受託開発と自社開発

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受託開発は、委託者の意を受けて作る。受託開発が習慣化すると、

自社オリジナルの研究開発はできなくなる。受託体質の会社は、急

成長のビジネスは展開できない。VC業界でよく言われることである。


確かに、受託開発と自社開発では、成功要因は異なるだろう。社員

の評価や就業形態もそれぞれに適した形があり、共通ルールを適

用すると、両方ともそこそこで終わる可能性は高い。そこそこで終わ

る研究開発は、資金的には無駄な徒労に終わる。


R&Dに潤沢な資金が得られにくい日本の実情を踏まえれば、受託

開発で基盤を作り、自社開発へ結びつけていくことが手堅い事業

展開と言えるだろう。そこで、受託体質からの脱皮が課題となる。


頭のいいアナリストは、二分法を多用する。人間には、受託人間と

企画人間がいるので、受託体質を脱皮するには、企画人間を採用

すればいい、と誰でも言えることを自説として公言する。しかし、企

画人間がどこにいるのかは教えてくれない。結果にコミットしない

意見では、存在を確認する必要はない。


マーケットは、お客さまの心にある。お客さまの心を知るには、受託

開発を行うのが手っ取り早い。プロダクトアウトの発想で、作り手の

事情を押しつけてもマーケットは創造できない。技術の優秀さに酔

い、商品化で手を抜く失敗例は数え切れない。優秀な技術もお客さ

まの心に届かなければ、世に出ることはない。


斬新なアイデアは、既存のモノの組み合わせから生まれている。

斬新なアイデアを生むいい素材は、受託開発を通してお客さまから

提供される。いい素材をなるべく多く揃え、整理しないことが、思わぬ

組み合わせを呼び、イノベーティブでクリエイティブな自社開発を推

進することができる。


以上のようなことから、クオリティの高い受託開発力は、オリジナリ

ティ溢れる尖った自社開発力を生み出す素地になると思っている。

投資検討の評価においても、象牙の塔に籠る社員よりは、世間との

コミュニケーションに関心を払い、お客さまの心を掴める社員が多い

ことを開発型企業の評価において重要視している。


百年一日の世界では、変わらない世の中と交わることなく研究に没

頭することが、独創性を育んだこともあったかも知れない。しかし、

変化の速い昨今では、世の中とのやり取りが不可欠だと思っている。

家庭を持ち、子供の教育にも心を配れることが、マーケットを創り出し

ていく基盤になる。


非凡なものは、当たり前のものの中から生まれる。当たり前なものは、

一番確かなお客さまの心である。当たり前なものを非凡に組み合わせ

ることが、自社開発を成功させる鍵であり、何が当たり前なのかは、

品質に厳しい顧客との受託開発を通して学ぶことができるのである。

2007.3.25


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