月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


テーマ:

先日の京都の旅のお供の文庫本も
タイムスリップもの。


「彼女の遺言」
新津 きよみ (著)
角川春樹事務所(ハルキ文庫)/2015.3.12




タイムスリップのアイテムは、
54歳で亡くなった同級生が残した「梅酢」。


正に「バタフライエフェクト」のようだった。

自分の為ではなく、誰かの為に過去に戻って
助けようとする主人公。


でも、ひとつがうまくいくと何か悲しいことが
起こったり、誰かを助けると誰かが不幸になったり。

子どものいる主婦は、タイムスリップできるとしたら、
まず息子の為に過去へと戻る。


50代の女性が30代に戻った時、女性特有の月のモノを
感じる描写はとてもリアルだった。
そういうディティールも女性作者ならでは。



彼女の遺言 (ハルキ文庫)/角川春樹事務所
¥691
Amazon.co.jp


いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)
最近の画像つき記事  もっと見る >>

テーマ:

百田尚樹の「永遠の0」の原作を読もうかなと
思ったら、新刊文庫が出てたので、まずコチラ。

「幸福な生活」
百田 尚樹 (著)
祥伝社文庫/2013.12.20/648円



「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が
妻と談笑していた。
こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?
二人の関係はバレたのか?
動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。
     「夜の訪問者」より <裏表紙より>

オチの効いた短編18本。

百田尚樹のツィッターで、彼が
“「幸福な生活」は単行本のとき、
18編の短編のラスト一行が必ずページを
めくったところにくるようにした。
今回の文庫では、それが全部ずれてしまったので、
すべてページをめくったところになるように調整した。
大変な手間だった(^ー^)”

と、つぶやいていたが、見事にページをめくったところで、
あっ! と思わせる仕掛け。
こういうところ、読者を楽しませようという想いが
すごく感じられる。

短編だから、オチも読めちゃうところはあるのだげど、
その言葉で落とすのねーと感心しきり。

ブラックな怖さだったり、人の闇、痛さ、本質、
秘密を絶妙のタイミングで見せる。
ヒヤリとしたり、ニヤリと笑えるものもあったりと、
手を変え品を変えて落とす。

解説はクドカン。
「百田作品を3冊しか読んでいない僕の告白」と
題してて、おもしろい。

「同じ作家が書いたとは思えない振り幅に驚きつつ
 魅了されました」とあるが、私も同感。

「作風を持たない作家というのは、
個性で勝負できない分、純粋におもしろいもの、
娯楽性の高い作品を書くしかない」というのも、
なるほどと思う。

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

今は無くなってしまった「ホラーサスペンス大賞」の
受賞(2004年)作品で「本の雑誌」増刊「おすすめ文庫王国」の
「国内ミステリー部門第1位」作品。


著者の経歴と作品は別モノにあると思うが、
著者の経歴に感じる者があり、読んでみた。


20歳で結婚し、34歳で離婚し出家し僧侶となり、
44歳で会社設立し、55歳で倒産したため、小説を書き始め、
56歳でこの作品『九月が永遠に続けば』で
第五回ホラーサスペンス大賞を受賞した著者。


「九月が永遠に続けば」
沼田 まほかる:著
新潮文庫/2008.1.29/629円

月灯りの舞

高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。
愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。
息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、
雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。


悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか―。
人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに
描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。
               <裏表紙より>



