[書評]イノサン■坂本周一

テーマ:
三つ子的評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆4.5コ)

[書評]常に想像の上を行く面白さ

・歴史モノが好き(特に西洋史)
・エロ グロに耐性がある
・綺麗な絵が好き

じゃあ即購入です
いやぁ面白い
注目すべきは坂本先生の外道ぶり
一体何を食べればこんな話が思い付くんだろうか?
それを官能的な絵と精緻な話で作るんだからもうたまらん

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ミツゴ的評価 ☆☆☆+☆×0.5(☆3.5コ)

[書評]貴志祐介自作ファンブック

内容は正しくそう
だから貴志ファンなら買って損なし
ファンじゃないなら「このおっさん何言ってんの?」となるのは請け合い

といってあくまでエッセイブログの雛形として買ったおいらは何を書こうかな、と
あくまで感想だけど この人何かを隠しているな、という印象は受けました
何かもっと心の底にドロドロした物、例えていえば狂気を持っているな
しかし ソレを表には出さない、あくまでオブラートに包んでいると
何と言えばいいだろうか
貴志さんは頭が極めていいのは分かります
しかし大学や保険会社で学業や仕事に追われつつ、頭の何処かにメモリーとCPUにゆとりを確保している
そして 意識か無意識かに ソレを使い空想とも妄想ともいえる思考を演算処理している
処理したデータのドキュメントをアイコンにしてHDDに蓄積する
そのアイコンがスクリーンに溢れかえった時 何かが弾けた
何と言うかそんな印象を受けましたね

あくまで印象だけど
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[書評]黒い家■貴志祐介

テーマ:
三つ子的評価 ☆☆☆☆+☆×0.5(☆4.5コ)

[書評]本当の恐怖

ホラーにおいて一番怖いのはなんでしょうか?
個人的な考えですが「我が身に降り懸かる可能性」だと思います
昔 ホラー映画の醍醐味は「劇場を出ると、自分達は安全なんだ」という確信(カイジでいう「安全という愉悦」)だという話を聞きましたが、むしろ 「自分達は安全ではない」と匂わせる事が恐怖を引き立たせるように思います。
変な例えですが地震で海外で数十万人亡くなるより 国内で数万人の犠牲の方が遥かに防災意識を刺激します
地球の火山活動からすれば国境なんてさしたる意味がないにも関わらず

そういう意味で「人格障害」とはかなり深い意味を持ちます
一連の保険金詐欺(連続殺人と傷害)の真犯人は人格障害です
普通 保険金殺人は 殺人のデメリット(様々なリスクや精神的苦痛)より保険金の魅力により行われます
例えばデメリットが100のときメリットが101以上必要となります
真犯人は例えるならデメリット、特に殺人に対する罪の意識が1のようなものです
つまり些細なメリットさえあれば なんの躊躇いもなく殺人傷害を行う訳です
その辺の価値基準が人格障害的(所謂サイコパス)な訳です

だがまてよ
サイコパスがいたら「あの人はサイコパスだ」として「自分や廻りの人とは違う」→「自分達はサイコパスではない」と無意識に安全の愉悦を求める部分はあるのではないでしょうか?
本当に怖いのは少数のサイコパスではなく、サイコパス(とされる人)が社会で一定数に昇る事ではないのだろうか
何故なら そうすれば既存の社会システムがサイコパス前提で構築される、つまりサイコパスを容認する事に外ならないからです
真犯人のような人間が街に溢れ いつ自分達が被害者/加害者 になるかわからないよ
そういう「可能性」をちらつかせて読者を恐怖させようとしている、と最後の10ページは語っている そういう風には感じました

閑話休題
寧ろ読ませてくれるのは前半部分かも知れません
著者は朝日生命に8年間勤務していた事もあり保険実務ね話が中々面白いです
私も今 FP勉強しているので中々読ませてくれます(勉強しろよ!)
モラルリスク病院等正直 本が書かれた98年より現在の方が問題視されます
生活保護受給者は医療費が全額無料です
国が出す訳ですが病院から見ると国から払ってもらえる訳で とり逸れがない
つまり 過剰な診療で報酬を高く取る事も有り得る訳です


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[エッセイ]グエン様を語る

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グエン様はご存知か!

