包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

人として包丁研ぎ師としての日常や発見、気づきなどを書いています。

目指すは包丁研ぎ世界一。みなさんに少しでも刃物に興味を持っていただければ幸いです。

高級鍛造刃物販売、修理研ぎをする三代目です!

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片刃の和庖丁研ぎ依頼の作業工程の中で難しいのは、歪取りかもしれません。

歪とは字のごとく庖丁が歪んでいる様のこと。

歪も単純にブレードが曲がっているものもあれば、蛇行していたりねじれていたりとさまざま。

この歪を取らなければ上手く研ぐことが困難となってしまいます。



よくある誤解ですが、新品の状態だけを見て曲がっていると思ったり、薄刃などねじれていると勘違いされるケースもあります。

しかしその勘違いのまま曲がりやねじれを修正すると研いで上手くいかないことになるケースも。

刃付け屋さんの研ぎの関係で切先からアゴまで均一に研がれていないために曲がっているように見えている庖丁を、無理やりその形が良い形かのように調整してしまってはダメということです。

研ぎと歪取りは一緒に行うことが重要で、研がなければ歪の起点がどこにあるのかを把握できにくいと感じるからです。

新品の歪取りは癖が少ないので簡単に修正ができるケースが多いですが、研ぎ依頼の歪取りはとても大変なことがほとんど(;^_^A

多くの場合が、修正が依頼主様では難しい状態になったものだからです。



そして実は今回の記事は訳ありです。

今回の庖丁の依頼主(大学時代の友人)が研ぎ初めから研ぎ終わりまで見てみたいと言われため見せたところ「ブログに載せるべきだろう」と言われたのがきっかけです( ̄ー ̄;

初めは断っていたのですが修正の合間に撮った写真を送ってこられ、いつの間にか「ブログ楽しみにしているよ」となり、最近は「ブログまだ?」となったので掲載することになりました(笑)

友人の頼みではありますが、研ぎ依頼の中には歪が多く複雑なものは問題なく使用できるようにはできても完全に修正するのは技術的に無理だと感じる庖丁ももちろんあること、また私自身この歪取りを誰に教わったわけでもないためこんなものを出していいのか悩んだことが初めに断った理由でした(;^_^A 

特にブログですべてお見せするわけにもいかない作業工程があるわけではないのですが、撮っていただいていた写真の都合で要所だけの掲載となりますのでご理解ください。



その方に依頼いただきました庖丁はこちら↓

 
※当店の庖丁ではないため銘は消してあります。

この庖丁はブレードの真ん中から鋼側に曲がっており、また切先は凹んだ砥石で研いだためかなり切先が曲がった平らな砥石ではほとんど研ぐことができない状態となっておりました。

切先の一部分が研いで当たっている写真↓

 

写真では光の加減で当たっているようにも見えますが、切先の一部分と庖丁の中ほどから刃元までしか砥石に当たらない状態となっています。

鋼側に刃元が曲がっている写真↓

 

横からの写真がピントが合わなかったようで上から撮ったみたいなのですが、黒く塗りつぶされた銘の一番上の黒の部分から鋼側に曲がっているような感じがわかりますでしょうか。

ちなみにこれがわかる方はかなり庖丁を触っている方かと思います(笑)



この庖丁を修正していきます。

これらを修正する道具がこちら↓

 

金床とレール床、そして木床です。

床も金槌も作業によって使い分けています。

平らな砥石でしっかり研げるようにするために歪取りをやっていたらいつの間にか道具が増えました(^_^;)



まずねじれなどを大まかに取り、中から刃元までの鋼側への曲りの修正をします。

その後、切り刃を研いで凹凸を均していきます。

その後一度叩いた状態↓

  
 
当たる部分がだいぶ増えたのがわかるでしょうか。

ですがまだ当たりません。

その後も微調整を繰り返しては叩いて曲げるという作業を繰り返します。

基本的にどの作業も様子見で進めていきます。

一度で直さないのがポイントかもしれません。

少し直しては研いで、また少し直しては・・・・の繰り返しです。

見ていた友人もあっちに行ってはこっちに戻りと、うろちょろしている私を追いかけるのも一苦労だったと思います(^_^;)

この歪取りも鋼材によってはなかなか曲がらない庖丁もあるので大変です(>_<)

特に青紙やステンレス系統は曲がりにくい。

物によっては形状記憶合金のようなものもあります(;^_^A

研いでいると徐々に元の形に戻っていくのです( ̄ー ̄;

研いであと少しの写真↓

 

切先から約5cmくらい下の部分の刃先が少し黒いのがわかりますでしょうか。

まだ刃先まで砥石が当たっていないため、0.2mm程度錆がついている状態です。



ここまでくると選択肢が分かれます。

このまま裏押しを進めるか、表から研いで減らすかです。

この庖丁はここまで研ぐ間に、友人が刃元を多く研ぎ減らしてしまった部分がまだ修正できていない状態だったので、切先を表から研いで修正することにしました。

当然砥石に当たらなかった部分も表から研ぎ減らせばかえりとなってなくなってしまいます。

WA#1000で研いだ裏の切先↓

 

刃先まで砥石が当たっています(^O^) 

修正して当たらなかった部分は削り取ってしまいました。

最終的に裏の形が仕上がった状態↓

 

これで歪取りが終わりです。

ちなみに裏を研ぐ作業には2種類の#1000と#3000の3本の砥石しか使用していません。

荒い砥石を使用すると粒子の大きさの関係で研げなくてもいいところも研げてしまい、完全な裏を作ることができないからです。



どこからが歪取りでどこから研ぎなのか明確な線引きは私の中ではありませんが、金槌で叩く行為がこの後はなくなり研ぐだけで仕上がるという意味では、ここまでが歪取り、この後が研ぎと言ってもいいのかもしれません。   

今回表の写真は撮られなかったそうなのでありませんが、この後表の刃が非常に鈍角だったため鎬を下げてから天然砥石まで仕上げました。

ちなみにこの庖丁の歪取りは簡単な部類です。

家庭用の庖丁などはS字ではなくM字の連続?のような何カ所も曲がりくねったものもあれば、厚みが非常に厚い出刃が大きく曲がっているケースもあるので簡単だということですね(;´Д`)ノ

そのような庖丁が前述のように問題なく使用できるようにはできても完全に直せないことが多々ありますので、研ぎ依頼の際はご注意いただきたく思いますm(_ _ )m  



今回は誰のための記事なのかわからないものとなってしまいましたが、記事を書きながらもっと良い研ぎができるようにならないとなぁと感じました。

今後も更なる挑戦を続けていきたいですね!!

また新しいことができるようになったら報告いたします(^O^)

ではおやすみなさいm(_ _ )m

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