月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


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2013年の年末に読んだ本。


「幽談」
京極 夏彦 (著)
角川文庫/2013.12.25/520円



不安でも嫌悪でも驚きでも不思議でもなく、
純粋な怖いものを。
真実の“こわいもの”を知るという屋敷の老人が、
男にさし示したものとは。「こわいもの」ほか、
妖しく美しい、幽(かそけ)き8つの物語を収録。
          <裏表紙より>

「怖い」ものって何だろう? 
再文庫化。

都市伝説的な人づての話しの方が信憑性がないのに
怖くなる。
事実かもしれないし、噂だけかもしれないという曖昧さ
が逆に怖かったりする。

しかし、京極夏彦の短編は、想像力を要するので、
入り込むまでにちょっと時間がかかる。
決定的なオチがない分、後味はよくないけどね。

表題の「こわいもの」はヤラレタ感があるけど、
実際はそうなんだろうなあと妙に納得させられる。


本当に怖いものを知るため、とある屋敷を訪れた男は、
通された座敷で思案する。
完全な暗闇の世界、思いもよらない異形のモノ、
殺意を持った猛獣や殺人鬼、己が死ぬこと、幽霊――。
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第66回カンヌ映画祭審査員特別賞受賞の「そして父になる」。
来週公開だが、「結論」が気になったので、映画を観る前に
一気に読む。


これは映画の原作本ではなく、映画のノベライズ。
なので、既に映画のキャストがイメージに浮かぶ。


「そして父になる【映画ノベライズ】」
是枝 裕和 (著), 佐野 晶 (著)
宝島社(宝島社文庫) /2013.9.5/657円

月灯りの舞
絆をつくるのは、血か、それとも共に過ごした時間か

小説で紡がれる……映画で語りつくせなかった
それぞれの想い。        <帯より>

               
ややネタバレを含むので、真白い心で映画を観たい方は、
ココから先は読まないでね。


エリートの良多は、6歳の息子が出生時に病院で、
取り違えられた息子だと知らされる。
という「子供の取り違え」がテーマ。


昔、テレビドラマでも同じテーマのものがあったが、
昭和ならまだしも、平成の今、取り違えなんて、
違和感があるなあと思ったら、そこは「仕掛け」があって、
サイドストーリーの為に、「事件」として描かれる。


とても解りやすい 対照的な家族、夫婦が
それぞれの息子と関わることで、自分自身の家族関係、過去を
振り返り、模索して、「結論」を出そうとする。


我が子と信じて6年間育てて来て、血がつながってなかったから、
はい、本当の息子と交換 なんて、簡単なことではない問題ゆえ、
それぞれの葛藤が描かれて行く。


母親の立場、父親の立場、兄弟、祖父母、周りの人達、
そして病院側、弁護士側と、様々な視点が出て来るが、
結論を下すのは誰で、その時期はいつなのかは
とても難しい。


人が生まれて育つ上において、影響されるのは、
血なのか環境なのか。
もちろんどちらの要素もあるのだろうが、
とても考えさせられる。


離婚や再婚の増えた今の時代においては、産みの親と育ての親が
違うことも多々あるだろうが、そういう人たちは
この映画を観たらどう感じるだろうか。


親子の愛は無償の愛とはいうけれど、愛し方、愛され方は
それぞれで、それが互いにどう伝わるのか、
人を愛することの受け継がれ方というものを意識した。


じんわりと胸が熱くなったり、涙を誘うところはいくつもあるが、
設定の違和感が作りごとすぎて、どうも皆が物解りがよすぎる
感じはぬぐえない。


でも、「家族」「仕事」というものについては、
いろいろと考えさせられた。


終わり方はとても映画的で上手いなあと思うが、
読みモノとしては、ちょっと物足りなく、
もう少しはっきりした決着をつけて欲しかったかな。



そして父になる【映画ノベライズ】 (宝島社文庫)/是枝 裕和
¥690
Amazon.co.jp

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「八日目の蝉」
角田 光代 :著
中央公論新社/2007.3.25/1600円


月灯りの舞

逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか--
理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。
家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。
                     <帯より>

