旧・日常&読んだ本log

流れ去る記憶を食い止める。

2005年3月10日~2008年3月23日まで。

以降の更新は、http://tsuna11.blog70.fc2.com/で。


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コメントレスは今晩までは出来ると思うのですが、記事の更新はこれが年内最終となります。

今年は三月にブログを始め、自分にとって新たな世界が広がりました。色々な方と日常的にお話をしたり、本の意見交換をしたり…。多くのコメント、トラックバックを頂くことができ、当ブログをご覧の皆様には、大変お世話になりました。

言わずもがなですが、「意見交換」ですので、私とは逆の意見も歓迎です。同じ本を読んで、逆の評価になることも、大変興味深いことですし、また、私がいまいちであったものに、この作家さんにはこんないい本もあるよ、と教えて頂くことも、今後の読書の参考になり、ありがたいことだなぁと思います。
来年もまた、色々お話できると嬉しいです。

それではみなさま、少々早いですが、よいお年を!
来年もまた、よろしくお願いいたします。

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さとなお
沖縄やぎ地獄

悪そうな山羊の表紙が一際目を引くけれど、これは著者の等身大の沖縄エッセイというか、食べたこと、感じたことを身の丈で理解して書かれたような本。

目次
トフギの謎
ゴーヤー調教
大量食堂
「オリ生」発「クース」経由「うこん」行
すばの細道(1)沖縄そばを攻めてみる
すばの細道(2)独特すぎるその食感
すばの細道(3)灰汁VSカンスイ
すばの細道(4)沖縄そばの秘密
ひめゆり定食を食べながら
沖縄やぎ地獄
汁物クリーンナップ
豚は長寿の素なのか
日本一苦い朝食
硬派でフィクサーな島豆腐
豆腐酔う
キミはタコライスを知っているか
沖縄=ステーキという幻想が終わるとき
脳内ネーネーズ

目次を読んでも、何だろうと気になるものが沢山あった。また、あくまで「著者の身の丈」をベースにしているので、例えば戦争について、例えば基地について書いていても、それは決して大上段に構えたものではない。

専門的な話ではないかもしれないけれど、ごく普通の「戦争を知らない」本土の人間が感じるようなことで、より自分に近いように感じた。難しいことを抜きにしても、著者の妻・優子さんと、娘・(しかしながら、いつも「坊ちゃん」と男の子に間違えられる)きょうちゃんとの、食べ歩き探索記も面白い。

不思議なことも、その不思議を見過ごしてしまえば、それは不思議でも何でもなくなって、知ることへの道を閉ざしてしまう。「すばの細道」に見る、沖縄そばの秘密へ迫るその様子も興味深い。沖縄そばは、「茹で揚げて油をまぶして自然冷却」したものを、再度湯がいてから出されているそうな。独特の食感に不思議だなぁ、と思ってはいたものの、深く考えることなんてなかったので、その姿勢に敬意を表したくなった。

めちゃくちゃに洗えば上品な味に、丁寧に洗わないととんでもない臭いを発するという、「山羊汁」も気になるところ(だって、「動物園の臭い」だそうですよ…)。また四歳児にして、「山羊汁」を「もっとぉ!」とのたまった、「きょうちゃん」の夜の様子は、まさにゴシック太字で強調されているとおり、「地獄じゃ。山羊地獄じゃ。やっぱり悪魔の食べ物じゃ~」といった様子(血の巡りがよくなる山羊料理には、高血圧の人は食べてはいけないほどの、強壮食なのだそうだ)。

文体ちょっと癖がありますが、家族での掛け合いは漫才のようだし、語り掛け口調も読みやすい。沖縄に行った事のある人も、そうでない人も、するする読んで楽しめる本だと思う。沖縄、また行きたいなぁ。

*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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といっても、多分、私にとってだけなんですが…。

Yahoo!のヘッドラインニュースより
 
松本潤 映画「僕妹」で禁断の愛 (Yahoo!該当記事にリンクしてます)


