旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


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北森 鴻
狐罠

これは蓮丈那智シリーズ(過去記事はこちらこちら )の北森さんの別シリーズ。とはいえ、この二つのシリーズは、ところどころクロスリンクするらしく、実は「凶笑面」の中の一編において、本作の主人公、陶子には既に出会っていた。こちらもまた主人公は美貌の大人の女性。蓮丈那智シリーズでは民族学的なフィールドワークがその舞台だったけれど、こちら、冬狐堂シリーズでは舞台は骨董の世界へ。時々、クロスリンクするのもわかるでしょ? 全然、雰囲気は異なるけれど、漫画「雨柳堂シリーズ」を読んでから、どうも骨董の世界にも心惹かれるのだな。

さて、本作の主人公、宇佐見陶子は、「冬狐堂」を名乗る、目下売り出し中の旗師。旗師とは、店舗を持たない骨董業者のこと。そんな彼女の前に、やり手と噂の「橘薫堂」から芳香を放つ餌が投げ付けられた。

「騙され」ても「騙し」た方が上とされ、騙す方をやり手と認識し、騙される方が目がないのだ、と蔑まれるこの世界。陶子は「橘薫堂」の巧みな「目利き殺し」を仕掛けられ、発掘物の硝子碗と称した贋作を掴まされる。目利き殺しとは、品物の欠損をあの手この手でごまかす技術のこと。陶子の目を殺したのは、炒る所から始まって、店主手ずから供されたほうじ茶の香り。嗅覚を捥がれた人間の感覚は鈍る。

プライドを傷つけられた陶子は、保険会社の美術監査部調査員、鄭富健の助けを借りて、橘薫堂のキナ臭い仕事ぶりを知る。橘薫堂の店主、橘は、国立博物館の主任研究員をも手玉にとって、手広くダーティーな仕事を行っていたのだ。

陶子は、イギリス人の芸大教授、プロフェッサーDとの夫婦時代に知己のあった、潮見という老人を紹介して貰い、贋作の世界に手を染める事になる。これは彼女のリベンジマッチ。それは離婚してからの旗師としての生き方を測るもの、これから生きていく道の厳しさを覚悟するためのものでもある。骨董を扱う限り、贋作とは完全に手は切れないもの。

リベンジマッチの相手として、目利き殺しを仕掛けるのに、橘薫堂ほどふさわしい相手があるだろうか。

物語は陶子による「目利き殺し」と、「橘薫堂」の従業員殺しの二つを軸に進行する。橘薫堂の従業員、田倉俊子はなぜ殺されたのか。これには過去の事件が絡んでいるようなのだが、それはなぜ「今」でなければいけなかったのか。

陶子は刑事から従業員殺しの嫌疑を掛けられながらも、贋作の世界に生きる潮見老人の凄味をまざまざと見せ付けられ、目利き殺しに奔走する。「目利き殺し」といっても、単に橘薫堂に贋作を掴ませて、それで終わりにするつもりは陶子にはない。これは橘薫堂に対する懲らしめも含む意味で、まさに戦いなのだ。施された仕掛けも粋に感じた。

登場人物で言えば、刑事の根岸、四阿のコンビもいい感じ。海千山千だけれどコンピューター関連にからっきし弱い根岸と、データ処理命の若手の四阿(ま、ちょっと類型的でもありますが)。 陶子と、友人のカメラマン、硝子との、人呼んで壊れ物コンビ(陶器に硝子)もまたなかなか。

憂いを含むプロフェッサーDも気になるし、凄惨とも言うべき精魂込めた物作りに没頭する潮見老人も気になる。非常に高度な技を持った贋作師、潮見老人は、この手で作るものは既に贋作ではないと嘯く。その手は、その時代にかつてあったであろう喪われたものを、現代に蘇らせているのだという。

蓮丈那智シリーズでは、内藤三國というウロウロ惑う存在が居るので、那智自体はクールにまったく揺らがないけれど、こちら冬狐堂シリーズでは、陶子は揺ら揺らと揺れ動く。悪党になるには純粋すぎる陶子、これからいっぱしの悪党になっていくのか?

