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2005-03-24 10:39:49

喪う/「博士の愛した数式」

テーマ:新潮社
過去形で書かれた物語には、何だか切ない匂いがする。

この物語は、80分の記憶しか持つことの出来ない博士、家政婦の私、その息子ルートの交流を描いたものだ。
博士は不慮の事故により、それまで持っていたものの殆どを喪ってしまった。
残されたのは、事故に遭う以前までの記憶、研究していた数学の知識、子供に対する限りない慈しみの情、そして80分の記憶しか保つことの出来ない脳。

博士から語られる数の話は、静謐で美しい。
そっと博士に寄り添う家政婦の私の姿、博士に全幅の信頼を寄せる息子ルートの心も、優しく、ただ切ない。本当に美しい魂の物語。
博士が喪ったものは数多いけれど、残されたものは削ぎ落とされた美徳だったのだろうなあ、と思う。どちらが幸せだったのか。
普通に考えれば事故に遭う前だと思うのだけれど、この物語を読むとどちらなのか分からなくなってくる。勿論、80分の記憶による苦悩も書いてあるのだけれど。


ahaha さんの所で、「
人前で読んではいけない本 ・感涙編」に分類されていたというのに、ついうっかり外で読み、目をシバシバさせながら、ラストを読む進める羽目に陥りました。外出中は大抵本を持ち歩いているので、そういう状況が実はとても多い…。
(このエントリーで同じく「感涙編」に分類されていた、島本理生「ナラタージュ」も新聞の書評で高評価。読んでみたい。)


数学の美しさ。感じてはいたのだけれど、私が出来たのはガチャガチャ計算していけば、いつかは必ず解ける「微分・積分」だった。
あれは所謂数学ではないように思う。
「美しい証明」や「美しい解法」。何となく判別がつくだけに、出来ない自分が悲しかった。これはもうきっとセンスで、そして残念ながら私にそれはなかった。
物理なんかをやっていると、ああ数学は物理の法則を理解するために発展したのかしら、等と思ったのだけれど、純粋な数の世界はもっと美しいものなのだろうか(この辺り、頭が文系なのに理系に進んでしまった人間の戯言なので適当です。物理と数学はどっちが先なんだ?でも物理は明らかに実学だけど、数学はそうではない気が)。

作中に出てくる江夏投手のエピソード。山際淳司「江夏の21球」を思い出した。こちらもまた良い本でした。




著者: 小川 洋子
タイトル:
博士の愛した数式

コメント

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1 ■ルート

こんにちわ、引越しはかどってますか?
僕も「博士の愛した数式」は読みました

なんか自分が異端者だなぁ・・・って
思ってる時に読んだ本だから

ルートは全ての数字を受けいれる記号
だって博士が説明するトコが大好きです

はみ出さない
世界が全て数字で説明できる数学って
世界は魅力的だけど、

残念ながら僕の頭じゃ理解できない
でも、数学に興味をもてる本ですね^^


2 ■数学・・・。

私、数学まったくダメでした。
ていうか、算数の頃から苦手でしたのでセンス無かったんでしょうね。
でも、良さそうな本ですねぇ。
読んでみようかなぁ。

3 ■ケイさん

お、ケイさんだ♪コメントありがとう。
引越しはむむむです。
いつだってお尻に火が付かないと、やる気になれない…。

いい本でしたよね。
自然と深く付き合う程、人は謙虚になるのかなあ、と思います。
ひっそり息づいている数にも、意味を与える博士の数学。よかった~。
ケイさんの居場所もちゃんとあるよ。

4 ■編纂者さん

いい本でしたよ、是非是非。
多分「算数と数学」は、「道具と方法」に当たると思うので、「算数」苦手でも「数学」は大丈夫ということもあると思います。「方法」の方がかっこいいけど、私は「道具」に終始いたしました。残念。

5 ■う~む・・・

私って、算数は好きだったんですけど
数学は苦手だったんですよねぇ。
でも、確かに公式がきれいというのは
わかる気がします。

6 ■みわさん

数学の先生が「エレガント」とか言って、うっとりしていたのを思い出しました。笑 エレガントって。
数学科の子のレポートを見せてもらって、私には出来ん、と思いました。悲

7 ■tsuna11さん

博士の愛した数式、
トラックバックさせていただきます。
よろしくお願いします。

8 ■tonton1234さん

トラバありがとうございました。
著者・小川洋子さんについて、よく分かりました。他の作品も読んでみたいと思います。

9 ■博士だからこそ

tsuna11さん☆TBありがとうございます。
この博士のような純粋な人だからこそ、障害に負けずに生きて行けたのでしょうね。
いい本でした。心を揺さぶられるって、こういうことを言うんだろうなぁって思います。

10 ■>Rocoさん

TB遅れて誠に申し訳ありませんでした。Rocoさんの所はすごい読書量ですね。探検のしがいがありそうです。あちらにも時々遊びに行かせて頂きたいと思います♪アメブロのも美味しそう~。

11 ■こんにちは

過去記事に、今ごろになってすみません。存じ上げているどこか誰かのところで(それもお一人じゃなく)記事を拝読したことがある・・・と思ったのに、今になってしまってあいすみません。TBさせてください。

12 ■>ahahaさん

いえいえ、こちらこそトラバありがとうございます。後程こちらからも飛ばしますね。実はahahaさんの所で記事を拝見して、あ!と思ったのですが、こちらから飛ばしてよいものかどうか、迷っていたのです。わざわざ探して下さって、ありがとうございます!過去記事へのトラバも歓迎であります。またよろしくです。

13 ■トラバしました。

わかっているけど、泣ける小説ですね。
おとぎ話のようなお話は、いかにも小説って気がしました。

14 ■>maybedaneさん

トラバ返し、ありがとうございました~。確かに「おとぎ話」かもしれませんね。小川洋子さん、「沈黙博物館」も良かったです。独特の静謐な雰囲気がありますよね。

15 ■返TB&コメント、ありがとうございました!

