●「一枚のハガキ」

お正月3日に「一枚のハガキ」をソレイユ高松にて観る。


月影の舞

今年の初映画だけど、
この映画、全国的には去年の夏上映のやつ。


豊川さんが主演ということではりきって観たけど、
大竹しのぶの映画かな。


タイトルから、泣かせる映画かなと思っていたけど、
逆に、戦争という愚かな行為を「滑稽」に描いたものだった。

もちろんシリアスなのだが、シニカルに淡々と描き、
真面目にやっていることの「狂った感覚」を見せていた。

そして、復興を喚起させる力強い映画だった。


撮影当時98歳という邦画界の最高齢である新藤兼人監督。
パンフによると、二人で暮らしているという孫の新藤風監督が、
車椅子を押し、シナリオ執筆補助や付添をしているという。


この映画は、新藤兼人監督ご自身の戦争体験を元に作られている。

戦争末期に徴集された中年兵士100人の内、94人が戦死し、
6人が生き残った。
新藤兼人監督がその生き残った一人で、そ
の役を演じたのが豊川さん。


兵士の配属は上官のクジによって決まるという事実。
戦争という時代の中では、クジによって生死が決まるという
命の軽さ。



音楽で盛り上げたり、大竹しのぶの演技以外は
過剰演出もなく、淡々と映画は進んで行くが、
その無表情的な冷酷さがより戦争の無情さを
叩きつける。


“中年兵士”とその遺された家族ということで、
登場人物の年齢層がかなり高く、
子供や若者がほとんど出ない熟年映画でもあった。


なので、戦争未亡人となった友子(大竹しのぶ)を
めぐって、村の世話役(大杉漣)と、友子の元夫の戦友
(豊川さん)がとっくみあいのケンカをするシーンに、
ちょっと無理があるような……。


でも、ここだけ、劇画チックというか、投げられて、
宙を飛んだりして(柔道一直線かっ!)、コミカルに
描かれている。


ワンシーンだが、麿赤兒が存在感のある生臭坊主を
演じていて、笑った。


いつの時代も女はたくましく、男はさびしんぼう。
それでも、互いを必要とし合えば、補い合って
うまくやっていけるのだろうな。


ラストの黄金の稲穂が、
「生きているかぎり 生きぬきたい」という
新藤監督の強い生命力が込められたメッセージを
表しているみたいだった。



豊川さんのちょっとマッチョなランニング姿が
観られるので、豊川ファンは必見。
大竹しのぶとのからみは無しだった(笑)


月影の舞
「一枚のハガキ」パンフ




月影の舞
映画の前はイタリアンのランチ。
アンコウのピリ辛トマトソースの
フェットチーネ(平面パスタ)


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●「必死剣鳥刺し」

土曜日の朝は、公開初日の豊川さん主演映画
「必死剣鳥刺し」を観る。



月影の舞

藤沢周平の短編時代小説「隠し剣」シリーズの一編を
映画化したもの。


本格時代劇ではあるのだけど、
殺陣のシーンが前半ほとんどなくて、
人間ドラマが大半。


それも勧善懲悪的なストーリーではなく、
ちょっとせつない感じのドラマ。
だから、チャンチャンバラバラの
斬り合いを求める人には退屈かも。


最初にに核になる事件が起こり、
その変化による主人公 三佐エ門(←豊川さんね)が閉門。


まさに「静」の訪れ。
その「静」の時間の流れを示しつつ、
事件に至る経緯や、三佐エ門を取り巻く人間環境が
回想によって表される。


現代と過去が交差しているので、
最初は人間関係を把握し、徐々に感情部分を
読みとっていくようになる。


愛する妻を亡くした三佐エ門は極刑を覚悟の上で
藩主である右京太夫の妾、連子を殺害。

しかし、献身的に尽くしてくれる亡き妻の姪である
里尾の存在が三佐エ門の心を癒し溶かしていく。


そんな人間模様は現代劇と変わらず、
心情に寄り添える。


しかし、違うのは「死」の概念だろうか。
常に刀を持ち歩く武士の世界、
お上の命令が絶対である社会においての
「死」は今以上に近いものであり、
自分の意思とは関係なく受け入れなければ
いけない「死」が多い。


