月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


テーマ:

インパクトのあるタイトル。
ボキャブラ等で、キョーレツな芸風というか、
佇まいを見せてくれたお笑い芸人 松本ハウスの
加賀谷の統合失調症の記録。



「統合失調症がやってきた」
ハウス加賀谷 (著), 松本キック (著)<松本ハウス>
イースト・プレス/2013.8.7/¥1300
月灯りの舞

人気絶頂の最中、突如姿を消した一人の芸人―。
統合失調症という病に襲われたハウス加賀谷の半生と、
「松本ハウス」復活までの軌跡が、
相方・松本キックの視点を交えて、いま明かされる。
                <帯より>


ドリフも見ずに、ひたすら塾通いをし、「良い子」で
いた小学生時代から始まる加賀谷の半生。


中学時代、その症状が少しづつ表れ始め、
幻聴にさいなまれる。


決定的な症状「幻覚」が始まった高校時代。
彼の壮絶な症状は、彼の言葉で生々しく語られる。


彼自身も、思い出すだけでも苦しく、
吐きながらメモをとったという。
読んでいるだけでも、とても苦しくなり、何度も先を
読むのをためらった。


そんな加賀谷が「お笑い」という自分の「居場所」を見つける。
コンビ結成までの様子が相方の松本キックの視点で語られ
ている。

それをはさんで、芸人になった加賀谷がまたその様子を
つづる。

このあたりの快進撃はおもしろい。


病を抱えても、やっとみつけた自分の「居場所」で
頑張る姿には皆、エール送りたくなるであろう。


しかし、人気絶頂になった頃、また症状が悪化し、
もっとも具合の悪い、急性期の患者が入る
精神科閉鎖病棟への入院……。


「保護室」と呼ばれる、24時間監視される一人部屋に
入れられる彼に付き添ってきた母親は、
その部屋の壁に草の絵のシールを貼って行く。
殺風景な部屋に、少しでも癒しをという母親の想いだろうか。
それを黙って見守る彼の心情も綴られ、
ここは胸がつまり、涙してしまった。


壮絶な闘病、そして、退院し、社会復帰への道のりが
綴られ、コンビ再結成にいたるまでが続く。


加賀谷とキックの「アルバイト物語」は、
二人の会話形式で綴られていて、漫才のようで、
二人のやりとりは、とてもおもしろい。
やはり、笑いのセンスがあるのだろう。


「壊れたぼくでもありじゃないか。
 壊れているんだから、騙しだましやっていくしかない。
 『舞台は最高、人生は最悪』みたいな言葉もあるじゃないか、
 と頑張った」
という彼の言葉が全てを物語る。


加賀谷という芸人とそれを支える人たちの物語でもある。

そして、具体的な治療、薬の副作用についても隠す事なく
書かれている。

この病気で悩める方、
この病気を抱えている方に寄り添っている方に
読んで欲しいと思う。
少し、光が見えるかもしれないから。


私もかなり昔に、まだこういう名前でこの病気が
認知されていない頃、身近で、壊れて行く人をみた。
出来うる限りの支えになってきたつもりだが、
彼は厚い壁の向こうに消えていった……。



統合失調症がやってきた/ハウス加賀谷
¥1,365
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今月の「創」(2013.9.10号)に、
「『宅間守精神鑑定書』出版をめぐって」が掲載
されていたので、読んでみる。


月灯りの舞

宅間守精神鑑定医が語る「人格障害とは何か」
と題して精神科医が鑑定書を出版した経緯や
意と内容についてインタビュー形式で語られている。

宅間は自らを「非健康的な精神構造」と語ったり、
「強姦された女性の痛みなんか全然わからない。
共感性がないんだ」と言ったという。

相手の気持ちや立場をわからないということの
人の怖さ。

ノンフィクションを原作にした「凶悪」という映画の
監督のインタビューも興味深かった。
「人間はどこまで凶悪になれるのかを描きたかった」
という監督が、実在の事件との距離の摂り方
テーマの設定について語っている。

園子温監督も実際の事件を元にした映画を撮っているが、
あくまでモチーフにして、物語を自由に展開させていくが、
今回のこの「凶悪」という映画は実際の事件を
忠実に追って行くのだと。
観ようによってはとドキュメンタリーにも見えるが、
やはり現実の事件とは距離感を保って撮影したのだと。