こんにちはー(^^♪
映画がとても良かったので、是非原作も読もうと思ってはいますが、購入済みで読まれるのを待っている本達が『横入りさせないでよぉ~』とすがるような目をしているので、まだまだ先のことになりそうです(笑)

16 ■>honuさん

こんにちはー、いらっしゃいませ&コメントありがとうございます♪
積読の山が既にあるのですね。笑 でも、原作もとてもいいので、それらを粛々と消化した後にでも、是非読んでみて下さいね。読みたい本って、沢山あって、困っちゃいますよね~。

17 ■ようやく読みました。

素敵でした。
ほのぼのしてて、あったかくって、私も博士に会いたくなりました^^
80分しか記憶が持たないって、どういう思いになるんでしょうね。
朝起きるたびに現実と向き合わなきゃいけないなんて、辛いですよね。
ラストも良かったです。
TBさせてください。

18 ■>苗坊さん

読まれたのですね!
おっと、トラバが来てない模様です。これは、禁止IPの関係かなぁ。外しますので、お手数ですが、もう一度お願い出来ますでしょうか。こちらからも、トラバしますね。
じんわり、いい物語でしたよね~。博士が喪った物は、本当に沢山あるのだと思うけれど、残ったものは美しいものばかりだと思いました。辛いんでしょうけれど・・・。

19 ■トラバしました^^

言ってくださってありがとうございます。
届いていますよね?
こちらこそ、コメント&トラバありがとうございました^^

20 ■>苗坊さん

ありがとうございました~。
無事、届きました♪
お手数、おかけしちゃってすみません。それもこれも、エロトラバのやつが!(でもって、またついてるし!んもー。)

21 ■過去形

そっかー、だから切ない雰囲気が全体を覆っていたのかもしれませんね。つなさんの記事、うんうんうなずきながら読ませていただきました。

>残されたものは削ぎ落とされた美徳だったのだろうなあ、と思う。どちらが幸せだったのか。

人にとって何が幸せなのかって、難しいですよね。事故に遭わなければ出会えた別の幸せもあったかもしれないけど、3人で過ごした時間もきっとかけがえのない幸せな時間だったにちがいないと思います。

あ、ちなみに私は数学のセンスも物理のセンスも0です(泣

こちらからもトラバさせてくださいね。

22 ■>まんぷくガールさん

共感いただき、ありがとうございます♪ 幸せとは何なのか、考えてしまいますよね~。喪うからこそ、得られる物もあるのかなぁ、と。・・・削ぎ落とされたときに、ピュアなものが残るかどうか、自分の場合で考えると、ちょっと疑問も感じてしまうのですが。笑

数学と物理のセンスは独特ですよね。あれは学ぶもんではなくって、天性のものだなぁ、と思います(負け惜しみ?笑)。
トラバ返し、ありがとうございました♪

23 ■コメントありがとうございます

博士から発せられる言葉。数式と阪神とルートに対する想いがとても暖かく感じられました。でもヤクルトファンの僕は・・・複雑

24 ■>zattchiさん

いらっしゃいませ&コメントありがとうございます。
博士の人柄がとても良かったですよね。そ、そうか。ヤクルトファンの方からすると、あの阪神への拘りは・・・。笑 私はつられて、阪神にも好感を持ってしまいました。笑

25 ■また戻っちゃいましたね。

TBが通じません…。

僕も文系脳なのに数学方面へ進んでしまった人間なので、
博士ほど数学の美しさを感じることは出来ないです。
それでもやはり、この本に出てくるような美しい法則をもった数字や公式にであったりすると、
この世界に存在するまだ見ぬ法則への感動というか、驚嘆みたいなことを感じます。

しかしTBの数が半端ないですね(笑

26 ■>おんもらきさん

おっと、トラバかけるときに、リンクするのを忘れちゃいましたわ。汗 すみません。
しかし、完璧にまた不通になってしまったようですね、どゆこと???

そっか、おんもらきさんも「物語」をいっぱい読んでらっしゃいますもんね。笑<文系脳
(もちろん、専門書なども読んでらっしゃるのでしょうが)

そう、こうやってその美しさを物語の中に埋め込んで貰わないと、良く分からなかったりもするのだけれど、世界が美しいと感じることができるのって、いいですよね~。
藤原正彦さんの「心は孤独な数学者」もお勧めです!

トラバ。笑
初期の記事ですからね。
このころは、見知らぬ人からのトラバも多かったです…。笑

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