駆け出し作詩家 meiyoです。

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こんばんは。meiyoです

大晦日なのですが、2012年の映画納めとして『レ・ミゼラブル』(Les Misérables)を観てきました。

ヴィクトル・ユゴーの小説を原作として1985年にロンドンで初演され、1987年度トニー賞:8部門(作品賞/助演男優賞/助演女優賞/演出賞/台本賞/作詞・作曲賞/舞台美術賞/照明賞)を受賞し、以後、ブロードウェイを含む世界各地でロングランされている同名のミュージカル作品の映画化です。

1987年6月11日、東宝製作により帝国劇場で日本版が初演されました。イギリス(ロンドン)、アメリカ(ニューヨーク)に次いで世界で3番目、同作品初の非英語圏での上演だったんです。プロ・アマとわず、すべてのキャストをオーディションで選ぶという日本初の試みが当時話題でした。全曲の訳詞は作詩家の岩谷時子先生。今回の映画版の歌詞の字幕は岩谷先生の訳詞を参考にされているようでした。名訳ですからね。

2005年5月24日から29日には、国内での上演回数が2000回に達し、日本公演20周年記念として、2007年6月~7月に帝国劇場、同10月博多座で公演が行われ、2011年、帝劇開場100周年記念でも上演されました。そして今年、2013年4~7月、帝国劇場、8~10月には福岡・大阪・名古屋にて新演出・新キャストで上演が決定しています。これだけ長い期間上演され続けているということは、たくさんの日本人に愛されているミュージカルの1本だと言えるのではないでしようか。

僕も過去に一度、帝劇で観ています。素晴らしかったですね~。大好きなミュージカルの1つです。

今まで何度も映画化されています。僕の印象に残っているものをあげてみましょうか。

『レ・ミゼラブル』(1957年 イタリア、フランス)
ジャン=ポール・ル・シャノワ監督、ジャン・ギャバン主演
映画化されたものの中でも最も原作を忠実に再現したとして高く評価されている作品です。舞台となったフランスでフランス人によって作られた本家本元の作品ですからね。約10億フランの巨費を賭けて製作されたそうなんです。今でも、「レ・ミゼラブル」の映画化作品の中でも最高傑作として、根強いファンの多い作品です。ジャン・ギャバンが演じたジャン・バルジャンが一番と言われる方は多いですね。

『レ・ミゼラブル』(1996年 フランス)
クロード・ルルーシュ監督、ジャン=ポール・ベルモンド主演
この作品はちょっと変わり種です。舞台を20世紀のフランスに置き換えて描いています。「男と女」や「愛と哀しみのボレロ」のルルーシュ監督ですから、流麗な映像で綴られた大河ドラマになっています。ゴールデン・グローブ最優秀外国語映画賞受賞しています。

『レ・ミゼラブル』(1998年 アメリカ)
ビレ・アウグスト監督、リーアム・ニーソン主演
この作品は比較的、新しい作品なのでご存知の方も多いでしょうね。長い原作をジャン・バルジャンとジャベールの関係に焦点を絞った脚本になっていて、悪い意味ではなく、ハリウッド製作の作品らしくコンパクトにまとまった良い作品だと思います。監督が「ペレ」を撮った名匠ビレ・アウグストだからという気がしますね。

この3本でしょうか。僕が好きなのは。

今回の「レ・ミゼラブル」の映画版は今までの原作からの映画化ではなく、原作を元にミュージカル化した舞台版の初映画化で、ミュージカルの命とも言うべき曲が素晴らしいので、映画化が発表された時はとてもうれしく、楽しみにしていました。過去に何度も映画化の話はあったんです。マドンナの「エビータ」を監督したアラン・パーカーで製作されるという噂もありました。それからスティーブン・スピルバーグ、オリバー・ストーンの名前もあがったこともありました。それから何年待ったことか…。

そして2012年版「レ・ミゼラブル」の監督は吃音に悩まされたイギリス王ジョージ6世(コリン・ファース)とその治療にあたった言語療法士(ジェフリー・ラッシュ)の友情を史実に基ずいて描き、第83回アカデミー賞では作品賞、監督賞、主演男優賞、脚本賞と主要な賞を受賞した『英国王のスピーチ』のトム・フーパーに白羽の矢が立ちました。僕はアカデミー賞発表の前に『英国王のスピーチ』は観ていて、とても感動した作品だったので、作品賞とコリン・ファースが主演男優賞を受賞したときはほんとうにうれしかったですね。

トム・フーパー監督はもともとイギリスのテレビドラマの演出家出身なので、劇映画の監督としてはまだキャリアの浅い方だと思いますが『英国王のスピーチ』の監督ですから、僕は「レ・ミゼラブル」の監督に決まったと聞いた時から心配はしていなかったです。それにキャストを聞いて、絶対成功すると確信していました。見事に期待を裏切らない、風格ある大作でした~。大満足です!

〈キャスト〉
ジャン・バルジャン/ヒュー・ジャックマン
司教/コルム・ウィルキンソン
ジャベール/ラッセル・クロウ
ファンティーヌ/アン・ハサウェイ
コゼット/アマンダ・サイフリッド
(幼少期/イザベル・アレン)
マリウス・ポンメルシー/エディ・レッドメイン
テナルディエ/サシャ・バロン・コーエン
テナルディエ夫人/ヘレナ・ボナム=カーター
エポニーヌ/サマンサ・バークス
(幼少期/ナタリア・エンジェル・ウォレス)
ガブローシュ/ダニエル・ハトルストーン
アンジョルラス/アーロン・トヴェイト