壇蜜の2作目のSM主演映画「甘い鞭」についても
プロデューサーが語っている。
大ブレイク中の壇蜜が性描写だけは“迫真の演技”を
するらしいよ。

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先週、予約制の古書店「なタ書」に行った時、
買った本。

ちよっと古いけど、朝日ワンテーママガジンの
サイコ・カルチャーのムック本。

「サイコの世界 PSYCHO」
朝日新聞社出版局/1993.8.5/¥1300


月灯りの舞

「映画」「文学・ミステリー」「建築」「美術」、
「写真・マンガ・歌舞伎・コンピュータゲーム」
「音楽」「宗教」と、のそれぞれのジャンル毎に分けられ、
そこで表現されてきた「サイコ」の世界を語る。

「映画」だと、
『スクリーンから迫る“異常心理”の不安』とか、
『俳優でみるサイコムービーの恐怖』や
『日本映画に見る、狂気の水脈とその横溢』など、
とても興味深いタイトルで、様々な視点からサイコ映画を
分析し、語る。

サイコシネマガイド「銀幕は眠らない」は、
数人の撰者が精選したサイコ映画の紹介。

「文学・ミステリー」では、
中島らものインタビューや、
ミステリー作家による「サイコキラーの同時代性」について
綾辻行人、我孫子武丸の自作紹介から語るサイコ談もある。

この二人の著書はほとんど読みふけった時期があり、
どちらのミステリ本も好きであり、癖になるり、
かなりのサイコを感じられた。

この本が出版された頃は「多重人格」本も多く出版されていた
時代でもあり、多重人格についても語られている。

『世紀末読書体験』と題したサイコスリラーブックガイドも
時代を感じるが興味深い。

「美術」では草間彌生インタビューもあり。

「音楽」では
『ノイズバンドカタログ』やサイコロックCDガイドも。

冒頭の「サイコ現象考」でも述べられていたが、
昔は、文学や映画だけの中で表現されてきた「サイコ」の
日常と非日常、外部と内部、意識と無意識の差が
なくなりつつあり、明確な区分がなくなってきている。
正常と異常が絡み合い、ボーダレスになっている状態と
いえよう。

月灯りの舞
サイコシネマガイド「銀幕は眠らない」のページ。
モノクロだが、割と写真が豊富で、
紹介コメントもそそる。

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大好きな精神科医の春日センセのエッセイに
漫画家 吉野朔実がイラストを添えたコラボ本。

春日センセは変わった人たちの観察力がすごく、
今迄にもそんな変な人たちを語り、精神分析
してきたが、一番変わっているのは春日センセ
自身かもしれない。

「精神のけもの道 ―
 つい、おかしなことをやってしまう人たちの話」
春日武彦:文/吉野朔実:漫画
アスペクト/2012.7.5/619円

月灯りの舞

馬鹿げたこだわり、意味不明な欲望…。
逸脱する精神の奥深さを楽しむ、漫画&エッセイ集。
              <帯より>

精神のバランスをくずしてしまって、
本人は気付かずに 何か突飛な振る舞いをしてしまう人たちが
登場する。
それは作ろうとしていないのに知らない間にできてしまう
“けもの道”。
人は王道を歩いていたつもりなのに、
いつの間にかけもの道に迷い込んでいたり、
自らそこへ飛び込んでしまったり……。




ちょっとこの本とかぶってる所あり。
春日センセの本では これが一番おもしろいかも。
   ↓
★「不幸になりたがる人たち―自虐指向と破滅願望」
  春日 武彦:著/文芸春秋/2000

★「家屋と妄想の精神病理  -あるいは、狂気とアナクロニズム」
  春日武彦:著/河出書房新社
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10004219216.html


★「精神科医は腹の底で何を考えているか」
春日 武彦 :著
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10575162703.html


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45歳で自死した俳優 古尾谷雅人とポルノ女優 鹿沼えりの
一見 華やかな夫婦を襲ったのは「うつ病」という悪魔か。

