●「Gitano」

「Gitano」 

月影の舞


タイトルはスペイン語の「Gitano(ヒターノ)」を
フランス読みしたもの。


フラメンコのトップダンサー、ホアキン・コルテスが主演。


主人公はジプシーのカホン奏者。
彼が冤罪で投獄されている間に音楽仲間は堕落し、
妻はマドリードの権力者の愛人になっていて、
その黒幕へ復讐するという抗争劇。


ハードボイルドアクションというか、銃弾戦ありで
セックスシーンありのちょっとVシネマっぽい感じ。


カホンを打ち鳴らす手で幕開け。


酒場での歌とか、音楽はとてもよかったのだけど、
せっかくのホアキン・コルテスのフラメンコの踊る
シーンは全くなく、残念。

2000年/スペイン
監督 : マヌエル・パラシオス
出演 : ホアキン・コルテス 、 レティシア・カスタ 他

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●「サロメ」 


「サロメ」 

2002年/スペイン


月影の舞

その妖しい美しさで義父ヘロデ王の心を奪って離さない
王女サロメは、月の光のもと、
七つのベールの踊りと引き換えに洗礼者ヨハネの
生首を所望する……。


幻想の怪奇世紀末文学 オスカー・ワールドの
傑作「サロメ」が
フラメンコとバレエの華麗な融合で甦る。


監督はスペインの巨匠 カルロス・サウラ。
サロメ役には元スペイン国立バレエ団芸術監督にして
伝説のフラメンコ・ダンサー アイーダ・ゴメス。


アイーダ・ゴメスから、舞台「サロメ」の演出を依頼された
カルロス・サウラは、並行してフィクション映画を提案して
できた映画。

舞台の単なる映像化ではなく、ドキュメンタリーも交え、
虚実入り乱れた映画。


舞台監督、振付師、衣装係、音楽家、ダンサーたちに
それぞれの生い立ちや舞台での役割や想いを
インタビューする。



三枚の大きなパネルを使い、後ろからライトをあてることで、
月や太陽を表したりする光と影の演出方法。
大きな鏡を効果的に使った大胆な演出。

衣装の色合いの意味や効果なども語られ、
舞台裏に関してはとても勉強になる。


ダンサーの練習風景、演出方法など、
言葉を使わずに音楽と身体表現だけで“感情”を表し、
物語世界を見せて行く。

それは素晴らしい肉体表現であり、
美しいダンスである。


しなやかな身体つきのダンサーたちはパレエの色合いが
強いが、長いスカートと床を打ち鳴らす力強い足さばきは
フラメンコ特有の味わい。


ダンスには魅了されるのだけど、
やはりこういうドキュメンタリー形式だと、
せっかくの幻想的な「サロメ」の物語には入り込めないのが残念。

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●「VENGO」

「VENGO」

2000年/スペイン・フランス 

監督:トニー・ガトリフ
出演:アントニオ・カナーレス、オレステス・ビリャサン・ロドリゲス他



月影の舞


現代フラメンコ界の頂点、
天才ダンサーのアントニオ・カナーレスが
主演の情熱あふれるフラメンコ映画。


フラメンコ映画というより、フラメンコ音楽映画。


冒頭から、アラブ音楽とフラメンコ音楽の
不思議なセッション。
踊りは白い服を着た女性がくるくる回る踊り。


スペイン語では「venir」(来る)も「vengar」(復讐する)も
動詞の一人称単数・直説法現在形が同じ「vengo」。
タイトルの「Vengo」とは「私は来る(来た)」と「私は復讐する」
の二つの意味をかけてるそう。


ストーリー的には抗争劇であり、感情移入はできないのだけど、
主人公の男が娘を殺され娘の墓標の前で
「おまえの死は 燃え尽きない炎だ」
語るシーンには心が痛む。



スペイン人の歴史、ジプシーの悲しみが音楽で表されている。



酒場でみんなで歌う


  ♪ 悲しみが来る
    悲しみがやって来る  
    いとしいジプシー女を 私から奪わないで♪


深いカンテの歌声が、生々しく“悲しみ”と共に響く。



    ♪ 俺にとって永遠の宝物
      美しいおまえと おまえの愛
      私と一緒に終わっておくれ  ♪




全てスペイン語で歌っているのだけど、
ワンカット、酒場のジプシーの女がカタコトの日本語で


    ♪ ラブユー ラブユー 涙の東京♪ と歌ってた。


       

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