 
悪いのは優柔不断で嘘つきで、優しさという不誠実さしか
持ち合わせていなかった男だと思うが、
これは「女」の物語。


「女」と言えども様々な立場の女が出て来るので、
読む人の立場によって、かなり嫌悪感を感じる人や
辛くて読めない人もいるだろう。


不倫の男の子どもを中絶し、子宮癒着を起こした女は
不倫男と妻との間の子どもを誘拐し、逃亡する。



逃げ切れるわけはない、逃げても幸せになどなれるはずはない。
愛という「エゴ」を振りかざすことはお仕着せにすぎないのだから、
思いあがるなよ。

と、誰もが読みながら思うだろうが、読み進めて行くうちに
その逃亡劇に加担しているかのように錯覚する。


それだけ 女の少女への想いが“強い”ものだと感じる。
しかし、女は愛と罪との後悔の狭間で常に葛藤し続ける。


女が逃亡生活の果てにたどりついたのが小豆島。
とても美しい島として描かれ、女と少女にとって
この島での暮らしが一番幸せな時間だったのだろう。


でも、この小豆島で逃亡生活は終わる。


小説の後半は、この少女が大学生になった所から
始まる。

事件を回想するカタチで、少女が大人になっていく過程と
本当の家族たちのことが綴られていく。


そして、大人になった少女は血のつながりもない誘拐犯の女と
同じ様に、不倫相手の子どもを宿す。



女としての生き方を突きつけられ、母性というものの正体を
えぐりとる。



逃亡先の一つに「カルト教団」の集合施設が出て来るが、
ここの描写がとても興味深い。

外の世界を全てシャットアウトし、閉じこもった塀の中で、
女ばかりで生活している。

そこに集う女たちの共通点、思考が変わって行く様子、
そこから抜け出す事の意味など、考えさせられる。


修行と称して「あなたは男ですか? 女ですか?」
「あなたは美しいですか? 醜いですか?」というような
質問が繰り返される。


要するに、俗世間の常識や決まりごと、価値観を捨て、
魂のレベルになれということで、
何ものにも囚われないで生きることを説かれる。



この小説のシチュエーションで思いだすのは、実際にあった
「日野OL不倫放火殺人事件」だが、愛人のとった凶行は全く逆であった。


この事件の愛人は二回中絶し、妻から
「生きたお腹の子を平気で掻きだす女」とののしられる。
自分の子は中絶させられたのに、妻は出産していることで、
子を失う辛さを妻にもあじあわせるため、男と妻の子を
放火して殺害。


小説では中絶したお腹を女は「がらんどう」と言う。



月灯りの舞
「八日目の蝉」映画チラシ




月灯りの舞
小豆島「八日目の蝉」のロケ地マップ


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1つ前の日記に、
桐野夏生の「ただ セックスがしたいだけ」
自費出版本のことを 読みたいと書いていたら、
心優しき方が、買って来てくださった。
嬉しい。


透明の袋に入ったその本は手に取ると、
その小ささと薄さを感じる。


月灯りの舞

「ただ セックスがしたいだけ」表紙
桐野夏生:著  牧野伊佐三夫:絵



本としては、かわいいが、
中はやはり桐野夏生が書く世界、エグイ。


といっても、エロさそのものというより、
人の生きて行く上での欲望の深さや、
生きていくことの過酷さや愚かさ。


炭鉱労働村で働くコウサという若者。
寒さと貧しさの中で、「炭鉱」という厳しく
閉鎖的な労働をし、何の楽しみもない暮らし。


男ばかりで老女すらもいない村。

でも、大きな川が凍ってしまった時、
男たちが浮き立ち始めた。


凍った川を渡って、対岸の女たちがやってくるのだ。


女たちは食料などを男にもらい身を任せる。

そして、コウサも初めて女を抱き、
「この世の極楽だと思った」と。


そして、コウサはまた女を抱くために、
変わって行くが……。


短編であっと言う間に読めてしまうが、
なんともやりきれなくなる話である。


直接的な過激な性描写があるわけでもないが、
男が女とセックスをするための努力をしている姿が
滑稽であり、切実であり、かわいいと思う。


しかし、溺れてしまったり、執着してしまうと、
また悲しくあわれな結末を感じてしまう。



巻末に桐野夏生の「過剰でいい感じ」というタイトルの
あとかぎが掲載されている。


“牧野氏の個展を観に行き、
「ただ セックスがしたいだけ」というタイトルの絵を
観た時、何が描いてあるのか全然わからない絵なんだけど、
きっと実体のない欲望というようなものを、
「セックス」という迫力のある言葉に変えたんだろうなと思って、
その過剰さとライトさがたまらなくいいぜ、とまたも感心した