連子役はツィッタードラマのピーチ役の
関めぐみ。

イジワルな役はいいのだけど、
現代のワガママ娘という感じで、
「悪女」特有の凄みというか、
男を惑わせる魔性フェロモンが少なかったかな。


まあ、そんな女に惑わされる藩主のバカ殿っぷりも
ちょっとギャグ的な感じだけど。


三佐エ門は正義感が強く、誠実で潔く、
とても人間的に優れているキャラとして描かれている。
そして、それを支える里尾は、無垢で男にかしづく素直な
女のようでいて、女としての芯の強さが感じられる。


三佐エ門にひたすら従順に尽くすのだけど、
いざとなったら大胆に
「私をそばにおいてください」とすがる。

そして、関係をもってしまうと……
女は強くなるよねー。


三佐エ門と里尾の濡れ場。
里尾の部屋に忍び寄る三佐エ門。
三佐エ門は背中を晒すのだけど、
里尾は着衣のまま。


上半身だけのアングルで、豊川さんの大きな背中に
隠れて、里尾は肌はほとんど見せず、
顔の表情だけの演技。



豊川さんの背中、黒くて大きくて
なぜか油ぎってるというか、テッカテカ。
なんかオイル塗ってるよね。


初めて関係をもった翌朝、朝の光の中で
里尾は、朝ご飯の支度をしながら、
昨夜を思い出してほほ笑む。
なんか、妙にそこがエロティックだったなあ。


そして、愛するがゆえに、しばし別れる二人。
旅立ちのシーンに里尾は泣く。
一人で、顔をくしゃくしゃにして、
子どものように泣きじゃくる。
男の胸にすがって甘えて泣くのでもなく、
すまして涙が頬を伝うような泣き方でもなく、
まさに無防備にこみあげる感情のままで泣く。


ここは、せつなくて泣いた。


ラストのクライマックスの殺陣シーンは圧巻。
刀で斬り合うというより、刺し合う。

だから、普通のチャンバラのような
刀がカンカンとふれあう音よりも
ジュッバ、ドスッ、グサッって感じで
生々しい。


しかも血みどろ。


障子に血しぶきがドピューッと飛び散り、
肩口からジュパっと血が飛び出し、
るのを皮きりドピュー。


庭での乱闘になると雨も降り出し、
闘いは壮絶。


豊川さんの丸刈り頭、チョンマゲ、
浮浪者風ロン毛とヒゲ、そして最後は落ち武者ヘアーと、
たくさんの髪型が楽しめた。


入浴シーンは何回かあるので豊川さんの生々しい
上半身も堪能できた。



月影の舞
「必死剣鳥刺し」パンフ




月影の舞
「キネマ旬報」(7月下旬特別号)