産みの母に捨てられ、継母には優しさをもらえず、
父親からは暴力を受けた古尾谷雅人の中には
ジキルとハイドが芽生えていたのか・・・。

いたわりあいながらも、傷つけあう家族。
読むにつれ、苦しくなるが、今 悩んでいる人にとって
何かしらの指針になるのではないかと思える本。


「最期のキス」
古尾谷 登志江 (著)
講談社/2004.3.25/1400円

月灯りの舞

「こうなってほしかったんでしょ!お母さん」
遺体を前にして娘の麗は私に向かって叫んだ。
             <帯より> 



「わが人生 わが日活ロマンポルノ」 小沼勝 (著)
の本の感想を書いた時、マイミクの方より、
この本を薦められ、ソッコーでアマゾンで注文し、
読んでみたものの、しばらくは暗澹たる気持ちに
襲われた。

妻が、古尾谷雅人という人間を淡々と語って行く。
そして、それは家族の戦いの物語である。

俳優としての彼の仕事のこと、父親としての家庭での彼の様子、
夫としての彼、そして、一人の男としての
生い立ちから、自ら幕を降ろした人生模様がつづられる。

ナイーブさと破壊力。
優しさと冷酷さ。
それは壮絶な光と影。

それは危ういバランスを取りつつもいつしか
彼の心を壊していく。


首を吊って死ぬと、体内のものが流れ出すというが、
彼の死はとてもきれいだったという。
それは死を覚悟して、彼が死の一週間前から、
食物を摂取しなかったためであろうと言われている。
 
魔の一瞬、死への助走も妻には解っていたのだろう。
それでも走り続けるしかなかった妻。

そして、遺体を前にした長男と長女に、妻は叫ぶ。
「役者になろうと思っているのなら、
 父親の死を前にした時の、嘘偽りのないリアクションを
 しっかり身体に、頭に刻みつけておくのよ」と。


★「わが人生 わが日活ロマンポルノ」小沼 勝 (著)
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-11286287162.html

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色モノの本。
といっても、エロイ方のイロモノではなく、
色彩の「色」についての本。


「本当に役立つ色の使い道
  色神さまと色のひみつ」
PHP研究所/2012.3.14/1300円
ポーポー・ポロダクション (著)



月灯りの舞

人を動かす・癒す・引きつける! 
すごい色の力を“イロガミサマ”がゆる~く教えてくれる本! 
『使うための心理学』の著者待望の新作!
            <解説より>


「色」は偶然でき上がっているものではなく、
色はその色を決めて、作っている存在がある。
どうやらその存在は『イロガミサマ』と呼ばれているらしい…」。
で始まる この本。


ゆるいイラストのイロガミ様とともに
色の秘密に迫って行く。

写真が豊富なのが嬉しく、いろんな色を写真で
見せてくれ、その色名と色がもつ効果、
その色が好きな人の心理分析までしてくれる。


青い部屋と赤い部屋では、青い部屋の方が広く見える。
寒色系は「後退色」と呼ばれ、奥まってみえるから。

でも、青色の服は「信頼される色」であり、
青色は睡眠誘導の色でもあり、ねつきがよくなる色。


色と熱反射の関係も興味深い。
車では、黒色が熱を持ちやすい色だとは知っていたが、
一番熱を持ちにくい白色と比べると20度も差があるとは
びっくり。

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「精神科医は腹の底で何を考えているか」
春日 武彦 :著
幻冬舎 (幻冬舎新書)/2009.1.30/760円



月灯りの舞

精神科医とはどんな人たちなんだろうか。
人の心を治療する医者だから、人の心の闇を知り
精神の歪みにも精通し、人格的にも高い成長を
遂げているはず。


だが本当はどうなのか。
テレビに出てくるあの人はあやしくないか。

臨床体験豊富で熟練の精神科医である著者が、
エクソシスト医師、無責任医師、赤ひげ医師、
新興宗教の教祖的医師、タレント医師、
世間知らず医師などなど累計100名を、
裏も表も建前も本音もすべてリアルに描き尽くす。
             <裏表紙より>