本作では贋作事件に関わりがあったという噂が立ち、幾つかの市への出入りも禁止されるが、凶笑面」に出てきた陶子の凄まじさはまだ見られない。本作から、凶笑面」との間に、陶子に何が起こったのか? 気になるのできっと次作も読むのだと思うのだけど、図書館にあるといいなぁ。

← 文庫もあるようです
北森 鴻
狐罠
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「中国怪食紀行」 が凄まじかった小泉教授。いや、こちらの本も凄いです。
ある意味では、「中国怪食紀行」を凌ぐ部分もある。

小泉 武夫
小泉武夫の世にも不思議な食の世界―おれの愛した肉と魚
日本経済新聞社

帯には「わが胃袋に「未消化」という文字はない! 見てびっくり!食べてビックリ!「地獄極楽」激食紀行」とあり、この表紙にあるような様々な食材(上から左回りで、センザンコウ、カニ、鮟鱇、マグロなどなど)を、またしても喰って喰って食い尽くす一冊。「中国怪食紀行」では食と薀蓄を比べると、薀蓄のウェイトが高かったけれど、本書は「食べる」方に若干ウェイトが傾いてる感じ。

あとがきによると、偶然ではあるけれど、本書は「中国怪食紀行」の兄弟的紀行書なんだそうな。写真が豊富に載せられている所も、似た印象を受ける一因かもしれませぬ。

目次
おれの愛した肉と魚
【第1話】牛肉に昇天
【第2話】オキナワは美味しい
【第3話】オキナワは美味美味
【第4話】カニ食い大魔王
【第5話】我が輩はドクター・エビスキー
【第6話】ウイグルで羊を食べ尽くす
【第7話】中国は豚の王国
【第8話】干物は官能的
【第9話】粗は宝だ!!
【第10話】壮絶!マグロの解体
【第11話】スッポンの嘆き
【第12話】塩湖は眩しい
【第13話】鮟鱇に舌ったけ!!
【第14話】忘れえぬ味
【第15話】富津物語
【第16話】至福のフグ
【第17話】ミャンマーに首ったけ
【第18話】右利きのカツオ

第3話あたりまでは、少々豪快ではあるものの、今回は私が見ても美味しそうだなぁ、と思っていたのだけれど、第4話「カニ食い大魔王」辺りからは、メーター振り切ったような小泉教授に、やはりついていけません・・・、と思ったのでした。美味しそうと言うよりは、そのあまりに豪気な食べっぷりに、少々引いてしまう感じ。

カニ食い大魔王で、かつドクター・エビスキーの小泉教授は、三つもの渾名(曰く、カニクイザル、カニフキ(蟹吹き)、ムサボリビッチ・カニスキー)を頂戴するほどの無類の甲殻類好き! その食べっぷりは空恐ろしい。読んでいるだけで、エビカニの味噌にねっとりまみれて、お腹がいっぱいになりそう。

ここに出てくる食材は、どれもこれも新鮮で野性味溢れるもの。しかし、それはそれは豪快な状態で供されておりますので、普通の人間では、食欲をそそられるまでには至らないかも。そして、「おれの愛した肉と魚」であるだけに、愛と「コク味」がたっぷり、豚骨ラーメンのような一冊(そんなわけで、少々濃くくどくもあるよ。笑)。
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今朝はいつもの電車に乗り遅れまして、余裕が出来た分(?)、写真を撮りながらの通勤となりました。いや、電車降りてから、超ダッシュだったんですけど。


これも枝垂桜の一種? 枝垂れて魅力的にゆらゆらと揺れる。


桜の花が重そうにもったりと咲く。左は桜のトンネルめいた道。
朝だというのに、三脚構えたおじさんたちが沢山いらした。
(狙っておられたのは、多分右の桜。いい枝振りなんだ、これが)
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中途半端に暗い空(帰宅時間でしたのだ)に、携帯による撮影と、悪条件ではあるけど、えいやとアップ。桜が咲いていると、用事も用意もないのに、つい上を見ながらふらふらと歩きたくなる。