裏表紙の解説と内容はかなり違うイメージである。

「ホラーサスペンス大賞」受賞作ではあるが、
超常現象とか、おどろおどろしい恐怖は全くない。


サイコサスペンスというのともちょっと違うが、
主人公の佐知子の元夫が「精神科医」というのが
テーマに大きく関わって来る。


登場人物は少ないが、それだけに複雑にからみあう。


俗にいう「ドロドロした関係」と、一口には言えないような
複雑な気持ちや状況がもつれあっていく。


「日常的な空間」で話は進んでいくが、
複雑な人間関係と心理関係は次々と特殊な感情を
産みだしていく。


失踪した息子を探して行くうちに、知らなければよかったことが、
次々と明白になって行き、からみあう糸がほどけ、
一つの答ええとつながっていく。


一気に読ませる筆力。
容赦ないグロテスクな地面の描写は圧倒され、
心が苦しくなる。


反面、エロティックな比喩も豊富に散りばめられていて、
読ませる所と想像させる所のバランスが見事。



一人の男でも、ある女は理知的で憧れでしかないが、
別の女から見ると残酷で忌まわしい男でしかなく、
また別の男から見ると殺したいほど憎しみを抱くこともある。


それだけに人の「心」というのは不思議なもので
「惹かれていく」ものと「憎悪するもの」の境目は曖昧
だったりする。


男を狂わせてしまう「女」というものはいるものである。
著者はこの作品の中である女を
「男を狂犬にしてしまう女」と描写している。

その はかないほど美しく、壊れやすい女を目にすると、
男はずっと守り続けるか、自ら破壊してしまうか迷い込む。
さまなければ、自分自身が壊れてしまう……。


「トラウマ」がその後の生き方、性癖に大きな影響を
及ぼして行く場合、そのトラウマを抱えた人を
愛しぬくには相当の覚悟が必要だと思う。


女性なら、読むのが辛くなる描写は多い。
辛くなる箇所がきっと自らの心の「闇」なのかもしれない。


論理、道徳観など、「愛」の前では無きものとなるが、
快楽を貪った後の「罪」は自ら受け入れなければならない。

それでも、全てを解き離せず「理性」が残り、
踏みとどまるものは、ずっと苦しみ続けるしかない。


嫌悪感を感じる人も多いテーマだし、
読後感は決して いいとは言えないけど、
小手先だけのサスペンスではなく、
言葉にすると軽くなりそうだが、
人間の「業」とか女の「性」とか深い所にまで浸透した
作品で、タイトルの意味にしみじみする。



いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

大好きな作家さんの「死」にまつわる短編集。


といってもオカルトやホラー的「死」ではなく、
日常における「死」。


大震災が起こる直前に読んでいて、「死」について
考えていたところだった。


そして、大震災後の大勢の方の死……。

日常の中に突然現れる「死」の不条理さ、
その「死」の前ではなすすすべもないやるせなさ。


「巻きぞえ」
新津 きよみ :著
光文社文庫/2011.2.20/590円


月灯りの舞

書下ろし「解剖実習」を含みすべて死体から始まる珠玉の
短編ミステリー7編を収録。
なにげない日常にこそ潜んでいる恐怖を描く
「デイリーサスペンスの女王」渾身の短編集。
           <裏表紙より>



自分のせいで、恋人を飛び降り自殺をの巻き添えで失う女は、
その偶然の死が「必然」だったことを知る。

自殺の真相の裏に潜む衝撃の真実を描いた表題作を
始め、全てが「死」から始る短編集。


「死」とは死んだ当人にとってはこの世の終局を意味するが、
遺された者たちにとって、その「死」から始る物語がある。

新津きよみの作品は、短編であれ、丁寧に書かれているため、
どの作品もリアリティを持って、迫る。


飛び降り自殺の巻き添え死なんて、確率的にとっても低いと
思うけど、実際に新聞で何度か目にしたことがある。

そんな風に日常の中にはたくさんの死が潜み、
ありえないような死もある。



夫婦間の肝腎移植の話は、愛するゆえの移植が逆に
二人の仲を引き裂き、意外な展開になっていく。
ややホラーチックであるが、医療についても考えさせられる。

最先端の医療に詳しいと思ったら、
作者 新津きよみの父は医者で兄は勤務医なのだそう。


どれもが死から派生するテーマで、
無縁仏、解剖、死後の扱われ方など、「死」について
いろいろと考えさせられる。


人の死だけでなく、犬の死をテーマにした作品もある。

愛犬をひき逃げされた女が、執念で犯人を突き止める。

女は「我が子同然に可愛がってた犬ではなく、
“我が子”なの」と……。


そのすさまじき狂乱ぶりが怖いが、
この作品を読んで、絶対安全運転しようと
心に誓うのであった。



巻きぞえ (光文社文庫)/新津 きよみ
¥620
Amazon.co.jp



いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

一つ前の日記に続いて

広瀬正の本。

こちらはちょっとくだけたユーモラスで、
一気読み出来ちゃう楽しいお話。



「鏡の国のアリス」

広瀬正:著

河出書房新社/1972年 6月15日
鏡の国のアリス

銭湯の男湯につかっていたはずの男が、
気がついたらそこは女湯になっていた!? 
そして、彼が迷い込んだのは、何もかもが
左右逆さになった、まさに“鏡の中の世界”
          <解説より抜粋>