春日先生が実際に観て来たリアル精神科医たちを
徹底分析。


実例をあげ、シニカルに観察していて、
独自の毒をちりばめていて、笑える。


いや、真剣に患者のことを考えてはいるのだけど、
その対応がちょっとトンデモだったり、違う方向に
走ってたりすることもあるのだと。


患者の方も最近ではネットや書籍からの知識を仕入れ過ぎ、
医者に挑んでくるような人もいるようで、
患者と医師のやりとりというか、からみあいもあげていて、
興味深い。


実例として、


診察室で向き合っていて、カウンセリングか人生相談なのか
わからない話になってきて、

「もはや自分が一介の精神科医なのか人生の達人なのか
プチ神様なのか分からなくなっている医師」

とか、


患者に対しての表情で、
シリアスな時に場違いな笑みをもらしてしまい

「おまえの顔つきは不謹慎であると誤解されてしまう医師」とか


「頼もしさや親しみやすさを醸し出そうとして、
 しかし結果的には宝塚の出来損ないみたいな口調で
 喋っているだけの変な医師」




心の病というのは治療すればすぐに治るものではないだけに
一つの医師、一つの薬に固執し、妄信的になるのではなく、
自分にあった医師と薬をいろいろと試すのがいいのではないかと
思う。






精神科医は腹の底で何を考えているか (幻冬舎新書)/春日 武彦
¥798
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「『運命の人』は脳内ホルモンで決まる!
  --4つのパーソナリティタイプが教える愛の法則」
H. フィッシャー:著, 吉田 利子:翻訳
講談社/2009.10.9/1680円

月灯りの舞
なぜ彼、なぜ彼女を選ぶのか?
フィッシャー博士が解き明かす、
恋愛と結婚の「あいだ」。
血液型を超える新アプローチ!
        <帯より>


脳内ホルモンの4つの科学物質が、
パーソナリティを決める主導的役割を果たすという。


したがって、どの物質が多く分泌されるかによって、
その人のパーソナリティタイプが決まり、
惹かれあう相手も決まるという。


冒険型のドーパミン-----生まれついての自由人
建設型のセロトニン-----社会を支える良識人
指導型のテストステロン---集中力があるリアリスト
交渉型のエストロゲン------気くばりが得意な理想主義者



もちろん、タイプは1つではなく、四つが混ざり合っているが、
重要なのは、基本タイプと副タイプなんだとか。


自分を知る心理テストをすると、自分がどのタイプかわかる。
そして、それぞれのタイプの細かな分析があり、
どのタイプとどのタイプの相性がいいかも書かれてある。


私はダントツの「冒険型」だった。



「冒険型×冒険型」は最高に盛り上がるが、
どちらもリスクを恐れないので、
危険な状況に陥ることも多々あるという。



では、全く両極端の「冒険型×建設型」は、
全く惹かれあわないかと言えば
セロトニンはドーパミンの回路を抑制する働きを
持っているため、びっくりするほどうまくいくことも
あるのだとか。


“刺激”と“安定”は共存できるかというと
難しいけど、補い合う部分は多いかもしれない。


それぞれのタイプ別 恋愛必勝アドバイスなども
載っている。


最後の章では、セックスにおける科学物質の効用が
述べられている。



男性の唾液には性的衝動の引き金となる
テストステロンがたくさん含まれている。
だから、女性より男性の方が湿ったキスを
好むのだとか。


唾液はある種の遺伝子情報が多く含まれるため、
キスをすることで生物学的な相手の情報を
つかんでいるようだ。


そして、キスは五感を刺激するだけでなく、
信頼と愛着にかかわるオキシトシンのレベルも上昇させ
ストレスを低下させるのだとか。


だから、いい唾液を濃厚に交わし、
いいキスをすればするほど
互いも深まるのだろう。



でも、男性の59%、女性の66%が、ファーストキスの後、
つきあいをやめたことがあるというデーターがある。


要するにキスが合うか合わないかが、
恋愛の始まるりか終わりになるかである。


みんなキスにそんなに厳しいのねー。


セックスもキス以上に様々な物質を分泌させるから、
いいセックスは身体にも心にもいいのだと。


たとえゆきずりであっても、性器の愛撫と刺激では
ドーパミンが生成される。

これは強いロマンティックな愛の感情に関係する。


そして、オーガスムの直後にはエネルギーと高揚感を
与えるノルビネフリンという物質も出て、
ゆぎずりの相手であっても強い恋愛感情が
うまれることもあるという。



でも、ゆきずりではない愛し合う二人だからこそ
うまれるものもある。


精液に含まれるオキシトシンとヴァソプレッシンは
深い愛着を引き起こす。

だから、男も女もが気持いいセックスをすれば
分泌する物質も多くなり、互いにとってよくなり、
「もっとしたくなる」のだとか。



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死後の世界をあなたはどう思いますか?
死んだ後、どうなりますか?

