再会
テーマ:旅ラオス
山奥にある
少数民族の村で、ある一人の女性と
出逢った。
ボクは、今、さんさんと輝く太陽の下
滴り落ちる、汗をぬぐいながら、腰を下ろし
たたずんでいる。
目の前には、たぶん、5、6歳くらいの
少女と、その弟と思われる2人の少年が
いる。
少女は、赤ん坊を背におい、何度も、その
小さい身体を上下に揺らし続けている。
ボロボロの衣服をまとい、かけ違えたボタン。
靴は履いていない。素足のまま、土を踏み
身体を上下に揺らし続ける。
身なりをのぞけば、その容姿は
日本人のそれに近い。
そんな少女とは、
近くにある長いあぜ道で出逢った。
ボクが右手に小さな川を挟んだ道を歩いていると
遠くの方から、ゆっくり、ゆっくり歩いてきた。
小柄な身体に、不釣り合いな赤ん坊を背に乗せ
しっかりと、一歩ずつ、土を踏みなふがらその少女は
歩いてきた。
少女が立ち止まり、それに合わせるように
ボクは立ち止まり、少女が笑い、ボクも笑う。
そんな、出逢いだった。
少女と出逢ったときから、なぜだろう、ボクは
何か腑に落ちない感情に襲われていた。
初めて出逢ったのに、そんな気がしない。
それは、それは、不思議な感覚だった。
この奇妙な感情は何なのだろう。
少女は、なおも小さい身体を上下に揺らし
続ける。
ボクは、ペットボトルの中の水を飲み
暑いねと日本語で話しかける。
言葉が通じるわけもなく
少女は身体を上下に揺らし続ける。
それでもいい。
言葉は通じない。
それでもいい。
ボクは、辺りを見回す。
素敵な、素敵な、風景が広がる。
中国を思わせる、高い角ばった急な斜面の山々に囲まれ
その眼下には田園がひろがり、近くには緩やかな
川が流れている。
耳を澄ますと、鳥の鳴き声が聞こえてきて、
遠くからは、バシャバシャと川で遊ぶ子供たちの
声が聴こえる。
日本の田舎を思わせる風景の中に
およそ、不釣り合いともいえる、角のある高い
山々に囲まれた風景が、何ともいいがたい
不思議な空間をつくりだしていた。
初めてなのに、
妙な懐かしさを覚える、
そんな場所だった。
少女は、ボクに何かを語りかける。
でも、ボクにはその言葉を理解できる能力がない。
独特な、言い回し。
聞いたことのない、言葉。
たぶん、この集落でだけ使われている
少数民族の言葉。
その波長は、耳に心地よい。
何度も、何度も繰り返すので
ボクは、少女の真似をして、
同じ言葉を繰り返してみた。
一瞬の沈黙の後
どっと押し寄せたように
少女は笑う。
声をあげて、笑う。
ケラケラと、笑う。
その瞬間、突然、ふっと
ある記憶がボクの胸を締め付けた。
その笑顔が、ボクの記憶を呼び覚ます。
遠い記憶だった。
忘れかけていた、記憶だった。
ボクは言葉を失う。
元気・・・ですか?
妙な寂しさが胸を襲い
ボクは、空を見上げた。

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1 ■無題
しばらく更新されなかったので、気になってました。
生きててくれて、ほっとしました。