これ、「物語三昧 」のペトロニウスさんとこで原作漫画の書評を読んでいて、うーむ、ちょっとなー、と思っていた作品なんですが…。

 ■ペトロニウスさんの書評はこちら→『僕は妹に恋をする』青木琴美

というか、こういう作品を映画化しちゃったりするんですね、今の世の中。

ペトロニウスさんの書評の後半部にあるのですが、こういった作品が『ある意味「準現実」』だとすると、恐ろしい時代だよなぁ、と思います。


「東京タワー」は一人で見に行ったんだけど、これはなぁ。

そういうシーンはむしろ歓迎だったりするのだけど、妹はねえ。

原作読んだこともないのに、あれこれ言うのも何ですが、イロイロと考えてしまいます・・・。

青木 琴美
僕は妹に恋をする 10 (10)

バップ
東京タワー プレミアム・エディション
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東野 圭吾「分身」

鞠子と双葉の二つの章に分かれて、物語は進む。

鞠子の一人称は「私」。彼女は北海道に住む、どちらかというと大人しい女性。幼い頃、母に理由なく疎まれた記憶が残ったまま、中学校から家を離れ、寄宿生活を送る。更に、その母は彼女が休暇で帰宅した際に、自宅の火事により焼け死んでしまう。なぜ母は彼女の成長とともに、悲しい顔を見せるようになったのか、父と鞠子は助かったものの、なぜ母は焼け死ぬことになってしまったのか?

双葉の一人称は「あたし」。彼女は東京に住む、鞠子に比べて随分活発な女性。双葉は、父の顔を知らず母一人の手で育てられた。バンド活動をする双葉であるが、なぜか母は彼女のテレビ出演を強く禁じる。約束を重く考えなかった双葉は、テレビ出演を果たすが、その直後に母はひき逃げされ、亡くなってしまう。

鞠子は、父の過去の東京での研究に、母の死や自分の出生の秘密が隠されているとにらみ、東京で調査を始める。母を殺された双葉の周囲にも怪しい男たちが現れ、彼女もまた否応なく事件に巻き込まれる。交錯する二人の動き。

鞠子と双葉、年齢も一歳違い、これまで北海道と東京で育ち、共通点もなかった二人。ところが、この二人の顔、姿かたちは全く同じものであった。

一体これはなぜなのか?また、過去、鞠子の父が過去関わった研究とは何か。
周囲に現れた怪しい男たちの正体とは?
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ネタそのものは、ここまで書いた部分で、想像されるものから、あまり逸脱しない。また周囲の人物、主人公二人の心の動きなども、類型的に感じてしまう。特にこれといって、新しい物の見方、斬新な考え方も見られないように思う。

クローン物に対する嫌悪感もあると思うのだけれど、東野圭吾さんの手によるものでは、「殺人の門」も人の悪意が前面に押し出され、読後感が決して良いものではなかった。世間では高評価の東野さん、なぜ楽しく読めないのか、自分でもちょっと不思議ではある。

友人に東野さんの「秘密」がいいよ、と勧められたので、後一冊は読んでみたいと思うのだけれど、どうもあまり面白く読めない作家さんです。また、その理由も上手く言語化出来ない。

 
東野 圭吾
分身
 ← 既に文庫化されているようです

 
東野 圭吾
殺人の門  
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パトリシア・ライトソン, 猪熊 葉子
星に叫ぶ岩ナルガン」

不慮の事故により両親を亡くした少年、サイモン・ブレンドは、遠縁の親戚、チャーリー・ウォータースとその妹イディが住むウォンガディラにやって来た。親しいものの数々から引き離され、全く知らなかった土地にやって来るその姿は、カポーティの「遠い声遠い部屋」における少年を思い出させる。

さて、ウォンガディラには不思議な生き物たちが棲んでいた。沼に棲み、金色の目を持つポトクーロック。森に棲み、木と木の間を跳び回る、ツーロングたち。彼らは太古の昔から、ここウォンガディラに棲む者たちであった。