表紙が豊川さんで「必死剣鳥刺し」特集。


幽閉シーンで豊川さんが正座している時、
目を閉じているか開けているか悩み、
2パターン撮影したとか。

目を開けていると観客はその目を
見てしまう、閉じた方が心情があふれる
だろうと、閉じた方がが採用。


抱くシーンは監督の演出なしで
豊川さんが任され、ワンカットで
一発でオッケーだったとか。



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●「今度は愛妻家」

土曜日。
映画「今度は愛妻家」を観る。


月影の舞

ものすごくシンプルで、めろめろなメロドラマ。


ほんわか、ふんわりとしたイメージが漂うラブファンタジー。


謎解きがメインではないけど、
ストーリーは知らないで観た方が楽しめるかな。


私は知って観たけど、泣けた。
このパターンかヨっ! と思いつつもやっぱり泣ける。


だけど、豊川さん主演じゃなかったら、
こんなには泣けなかったとは思う。


いい映画なんだけど、あまりにもキレイに作られすぎてて、
悲しみは押し寄せるけど、
胸を掴まれるような苦しさやせつなさが
感じられないんだよね。


これは中谷まゆみの戯曲が原作で舞台化されているもの。
私は戯曲も読んでないし、舞台も観ていないのだけど、
これは芝居の方がおもしろいだろうなとは思った。


映像では見せすぎちゃうからね。
美術的効果は映画の美しさのよさがあるけれど、
ドラマ部分は舞台の方が活かせるのだろうなあ。



このまえ読んだ「月刊カドカワ」の井上陽水特集にも
書いてたが、豊川さんと薬師丸ひろ子が
「夢の中へ」を何度か歌う。


それがとってもイイ。


そして、ラストにも陽水の「赤い目のクラウン」
しっとりと流れる。

歌詞に合わせて、雪が降り出すとこは
なんとも言えずにせつない。

これで、ジーンときて、また泣ける。


「愛」の反対は「憎悪」でなく、
「無関心」だと思う。


男はいつまでたっても「子供」でいたいから、
女が自分以外の人の「母」になることを
どこかで拒み続けるのかもしれない。


母親の関心をいつも自分に向けようとする子供のように、
ダダこねて、甘えて、ダメダメな子になる。


心配かけても、「しょうがないわね、この子は」って
無償の愛でいつまでも包み込んでくれていると
信じているのだろう。


この映画を観終わると、愛する人を
むぎゅ~って 抱くしめたくなるよ。


「ずっと そばにいたい……」って。



月影の舞
「今度は愛妻家」パンフ




月影の舞


月影の舞
月刊シナリオ誌2月号
「今度は愛妻家」のシナリオが掲載。
表紙も豊川さん。


映画の脚本は売れっ子 伊藤ちひろ氏。
感性が若くてきれい。
こんなに澄んだシナリオが書けるなんて。


シナリオと実際の映画を比べると、
構成が微妙に違う。

狭い世界の中の話しなので、ちょっと中盤が長いかなと
思ったけど、これでもカットしている部分が多い。




★戯曲をもとにして書かれた映画のノベライズの感想はこちら

「今度は愛妻家」
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10436131050.html





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●「20世紀少年」試写会

新しくできた 香川の三つ目のシネコンで

映画「20世紀少年」の試写会。


20世紀少年


製作費もすごいが、キャストも豪華で
贅沢な起用の仕方。


原作者が脚本も書かれているということもあって、
ものすごく丁寧に作られている。

でも、エンドロールの脚本のところには
原作者以外にも三名の方の名が連ねてあった。


漫画が原作なのでキャラがしっり確立しているせいか、
登場人物が多くても、すんなり受け入れられ
把握できるから、とても見やすい。


そして、子ども時代と大人になっての時代が交錯する。
その割合というか、分配やタイミングが絶妙。


謎の部分はうまく謎のままで違和感なく
ひっぱり続けるのもうまい。



とにかく飽きさせないというか、一時も画面から
目が反らせないっていうスピーディな展開と
ちりばめられたヒントにワクワクする。


主人公たちと同世代な人は、もう懐かしいアイテムが
いっぱいでより楽しめる。


男の好きな、「秘密基地」「ロック」「淡いエロ」
「いじめっこ」「駄菓子屋」「ロボット」などの
エピソードがちりばめられているのもいい。


大がかりな爆破や火事、アクションなど
もりだくさん。

特撮好きな人などたまらないんだろうな。

でも、最後の戦いのとこは、画面が暗いせいか、
ちょっとどうなってんのっ~て
思ってしまった。


ケンヂ役の唐沢寿明がフツーの人を演じていて、
すごくいい感じだった。
ギターを狂ったように弾いたり、路上で歌ったり、
その時々の気持ちを楽器で表したり
してる演出がいい。


ロックをあきらめてしまったケンヂだが、
路上で弾きながら
「音楽だって なんだって、本気でやれば変わるんだ」って
ナレーションのとこも好き。


戦士の紅一点のユキジ(トキワちゃん)もかっこいい役。
女の子だけケンカが強い。


ケンヂの姪のカンナをおいていくつもりだったケンヂは
ユキジに声をかけなかったが、ユキジは戦いに参加するという。


ケンヂ 「おまえにはカンナを守ってもらおうと思った」


ユキジ 「私はアンタを守るよ……カンナのためにね」


このセリフいいなあ。


豊川さん、冒頭で声だけ。
そして、ずーっと登場しなくって、もしや声だけ?
と思ったら、後半以降にカッコよく登場。
戦う豊川さんブラボー!!!

