「健全な肉体に狂気は宿る
―生きづらさの正体」
内田 樹:著/春日 武彦:著
角川書店/2005.8.10/760円
生きづらさを、晴れやかに解き放つヒント。
「自分探し」禁止!!
「閉じられた心の世界」を打ち破る精神科医と、
「身体からの信号」に耳を澄ます仏文学者の説教ライブ。
<帯より>
内田氏の勢いの方が強いのか、いつもの春日先生の
独特のニュアンスが少し弱かった感じ。
あまりにも常識的でちよっと物足りなかったが、
春日先生のちょこっとしたツッコミや
いろんな映画の引用での心理分析などはおもしろかった。
例えば、同じ一日を何度も転生するというSF映画
「恋はデジャ・ブ」を引用して。
人は予測不可能な未来に向けて、あまり時間設定を
しすぎると、時間に縛られて身動きできなくなるという。
内田氏いわく、「未来をイメージするということは大切。
イメージには強い現実形成力があるから。その念の強さ
で未来をコントロールすることができる。取り越し苦労が
未来を腐らせるように、逆にいいイメージを強く念じる
ことによって人生を豊にすることだってできる」と熱く
語る。
いわゆるポジティブシンキング。
しかし、春日氏はすかさずつっこむ。
「強く念じれば望みは実現する。但し、自分の望んだ
時期には実現しない」と。
あるあるある、確かに。
強く願った時には叶わなくて、もういいやってあきらめたり
次の願望に移った時にひよっこり叶ったりすることあるもの。
第三章「人間はわかりあえっこない」のところは
特に興味深い話が多かった。
惑星直列のように現在、過去、未来が全て見渡せる
「アカデミック・ハイ」がくるという話もおもしろい。
漫画家や作家さんに多く、「憑依系」と読んでいる。
ハイな状態というのは潜在的には誰もがもっている
がコントロールの仕方をしらないだけだという。
あっちとこっちを行き来するのが技術的な問題で、
あっちに行きっぱなしでは春日先生のお世話に
んらねばならない。
「ことばの力は身体感覚を変える」という項目も
興味深い。
「あしたのジョー」で、少年院に入っている
ジョーに丹下が葉書を送るシーンを引用している。ね
とにかく言葉だけでジョーを鍛えるすごさ。
だから、ことばによって身体感覚ががらりと
かわることがある。だからこそ人とのコミュニケーション
は気をつけなければならない。
恋愛においても「愛してる」という言葉を
言っちゃった方がいいという内田氏。
愛してるなんてどういうことかわからないんだけど、
まず言葉に出して、後づけしていくんだって。
現代人にとって「病」こそが「癒し」になっている
という春日氏の言葉にもうなづける。
病を水戸黄門の印籠にして、現実から逃避しちゃう。
それもありなのかもしれない。
生き辛いひとにとってはね。
とにかく「生きる」ということにこだわれば
そこに行くしかないのかも。
★春日武彦氏の著者にはこんなのもある。
「家屋と妄想の精神病理-あるいは、狂気とアナクロニズム」
「不幸になりたがる人たち―自虐指向と破滅願望」
感想はこちら
http://ameblo.jp/tsukiakarinomai/entry-10004219216.html
★内田樹の著書にはこんなのもある。
「映画の構造分析ハリウッド映画で学べる現代思想」
http://ameblo.jp/tsukikagenomai/entry-10004141958.html