しかし、ここに招かれざる客が一人。それは、表題にもある「叫ぶ岩ナルガン」。ナルガンは動く岩。踏み潰す岩。おそろしいばかりに冷酷な岩。

ポトクーロックやツーロングは、彼らの土地に、よそ者であり恐ろしい岩ナルガンが来た事を歓迎しているわけではない。しかし、ナルガンは彼らよりもはるかに古い生き物であり、静観を決め込み、見ない振りを続けていた。

そんな中、チャーリーの羊が殺され、またサイモンらの家にも動く岩ナルガンが迫る。サイモン、チャーリー、イディはこのまま、ナルガンをほうっておくわけにはいかなくなり、悪戯者のポトクーロックや、ツーロングに協力を求め、ナルガンを追い払おうと決意する。
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ポトクーロックは太古からの生き物。かつては今では老いたチャーリーやイディと共に遊ぶこともあった。チャーリーの符号は「ボートの男の子」。

ポトクーロックをやる気にさせる、チャーリーの知恵、やり取りも面白い。悪戯好きで、太古からその土地に棲む、不思議で勝手な生き物と、人間との化かし合い。

このあたりじゃ、だれかと話したいと思ったときにはな、お前がしたみたいに、大声でよばわりながらだれかの領分にふみこむってことはせんのだよ。まず先に伝言棒をもたせた使者を送る。どうにもこうにも仕方のない時には、自分でそれをもっていくがね。そしてすわってむこうが注意をむけるまで待つんだ。これがしきたりなのさ。

上の文は、ウォンガディラの古い生き物との付き合い方を、チャーリーがサイモンに教え諭す場面。伝言棒の使者、洞穴の中に棲むナイオルなど、古い伝承と詩的な物語が絡み合い、魅力的な物語をなす。冒頭、叫ぶ岩ナルガンの視点で物語が始まるので、多少戸惑うかもしれないけれど、続けて読めば、人間の視点に移り、ぐっと読み易くなる(太古の昔からの生き物の視点というのも、なかなか新鮮でもあるが)。

カポーティ, 河野 一郎
遠い声遠い部屋  


*臙脂色の文字の部分は本文中より引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。

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20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
ドラムライン

Amazonより
ニューヨークのハーレムで育ったデヴォンは、マーチング・ドラマーとして天才的な才能を持っていた。その才能に目をつけたA&T大学マーチング・バンド部のリー監督は、デヴォンを特待生としてスカウトする。マーチング・バンドとは、スポーツ競技のハーフタイム12分間に、華麗で一糸乱れぬ演奏とパフォーマンスを行い、観客を聴覚と視覚の双方から楽しませる事のできる、総合エンターテイメントだ。A&T大学は今年も最大のライバルであるモーリス・ブラウン大学との、“名誉と青春”を賭けた優勝決定戦を控えていた。デヴォンは入部早々その天才的なドラム・テクニックを披露し、周囲を圧倒する。だが、自らの才能に溺れた言動や勝手な行動が、やがてバンド・メンバーや監督との軋轢を生んでいく……。

これぞ青春!

マーチング・バンドの恐ろしいまでの体育会系っぷり(坊主にさせられてしまう所などには、笑ってしまうけれど)に恐れをなしつつも、音楽とリズムに満ち溢れた楽しい映画。

主人公デヴォンがぶち当たるのは、マーチング・バンドの正統派スタイルを目指すリー監督、また和を大切にするドラムラインのリーダー、ショーンの二人。

「バンドは一つ、音楽も一つ」

彼らは当然アドリブなどを嫌うわけで、テクニックに自信を持ち、鼻っ柱もテクニックと張るくらいに強い、デヴォンとの衝突は必然ともいえる。

お約束ではあるけれど、監督やショーンと和解する場面もいい。和解には、デヴォンの父もちょっとした役割を果たしている。また、哲学科専攻ながら、ダンスを何よりも愛する、ガールフレンドのレイラとの話も、とっても青春。