そして、第二部へ続くとこもおもしろくて、
メリハリがきいてる。
第二部がとっても待ち遠しい。

でも、第二部は来年1月末公開だった。




20世紀少年シール
会場でもらった「ともだち」マークのシール




日経エンタメ
「日経エンタティメント」9月号


監督、主演、原作・脚本のロングインタビューもあり。

監督は「原作を切り張りして絵コンテを作った」とある。



この映画の大プロジェクトの全貌を
語っている。

●「接吻」

大阪「シネ・リーブル梅田」にて

トヨエツ主演の映画「接吻」を観る。
主役は小池栄子なんだけどね。


接吻 チラシ


「接吻」
  この愛は理解されなくてもいい。
  やっとあなたという人に巡り会えたのです。


会社でも人ら蔑まれ、家族とも疎遠になっている
孤独なOL京子(小池栄子)は、
殺人事件のニュースを見て、一家三人を殺害した
殺人犯 坂口(豊川悦司)に一目惚れする。


坂口の記事をスクラップし、彼についてを調べ、
手紙を書き、面会に行き、想いを募らせる。
そんな京子を心配するのが、坂口の国選弁護人
長谷川(仲村トオル)。


殺人犯に恋する女、殺人犯、殺人犯の弁護士
という三角関係で「究極の恋愛」ということだったけど、
これは“恋愛”じゃないなと思った。


一方的な愛、言うなれば、サイコな女の妄想愛というか、
自己愛。


後で、パンフを観たら、監督も「これは恋愛映画ではない」と
書かれていた。
だから、監督の意図は十分伝わって来たのだ。



接吻 パンフ
パンフ


「獄中結婚」というテーマが提示されて、
書いたオリジナル脚本だという。


でも、それは愛し合うゆえの結婚ではなく、
刑が確定した男には、家族以外は面会できなくなるから、
面会するために便宜上、「籍」を入れただけに過ぎない。


孤独で無表情で、“陰気”だと周りから思われていると悟っていた
京子が、殺人犯 坂口を“私の人生に意味をもたせてくれた人”と
思ったことで、変わっていく。


能面のようで、ピクリとも笑うどころか、
表情を変えることのなかった女が、
“愛を知る”ことで様々な表情を見せていく。


坂口の刑務所に通うため、会社を辞め、刑務所近くに
引越して、石鹸工場で働く京子。


面会所の透明のアクリル板に手をかざし、
「石鹸の匂いがする?」と言う京子のなまめかしさ。



直接ふれあうことのできない男ではあるけど、
誰も人を寄せ付けない頑なで死んだような表情の女が、
男の前では、エロティックな表情をみせていく。

そして、口調も眼差しも「女」へと変わっていく京子。


時折甘えて、坂口の前で
「少し眠ってもいい」と、寝てしまったり……。



京子は「あの人(坂口)を理解できるのは私だけ。
彼のことなら何でも解るわ。彼は私だもの
」と
坂口と自分を同一化していく。


「仕切りのない所で逢いたい」という京子の願いが
叶う日。
坂口の誕生日祝いのケーキを持って行く京子。


そして、直接 坂口の前に出た京子は……。



衝撃のラストではあるが、私も京子なら同じ行動に
出たであろうと予想できた。
激情の女であり、欲望のままの女である。


京子の一方的な愛のカタチには共感できなかったけど、
“一目惚れ”するという気持ちは解るし、
京子の愛するがゆえの感情の動きにはものすごく
私も「同化」してしまってた。


でも、泣けなかったな。
踏みとどまらない愛には切なさがないからね。


殺人犯役で黙秘を続ける豊川さんは、
台詞がほとんどなかった。

だから、少ない台詞に重みがある。

刑務所の中で、殺人のシーンを回想するところは、
ちよっとホラー映画っぽい演出で
怖いくらい真に迫っていた。


接吻 豊川
殺人犯役の豊川悦司(パンフより)



恋愛は人を変える。
無味乾燥な日々を生きがいのある日に変え、
無表情を感情的に変える。

愛するがゆえに喜怒哀楽が増える。



やはり、愛は狂気である。
全く知らない自分を生み出し、
その人を狂わせる。


愛に翻弄されてしまう人は愚かなんだろうか。
それほどの愛に巡り合えたことはシアワセなことなのだろうか。



●「犬と私の10の約束」

昨日から公開の映画「犬と私の10の約束」
昨夜、観て来た。

犬と私の10の約束.

犬好きでもないし、こんなほのぼの映画を
なぜ私が見るのか。
それは父親役が豊川悦司だからね。
豊川ファンとしては観なくては!!