ジャン・バルジャンを演じたヒュー・ジャックマンは、ブロードウェイミュージカル「ボーイ・フロム・オズ」でトニー賞を受賞していますし、第81回アカデミー賞授賞式の司会ではオープニングからノミネート作品を軽やかに踊りながらミュージカル風に紹介し、客席からアン・ハサウェイを舞台に上げ、見事なデュエットを披露して大喝采を浴びていました。この時のアカデミー賞授賞式はほんとうに楽しい演出でオープニングだけ何度も繰り返し観てしまうほどでした。その時思った、いつかヒュー・ジャックマン主演のミュージカル映画が観たいという願いがこの作品でかないました~。

『レ・ミゼラブル』(Les Misérables)は、ヴィクトル・ユゴーが1862年に書いた、ロマン主義フランス文学の大河小説です。日本では「ああ無情」というタイトルで長年親しまれてきました。1本のパンを盗んだために19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・バルジャン。仮釈放後も行く先々で冷遇された彼を、山の頂きにある礼拝堂の司教は暖かく迎え入れてくれます。しかし、その夜、司教が大切にしていた銀の食器をバルジャンは盗み逃亡します。翌朝、彼を捕らえた憲兵に対して司教は「食器は私が与えたもの」だと告げて彼を放免させたうえに、二本の銀の燭台をも彼に「持ってゆきなさい」と差し出すのです。それまで人間不信と憎悪の塊であったバルジャンの魂は司教の高潔な魂と信念に触れ、打ち砕かれるのです。そして自分の行為を恥て、新しい人生を生きることを誓い歌うのが「独白」という曲です。このシーンのヒュー・ジャックマンは良いですよ~。歌が上手いのは当たり前ですよね。ミュージカルってそれだけじゃダメだと思うんです。演じるキャラクターの内面をどれだけ深く理解しているか。感情の揺れや変化をどれだけ表現できるか。それが出来ていないと、観る側の心を振るわすことはできないと思います。ヒュー・ジャックマンは完璧だったと思います。このシーン、僕はもううるうる状態でした(笑)。

このミュージカルは名シーンが一杯です。マドレーヌと名前を変え、ある街で市長になっていたバルジャンが経営していた工場で働いていた女性ファンティーヌ。彼女は3歳になる娘コゼットを宿屋を営むテナルディエ夫妻に預けていました。テナルディエは「コゼットの養育費」と称し、様々な理由をつけてはファンティーヌにお金を請求していたのです。ある日、同僚の女性達といざこざをおこしたファンティーヌは工場をクビになってしまいます。娘のためにお金が必要なファンティーヌは自分の髪、歯も売ります。しかしそれだけで足りるはずもありません。そしてファンティーヌは売春婦に身を落としてしまうのです。どうにもならない人生への絶望。虐げられた者の哀しみと怒りをぶつけるようにファンティーヌ役のアン・ハサウェイが歌い上げる「夢やぶれて」も素晴らしいです。舞台と違って映画の良いところはクローズアップがあるところです。表情って大事ですね。アン・ハサウェイも大好きな女優の一人なので、このシーンも僕はもううるうる状態でした(笑)。

あと僕の大好きなシーンは、このミュージカルを観たことがある方なら絶対好きな、マリウスが「カフェ・ソング」を歌うシーンです!マリウス役のエディ・レッド・メインは若くしてローレンス・オリビエ賞、トニー賞に輝く実力派で、彼が歌う「カフェ・ソング」の哀切感があふれる歌唱はほんとうに素晴らしかったです。このシーンで僕はもう号泣状態でした(笑)。

ジャヴェール警部役のラッセル・クロウも良かったです。はじめて聞いた歌声も驚くほど素敵でした。ジャヴェールは服役囚の父親と、同じく服役囚のトランプ占いのジプシーの女性の子供として徒刑場で生まれた男なんです。映画の中では詳しくふれられてはいませんでしたが、そんな生い立ちの呪縛から逃れられない彼も哀れな人間の一人なんですよね。だから自身の境遇やそれと同じ境遇に属する人間を憎み、社会を守る人間であることを選び、社会秩序を絶対的に信奉する法の番人であることが自分らしく生きるためのささえになっていたんだと思います。彼の最後も胸を打ちますね。

愛するマリウスのために六月暴動に参加し、マリウスを銃弾から身を挺して守り、命を落とすエポニーヌも重要なキャラクターです。彼女がマリウスを暴動に誘い出した理由には、「現世で結ばれないなら、同じ場所で死にたい」という、マリウスを愛する彼女の想いからなんですよね。いじらしいです。コゼットからの手紙をマリウスに渡したのも、彼の前では愛する人をあざむかない「純粋な女」と思われたいという願いなんでしょう。最後は愛するマリウスに抑えていた想いを打ち明け、額に口づけをしてもらいこの世を去るんです。16歳ですよ。泣けます~。彼女が雨に打たれながら歌う「オン・マイ・オウン」は心を打ちます。

いいシーンはまだあるんですけど公開中なのでこのくらいにしておきますね。ぜひ大きなスクリーンで観ていただきたいです。僕の子供の頃は大作といえば70ミリとかシネラマとか大きなスクリーンで上映されていました。「レ・ミゼラブル」もそんな大きなスクリーンで観てみたい作品だと思いました。

地上に「無知と悲惨」とがある間は、本書のごとき性質の書物も、おそらく無益ではないだろう。と作者ヴィクトル・ユゴーは言っています。「無知と悲惨」今でもなくなってはいませんね。なくなる日はくるんでしょうか。

「レ・ミゼラブル」は人生を精一杯に生き抜いた者たちの物語です。たとえ「Les Misérables=哀れな者たち」であろうと、愛する人の為なら、命さえも差し出す勇気ある人たちの生き様を描いた希望の物語だと思います。この作品のテーマである、無償の愛、贖罪と救済、人間が持つ精神の尊さは忘れてはいけないと思わされました。おすすめです。
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