管楽器をやっていたので、マーチングバンドの華はパーカッションなんだっけ、と少し悲しく思いつつ見ていたのだけど、圧倒的なドラムラインの迫力に、そんなことは忘れました。マーチングバンドの華は、ドラムラインでOKです。笑
(これは一般的な事なのでしょうか?
それとも、ここ南部では、リズム感溢れる黒人系の人々が主になるから?)
********************************************
公式サイト(こちら )に、マーチング・バンドの歴史が載せられており、興味を持ったので転載しておきます。

マーチング・バンドのショー・スタイルの歴史――その目を見張るような壮観さと派手なパフォーマンス――は、マーチング・バンドの監督として最も有名な人物の一人であり、アメリカで最も優れたマーチング・バンドとされているフロリダ州タラハシーのフロリダA&M大学(FAMU)の名誉監督であるウィリアムズ・フォスター博士が、46年、同大学のマーチング・バンドの監督に就任した時に思いついたものだ。

それまでの伝統的なマーチング・バンドの軍隊調のスタイルは、フォスター博士によって伝統を打ち破られ、アップビートで非常にエネルギッシュなショーへと変わったのである。

アトランタ高校のバンド監督でありFAMUの卒業生であり、フォスターのスタイルを継承しているドン・ロバーツ
(映画化にあたり、テクニカル・アドバイザーを依頼)、軍隊調とショー・スタイルのマーチング・バンドの違いについて、このように語っている。「ショー・スタイルのバンドは、とてもエネルギッシュであり、ポップな曲を演奏している。それも最新のポップスだけじゃなく、“熊蜂の飛行(リムスキー=コルサコフ作曲の管弦楽曲。非常にリズムの早いアクロバティックな曲)”やジャクソン5などの曲も演奏している。そして、生徒たちは競技場に一切楽譜を持ち込まない。演奏する曲は、すべて暗記する。しかも、ただ踊るだけじゃない。楽器を演奏しながら、決められた位置を守りつつ、振りつけられた動きをしながら暗記した曲を演奏するのさ」以上、公式サイトより転載(一部、中略)。

演奏しながら、踊って、フォーメーションもキメて。
マーチング・バンドの演奏部分を聞く/観るだけでも、きっととっても楽しい。

「スウィングガールズ」を観ても楽器を吹きたくなったけど(生徒たちが直ぐに上手く吹けちゃうように見えた所には、文句タラタラ、ブーブー言ってましたが)、合奏したーい!、と思う映画でした。や、吹くだけで手一杯だし(というか、今は音が出るかどうかも、怪しいし)、こんなアクロバティックなこと、出来るわけありませんけど。
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シャーロット マクラウド, 片岡 しのぶ
サンタクロースにご用心―クリスマス13の物語
扶桑社ミステリー文庫

目次
贋札造りのクリスマス(シャーロット・マクラウド)
鹿狩り(レジナルド・ヒル)
私立探偵リズ・ピーターズ(エリザベス・ピーターズ)
赤い髪の天使(メードラ・セール)
もつれた糸をほどくには(ジョン・マルコム)
バーゲン品につき…… (ドロシー・キャネル)
サンタクロースにご用心(ビル・クライダー)
ファミリー・クリスマス(パトリシア・モイーズ)
ミス・メルヴィルの好運(イーヴリン・スミス)
俺たちの福音(エリック・ライト)
ニックが街にやってくる(ミッキー・フリードマン)
イヴの罠(ロバート・バーナード)
鍋いっぱいのササゲ豆(マーガレット・マロン)

クリスマスにちなんだミステリーがどっさり十三篇。

ミステリーとして純粋に楽しんだのは、「贋札造りのクリスマス」と「俺たちの福音」。

クリスマスに良く似合う親戚モノでは、「バーゲン品につき……」、「ファミリー・クリスマス」、「イブの」、「鍋いっぱいのササゲ豆」。

変わったところでは、サンタクロースが探偵役となる「ニックが街にやってくる」などが気に入りました。
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クリスマスのアンソロジーといえば、こちらもクリスマスの前に読みたくなる一冊。

アイザック・アシモフ, 池 央耿
クリスマス12のミステリー
新潮文庫

冒頭には、アシモフによるクリスマスの薀蓄もついてます。

ギリギリになっちゃったけど、メリー・クリスマス!