とあった。




タイトルのイメージというのは想像をかきたてるものである。
ミクシイでも、やはり エロいタイトルは
みんなの妄想を刺激するようである。


★「ただ セックスがしたいだけ」
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10795653592.html



月灯りの舞
図版「ポロ布を巻いた女」
(木版画/牧野伊佐三夫)



月灯りの舞
図版「雑穀と白菜を盗むコウサ」
(木版画/牧野伊佐三夫)

女を抱くために盗みをしてしまうコウサ。


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先日、朝日新聞に桐野夏生の小説が
自費出版されたことが載っていた。




月灯りの舞


ネットにもあったので以下、抜粋

   ↓


画家の牧野伊三夫さんが、自身で挿絵を手がけて、
作家桐野夏生さんの短編小説を自費出版した。

2人の創造力の往復から思いがけず生まれた一冊だ。



自費出版されたのは『ただセックスがしたいだけ』。


極北にある何の楽しみもない炭鉱労働村の殺伐とした暮らしと、
それゆえ荒々しいまでにむき出しの情欲とが、
17歳の若者「コウサ」を通して描かれる。
桐野さんが昨年2月に新潮社の文芸誌に発表した。



執筆は、牧野さんの絵がきっかけだった。
2人は、週刊誌に連載された小説「ナニカアル」の作者、
挿絵画家として親しくなった。

連載が終わった年の暮れ、牧野さんが都内で開いた個展に桐野さんが訪れ、
「ただセックスがしたいだけ」と題した牧野さんの絵を購入した。


そのタイトルが桐野さんの創作意欲を刺激し、同名の短編小説が生まれた。

その話を知った牧野さんは、
ことの意外性に驚きながらも大喜びで小説を読み、再び驚いた。


もとの絵は明るい色彩の抽象画だが、
桐野さんが描き出したのはひんやりとした炭鉱村の物語だ。


「連載小説の時の習い性もあって、
物語を読むうちにイメージが湧いてきた」と牧野さん。

物語のいてつくような世界観を版画で挿絵として表現し、
あわせて自費出版したいと桐野さんに提案すると、桐野さんも快諾した。


牧野さんは
「桐野さんの小説を通して創作にはエロスも必要だと学び、
描いた一枚があの絵だった。

思いもよらずに生まれた一冊だけに、喜びもひとしおです」。



東京都千代田区の東京堂書店や京都市の恵文社一乗寺店などで販売。
税込み1260円。
http://book.asahi.com/clip/TKY201102050154.html



自費出版された『ただセックスがしたいだけ』
http://book.asahi.com/clip/images/TKY201102050151.jpg



------------------------------------------------


牧歌的な雰囲気するただよう
この画家の牧野伊三夫の絵だけど
退廃的な匂いが感じられる。


作家たるもの何からでも創作意欲を刺激され、
エロスを表現していくのね。


タイトルの「ただセックスがしたいだけ」
の言葉のように やみくもにセックスしたくなるのは
実のところは 女の方が多いのだろうなあ。


それってすごく自虐的行為でありながら、
実は快楽を含んでいるっていう相反する感情が
生まれてしまうものね。


この本、読みたい>

京都市の「恵文社一乗寺店」に行ってみようかな。
この書店、一度だけ訪れたけど、すごく個性的な書店で
味わい深い。



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「悪夢のエレベーター」

木下 半太:著
幻冬舎文庫/2007.10.10/600円)


月灯りの舞

後頭部の強烈な痛みで目を覚ますと、
緊急停止したエレベーターに、ヤクザ、オカマ、
自殺願望の女と閉じ込められていた。


浮気相手の部屋から出てきたばかりなのに大ピンチ!?
しかも、三人には犯罪歴があることまで発覚。
精神的に追い詰められた密室で、ついに事件が起こる。
意外な黒幕は誰だ?
笑いと恐怖に満ちた傑作コメディサスペンス。
               <裏表紙より>



マンションのエレベーターの中に
閉じ込められた4人の話。


密室劇で、閉鎖空間での極限状態の
人間ドラマか? 思ったら……。


ありがちなソレではなくて、
ソレ自体がトリックだったりする。



センテンスが短く、小説のカタチではあるが、
台本を読んでいるよう。

著者の映画化したいという願望が見えているからか
サクサクと読みやすい。


それぞれの個性が確立されていて、
リズムよく読めるのもいい。
小気味いい言葉の応酬がセンスよく笑える。




★映画「悪夢のエレベーター」の感想はこちら

http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10431497944.html


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「こういうのいいかも」と、プレゼント
していただいた文庫本。