これもまさにパラレルワールドもの。


鏡文字とかは、「左ききの会」とか、
なるものがおもしろい。


この作品にも作者の音楽家ならではの音楽的
描写があったり、左ききのサックス奏者とか
でてきて、楽しい。


ちよっとせつない恋もからめてあるのも
作者の味わいなのかな。


にほんブログ村 本ブログへ ブログランキング・にほんブログ村へ
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

元ジャズマンで、テナーサックス奏者で
クラシック・カーの手作り模型の
製作者でもある作家 広瀬正。


直木賞候補にあがりながらも受賞できず、
1972年に47歳の若さで赤坂の路上にて
心臓発作で急逝した不遇の作家。

タイムトラベルものにこだわった作家。


私はけっこう読むのは早い方なのだけど、
この本は読むのにとっても時間がかかった。
それは、難解だからではなく、あまりに丁寧に
描写されているため、じっくりと読みたかった。
そんな一冊。


「エロス もう一つの過去」

広瀬正:著

河出書房新社/1971.11.15/

エロス

昭和8年、ふとしたきっかけがもとで、
歌手としてのデビューを果たした大女流歌手。
もし、あのとき、別のことをしていたら、
彼女は歌手にはならなくて……。
「過去」とは全く違う展開の、ありえたはずの
「もう一つの過去」の姿が浮かび上がる。
             <解説より抜粋>



これはタイムトラベルものではなく、
パラレルワールドもの。
「if もしも」もの。


大物歌手である「現在」の主人公と「過去」と
歌手にならなかった主人公の「もう一つの過去」とが
交錯して描かれていく。


そして、ラストにはそれが折り重なっていき、
少しせつなくなる。


タイトルの「エロス」は、誤解されそうなのだが、
愛の女神の意味で、この物語の中に出てくる
歌のタイトルである。


昭和初期の実際の事件や風俗などの時代背景が
丁寧に描写されていて、ある意味「昭和史」として
も読める。
そして、ジャズマンらしく、「音楽」についての
描写も詳細で多い。



人は本当にふとしたきっかけで、その後の人生が
大きく変わってしまうことがある。

ほんの小さなタイミングで、出逢うべき人と
出逢ったり、ただすれ違ってしまったり。
それはチャンスだったり、不幸の始まりだったりもする。


人は一つの人生しか生きられれないけれど、
誰しも「あの時、ああしていたら・・・」と
思うことはあると思う。
そして、その、もう一つの別の道を歩いている自分が
どこかにいるのではと空想してしまう。


エロス 文庫
「エロス」文庫版

にほんブログ村 本ブログへ ブログランキング・にほんブログ村へ
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

先日、ラスト数分 睡魔に襲われ、
結末を観ないままで終わった映画「転々」。
どうしても結末が気になって、原作本を購入。


★映画「転々」の感想
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10076680062.html



ややネタバレありなので、
これから読む人で、真っ白な心で読みたい人は
ここから先は読まないでね。


-----------------------------------


「転々」 
藤田 宜永:著
2005.10/620円/新潮社


転々
それは短いけれど、運命を遡る旅だった。
ただ僕だけが、行き先を知らなかった。
せつなさあふれるロード・ミステリー。
        <帯より>


深いドラマがたっぷり。


映画のぬるさとは違って、一気読みしてしまうほど
惹きつけられた。



映画は、原作の借金取りに追われている文哉が
「100万円やるから東京散歩につきあえ」
福原という男から言われ、吉祥寺から霞ヶ関まで
二人で歩くというシチュエーションだけとって、
それに「時効警察」の笑いの部分を味付けして
ゆる~くした感じ。


でも、原作の方は、散歩の途中に二人の思い出の
場所に寄りつつ、それぞれの過去
と関わるような深いドラマが隠されていて、
それを探りながら、歩き、新たな展開へと
発展させていくという盛りだくさんな内容。