答えはでないけれど、生きていくために
「死」について考えてみた本だった。

「死」というテーマの重さだけではなく、
内容が濃密である。
この本の深さ、面白さを伝えたいが、
あれもこれもあって、とても書ききれない。


「パピヨン」
田口 ランディ:著
角川学芸出版/2008.12.19/1500円

月灯りの舞-パピヨン

蝶を追って、意識の旅へ。
「死」を捉えようとする田口に突きつけられた
父の看取りという現実。これは偶然なのか。


生と死、ターミナルケア、意識、
エリザベス・キューブラー・ロスの真意に迫る衝撃作!
切ない感動に満たされる、田口ランディの新境地。
              <帯より>


角川WEBマガジンで連載されたものの加筆・訂正版。



ランディさんがチベットで高山病にかかった
ところからこのルポは始まる。


酸欠状態で思考ができなくなる体験を著者は
「思考から自由になる」と表現している。
そして、それを初めての「瞑想体験」だと。


そんな思考の時にラダックにある
唯一日本人のお坊さんのお寺で、
日本の古い「文藝春秋」を読む。

河合隼雄と柳田邦男が『「死ぬ瞬間」と死後の世界』
というテーマだった。


「死ぬ瞬間」を書いた
エリザベス・キューブラー・ロスはスイス生まれの精神科医。


そこで、ランディさんは、ロスのことについて
書き始めることになる。

ロスは「死んでゆく人間の心理プロセス」や
「死とその過程」「死後の五段階」などを発表する。

しかし、「死」というのは人が踏み込んではいけない
領域なのだろう。

ロスは心霊体験なども語ることで、医療者でありながら
「あっち側に行ってしまった人」とみなされてしまう。

ましてや末期患者を探して歩き回るため。
「患者を食い物にする」「死にたかるハゲタカ」と
誹謗中傷されたという。


そんなロスが収容所で「蝶」の絵を見たという。


死はさなぎから蝶が飛び立つようなもの。
死とは肉体という殻を脱ぎ捨て別の存在になること。



収容者たちはそれを感じたから、蝶の絵を描いたと。
そして、その「蝶」を見るためにランディさんは
現地に旅立つのだが……。


プロローグは「蝶」を探しながら、ロスという人物に
ついて語り、ランディさんの帰国を待っていたかのように
ランディさんの父の怪我、ガンの告知と続いていく。



ロスの言葉
「死にゆく人に学びなさい。彼らは最大の教師です」
ふれてから、ランディさんに父を看取る日々が訪れる。


アルコール依存症でもあった父親との壮絶な過去や
依存症の末期患者を看取るということの過酷さが
ランディさんの生々しい言葉で語られていく。


母も兄も亡くし、たった一人の肉親である父親と
向き合う日々。

いくつもの試練をたくさんの人や言葉に支えられながら
乗り越えていく。

その時々でロスの言葉とシンクロしていくランディさんの心。
そして、作家として、父のことを書き続けようとする。


死ってなんだろう。
死ぬとどうなるのだろうという漠然としてた想いや
現実的な介護や病院のあり方、
余命を宣告されたものたちの死の迎え方、
看取る側の接し方、いろいろなことを考えさせられる。



アルコール依存症は怖い。
しかも、それで骨折しガンの告知。
整形外科と精神科とガン治療。
それを並行してやることの医療体制の困難さ。




神様、私に与えてください
変えられないことを 受け入れる落ち着きを
変えられることを 変えてゆく勇気を
そしてこの二つを 見分ける賢さを
         「ラインホールド・ニーバの祈りより」



ランディさんはロスのいう「蝶」を見ることは
できたのか?