通販でとってるベルギービールも、今月はラベルなどがクリスマス仕様。
今日はこれを飲んでました。でも、かなり甘かった~。
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オンライン書店ビーケーワン:シモンとクリスマスねこ
「シモンとクリスマスねこ」
レギーネ・シントラーぶん / ジータ・ユッカーえ / 下田尾 治郎やく


シモンはクリスマスを楽しみにしているけれど、まだ幼いから、どうしてもクリスマスまでの「にーじゅうよん」を数えることが出来ません。こんなんじゃ、ぼく、クリスマスを待てないよ! そんなシモンの様子を見て、おとうさんはいいことを見つけました。猫のフローラの尻尾には、ちょうど二十四の縞があるのです。

フローラの尻尾に赤いしるしを付ける代わりに(だって、可哀相でしょ?)、おとうさんは白い紙に、二十四の縞のある尻尾を持つ猫を描いてあげました。ふたりはその絵をベッドの上の壁に貼り付け、一日が終わる毎に尻尾の縞を塗りつぶす事にしたのです。

だからこの本には、ちょうど二十四の縞を塗りつぶす事が出来るように、寝る前にシモンのおとうさんやおかあさんがしてくれた話、シモンが体験した話、猫のフローラの話など、全部で二十四篇の短い物語が収められている。またそれぞれのお話に、一ページを丸々使用した、美しい挿絵もついてます。

クリスマスを待つ、わくわくした気持ちを、シモンと一緒に感じることが出来る本。お話も挿絵もいいよ。大人になったら、忙しくてそれどころじゃないかもしれないけど、こういうわくわくって楽しいじゃない? 待つ楽しみを思い出すよ。

 ←文庫もあるようです
レギーネ シントラー, Regine Schindler, Sita Jucker, 下田尾 治郎, ジータ ユッカー
シモンとクリスマスねこ―クリスマスまでの24のおはなし

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恩田陸「夏の名残りの薔薇」

真実はどこに? それは各人の心の中に。

そして、ほんとうにそれがあったかどうかは、実は大きな問題ではないのかもしれない。

現世から隔絶したような山の上のホテルでは、毎年同じ時期に三人の魔女のような老姉妹が待っている。滞在中一度はよばれるという、お茶会の中での気まぐれにより、次の年にまた招待されるかどうかが決まってくるため、招待客は彼女らのバックにある財力を恐れ、戦々恐々としつつも毎年この山の上までやって来る。それは「招待されている」という自尊心を擽るものでもあり、かつ三姉妹の毒を求めてのことでもある。

夕食時の三姉妹のテーブルは、いつもショーのよう。彼女らが主演する物語であり舞台。どこまでが真実で、どこからがうそ幻なのか。それは三姉妹にしか分からない。周囲のものたちは、ただ嘘で織られたタペストリーを眺めるのみ。

さて、そんな山の上のホテルにやってきた人物のうち、主たるものは桜子、時光の姉弟、桜子の夫、隆介、三姉妹の一人、丹伽子の娘で、女優の瑞穂、そのマネージャーの早紀、桜子の浮気相手であり、輸入車ディーラーの辰吉、大学教授の天知。

桜子と時光は、それぞれに家庭を持つ、人も羨む美しい姉弟だが、実は長期間にわたり、近親相姦の関係にある。時光にとって、一年に数日、美しい姉、桜子を所有出来る、このホテルでの時間は掛け替えのないもの。ここは全て「秘密を持つもの」の集まりだと信じている。

一方の桜子は、実の弟と関係を持ちつつも、ディーラーの辰吉とも浮気をするなど、なかなかに捉えどころのない女性。好き好んで浮気をしているというよりも、ただ自分に求められるものを、そのまま与えているようにも見える。

桜子の夫、隆介は三姉妹の甥にあたる。恵まれた環境に育った彼は、今では如才なく商才も発揮している。時光から見ると、彼は育ちの良い牧羊犬であるが、実際の彼はそんな柔な人間ではない。

