包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

人として包丁研ぎ師としての日常や発見、気づきなどを書いています。

目指すは包丁研ぎ世界一。みなさんに少しでも刃物に興味を持っていただければ幸いです。

高級鍛造刃物販売、修理研ぎをする三代目です!

http://www.tsukiyama.jp/


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4月はアメリカから2組、5月初めには三つ星の高級料亭の方々が研ぎ講習に来店され、切れ味の実験などもしながら有意義な時間を過ごしました。

切れ味に科学的なメスを入れたときの研究結果のデータも料理人さんには驚いていただき、また今後の仕事に自信を持っていただけたようでとても嬉しいです。

多くの方に触れ合うことで私も学びになることがたくさんあり、よりよい仕事に繋がっていると感じています。



そんな出会いの中でも大きく研ぎに影響を与える砥石に出会いました。

それがこちら↓



二本とも丸尾山黒蓮華の砥石なのですが、やはり特徴は圧倒的な研磨力です!

条件が揃うととにかく早く削り、人造砥石の傷を消します。

先日も剃刀研ぎで有名なかずかずけん氏が来店し、直接黒蓮華の性能を見ていただきましたが、約2分ほどで#600の人造砥石(製作段階の砥石)の傷を消し去りました。

白紙一号の三徳庖丁を上の黒蓮華2本を使い研ぎ、PEAK×300で撮影した写真↓


この二つを使うことで刃線は揃い、ほぼ傷がない状態で仕上げることができます。

※もちろん相性はあるため、すべての庖丁や鋼材が合うとは限りませんのでご注意ください。

巣板は研磨力が強いものが多く人造砥石の傷を早く消すために有効ではありましたが、傷がそれなりに付くこともある砥石でもありました。

そのため刃先はもちろんですが、地金の傷を消すためにもより粒子が細かい砥石に繋いでいました。

しかしこのレベルの仕上がりを巣板がすることで、本来最終の研ぎに使う剃刀砥までに使用していた砥石を使わずに済むケースがでてきたのです。

私はこの黒蓮華は他の砥石とは研磨の質が異なるのではと考えるようになりました。



研ぎとは刃物を削り、刃先を鋭利にすることを目的とします。

その研ぎの種類は最近まで二通りだと思っていました。

一つ目は人造砥石のように研磨剤で傷を付けることにより鋼を削り取る、えぐり取る方法です。

二つ目は天然砥石の研ぎで、表現が難しく正しいかわかりませんが、私のイメージではマトリックスを取り除き炭化物を残すような、なし崩し的に砥石に接地している部分を切り崩しているような方法です。

ですから人造砥石はピンポイントで一部分を削るにはよく、天然砥石は多くの面を削るには力を発揮しやすいようにも感じています。

しかし黒蓮華は天然砥石の研ぎに加えて別の作用があると感じています。

どうやら砥取屋さんいわく、黒蓮華には酸性の成分多く含まれる可能性があるようで、ほんの少しではありますが金属を溶かすのではないかと考えられます。

そのため炭素鋼は非常に錆を発生させやすく、研いでいるとすぐに真っ黒になったり、真っ赤になったりします。

通常はこのような錆を強く、また早く発生させる砥石はよくない砥石と言われるでしょうし、昔はこのような砥石は商品にならないと捨てられていたそうです。

しかしこの作用を逆手に取ることで、より早く、より目的の仕上がりにすることができる可能性を感じています。



この砥石の大きな問題点は使い所と使える時間を間違えると、錆のためにより研ぎ時間がかかってしまう可能性があり、また予期しない事態も稀にあります。

研いでいても錆が出ないなと安心していたら突然層が変わったのか数秒で真っ黒になってしまったり、逆に錆が強く出やすかったのが出なくなったりもします。

庖丁の平や裏スキの状態(使ってすでに錆びが出ていたり、傷で荒くなっている)によっても錆びが出やすいようにも感じています。

この黒蓮華が起こす錆の反応は砥石の影響によってなのか、はたまた庖丁との相性や状態による影響なのかをもう少し見ないといけませんが、そういったリスクもある砥石なのです。

圧倒的な研磨力と仕上がりに対して錆のリスクがある、まさに諸刃の剣と言えるでしょう。

※有識者の方より酸性の成分が硫黄の可能性があり、その場合匂い移りや苦味が付くリスクも上げていただきました。今のところ食材を切って食べた実験では変化を確認しておりませんが、砥石によってはそのような変化が起こる可能性がありますのでご注意ください。なお黒蓮華は人造砥石と最終仕上げ天然砥石の繋ぎに使っていただくのがお勧めになります。ご指摘ありがとうございます。

砥取屋のコーディネーターいわく、丸尾山の最終兵器?と言っていたような(^^;;

違ったかな?



ただステンレスにはかなり心強い味方とも言えます。

何故ならステンレス系統は錆びにくいためです。

そのため錆を気にせず使えるため、研磨力を重視して一本目から揃えてもよい砥石だと感じますが、前述のリスクを考えるとある程度天然砥石の研ぎに慣れてから揃えたい砥石になるかと思います。



ともあれ天然砥石は個性があり、砥石の特徴を知り、その使い方次第で本当に良くも悪くもなると感じます。

よく削れて傷も付かずに仕上がる砥石があれば最高なのですが(笑)

いつかそのような砥石に巡り会いたいものですね^_^
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