答えは「NO」である。

では、ロスの見たものは何だったのか?



ランディさんの父親も入院中に「蝶」を見たという。
それは現実だったのか、妄想、夢だったのか……。



永遠の別れという真実を受け入れるために、
一生懸命に苦しみもがいてる人たちを、
励ましたり勇気づけたりすることはあまり意味がない。
「悲しまないで」「元気を出して」などとけっして
言ってはいけない。
十分に悲しむことができればじきに訪れる死を
少しでも楽に受け入れることができるだろう。
言葉はいらない。
黙って一緒にいるだけでいいんだ。
            「ロスの言葉より」


ロスは未熟児の三つ子だった。
三人平等にと育てられたせいで、「自分は何者なのか」は
早い時期から思ったという。
自分らしくありたいと思う気持ちが人格形成にかなり影響したと
分析しているという。
  

「蝶」と言えば「バタフライエフェクト」の映画にも
出て来た「カオス理論」が有名だが、
その元ネタになる話も載っていた。




ラストに身近な人が死んだ後、蝶が飛んでくるという体験談を
いくつかのせてあった。

みんなそれを死んだ人の生まれ変わりだと想っている。

迷信だ、思い込みだとはねのけることはたやすいが、
そういう時、気持ちの通じ合える人とは
「シンボリックな言葉」で意識的に会話しているのだという。




ランディさんがロスの言葉とシンクロしていったように、
私もこのランディさんの「パピヨン」を読んで、
シンクロする言葉がいくつもあり驚いた。


ランディさんの父親は死後、彼女の夢に現れて、
自分の指を全て切断して差し出したという。
彼女は父の「指」をもらって本を書き終えたとあった。




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「人はなぜ恐怖するのか?」
五味弘文:著
メディアファクトリー(ナレッジエンタ読本19)/2009.6.3/900円

月灯りの舞-人はなぜ恐怖


200万人以上の驚く人びとを見つめ続けた
お化け屋敷のヒットメーカーが恐怖の仕組みを明かす。

「赤ちゃんを抱いてお化け屋敷に入る」「手錠でつながれる」といった
革新的なお化け屋敷をつくり続けるヒットメーカーが
“恐怖の法則”を解き明かす。


不安を恐怖に育ててしまう感情の仕組みとは?
どうしたら恐怖を操れるのか?
潜在的に人間は恐怖を求めている?
――実際に人をおどかすことで
導き出された新「恐怖論」、ここに誕生!

              <帯より>


おはげ屋敷プロデューサーが、お化け屋敷という現場で考えた
「恐怖」についてのさまざまな考察をまとめたもの。


表紙の絵は恐怖漫画にこの人アリ。
日野日出志の「まだらの卵」より。

小さい頃に読んだ日野日出志の漫画は
とにかく怖かった。


なぜ人は「怖い話」に魅了され、
恐怖するのか。恐怖とは何か。


心理学などアカデミズムの観点からではなく、
お化け屋敷のお客様の生の反応から
恐怖のメカニズムを導き出すという、
著者ならではの恐怖論。



おはげ屋敷の設計から演出方法などを説明しながら、
「恐怖」という感情を通して、
人間はいったいどういうものなのか解明していく。


テーマパークなどのお化け屋敷は意外な人が
演出している。
麿赤兒に始まり、楳図かずお、林海象、
デーモン木暮など。



いまではゲームのように、ストーリー性のある
お化け屋敷が人気らしく、客もその恐怖のストーリーに
参加するようなタイプのものが増えたとか。

ただ怖いだけでなく、恐怖を「楽しめる」ものが
いいのだと。



ホラー映画のこととかも書いてあるから、
ホラー好きさんにはいいかも。


二人で向かい合って、話をすることで得られる「共感」より、
互いに同じ方向で同じものを見る(映画とかね)方が
言葉によるコミュニケーションが無くても、
「共感度」は強くなると書かれてあった。


お化け屋敷のように同じ体感をすると、
より「共感度」が高まるのだろうけど、
恐怖という極限状態におかれた時に本性って、
現れるから、相手のあまりのあわてふためきぶりに
覚めたり、逆にあまりの動じなさに
ふてぶてしすぎる奴と思われたり……。


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