●「必死剣鳥刺し」

土曜日の朝は、公開初日の豊川さん主演映画
「必死剣鳥刺し」を観る。



月影の舞

藤沢周平の短編時代小説「隠し剣」シリーズの一編を
映画化したもの。


本格時代劇ではあるのだけど、
殺陣のシーンが前半ほとんどなくて、
人間ドラマが大半。


それも勧善懲悪的なストーリーではなく、
ちょっとせつない感じのドラマ。
だから、チャンチャンバラバラの
斬り合いを求める人には退屈かも。


最初にに核になる事件が起こり、
その変化による主人公 三佐エ門(←豊川さんね)が閉門。


まさに「静」の訪れ。
その「静」の時間の流れを示しつつ、
事件に至る経緯や、三佐エ門を取り巻く人間環境が
回想によって表される。


現代と過去が交差しているので、
最初は人間関係を把握し、徐々に感情部分を
読みとっていくようになる。


愛する妻を亡くした三佐エ門は極刑を覚悟の上で
藩主である右京太夫の妾、連子を殺害。

しかし、献身的に尽くしてくれる亡き妻の姪である
里尾の存在が三佐エ門の心を癒し溶かしていく。


そんな人間模様は現代劇と変わらず、
心情に寄り添える。


しかし、違うのは「死」の概念だろうか。
常に刀を持ち歩く武士の世界、
お上の命令が絶対である社会においての
「死」は今以上に近いものであり、
自分の意思とは関係なく受け入れなければ
いけない「死」が多い。


連子役はツィッタードラマのピーチ役の
関めぐみ。

イジワルな役はいいのだけど、
現代のワガママ娘という感じで、
「悪女」特有の凄みというか、
男を惑わせる魔性フェロモンが少なかったかな。


まあ、そんな女に惑わされる藩主のバカ殿っぷりも
ちょっとギャグ的な感じだけど。


三佐エ門は正義感が強く、誠実で潔く、
とても人間的に優れているキャラとして描かれている。
そして、それを支える里尾は、無垢で男にかしづく素直な
女のようでいて、女としての芯の強さが感じられる。


三佐エ門にひたすら従順に尽くすのだけど、
いざとなったら大胆に
「私をそばにおいてください」とすがる。

そして、関係をもってしまうと……
女は強くなるよねー。


三佐エ門と里尾の濡れ場。
里尾の部屋に忍び寄る三佐エ門。
三佐エ門は背中を晒すのだけど、
里尾は着衣のまま。


上半身だけのアングルで、豊川さんの大きな背中に
隠れて、里尾は肌はほとんど見せず、
顔の表情だけの演技。



豊川さんの背中、黒くて大きくて
なぜか油ぎってるというか、テッカテカ。
なんかオイル塗ってるよね。


初めて関係をもった翌朝、朝の光の中で
里尾は、朝ご飯の支度をしながら、
昨夜を思い出してほほ笑む。
なんか、妙にそこがエロティックだったなあ。


そして、愛するがゆえに、しばし別れる二人。
旅立ちのシーンに里尾は泣く。
一人で、顔をくしゃくしゃにして、
子どものように泣きじゃくる。
男の胸にすがって甘えて泣くのでもなく、
すまして涙が頬を伝うような泣き方でもなく、
まさに無防備にこみあげる感情のままで泣く。


ここは、せつなくて泣いた。


ラストのクライマックスの殺陣シーンは圧巻。
刀で斬り合うというより、刺し合う。

だから、普通のチャンバラのような
刀がカンカンとふれあう音よりも
ジュッバ、ドスッ、グサッって感じで
生々しい。


しかも血みどろ。


障子に血しぶきがドピューッと飛び散り、
肩口からジュパっと血が飛び出し、
るのを皮きりドピュー。


庭での乱闘になると雨も降り出し、
闘いは壮絶。


豊川さんの丸刈り頭、チョンマゲ、
浮浪者風ロン毛とヒゲ、そして最後は落ち武者ヘアーと、
たくさんの髪型が楽しめた。


入浴シーンは何回かあるので豊川さんの生々しい
上半身も堪能できた。



月影の舞
「必死剣鳥刺し」パンフ




月影の舞
「キネマ旬報」(7月下旬特別号)

表紙が豊川さんで「必死剣鳥刺し」特集。


幽閉シーンで豊川さんが正座している時、
目を閉じているか開けているか悩み、
2パターン撮影したとか。

目を開けていると観客はその目を
見てしまう、閉じた方が心情があふれる
だろうと、閉じた方がが採用。


抱くシーンは監督の演出なしで
豊川さんが任され、ワンカットで
一発でオッケーだったとか。



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