◆枝垂れております。右は接写。


◆これは上の接写だと思っていたのですが、違うよなー。汗
 ・・・何撮ったんだろう、自分 (下のと一緒?)。


◆こちらはまた別に枝垂れていたもの。
 花弁がふわふわと可憐♪


◆ちょうどライトアップが始まったソメイヨシノ。夜桜もいいよね。
 この画像はまだそんな時間ではないけれど、闇夜に浮かび上がる桜は妖艶。


今週末こそは、是非とも青空の下で写真を撮るのだ!、と誓うワタクシ。
週末、晴れるといいな~。
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有閑マダムさんから、漢字バトンを頂きました
しかし、私がモタモタしている間に、マダムはブログをお留守に。涙
遅くなってしまい、すみませーん。

マダムには以下のような、勿体無いお言葉を頂いたのですが、いやー、私、全然漢字に強くないのです・・・。特にPCで文を書くようになってから、駄目駄目です(マダムも書かれてますけど、手書きの漢字が不恰好で、合ってるのにどうにもおかしく思えたり・・・。汗)。

 「たくさんの本を読んで、いつも丁寧な書評を書かれるつなさん。漢字にも強そうですよね~!つなさんのイメージ漢字は、「智」。生活の中で遭遇する出来事や景色、読んだ本や人との会話などを糸口に、自分の中で思考し、噛み砕いて、それらの思考結果が全部栄養になって吸収されていくような印象です」
(以上、有閑マダムさんより♪)

私の有閑マダムさんの漢字イメージは「」。「有閑マダム」というHNから受ける印象と全く違うマダムさん。ある意味確信犯的なこのHNにも魅せられますし、バックパッカーをされていたという意外な過去、ご自分の経験に裏打ちされたような丁寧な映画評など、魅力、魅惑溢れるマダムさんなのです♪


では本題に。

① 好きな漢字

いきなり、ここで躓いたのですよ。む、難しい。
とか、とか・・・。少々、宗教的?

② 前の人が伝えた漢字に対するイメージは?

:り、ことわり。重要ではあるが、情なくしては少々扱いの難しいもの。
:そう、さわやか。爽やかに吹き抜ける風
:りゅう、ながれる。水のイメージ。ピアノなんかを弾いていても、ドラマチックでメリハリのある曲は苦手で、流れるように弾くものの方が得意(てか、それの方が絶対簡単?笑)でした。良くも悪くも、「流れる」若しくは「流される」は自分のイメージかもしれません・・・。

③ 次の人に伝える漢字三つ

うーん、「言葉」じゃなくって、「漢字」なのかー。

(葉)
(像)
(粋)

(でも、無理矢理「言葉」にしてしまいました。笑)

④ 大切にしたい漢字は?

大切にしたい漢字って、うーん、どういう意味なのでしょう。
いや、みんな大切にしたいと思うんですけど・・・。

⑤ 漢字をどう思う?

便利! ビジュアルも美しく、推察する事も出来る。
最強のグラフィックデザイン。

⑥ 好きな四字熟語を3つ

小心者なので、大胆不敵にも憧れるし、自分にはこれといった志はないけれど、初志貫徹もいいですね。マダムも書かれておりますけれど、才色兼備にも憧れます。笑 お酒を飲んで、羽化登仙の心境に至るのもいいですね。

いや、四字熟語って言われると、隔靴掻痒とかなぜかそんなフレーズしか浮かびません・・・。汗 そういえば、むかーし、中学生の頃、松岡英明氏にはまっておりまして、「以心伝心」なんか好きだったなぁ~(って、お分かりになります? 松BOWの曲なのです)。曲と言えば、エルガーの「威風堂堂」も好きです、ってどんどんズレてるよ・・・。

⑦ 次に回す人と、その人をイメージする漢字

実はとらさんに回そうと思ってたのですが、既に回っていたのですな。笑

とらさんのイメージは、お日さまの「」。 goo辞書より引いた、
 (1)物事の表立ったところ。
 「陰に―に世話をする」
 (2)易学の二元論で、陰に対するもの。天・男・日・昼・動・明・奇数など、積極的・能動的であるとされるもの
なども、とらさんのイメージです。

