしたか。あの前半も、結構好きだったのですが、なぜか印象に残っていたのは、私の場合、後半部だったのです。
そうそう、子供の頃読んだ本、改めて再読することも多いです。いい本はあの頃、その感覚を言語化することがかなわなかったとしても、やはりいい本だったのだなぁと思います♪

空の写真も、お褒めに預かり、嬉しかったです!

13 ■;;;;;

ばかみたい

14 ■>☆野ブタ。・レス

これは「書評」で「本の感想」の記事です。現在放映されているドラマの話とは無関係ですので、あしからず。

15 ■無題

嵐がいい

16 ■>北河愛美さん

こんにちは。嵐がお好きなんですね。

17 ■無題

TVの野ブタマヂおもろい!!!

18 ■>サキ仔さん

こんにちは。
楽しまれているようで、良かったですね。

19 ■こんにちは^^

TBさせていただきました。
ようやく読みました。
ドラマは私は見てなかったのですが、どうやら内容は全然違いそうですよね^^
ストーリーはとても面白かったのですが、どうも口調が好きになれず^^;
ラストはあれが1番自然だと思いましたが、後味が悪く感じましたね。
修二の今後が気になります。
ドラマ、DVDが出たら、見ようかな~とも思うのですが、あまり先入観なく見れそうですよね^^

20 ■>苗坊さん

読まれましたかー♪
私もドラマ見てなかったので、その辺は良く分からないんですけど・・・。
ああ、口調に入り込めるかどうか、という所もあるのかなぁ。私は巧い小説だと思いました。
ほんと、でも、修二の今後はどうなっちゃうんでしょうねえ。外が全て敵というのは、あまりにも辛い状況ですよね。
トラバありがとうございました。

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