「キルヒャーの世界図鑑」 | 月灯りの舞

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自虐なユカリーヌのきまぐれ読書日記

「キルヒャーの世界図鑑
  よみがえる普遍の夢」

ジョスリン・ゴドウィン:著
川島昭夫=訳 ◎澁澤龍彦+中野美代子+荒俣 宏=付論
工作舎/3045円/1986.4
キルヒャ

ルネサンス最大の幻想科学者アタナシウス・キルヒャー。
その独創的な業績の数々は、今もヨーロッパ知識人たちの
間に、巨大な影響を与えつづけている。
本書は、キルヒャーの著作に残された奇怪なイラストレーション群の
紹介を通じて、その奔放な想像力の世界を、現代に再生させる
試みである。         <表紙折り返しより>
                  


中国文明エジプト起源説、地下世界論、暗号論、
作曲コンピュータや幻燈器の発明など、140点余の
オリジナル図版で紹介。

キルヒャーという人は万象に首を突っ込んだ奇人であり、
珍奇なものの蒐集家でもある学者。
彼の著作は古代の神学から、言語、文字、磁気学、天上界、
暗号の秘密から音楽まで多岐にわたる。

ノアの箱舟やバベルの塔などについてもさまざま角度から
検討していて、図版もとても多い。
ノアの箱舟の内部の配置図はとても細かく描かれ、
洪水後の世界地図も興味深い。

人体解剖図、タラントゥラと解毒剤など、医学的、薬学
についての図版も多かった。

かなり前に、神話学を勉強していた方に
もらった本なので、文章的にはやや難解だが、

図や絵を見ると幻想的な思いを感じることができる。