月灯りの舞

自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記


テーマ:

「エロティック美術館 ~近代の隠された幻想~」
   田中 雅志:著
河出書房新社/1996.10.8/2718円


エロティック美術館


フランス革命期に花開いた無数のカリカチュアと、
絢爛たる19世紀美術が紡ぎ出した夥しい愛欲のイメージたち。
巨匠の名画から無名画家の秘画にいたる

ヨーロッパ近代の隠れた幻想をたどる。
                <帯より>



四つの章に分けられている。


第一章「ファルスの支配」では、フランス革命の
エロティック・カリカチュアを集めている。


姦通、男色、性病、スカトロジーといった
過剰な性の色合いに染まる時代。
誇張や湾曲がなされているもののその時代の
好色さを映す歴史絵巻となっている。


第二章「氷のエロス」では
新古典主義のエロティックな相貌たち。
18世紀後半のヨーロッパでは
ギリシャ・ローマの古代美術に対する称賛が
始まったという。


第三章「黒いエロス」は『ロマン主義の残酷な夢』について。
理性の世紀と言われる18世紀は不合理な感性を
隠然と培う時代でもあった。
不合理な理性とは、恐怖、怪奇、狂気、
邪悪な美を嗜好する暗黒の衝動。


第四章「二重のモラル」
ブルジョワジーによる青春であり、革命。
諷刺画家の活躍、地下世界でのエロティック画の
数々。
ジャーナリズムにおける「エロスの商人」たち。



舞台裏で
カヴァルニ「舞台裏で」


エロティックを感じる絵画たちがあふれている。


あるものは死にぎわのエロスだったり、
横たわる女体だったり。

天使や悪魔、異形のもの、動物たちとの交わりの絵もある。

美しく幻想的な神話の世界のエロス、
現実的で生々しい庶民たちの性交の宴。


巨匠画家たちのエロスは「崇高な芸術」と観るか、
無名の画家たちの絵画は「俗物的なエロ」と観るか。
観る者によって、そそったり、そそられたり。


ふし穴
カヴァルニ「ふし穴」




第五章は「等身大のエロス」。

写実主義の露骨なまなざしの数々。




ミレー
ミレー「恋人たち」  1852年頃




エロティック69
ガヴァルニ「ガミニア伯爵夫人」の挿絵

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