いつもバトンをお願いしてしまっているのですが、喋喋雲さん 、もしお時間がありましたら、如何でしょうか? 喋喋雲さんの漢字イメージは、とらさんは「」を上げておられますが 、そうだなー、軽やかで清澄なイメージから、私は「」。ちと地味か?、とも思うのですが、同じくgoo辞書から引くとこんな感じ。

 (1)にごりやけがれがない。きれいである。さわやかだ。
 「―・く澄んだ秋の月」「―・い流れ」
 (2)世俗的なよごれにおかされず純粋である。心によごれがない。
 「少女の―・い瞳」「―・い心」
 (3)物欲や肉欲とかかわりがない。
 「―・い交際」
 (4)未練がなくさっぱりしている。いさぎよい。
 「過去のことは―・く水に流して再出発しよう」
 「人手にかからんより、―・き自害してみせ申さん/曾我 10」    
 (5)(連用形の形で副詞的に用いられて)残るところがない。
 「―・う忘れてやみぬる/枕草子 276」

3、5は関係なくって(清い交際って!笑)、1、2、4がイメージです♪
お時間あったらで結構なので、もし気付かれたらよろしくお願いいたしまーす。
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ポーリーヌ・レアージュ, 澁澤 龍彦
O嬢の物語
河出文庫

特異な恋愛小説として有名な本書。これまで何となくスルーしていたのだけれど、手にとってみた。噂に違わぬ凄まじさであり、色々とどひゃーとなる部分が多々。痛い話が苦手な人、女性側の同意があるとはいえ、一見人権を無視しているようでもあるので、その手のものが苦手な人にオススメはしないけれど、読み物としては見知らぬ世界を見せてくれる、興味深い本ではあった。

目次
 序-奴隷状態における幸福 ジャン・ポーラン
Ⅰ ロワッシーの恋人たち
Ⅱ ステファン卿
Ⅲ アンヌ・マリーと鉄環
Ⅳ ふくろう

ごく普通の若い恋人同士であったOとルネ。ある日、Oはルネに連れ出され、ロワッシーの館へと送り込まれる。裸に剥かれたOは、体の各所に化粧を施され、首輪と腕輪により拘束される。館には妖しげな男たちと彼女と同じような女たちが住まい、女たちの体は昼夜を問わず開かれている。この館では女は物でしかなく、沈黙を強要され、縛られ、鞭打たれる。また、通常使われる部分だけではなく、肛門までをも、ルネだけではなく見知らぬ男性にまで犯される。

これらの事、全てはOにとって屈辱的なことなのか? 必ずしもそうではない。Oはそれほどまでにルネが自分を愛し、ルネが自分を完全に支配していることに、共に酔う。

ロワッシーでの時が終る。事情を知る者共通の奴隷であるという印の指輪を携え、街に戻ってきたOは、既に以前の彼女ではない。一部をのぞいて、普通の生活に戻った彼女に、ルネは兄とも慕うステファン卿を紹介する。しかし、これはただの紹介ではない。敬愛するステファン卿と、Oを共有したいというのだ。灰色の髪をしたイギリス人、ステファン卿は、こうしてOの主人となる。ステファン卿は、ルネのようにOを鞭打つ事も出来ない軟弱な主人ではない。Oはルネではなく、ステファン卿を愛するようになる。

ステファン卿もまたOを愛す。愛するが故に、ステファン卿はアンヌ・マリーの協力を得て、Oに彼個人の奴隷であることを示す刻印を施す。それは下腹部から絶えず重たくぶら下がる鉄環と、尻に施された二度と消す事の出来ない刻印。裸にふくろうの仮面をつけ、エジプトの彫像のような姿となったOは、鉄環に付けられた鎖でもって、パーティーへと引かれていく。ここにOの奴隷としての姿は完成を見る。