今更ながら読んでみた。


「溺レる」
川上 弘美:著
文藝春秋(文春文庫)/2002.9.10/400円


月灯りの舞-obore

ちよっとダメな男とアイヨクにオボレ、
どこまでも逃げる度----「溺レる」


もって深い仲になりたいのに、
ぬらりくらりとすり抜ける男
----「七面鳥が」。


恋愛の過ぎて行く一瞬を惜しむ、
傑作短編集。

       <裏表紙より>


どの話も、「食べる」か「ヤッてるか」
が中心な男と女のお話。


川上弘美の描く男と女は、愛欲なのに
どろどろしていない。
それは文体のせいなのかな。


短い文章は、どちらかというと淡々としていて、
深く過剰な心理描写がない分、
シナリオのような感じで、言葉を味わうより、
映像を“感じる”感じ。


男は苗字をカタナカ表記にし、
女は名前をカタカナ表記にしているのも
さらりとした感覚。


そして、「アイヨク」とか「ミチユキ」とか
「オボレル」「アイシテル」とかって、
漢字で書くとどろりと、情念が漂う言葉はあえて
カタカナ表記にしているのも
カラッとした雰囲気。


名前のイメージって大きいから、
カタカナだとイメージが固定されなくていい。


戯曲なんかも、カタカナ名だと、
演じる人によって変わってくる。
だから、これも読む人によって、キャラが変わって
くるのだろうな。


そのくせ「逢瀬」とか「情死」とか「接吻」
とか、古風な言い回しの漢字を使ったりする。

私は結構「逢瀬」って言葉は好き。



『亀が鳴く』という話は男に別れを切りだされる
話でせつない。


好きだったのは『百年』というお話。
一緒に死のうと男と崖から飛び降りて、
心中するが、男だけ生き残って、
女は幽霊のかたちとなって、回想する話。


これもせつない話なんだけど、じっとり湿っぽくなくて、
かにりとした味わいがあるんだね。



セックスの描写がやはり文学的な気はするなあ。
直接的でないけど、趣がある。



「自分の悦楽のためにほどこすのではなく、 
 ウチダさんの悦楽のために、必死になって
 ほどこした」
             『神虫』より



でも、私は登場するどの「男」にもそそられなかったし、
こんな「愛」がいいなあとも思わなかった。


「愛欲」というカタチに溺れているだけの気がするから……。

溺れるって、もっと苦しくて、怖くって、せつないものだよね。

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地元 高松で、「受精卵取り違え」事件が
起きる。


生命の誕生を宿した喜びと同時に
自らその命を断たねばならないという地獄の苦しみ
を受けた“被害者”女性の心労を想うと
やりきれない事件だ。


仕事上では、ほんの些細なミスなのに、
それは大きな意味を持ち、
人の生死を分け、傷つける人を生む。


人が人の命を操作することの怖さ。


ローカルニュースでもこのニュースでもちきり。


テレビのアンケートで
「医療ミスを感じたことがある」
答えた人は49%もいた。


--------------------------


医療ミスと言えば、ちょっと前にこんな本を
いただいた。
売れてるらしいということなので
参考に読ませてもらった。


大阪大学医学部卒の現役医師による医療サスペンス。


「全身麻酔」
  霧村悠康:著
  ぶんか社文庫/2008.10.20/724円


月灯りの舞-masui

国立O大学医学部付属病院。閉ざされた空間・手術室で
一人の患者が執刀されていた。


「この患者は誰なんだっ?」執刀医以下、
その取り違えを知っているのは病院関係者たちのみ。

全身麻酔の術中に覚醒してしまっていた患者を除いては…。
医療現場の闇と権力抗争、そして生と死の狭間にゆれる患者を、
現役医師が描き出した衝撃の本格医療サスペンス。
                   <裏表紙より>


おもろしい。

いや、話はとってもシリアスなんだけど、
文体というか、描写がおかしい。


手術の途中で覚醒した患者の視点で語られるとこが
笑える。


いや、現実にこんな状況だったら、イヤだし、
まさに死ぬ思いなんだけど、
どうやら患者を取り違えてるらしいということや、
権威ある教授のはずが、見事なヤブ医者ぶりを
発揮してくれる。


