自分の尺度を持つ/「池袋ウエストゲートパーク」
テーマ:文春文庫私も深夜の再放送でまずこのドラマを見て、恐る恐る原作を手に取った。あまり期待せず読み始めたけれど、これが面白かった。
新刊は5巻まで出ているけれど、文庫化されているのは「池袋ウエストゲートパーク」「池袋~Ⅱ 少年計数機」「池袋~Ⅲ 骨音」「池袋~外伝 赤・黒(ルージュ ノワール)」まで。でも、比較的速いペースで文庫化されていると思うので、文庫化されるまでは我慢の子。
ちなみに、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲは文春文庫から、外伝は徳間文庫から出版されている。外伝では羽沢組のヤクザ・サルが活躍。文庫の違いからも、本編と外伝の性格が分かるのかもしれない。
ドラマを見たことのある人なら、このエピソードをつないでこうなったんだ、と考えながら読むのもまた楽しい。原作の方がマコトは物事を面倒くさがらないし人情家、逆にキング・タカシはもっとクール。ドラマのタカシは、かなりエキセントリックで愛らしくもある。キング・窪塚君は、原作とは少し違っているけど、とても魅力的なタカシだった。私は原作の加奈とのエピソードが好きだったから、ドラマ版で名前のみが出てくる設定になっているのは少し残念だった。回を重ねていくごとに成長していくマコト。なかなかにいい男なのだ。自分の事を良く知っていて、自分が出来ることを理解しているのだと思う。
作者の石田衣良は、実は順当な道を辿った人ではない。一年留年して大学を卒業(大学時代ごく軽い対人恐怖症になったりもしている。ちなみに留年は単位の数え間違いのため)。卒業後も就職はせず、20代の前半はフリーター生活を選ぶ(地下鉄の工事、アパレルの倉庫で受注商品の発送、ガードマン、家庭教師のアルバイトや、株でこつこつ稼いだりなど)。その後、コピーライターを経て作家になった。
雑誌「ダ・ヴィンチ」のインタビューでは、「いい仕事をしている人は皆、苦しみに向き合って一度は果てまで行って帰って来た人だ」と語り、「その中で、世界を計る基準をこつこつと自分でつくる。世の中は例外の連続だから、自分でつくった世界観以外は使い物にならない」と続けている。
だから、一見遠回りだと思える道のりも、実はそうではなく結局は近道になるのだ。
石田氏はこういう考えや経歴を持っているので、若く、生き方に迷いもがいている人間を描くのが上手いのだと思う。けれど、大人の物語、特に大人の女性を描くのは苦手なように思う。これに関し、自分の尺度が出来ていないのではないかと感じる。
大人の物語ではないけれど、秋葉原のオタクたちの物語、「アキハバラ@DEEP」も、IWGP程の良さは感じられない。主人公であるオタク達に関する理解が多少浅薄なのだと思う。
石田衣良という人は、彼の中での理解度というか尺度によって、作品の出来が随分ブレるように思う。TVでよくお見掛けするけれど、アウトプットだけではなく、インプットも怠らないで欲しいと切に願うのだ。私が言うのも何だけれど、書くテーマに関して責任をもって、きちんとした世界観を展開して、わたしたち読者に見せて欲しい。
以降読んだ、石田氏の作品についてはこちら。
☆「4TEEN 」
☆「池袋ウエストゲートパークⅣ電子の星 」
☆「池袋ウエストゲートパークⅤ反自殺クラブ 」
*石田衣良氏の経歴及びインタビューは、雑誌「ダ・ヴィンチ」の2003年12月号「石田衣良解体全書」から引用しました。インタビューは多少の意訳を行っています。
著者: 石田 衣良
タイトル: 池袋ウエストゲートパーク











1 ■なんとなくわかります。
tsuna11さんの意見、わかる気がします。私も『IWGP』は3冊読んでいますが、『娼年』を読んだときは「?」と思いを感じましたので。
tsuna11さん如何です?