しかも、謎解きの要素がふんだんに
盛り込まれていて、最後にはあっと驚く
真実が明かされる。


ミステリの要素だけでなく、
中盤、大立ち回りもあって、ハラハラするサスペンス的
要素もあるんだよね。

原作に忠実に映画化した方がおもしろかった
だろうけど、安っぽくなるから、かえって、
別物とした、映画にしたのかなあ。


主人公 文哉は本当の親に捨てられるわ、
養父にも見限られるわという不幸続きの
おいたちで、人に対して冷めているのだけど、
ストリッパーの女に惚れちゃう。

でも、その女にはコワイ男がいるけど、
奪っちゃうとか、設定もちょっと
ドラマティックすぎるんだけど、感情描写が
うまく書かれているため、違和感なく読め、
引き込まれてた。


この著者の本は初めて読んだけど、
おもしろいなあと思ったし、人間のもろさや
弱さ、矛盾することとかすごく巧みに描けて
深みがある。


で、100万円出すといった福原の方も
文哉に負けず波乱な生き方をしている。

そして、歩く理由は「妻と散歩した道をたどりたい」。

でもね、妻を嫉妬心から殺してきてるんだよね、
この男。


妻が若い男をあさりに夜の街に出かけるように
なり、その話を聞いた時、一人の男にだけ
強い嫉妬を覚え、かっとなって
妻を殺してしまったのだという。


そして、桜田門で自首するために、歩いて
吉祥寺から東京を散歩するというのだ。


で、その嫉妬の内容なんだけど。
妻は若い男とたくさん関係をもってしまってたのだけど、
一人だけ、ホテルにいって何もしない男が
いた。

その何もしなかった男の話をきいたとき、
その男に対してだけ
強い嫉妬をしたという。


身体のつながりより心のつながりに殺すほどの
強い嫉妬をおぼえる男。
抱き合わなかったからって、
心がつながってたかどうかは別物だけどね。



それと対照的に、身体のつながりを求める女。
セックスで感じたことのない
そのストリッパーの女は、最後に文哉と賭けにでる。

文哉と最後に交わって、
エクスタシーを感じたら、このまま文哉と
別れないで二人で逃げる。
でも、感じられなかったら、尼寺に入るという賭け。



男と女は愛するほどに、相手にいろんなことを
求めるようになるね。
互いに求めるものが同じならうまくいくのにね。


男と女、心と身体についていろいろと考え
させられ、最後に せつなさの漂う物語だった。


にほんブログ村 本ブログへ ブログランキング・にほんブログ村へ
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

洋モノのミステリーはほとんど読まないのだけど、
ショートショートは好き。


起承転結の勉強にもなるしね。

短編はオチが命。
最近読んだショートショート集。


「まさかの結末
  ショート・ショート・ストーリー」

  E.W.ハイネ:著/松本みどり:訳
  扶桑社ミステリー/2006年8月/700円

まさかの結末
ベストセラー作家が贈る、世にも奇妙な
全24編を収録したショートショート集。
ミステリーからホラーまで、歴史小説から神話まで、
趣向を凝らし、バラエティに富んだ味わい。


オチが見えるものでも、どうやってそこにもって
いくかが見所。


オチを予想しながら読むけれど、やっぱり
予想外な結末ほどおもしろいね。


人生も「こんなはずじゃなかったのにぃぃぃ~」
ってことが多々あり、まさかの結末も多い。


いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

テーマ:

あなたが余命を宣告されてしまい、
たった一つだけ願い事が叶うとしたら、
何を願いますか?
その願い事は、魔法じゃなくて実現可能なことに
限ります。


先月の旅のお供に読んだ文庫本は
そんなことを考えさせられるお話だった。
本多孝好の二冊目。


「MOMENT」
   本多孝好:著
    集英社/2005.9/560円

moment

その病院で死を目前にした患者だけが耳にする、
「必殺仕事人」の話。
末期患者の願い事を一つだけ叶えてくれるという
黒衣の男がいるという。


病院で清掃夫のバイトをしている大学生の「僕」が
その願い事を叶える男……という連作短編集。


四つの話からなり、それぞれ年齢も性別も病歴も
違う患者たちがそれぞれの願いを語る。
そして、それは叶えられるのか……。


死を直前にして、人は誰を想い、何を願うのか、
希望は芽生えるのか……
ということを読ませてくれ、生と死について
考えさせられる本。


ネタバレはしてないけど、いちおー広義のミステリー
なので、これから読もうとする人で
感のいい人なら、わかっちゃうかも。

なので、これから読もうとする人で、
真っ白な心で読みたい人は、ここから先は禁猟区。


------------------------



◆一話目「 FACE」


戦争中に自分が命を奪ってしまった男の
家族の様子を探ってほしいと願う喉頭癌の老人。


ヤラレタ!
素直な気持ちで読んでしまったら、見事に
作者の仕掛けた罠にかかってしまった。

悲しいけれど、人の憎悪というものは持続するもの
なのだろうか。

人は死を直前にすると、「いい人」になるのか
「悪い人」になるのか……読後がせつないが、
考えさせられる話であった。




◆二話目「WISH」


修学旅行で一緒に写真を撮った男を探して
という心臓を患った14歳の女子中学生。


これは騙されなかったけれど、作者は上手いなあと思う。
そして、話自体はこれまたせつない話だった。


人の命の尊さは同じはずなのに、なぜ軽んじる人と
重んじる人がいるのだろう。
生きたい人に限って生きられず、
生きられる人ほど死にたがる。


生と死は常に隣り合わせで、境界線は曖昧だったりするが
死は選択できても
生は選択できないのが悲しいね。


私の父も「病気のデパートやで」というほど
いろんな病気を背負って、身体は手術跡だらけだった。
何度も「覚悟してください」と言われたのに
苦しみながらも生き続けた父。
自殺する人のニュースを聞くたび
「死ぬなら、その元気な身体と交換して欲しい」と
言ってた父。
そんなことを思い出した話だった。



◆三話目「FIREFLY」


一度も見舞い客のない乳癌の女性は何度も留守電に電話し
ているが、本当に逢いたい人は誰なのか。


これも女性としてはせつない話だった。

例え、長くない命だったとしても
凝縮して精一杯生きられたら幸せなのだろうか。
死ぬ時に「いい人生だった」って
笑って死ねたらいいなと思わせる話。


◆四話目「MOMENT」


自分が死ねばいいと殺して欲しいと願う男性の本意は?


これは、中年男性が読むと身につまされる話かも。

人は誰かのために死ねるものなのか。
自分の命より大切なものは何か
考えさせられる。




★同じ著者の「FINE DAYS」の感想はこちら
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10056119690.html

いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

テーマ:

「FINE DAYS」
  本多 孝好:著
祥伝社文庫/2006.7.30/600円



_FINE DAYS


読んだことのない作家さんだったけど、
けっこう好みの作品だった。


四編の短編なんだけど、どれも恋愛もの。
だけど、フツーの恋愛ではなく、ちよっと
不思議な話だったり、ミステリー要素が
からめてあったりして、おもしろい。


表題の「FINE DAYS」は、せつない。
高校生たちの話なんだけど、教師と高校生の恋愛も
からまれている。


抱かれることでしか自分の存在を確認できない
女の子の話ってけっこうあるのだけど、
これは、ちよっとミステリー仕立てにしてあって、
ユーモアもちりばめられていて、最後に
ズンと来た。


高校の校舎の屋上から転落した男は
膝までズボンをずりおろしたままで死んでた。
セックスしようとしたところか、
フェラさせてたところか……。
自殺なのか他殺なのか……。
という話。
いろいろ考えさせられる。



ちょっと前に読んだ漫画「怪談と踊ろう」
高校で転落する話だったが、“転落”
というのは、
「自殺にみせかけて他殺」のもあるが
「他殺にみせかけて自殺」というのもある。
後者は、もちろん誰かを犯人に仕立て上げるため。



二話目の「イエスタデイズ」という話も
せつなかった。

死の床にある父親が、35年前に別れた元恋人を
捜して欲しいと息子に頼む。


そして、息子は、父親のスケッチブックに残された
彼女の画をたよりに彼女を捜すお話。


これは、タイムスリップもの。
息子が、訪ねたアパートには、若かりし頃の父の元恋人と
若き日の父がいた。

愛し合っていたのに別れなければならなかった二人を
なんとか添い遂げさせようとする“息子”だったが、
運命は変えられない……。


死の間際に昔の恋人とかに逢いたがる話って
けっこうあるけど、大抵、男のような気がする。
男ってどうして昔の恋人に逢いたがるのだろうなあ。
きれいな思い出のままにしておけばいいのにね。




★同じ著者の「MOMENT」の感想はこちら
http://tsukiakarinomai.ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10058609463.html


いいね!した人  |  コメント(2)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。