ちょっと意外だったのが、Oがとても進歩的な女性だったこと。彼女はモードの世界でカメラを操り、学生時代から男性だけでなく、女性とも奔放な関係を持っていた女性であった。そんな彼女だからこそ、この一連の殆ど屈辱的とも思える出来事も、彼女にとっては単なる屈辱ではなく、かえって、ルネやステファン卿と共に、客観的に「O」という一つの芸術品、美術品を作っているようでもある。であるからして、人によっては恐怖や軽蔑の念しか引き出せない彼女の姿も、彼女にとっては非常に誇らしく、晴れがましいものである。異様な場所に付けられた鉄環も、焼印を押された尻も、蚯蚓腫れが走る腹も、彼女にとってはこの上なく美しいもの。

ふくろう」の章では、Oが誘惑するモデルのジャクリーン、Oに恋するジャクリーンのまだ幼い妹、ナタリーが出てきて、彼女達の運命や如何に?、と大変に気になるのだけれど、ラスト、この本ではその部分はぶった切られてしまう。続編を読めば、その辺り、分かるのかなぁ。Oがロワッシーに戻るときに、一緒に行くことを切望していたナタリー、Oが一緒に連れ込もうと目論んでいたジャクリーンは、どうなったのかしらん・・・。

イロイロな意味で、非常に濃ゆい物語。

オンライン書店ビーケーワン:O嬢の物語 ← 表紙もこんな。

露悪的!と思ったんだけど、これ、良く見たら、古い絵画風であり、”フォンテーヌブロー派 「貴婦人たちの入浴」 (部分)”だそうな。「部分」じゃなくって、出来れば全体が良かったっす・・・。汗
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桜、咲く。



今日は天気がいまいちなんだけど、もう大分咲いています。
三段目左は、太い樹から直接花が咲いているのが面白いなぁと思い、四段目左は、見上げたらちょうど頭上に鳥がいたので、撮ってみました。

◆おまけ◆

茶道の釣釜(下しか写してないけど)。
あまり見えないけれど、赤く熾った炭火が綺麗で、暖かさを目で感じることが御馳走なのかな、と思いました。
ゆらゆら揺れる釣釜も面白い。
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柳田さんの本 を読んで、懐かしかったこちらの絵本。

レオ・レオニ, 谷川 俊太郎
フレデリック―ちょっとかわったのねずみのはなし
好学社


もうボロボロになって、カバーもないけど、まだ持っているんだな~。
どれも似たボロボロ具合なれど、レオ・レオニと谷川さんのコンビの絵本は、他にも何冊か持っています。

さて、フレデリック」のお話。

古い石垣の中に住む五匹の小さなノネズミたち。ノネズミたちは食べ物を蓄えるために、昼も夜も忙しく働き暮らす。寒くて白い冬が来る前に、全ての作業を終わらせなくては! ところが、ただひとりフレデリックは、他のノネズミたちと行動を共にはしない。それでもフレデリックは、「こう みえたって、はたらいてるよ。」他のみんながトウモロコシや木の実、小麦、藁を集める間、フレデリックはお日様の光を、色を、言葉を集めていた。

そして冬がきて、雪が降る。石垣の間の隠れ家で、ノネズミたちは最初は暖かく楽しく暮らす。食べ物も沢山あって、みんなで馬鹿な狐や間抜けな猫の話をしあう。しかし、集めた食料も段々と底をつく。そして、四匹のノネズミは、フレデリックの話していたことを思い出す。お日様は?色は?言葉は?

みなに、拍手喝さいされたフレデリックは、照れていう、「そう いう わけさ。」

そろそろ春だというのに、冬の話をするのもなんですが、この冬の場面でのフレデリックの絵がまたいいんだ。ふんわりと暖かくなる。

現実に直ぐに役に立つものではなくとも、間接的に役に立つもの、元気にさせてくれるものは沢山ある。アリとキリギリスの話のようでもあるけれど、この物語ではみんなが幸せに暮らせるところが、子供心にもいいなぁと思ったのだった(キリギリスのように責められたりしないし、フレデリックはみんなの役に立っているしね)。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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川上 弘美
古道具 中野商店

