【Triviewインタビュー】Vol.4 京都レンタサイクル「かりおん」店長 柴山竜介さん
テーマ:Triviewインタビュー「もう店長ひとりだけの話やないんやで」と周りが目を覚ましてくれた
北東西の三方を山に囲まれた京都市は、比較的平たんな地形と程々のサイズから日常的な移動手段として自転車が重宝されている。私自身、京都を訪れるたびに、この街の日常を体で感じたくなって、自転車を借りるために"いつものレンタサイクル店"を毎回目指すことになる。
鴨川ほど近くに拠を構えるレンタサイクル店「かりおん」のすごいところは単に自転車を貸すだけではない。観光客メインの一時レンタルと並行して、1台の自転車を複数人で共有する「サイクルシェア」を導入しているのが大きな特徴だ。サイクルシェアとは、近隣の自宅から駅へ(ホーム)、駅から職場や学校へ(アウェイ)と利用状況の異なる利用者同士で自転車を共有する仕組み。「かりおん」では2500円の月極会員として400人以上が利用している。
「歩いて楽しい京都」から「自転車でも楽しい京都」へ。京都市では慢性的な駐輪場不足や放置自転車が問題化しており、市も積極的な対応姿勢を見せている。しかし、一民間事業者でサイクルシェアを的確に機能させ、地域活性や環境配慮といった観点からも街づくりに貢献している貸自転車店は全国でも類がないのではないだろうか。
こうした独自の方法で街づくりにまい進する一方で、「かりおん」はまた、人と人とを繋ぐ拠点として"かっこつけずにゆるく"成立しているところが無二の存在だと思う。
数年前、こんなことがあった。それまでも「かりおん」で自転車を何回か借りたことがあったが、その日はたまたま自分の誕生日だった。レンタル時の身元保証として運転免許証をスタッフに提示した際、「今日、誕生日やん」とウクレレ演奏付きで「Happy Birthday」を歌ってくれた。そして「Cycle and Music」と書かれたお店のステッカーを何十枚もくれた。押し付けがましくない、その思いがけない贈り物に、私はいたく心動かされた。と同時に、「単なる一旅行者に対してなぜこの人はこんなことができるんだろう」と不思議に思った。
その一件以来、しばしばその笑顔と音楽の匂いがする「かりおん」の手作りの空間を思い出すことになった。単なる貸自転車屋という存在が私の中でなんらか位相を変えたが、だから何だと落し所を探るわけでもなかった。
それが今回インタビュー願った、店長の柴山竜介さんである。
「行ってらっしゃい」で送り出し、「お帰りなさい」で迎える。取材の時も、数日顔を見せなかった女子高校生と「元気やったかー」「学校休みやってん」とすっと会話が始まり、遠くを通り過ぎた顔見知りには「おはよう」と声をかけ、店の大家さんからは「猫を預かったお礼に」と旅の土産をもらっていた。
インタビュー中自身のことを「ホンマにアホタレ」と何度か表現した柴山さん。逃げた過去、繋ぐ日々、模索の時間、「かりおん」の未来──。「アホタレ」な半生とともに、3時間にわたってたっぷり語ってくれた。
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