主軸は、 「女の子と犬の成長物語」なんだけど、
母親が亡くなってから、「父と娘の物語」の
部分が大きくなる。


思ったより、少女時代(少女役は福田麻由子)の
シーンが゜多くて、大人になってから(田中麗奈)との
比率が半々位あったかな。


犬を飼うことで、いろんな人とのつながりができたり、
人を想う気持ちや癒される気持ちを知っていく。
いろんな悲しみや淋しさを、少女は犬のおかげで
乗り越えたり、励まされたりしていく。


ストーリーはもう王道。
ファミリー映画だから、ひたすらに純粋で
悪い人がでてこない映画。


父親役の豊川さんも一貫して「男」の部分はなく「父」で
在り続けた。
でも、母(高島礼子)が余命いくばくもないと知った時、
縁側で父が母の膝枕で耳掻きをしてもらってるシーン。

庭では少女と犬が遊び、それをながめている父。
父は母の膝の上で涙を流し、子どものように母にしがみつき、
甘えて泣く。
ここは、泣けた。


エリート医師の座を捨てても娘と二人で人間らしく暮らすことを
決めた父の愛情もうまく描けていて、
私としては、父と娘の愛の部分の方に何度も涙してしまった。
父の愛は無償で、深い。



犬が死んじゃうシーンは、やっぱり悲しいから、
犬を飼っている人は観られるかな。
近くの席の女性は、号泣してて、鼻水まで「チーン」って
かんでた。


犬と私 パンフ
「犬と私の10の約束」パンフ



犬の気持ちから書かれた「犬と私の10の約束」っていう
短編詩が元になった映画であり、この10の約束を
最初と最後に読み上げるシーンがある。
ここは、いいのだけど、もう少しエピソードにからめたら、
最後の回想が活きてきたのになあと想う。


犬10マガジン
「犬10magazine」というフリーペーパー
劇場で配布されていた。

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●「犯人に告ぐ」

もう来ないかと思ってた。


想いは募っても、待っても無駄だと
あきらめてた。


でも、来てくれた!!

想いは通じたのね。


愛する豊川さんの映画「犯人に告ぐ」
高松でもやっと上映。


人に告ぐ ポスター

単館映画館で1日二回の入れ替え上映扱いだけど……。
案の定、初日で土曜の夜だというのに
観客は数人。


豊川さん、初の刑事役。

もう、ひたすら豊川さんがカッコイイので
二時間、食い入るように見つめ
一瞬たりとも気が抜けず、映画と同化してた。


豊川さん演じる主人公“巻島”という中年男は
とても魅力的なキャラである。

これは原作でしっかりと作りこまれている
キャラだからであろう。


でも、客観的に観るとどうなんだろう。
ツッコミどころは多い。


パンフに監督も書いていたが、
この映画には三つの要素がある。


一つは 巻島が挫折から、再度立ち上がる
成長物語としての要素。
二つ目は、少年連続殺人事件において、
犯人が声明文を送り付けるなどの
劇場型捜査的な要素。
三つ目は警察という組織の中でのせめぎあい
の要素。


一つ目が多いと人間ドラマ、
二つ目が多いとミステリー、
三つ目は社会派ドラマというところか。


で、今回の映画は一つ目の要素である
巻島の成長物語が中心。
だから、ミステリ映画を期待した人には
物足りなさが残り、「ご都合主義的展開」に
がっかりするかもしれない。


「事件」や「犯人」が主役じゃないってりはわかるけど、
もう少し犯人像についての心理描写や設定があると
もっと深みのあるものになったかも。


監督は「ハードボイルド映画」と言ってるが、
そこまでハードボイルドって感じでもなかったかな。


三つ目の警察組織のせめぎあいの部分は
登場人物が多すぎて、表面的なもので
パターン化されたものに終わっていて、
物足りなくはあるが、
個性的脇役の演技がおもしろかった。


でも、私自身がサラリーマンであり、
会社では会社という「組織」の一員であるから、
共感する部分は多く、考えさせられることは
多く、うるうると涙ぐむシーンもあった。