女優である瑞穂は、三姉妹たちの悪意を受け継ぐことはなかった。毎年ホテルで醸し出される悪意、険悪な雰囲気に怯えつつも、彼女の安定剤として、マネージャーの早紀を連れて、嫌々ながらもやって来る。

大学教授の天知。基本的にこの招待客は、三姉妹のうち、一人からの招待を受けてやってくる。しかし、彼だけは三姉妹の内、誰から招待を受けたのか、それが良く分からない。随分、古くからの付き合いにも見えるのだが・・・。

そして毎年繰り返された、この「招待」は今年で終わる。

章立ては、主題の次に、第一変奏第六変奏へと続き、登場人物一人の視点を持って語られる。「変奏」は、それぞれ衝撃的な場面で終局を迎えるのだが、次の「変奏」では何事もなかったように、また同じ題材が違う視点で繰り返し語られる。そしてその終局は、全て違ったもの(第六変奏のみ、一年後の話)。
何が真実だったのか? くらくらと酩酊するような物語。
*****************************************
登場人物の内、今回気になったのは、桜子と桜子の夫、隆介の二人。

隆介は一見、金持ちのボンボン風ではあるが、彼の内面はそれから類推されるような、弱いものではない。看板に押しつぶされることなく、その幸運をきちんと享受出来る実力の持ち主。そして、その幸運に実は物足りなさを覚えるくらいの、傲慢、贅沢を自覚している。
そんな彼の前に現れたのが、時光と桜子の美しく気品に溢れた姉弟。
時光は所有することは出来ないが、桜子を所有することならば可能である。

私は他人が思うよりもずっと、人間関係には敏感なのである。男女関係をはじめ、誰が誰に反感を持っているか、誰と誰が手を結ぼうとしているか、他人の動きや表情をちょっと見ていれば分かってしまう。それは生きていくために必要な嗅覚であるが、元々子供の頃からその辺りにはひどく敏感だった。もっとも、その敏感さはある程度隠していた方がいいことも、昔から本能的に知っていた。おっとりした気のいい三代目でいるほうが周囲から愛されるし、皆無防備に情報を提供してくれるものなのである。かといって、決して舐められてもいけないところが、匙加減の難しいところだ。
最初、二人の関係に気づいた時は愕然としたが、逆に安堵のような気持ちを覚えたことも事実である。

彼にとって、桜子と時光の関係は許せるものであるが(むしろ桜子を通して、時光を所有しているという満足感すら覚える)、桜子と辰吉の関係は、「舐められない」ために許すことが出来ないもの。彼にとって、このホテルにやって来て、桜子と時光の年に数日の楽しみを奪うことは、決して本意ではなかった。

ここで手を打たないと、私は無能の烙印を押されることになる。私は、私が自分の問題を解決できる男であることを、各方面に対してアピールしなければならなかったのである。

さて、一方の謎めいた桜子。彼女もまた、時光を愛していた。

時光は、昔から美しい子供だった。彼の無垢を愛していた私は、それを守るために努力をした。そのことが、彼から成熟や、清濁併せ呑む大人の知恵などを奪い取る結果になったかもしれない。だが、私はそのことを後悔していない。隆介が彼に執着するのは、やはり彼のそういうところに惹かれるからだと思う。私が守り育てた弟は、私に夫を連れてきてくれた。だから、私の努力は間違っていなかったのだ。

この二人の愛は空恐ろしくもあるが、無垢を愛する気持ち、愛でる気持ちは分かる。時光が実際に無垢であるかどうかは、分からないけれど、無垢なものに対する憧れは、自分が喪ってきたものへの憧憬でもあるのかもしれない。

 
恩田 陸
夏の名残りの薔薇

さて、この小説には、各所にある映画の場面が挿し込まれる。あとがき-二つのマリエンバートの狭間でによると、これは、『去年マリエンバートで』という映画のシーンだそう。

迷宮のようなホテルを徘徊する、人形のように無機質名登場人物。シンメトリーの巨大な庭園、囁くように繰り返される台詞。演劇的な虚構の空間を埋める、様式美に溢れた白と黒のコントラスト。

