2011年12月08日(木) 01時55分50秒

【東京②】キャラメルボックス「流星ワゴン」

テーマ:[演劇・舞台]

7日午後は、東京国立近代美術館を後に、池袋へ。

サンシャインスカイレストランの58階で ランチをした後、サンシャイン劇場へ。


重松清が2002年に出版したベストセラー小説
「流星ワゴン」 を演劇集団キャラメルボックスが 舞台にしたものを観る。

脚本:成井豊
演出:成井豊+真柴あずき


月影の舞


妻に離婚を迫られ、息子は家庭内暴力のひきこもりで、
リストラを言い渡された38歳の一雄は 「死んでもいいかなぁ」そう思った。

その時、彼の前に一台の赤いオデッセイが停まった。
乗っていたの父親と少年。
二人は五年前に交通事故で亡くなっていた。

そして、そのワゴン車に乗って、一雄は大切な場所、
すなわち過去へと旅立つ。



舞台中央にワクだけの本物のワゴン車が登場する。
そして、それが横をむいたり引っ込んだりして、
動きを表すというシンプルな作り。
でも、両側の空間を上手く使って構成されていた。


幽霊も出て来るし、タイムスリップもする。
でも、ファンタジーなのに、その物語の中に引き込まれて、
一緒に苦悩し、もがいて、泣ける舞台だった。


人生の分岐点に戻ったとしたら、人はやり直すことが
できるだろうか?
未来を知っている自分だったら、もう一度やり直せるか?


人生はやり直すことはできないし、
過去を変えた所で、未来は変えられないのかもしれないし、
過酷な「現実」の状況は同じなのだが、人生の分岐点に立つことで、
もう一度見つめ直せたり、当時見えなかったものが見えたりする。


そして、大切なのは「再生しようとする意志」なのだ。
キレイゴトや夢物語だけでなく、厳しく辛い事態を突きつけられても、
元気がでてくきるような舞台。


小説を読んだ時も涙がこみあげてきたが、
より視覚化された舞台では、ボロボロとあふれる涙が
とまらなかった。


月影の舞
「流星ワゴン」原作小説


自分と同じ年の父親と逢う所は何ともいえず、
せつなく、心があったかくなり、悲しくなる。


ワゴン車の少年を成仏させるために父親が息子を
事故現場に連れて行き、引き離そうとするところは
号泣してしまった。


でも、なんて、原作に忠実な舞台なのだろう。

妻が行きずりの男達と逢瀬を重ねる手段が、
原作では「テレクラ」になっていたが、

舞台では「出会い系サイト」になっていたところが
時代を感じたが……。


妻は夫に「あなたは“夫”……」と言うシーン。
妻は「女」であり、「男」が欲しかったのだろう。
そんな妻の勝手な言い分による不貞を、
過去に戻って見つめつつもどうすることも
できなかった一雄。
原作では、そんな行為の妻を抱く。


成井豊氏は、一度は舞台化オファーを断られたのに、
ずっとやりたいと思っていたそうで、実現したとパンフに
書かれていたから、この原作への想いが深かったのだろう。


今回は、初めての試みとして、「読者」という形で語り手を登場
させている。


成井豊氏いわく、劇作家、演出家としての挑戦なんだと。
物語のことを知らない語り手を舞台にのせるということは、
観客代表を舞台に立たせるということ。



クリスマスにふさわしい、ちょっとファンタジーで、
でも現実を生きていく上でも元気をくれる舞台。



25日までまだ上演しているので、興味のある方はぜひ!




流星ワゴン (講談社文庫)/重松 清
¥730
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