人の上に立つもの、指導者としての苦悩や
下にいるもののジレンマなど、
団体の中の「個」というものの人間性を
改めて見せつけられた。


未消化な部分や気になる部分があったので、
原作ではどう表現されているかとても気になる。
映画を観てから、原作を読もうと思って
未読だった原作を読み始めよう。



犯人に告ぐ 本

「犯人に告ぐ」原作本

映画と原作では家族の設定が違う。
巻島の妻役が松田美由紀って、
どうなのって違和感を感じたわけだ。



●「椿三十郎」

「椿三十郎」


椿 看板


豊川ファンとしては観なければ……


映画の日で初日だし、混むなーとはりきって

初回に行ったというのに、館内はがらーん。

観客は10人くらいか……。


巨匠 黒澤明監督で三船敏郎主演の娯楽時代劇の

45年ぶりにのリメイク。


当時のシナリオそのままに森田芳光が監督。


いやー、おもしろかった。


主役の織田裕二ってあまり好きじゃなかっけど、

この役にはすごくあってて、いい感じで

新しいヒーロー像をうまく演じていた。


さすがにシナリオのお手本となる映画だけに

無駄のないストーリー展開が絶妙で

映像的にも効果的でおおっ、うなるとこ多数。


それでいて、それぞれの役の個性を最大限に見せ、

人間ドラマも凝縮させている。

ハラハラさせられたり、心理描写を読解させたりさせる。


でも、笑わせるとこは、ちゃんと笑わせてて、

ほんとに声出して笑っちゃったもの。


佐々木蔵之介おもろいわー。

めちゃ、おいしい役。彼のシーン、ひーひー笑ったもん。


先月に見た「サウスバウンド」も森田芳光監督でも

豊川さんと松山ケンイチが出演していたが、

今回もそのキャストはハマってた。


豊川さん、最初、声が高くて棒読みっぽかったけど、

後半のクールでワルぶりを出すとこは

めちゃくちゃカッコイイ!!

やっぱり豊川さんはクールなSキャラが似合う。


椿 パンフ
パンフレット

●「サウスバウンド」

やっと、豊川さん主演の「サウスバウンド」を観る。


サウスバウンド パンフ
「サウスバウンド」映画パンフ



原作を読んでから観たかったけど、
時間がなく、未読のまま映画鑑賞。


公開から一週間なのに、すでに上映は1日二回のみ。
しかも土曜の夜の回だというのに、客は7人くらい。


豊川さん扮する主人公は、元過激派のアナーキストで
曲がったことが嫌いで、筋を通す破天荒な親父。
裕福な呉服屋の娘だったのに、そんな親父とかけおち
して、三児の母となった妻役は天海祐希。


この二人の共演は、芥川龍之介の名作『藪の中』が
原作の「MISTY」。


これは、とってもマッチョでワイルドな
豊川さんだったなあ~。
映画はコケたみたいだけど……。



で、「サウスバウンド」。
映画は、前半が東京・浅草が舞台で、
後半は、沖縄・西表島が舞台。


ロケーションも対照的だが、豊川さんも
前半は「言葉」で攻め、後半は「肉体」で攻める。

豊川さんの長男役の「二郎」の視点で物語は語られる。
この子役クン、今回がデビューとなるらしいけど、
とてもうまい。
そして、なんといっても目力がある。


小学六年くらいのまさに「少年」の期間って
短いよね。
この映画にはそんな少年がけっこう出てくるので、
少年好きの人には、別の意味で楽しめるかも。
私は中年派で、ショタコンじゃないから萌えないけどね。


森田芳光監督は、「少年を描くのに力を入れた」と
あったが、ものすごくキャラを創りこんでる。
台詞一つにしても計算されつくしているから、
少年たちがものすごく漫画的。


だから、入り込むまでにちよっと時間がかかる。

その上、豊川さんの役が、ものすごく突起した役
なので、「ファンタジー」だと思わないと
観られない。


劇画の中にギャグ漫画の主人公が紛れている
みたいな感じか……。


豊川さんの役は難しい役どころで、
自分の信念だけで権力に向かって立ち向かう。
周りはハタ迷惑なんだけどね。

でも、それが威圧的にならないのは、
豊川さんのキャラなんだろう。
新しい標的を見つけたいたずらっこのような目で
かわいい。



森田芳光監督といえば、昔観た
「家族ゲーム」を思い出した。
細かいところは忘れたけど、松田優作扮する異端の
家庭教師がおもしろかった。
横一列に並んだ食卓シーンが印象的だった。