「古道具 中野商店」を舞台にした物語。

「中野商店」は、どこか惚けた味わいのある中野さんが営むお店であり、骨董屋でもアンティークショップでもなく、ただの古道具を扱うお店。そこでアルバイトする主人公ヒトミと、同じくバイトのタケオ、店主の中野さん、中野さんの「女」のサキ子さん、中野さんの姉のマサヨさん・・・。
東京の西の近郊、学生街にある中野商店に集う人々が織り成すストーリー。

目次
角形2号
文鎮
バス
ペーパーナイフ
大きい犬
セルロイド
ミシン
ワンピース

林檎
ジン
パンチングボール

三度目の結婚なのに「女」がいて、それも更に二股になってしまう、飄々としているのに、なぜか女性関係がややこしい「中野さん」。つるりとした顔をした五十代半ば、中野さんのゲイジュツカで独身の姉、マサヨさん。中野姉妹に関わる人々、古道具屋の一風変わったお客たち。ここ中野商店では、時は随分とゆるゆると過ぎ行く。

しかし、短編が連なる中、主人公ヒトミは何となくタケオと付き合いだし、些細なことで喧嘩をし、修復不可能な仲になってやっと、タケオのことが随分と好きだったことに気付く。

そして、永遠に続くかに思われた、この中野商店での時間は、「ジン」に至って終わりを告げる。「パンチングボール」では、みんなが新装開店! 中野商店が「解散」して三年、それぞれに時は流れた。ヒトミとタケオはまた新たに出会い、中野商店は、西洋アンティークショップ「なかの」として新生する。

「愛してる」ってなーんだ。難しいけれど、マサヨさんの言葉には、なかなか含蓄がある。時がとまったような中野商店での日々。小説の中ですらもそのままではいられないけれど、こんなバイト先、いいなぁと思った。こういう雰囲気、好きだなぁ。
やさしげな表紙そのままの雰囲気の物語。

川上さんは、蛇を踏むに挫折したことがあるのだけれど、古道具屋 中野商店」「蛇~」に比べ、随分分かり易く感じた。蛇~」も再度挑戦してみようかな
(っていうか、蛇~」は芥川賞なのね・・・。通俗的な本読みだからか、芥川賞はいつもどうも性に合いません・・・)。

川上 弘美
蛇を踏む
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北森 鴻
触身仏―蓮丈那智フィールドファイル〈2〉  

つい先日、同シリーズの
「凶笑面」 を読んだばかり。その時はちょっと微妙に思い、評価保留にしていたのだけど、これは大分バランスも良くなって、なかなか面白かった。前回、微妙と思ったのが、探偵役の「蓮丈那智」の人物造形。今回はⅡだけあって、お披露目的な説明の部分が大分減ったからか、助教授「蓮丈那智」にあまり違和感を覚えなかった。

Ⅰと同様、今回も短編が連なるスタイル。
一つ一つの区切りがあるので、これも読み易さの一因かも。

目次
秘供養
大黒闇
死満瓊
触身仏
御蔭講

民族学的薀蓄と現実の事件がリンクするスタイルをとっているので、民族学的部分と謎解きの部分のバランスが難しい。「秘供養」などは民族学的なアプローチは面白かったけれど、殺人事件の顛末はあれれという感じ。
バランスという意味でも、面白かったのは「触身仏」と「御蔭講」の二編。「触身仏」は、生きながら仏になる即身仏のお話。「御蔭講」は、助手内藤三國の講師昇格がかかる、「御蔭講」の解釈のお話。

前回、助手のミクニが苦労していた教務部の狐目の男が、実は那智の同窓生で如何にも曰くありげだったり、まだまだこのシリーズは広がっていきそう。実は別シリーズで骨董業界を描いているらしい(前回、ここの登場人物が、凶笑面にもちらりと登場)、「狐罠」も借りてきてしまったのだ。なんだかんだで、ちょっぴりはまってます、北森鴻さん。

民族学の「記号」の話が、面白い。製鉄民族にも興味がわいてきたな~。
「もののけ姫」に出てきたのも、あれって製鉄民族なのかしらん。

 ← 文庫化&ドラマ化されていたようです
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