ほんと、大笑いするぐらとはちゃめちゃで、
なんとなく、筒井康隆ワールドを感じる。


意識はあるのに身体は動かない男の恐怖。
医師たちの言葉を耳だけで感じてて、身体がどうなっている
のかわからないけど、大変なことになってるのは
感じてる男。


でも、そのために医療ミスや患者取り違えの事実を
知ってしまう男。


この男なんとか無事に手術を終え、この経験を
「小説」に書いちゃう。

そして、ある目的のために担当教授に見せる。
教授の運命やいかに……。


これだけでは終わらず、この男の運命も
どんどん転がっていく。


彼は愛人も元妻も医療関係者。

いやあ、医療関係者を敵に回すと怖いねー。
特に女の嫉妬心にかられた復讐ほど
怖いものはない。
用意周到、完全犯罪。


女性を泣かせた男性は気をつけようね。


そんなこんなでこの小説は医療ミステリーの部分は
ミスリードもあり、どんでん返しあり、
えっ!? そんな……と絶句するところありの
盛りだくさんな内容で楽しめる。


そして、医療サスペンスの部分も
現役医師だけに描写が細かく、リアリティがあり、
怖くもあるが、いろいろ医療の闇の部分を知ることも
できる。



--------------------------

実は私もある手術をした後、麻酔が早く切れたことがある。
術後であったのが幸いだが、

早く切れるということは、痛みをもろに感じてしまう
ということ。


まあ、M女なので、痛みにはけっこう強い方だけど、
痛かったなあ……。


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タイムトラベルもの


「クロノス・ジョウンターの伝説」
   梶尾 真治:著

朝日ソノラマ/2003.6..30/600円



クロノスジョウンター
「クロノス・ジョウンターの伝説」 文庫版表紙


もしも過去に跳べることができたら、

今は亡き、愛する人を救いにいける。

すでに滅びた物を目の当たりにできる。


それだけでなく、過去の世界で、

新たな恋に落ちるかもしれない。


ついに「クロノス・ジョウンター」という機械が開発され、

誰もが夢見るそれが現実となったとき、

そこにさまざまな物語が生まれた。

さあ、「時」と「おもいで」の一流シェフの

腕前をじっくりとご堪能を。

小社既刊文庫に1話を加えた増補版。

     <裏表紙より>


「クロノス」とは、ギリシャ語で“時をつかさどる神”。


「ジョウンター」とは、“ジョウント”というのは
瞬間移動であるから、“瞬間移動する人”という意味。


そして、この本では
「クロノス・ジョウンター」とは“物質過去射出機”。
過去に飛べるタイムマシン。


本来、過去は“おもいで”でしかないのに
実際にそこに行くことができたら……
というお話が三話。


短編集なので、展開が早いけれど、
どれもせつない。

過去に戻るための『代償』がそれぞれ設定されてある。

何かと引き換えにしても欲しいもの、守りたいもの、
危険を冒してまでも、やらずにはいられないこと。


タイムトラベルという非現実的な話ではあるが、
人を想う気持ちには心動かされ、
自分だったら……と考えさせられる。



これは、この文庫を読むより、先に私は
舞台版のDVDを観た。


演劇集団キャラメルボックスで『クロノス』として
上演されたものだ。


クロノス
「クロノス」演劇集団キャラメルボックス2005 
舞台版DVD



舞台で、過去と未来をどう表現するのか

とても興味深い設定。

ここからヤヤネタバレあり。


舞台中央奥に「クロノス・ジョウンター」が
設置され、その前は主人公が飛ばされた遠い“未来”。

(過去に戻った主人公は、その代償に遠い未来に
跳ね飛ばされるのだ)

そして、なぜ未来に来たのかということを
主人公が話しながら、下手の一角が“過去”になる。



とてもシンプルな構成で見やすい。


タイムマシンものって、意外にも舞台向き
なんだなあと思う。
セットを使わなくても自由な空間で、
過去も未来も表せるのが芝居の醍醐味か。





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もう一度、あの瞬間に戻れたら……。


翻訳ものってあまり読まないのだけど、
これはタイムトラベルものだったので、読んでみた。

タイムトララベルものは大好き。


これも、ものすごくおもしろくって、フルスピードで一気読み。
それだけ、ぐいぐい読ませる。


フランスで映画化が決まったみたいだが、
読んでいても映像が浮かぶ。
映画化されたら、絶対観たい。


「時空を超えて」

 ギヨーム・ミュッソ:著/吉田 恒雄:翻訳
小学館文庫/2008.5.8/733円



時空を越えて

30年間ずっと忘れられずにいる最愛の女性にもう一度会うことができたなら―。
60歳の医師エリオットは、子どもを救ったお礼に
「あなたの望みをかなえよう」と、錠剤を渡される。
その錠剤を飲むと、死んでしまったはずの彼女が生きている30年前に
タイムトリップした。
手に入れた薬は10錠。1錠につき過去に戻れるのはほんの数分だけ。
限られた時間の中で、彼女を救い、失った愛を取り戻すことができるのか?
フランスでの映画化二三カ国での翻訳刊行が決まった、
心を揺さぶる奇跡のラブロマンス。
<裏表紙より>