この「夏の名残りの薔薇」の核には、映画『去年マリエンバートで』がある。マリエンバートは、チェコの古い保養地の地名のドイツ語読み。かなりの箇所が引用されているけれど、雰囲気だけを楽しんでそのまま読むことも可能。でも、その核となった映画をちょっと見てみたくもある。

ビデオメーカー
去年マリエンバートで〈デジタル・ニューマスター版〉  

*臙脂色の文字の部分は引用を行っております。何か問題がございましたら、ご連絡ください。
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「手当たり次第の本棚」とら さんから、印象バトンを頂きました
はしっと受け取って、いってみましょう。

Q1.まわしてくれた人への印象は?
まず、ひとつには文武両道。
(あの恐ろしいまでの読書量と博識ぶり&空手)
いまひとつは、とらさんの本ブログ、「手当たり次第の本棚」のコメント欄のレスに見られる非常に公平な姿勢より、フェアな精神。
更に重ねると、辛いことをそのまま投げることをしない、負のエネルギーを寄せ付けない強さ。

その辺の印象はあるものの、ご本人が書かれているとおり、全ては「ぬいぐるみ」の皮の中に包まれているわけで、その皮の下を覗き見てみたくもある、ちろ~り。
でも、「ないしょ(・・)/」って、言われるんだ、きっと。笑

Q2.周りから見られている自分はどんな人だと思われている?
血液型診断はあてにはならないと思うのですが、最初は真面目そうといわれつつも、暫く付き合うと、「ああ、B型だねえ」と言われます。これで分かるかなぁ。
ネット上ではそうは見えないのかもしれませんが、実際は結構警戒心が強かったりもするので、一緒にお酒を飲むと、「意外と楽しい人だったんですね」と言われたりも(お酒で、警戒心が緩むのか? てか、「意外と」ってどうなの?)。

Q3.自分の好きな人間性について5つ述べて下さい
・自分とは違う価値観を受け入れることの出来る柔軟性
・人を赦すことの出来る広い心
・明るい方向を志向する強さ
・個として責任を取る気概

・他人を羨まず、妬まない自信


この質問は難しいですねえ。
「人間性」という言葉に合っているかどうかも、ちと微妙。汗

Q4.反対に嫌いなタイプは?
嫌いなタイプというか、嫌いな行動をあげます。
・個を個として認めず、ある集団に無理やり帰属させようとする
・人の意見を聞かず、「自分の常識」を押し付ける
・建設的ではない意見、曖昧なままの意見を吹聴する
・赦すことが出来ない などなど

時々、自分もやる行為です。だから、余計嫌なんだと思う。

Q5.自分がこうなりたいという理想像は?
しなやかで、つよい人間

Q6.自分の事を慕ってくれる人に一言
もしいらっしゃるのなら、ありがとう!

でも、「慕われる」ってあんまり経験ないかも。笑

Q7.そんな大好きな人にバトンタッチ!
えー、ここはネット兄貴のとらさんからバトンを頂いたということで、もう一人のネット兄貴、「物語三昧 」のペトロニウスさんにお願いしたいです。
お忙しいところ恐縮ですが、出来ればよろしく~。

さて、ペトロニウスさんのイメージは、頭脳明晰でやはりここでも、文武両道。
一見、きっとクールなのだろうけれど、中には物凄く熱いものを秘めている感じ?

きっとね、厳しい所もある方だから、実際に近くにいたら、そのズバリ的確な指摘に傷ついたり、反発したりもするのではないか、と思うのです。笑
でも、冷静に考えると、きっと「ああ、そうだよな~」と納得するのだろうなぁ、と。

そういう意味でも、ロールプレイング的に甘々なとらさんよりも、近しい兄貴なのかもしれません(三兄妹ごっこをしておりまして、その中では、長兄にとらさん、次兄にペトロニウスさん、その妹に私、という組み合わせであります。って、思いっきり内輪ネタの〆でスミマセン)。

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