後で「キネマ旬報」を読んだら、
この「家族ゲーム」と対比的な作品だとあった。
「家族ゲーム」が〔陰〕ならこの「サウスバウンド」は〔陽〕。


でも、この映画、家族の再生物語かと思ったら、
愛の物語だった。


ラストの方の豊川さんの台詞。


みんな、お父さんを見習うな。
 お父さんは極端だからな。でも汚い大人になるの
 だけはやめてくれよ、違うと思ったらとことん戦え、
 負けてもいいから戦え。人と違っても良い。
 孤独を恐れるな。理解者は必ずいる」

と、長女が「それは、お母さんのことね」と。


母役の天海が微笑む。

これぞアルカイックスマイル!!

凛々しく男性的「母」であるが、
かつての同志である「父」の前では
ひたすら信望し続ける永遠の「ファン」であり、
共に寄り添い続ける「女」なのである。


愛を信じれば、人はこんなにも強くなれるのだ
ということを感じさせてくれた。


数年前に私も西表島に行って、海の美しさに魅了
されたが、この映画でも海の美しさが際立っていた。
ロケ隊が探しに探したという「入り江」のシーンは
自然とあいなって実に感動的だった。



シナリオ
「シナリオ」誌 11月号


映画鑑賞後、シナリオを読み、創作関連の記事を読む。
出演者の服の色を統一させ、色彩をとても意識
したり、台詞ではなくワンシーンだけで全てを
表すような省略の技術がとても活かされていて、
シナリオ的にもとても勉強になった作品だった。



キネ旬 10.
「キネマ旬報」10月下旬号
 巻頭特集が【サウスバウンド】



スクエア

「シネマスクエア」
ここにも少し「サウスバンド」の豊川さん特集が
掲載されている。

★「LOFT」

「LOFT」


監督・脚本 : 黒沢清
出演 : 中谷美紀 、 豊川悦司 、 西島秀俊 、 安達祐実 、

     鈴木砂羽 、 加藤晴彦 、 大杉漣



またまた豊川さん映画「LOFT」をDVDでやっと観る。
今度はホラーである。
これも高松では劇場上映されなかった。


監督は黒沢清だし、ヒロインは松子の中谷美紀だし、
モチーフが「ミイラ」「呪い」「永遠の愛」だもん
期待するよー。



しかし、
うーん、期待しすぎたのがだめだったのか、
消化不良だったなあ。

前半はたらたらと、ただ音楽とカメラワークだけで
あおるって感じで話の本質にふれてない。

ネタだけふっといて、回収してないというか
伏線はったもののからめてないというか……。

セリフがからまわりしてるというか、
かみあってないというか。うむ。


でも、夜中に一人で観るとちょっと怖い。
背中を壁にぴったりつけてないと、なんか怖い。


これはシリアスな豊川さんを堪能できる。
ほとんど笑わないんだもん。
でも、クールでカッコイイ。


ラストがあまりにあまりなんで、
あっけにとられて、大笑いしちゃう。
いや、せつない話なんだけどね。


黒沢清監督なら「CURE」がおもしろかった。
ホラーよりも狂気の人間の方がどれだけ怖いか
よくわかる。

「ドッペルベンガー」も役所さんの演技に
ひきこまれてよかった。


★サイコホラーものの好きな人はどうぞ。


●「CURE」の感想
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10000412383.html


●「ドッペルベンガー」の感想
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10000423003.html




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続けて豊川さん映画を観たが、
「愛ルケ」と「やわらかい生活」では
寺島しのぶをお姫様抱っこする豊川さん。
で、この「LOFT」では、中谷美紀をお姫様抱っこ。
その上、『ミイラ』までお姫様抱っこしちゃう。

今、日本一「お姫様だっこ」するのが似合う俳優
は、豊川悦司かもしれない。


でもさ、ミイラ、そんなに
くね~って抱きかかえたら
いかんでしょ。




ロフト ふたり
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「LOFT」のワンシーン。


中谷美紀はスランプにおちいった作家で、
執筆に専念するために森の中の一軒家に引越す。
その家の前のあやしい建物にいたのが
大学教授の豊川さん。


「ミイラ預かってください」って
「はい」って預かる方も預かる方だと思う。
「どうして私に……」と、躊躇するけど、
「あなたなら預かってくれると思ったから」って
めちゃくちゃ強引なんですが……。