日曜日の午後は、単館映画館にて
「たみおのしあわせ」を観る。

たみおのしあわせ チラシ

演劇界のチェーホフ 岩松了の脚本・監督作品で
オダギリジョーが主演。


オダジョーの婚約者に男性の人気の高い麻生久美子。
父親役はシブイ 原田芳雄。


母親が事故で亡くなってからずっと、
父と息子 民男のオトコ所帯。


何度お見合いしてもうまくいかない民男を
なんとか結婚させようとあせる父であるが、
父は反対に女関係(大竹しのぶや石田えり)
に問題アリ。


何度めかの見合いの末、ようやく交際が
スタートした女 瞳は美人だけどワケあり風。

父と民男は妻の実家だった家に住んでいるが、
その家は妻の弟である叔父 トオル(小林薫)のもの。
弟は海外に行っているはずだったのに……。


民男と瞳の結婚へと向けて話は進んでいく。


最初はまったりした感じだったのだが、
途中からいろんな関係が入り乱れ、
深い問題をさらりと投げつける。
でも、投げつけるだけ。


映画ならではの「省略」の面白さがあり、
見せない部分が多い。


だから、「A子さんは○○なので、シアワセです」
「B男くんは○○な愛を望んでます」と、
空白の部分がちりばめられていてて、
全て観客に委ねられている。


ラストの方で民男と瞳の結婚式となるのだが、
二人の「愛の誓いの瞬間」で、民男は躊躇する。

教会内がざわつく中、誰かが誰かの手を取って
逃げる。


結婚式で逃げ出すシーンは、多いが、
このパターンはあまりないだろう。
予想したのと違ったから、私は大笑いしてしまったが……。



二人は走って、バスに乗り草原へたどりつく。
そして意味不明なラスト。


何、何、何なの?
みんな問いかけるだろう。



でも、最後の最後も、観ているものが自分で答えを
出さなきゃいけない。


シアワセって何?

結婚って何?
愛って何?

と。


演技派な役者が揃っている。
大竹しのぶなんか、まさに嫌な女の役にぴったり。



原田芳雄の父親役がなかなかいい。
男としてバカだなあと思うところもしばしばあるのに
なんか憎めなくて、いい年してるのにかまってあげたくなる
ような誠実と不誠実、危うさと落ち着きなど反する面が
見え隠れする男。


麻生久美子のセリフで

「バカなの、私。わかってるの自分で。
 みたいな女だって。
 ちゃんと下でヒモをひっぱってくれる人がいないと、
 どっか飛んでっちゃうの……」
っていうのがある。


こんな美人に言われたら、男はメロメロ。
それで、民男は抱きしめちゃうんだけどね。


このセリフ最初聞いた時「私って?」と思った。
んな、わけないよね。
でも、こういうセリフは美人じゃないと言えないね。


中年の恋愛、老年期の性のことについても提示される。


もちろん匂わせて、答えは出さないのだけど、
年とってもなお、男と女は求め続け、
愛し合い続けるのだなあ。


それはシアワセなことなの?
愛なの情なの寂しさなの?


シークレットにしている部分の想像をかきてい、
ぶつけてくるテーマに自分なりの答えを探す……
いろいろと考えさせられる映画だった。


たみおのしあわせ パンフ
「たみおのしあわせ」パンフ