これは、映画「バタフライエフェクト」みたいな感じなんだけど、
30歳のエリオットのところに、60歳のエリオットがやってくる
という設定。


過去を変えると、未来の新聞記事が消えるという描写は
「バックトゥザフューチャー」みたい。


30歳のエリオットと60歳のエリオットが交互に描写される。
それぞれの年代を表すのに「映画」や「歌」、その時代を
反映する藻の事件なとがたくさん出てくる。


タイムスリップするきっかけは、錠剤を飲んで、
「レム睡眠」の状態になったとき。
眠った時に過去に戻れるから、その戻れる時間は長くない。



運命的な出逢いをした最愛の恋人イレナは、獣医。
「オーシャンワールド」でシャチの世話をしている。
医師のエリオットとは遠距離恋愛で、飛行機で
逢いに行く。

一緒に暮らすという選択をあえてせずとも、
二人の愛は深く、唯一無二のもの。


でも、未来から来た60歳のエリオットは、
ほんの一目だけ、かつての恋人の姿を見るだけの
つもりで30年前の過去に戻ったのだが、
30歳のエリオットに
「イレナは死ぬのだ」と告げることになる。


しかも、それはエリオットのせいだと。


30歳のエリオットは、もちろん彼女を
死なせたくないから、60歳のエリオットに
死ぬ日を教えてもらい、死なないようにしようとする。


ここで、葛藤。


60歳のエリオットには20歳の娘がいる。
それは、エリオットの死後に、関係してしまった女の
娘で、エリオットが引き取り、育ていた。


エリオットが死ななければ、その女と関係することもなく、
娘は存在しなくなる。
60歳のエリオットは、娘を失うことだけはしたくないという。


イレナを生かせば、娘の存在は消える。



さあ、どうする30歳のエリオット!!


二人を存在させる方法としては、
イレナを死なせないようにはするが、
イレナとは別れ、関係を断ち、
女と関係して、娘を産ませるしかない。


これでうまくいくはずだが、
愛する人を失ってしまったエリオットは
普通でいられなくなる。

そして、一方的に別れを告げられたイレナに
しても、普通ではいられない。



そして、運命は変わってく。
ここで、友情もからんでくるから、
また葛藤が増える。



10個の錠剤のうち、最後の一個だけを残して、
エリオットは9回、過去に戻る。


最後の最後まで、ひきつけられていたが、
ラストのラスト、最後の一個の錠剤を
エリオットではないものが飲むのだが、
その使用の仕方がちょっと残念。

著者のツメが甘いというか、気を抜いたというか、
尻すぼみ的だった。


章ごとのエピグラフ(題辞)が、興味深い。
著名人の言葉だったり、小説や映画からの引用
だったり。



『あなたは何をしてもいい、考えることも、
 信じることも、全ての知識を持つことだって。
 しかし、愛さないのなら、あなたは何にも値しない
            マルセル・ソヴァージョ』



『ふたりの間で最も強固なセメントは、
 愛ではなく、セックスだ
     【チャンディガールから遠く】』


自分の人生において、大事なものは何なのか、
何を守るために何を捨てるのか、
ということも考えさせられた。


本書の冒頭では、


だれでもが一度はしてみる質問


 過去に戻ることができるのなら、人生の何を変えたらいいのか?

 やり直しがきくのなら、どの間違いを直せばいいのか?
 苦しみ、後悔、未練のどれを消してしまいたいのか?

 ほんとうに、運命を新しく書き換えてしまってもいいのだろうか?

 どういう人間になり?
 どこへ行く?
 だれといっしょに?               』


と、問いかける。


エリオットは、イレナと出逢い、
“すべてを変えてしまうキス”をし、
彼女と一緒でなければ、生きることを幸せと
感じられないだろう
と確信したとある。



そんなふうに思える人と出会えたことは
最高の人生だと思う。
例え、それがどんな展開になったとしても……。


  




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