グエン サード ラインフォード卿、通称グエン様はおヒゲのガンダムに出て来るお方です
イケメンで金持ちで有能で野心家、当然モテまくるし 当人も領主の家柄だから血統も作法も申し分なし
そして ホ○! ○モです
なんとハイセンスな方でしょう
15年近く前に既に男○娘プレイを楽しむという先見性には目を見張る物があります

そう彼の本質はその先見性です
普通は文明レベルが千年単位で違う相手なんて 理解も出来ないはずですが 地道な交渉と 技術の導入に熱心
必要とあれば そんな相手へ単身砲艦外交すら辞さぬ 度胸
彼が急ぎすぎ? 彼我の文明レベルが明治維新すら凌駕する以上は仕方がないです
しかも相手は領土割譲と植民を主張するような奴ら
バカなら無視するか彼我の戦力差を無視して特攻もしましょう
しかしグエン様は交渉で時間を稼ぎつつ 情報収集と技術導入と軍備拡張という最も合理的かつ負担の大きい選択を採用しました

やっている事は明治維新と同じ
しかし相手と状況はさらに質が悪いが
そうグエン様の最大の能力は先見性と実行能力
しかし部下も民衆もグエン様と同レベルのソレを有するとは限らない
グエン様は自分が卓越している、そして正しい事を自覚はしていたと思います
そしてソレは正しい
しかし、行動と結果があれば皆理解してくれる という下々のスペックへの「共感」がかけていました
「こいつら、自分が正しく振る舞えば従ってくれる」だろうと

だから思う
メリーベルとアメリアから逃れたグエン様
アメリアの経験を他国に導入し やがて強大な帝国を建設
ローラを取り戻す為 戦争すら辞さないと
だってグエン様は自分が間違っている事を正しく認識されているだろうから

リリ嬢との最後の語らいが興味深い
リリ「ローラに女装させるより貴方が女装された方がいいのでは?」
グエン「この国では未だに女では産業革命を起こせない(民衆のレベルが低い)」
リリ「アメリアは私が産業革命を起こして見せますわ(民衆のレベルを引き上げるのも私の仕事)」
うーん リリ嬢 意外と頭がよろしい
唯の意地悪小娘に見えるんだけどね

グエン様はどうしても嫌いになれないんですよ
たいていの悪役はコニャックでも飲みながら「計画通り」とか吐かす訳ですが グエン様は必要なら努力もするし リスクも追う
共感の持てる悪役です

[書評]日本銀行■翁邦雄

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ミツゴ的評価 ☆☆☆☆

[書評]つまりは日銀理論

本書の目的は「アベノミクスによりやおら注目が高まった日銀&金融政策について解説しましょう」という内容です
が、初っ端に「バズーカ論を懸念する」的な内容のように 概ね日銀(中銀)の出来る事には限界がある という日銀理論に貫かれています

では何か書きます
先ず本書には中銀を語る上ではけして無視できないテーマを割愛しています
よく「政府からの独立」というフレーズがあります、日本のような議院内閣制採用の民主国家なら「議会からの独立」といっても良いでしょう
議会(国民の代表)から独立、とは非民主的官僚組織という意味です
そんな組織が国家経済と(氏が語るような)財政に大きな影響を与えるジレンマについて ページを割くべき と思います
例えば日銀が大量の資産を購入→暴落、となれば政府としては損失補填が必要になります
つまり税金から補填分を割かなければなりません(非民主的組織が税金の選択肢を決めるのは「代表無くして課税無し」の原則に反する)
民主国家は国民の意志、つまり失業を嫌う為 どうしても財政ファイナンスや低失業政策(インフレと失業率は負の相関がある)は魅力的です
やがて破滅するとわかっていてもユーフォリア(好景気)は魅力的です(氏は「覚醒剤」とまで呼ぶ)
独立した政策と民主性は二律相反の関係にあります
この点を強調するのは 財政アコード、つまり政府と日銀の歩調調整に深く結び付くからです
その点を端折るのは無理があります

さて内容に
本書の本質は「ベビーシッター共同組合」です
欧米では幼い子供を持つカップル達が互いに子供を預け合う「ベビーシッター共同組合」があります。
相互扶助でベビーシッター代を浮かせる狙いで、昼働く人、夜働く人 平日に用事がある人 休日に用事がある人 が互いに助け合う訳です
上手く歯車が噛み合えば理想的なシステムです。
しかし現実的にはそう甘くはありません
例えばレジャーシーズンは皆 外出したいから子供を預かりたがりません
逆に外出の少ない真冬なら 子供を預かりたがります
つまり需要と供給が噛み合わない訳です。

この点の解決策は 「子供を預ける権利」をクーポン化して、例えばレジャーシーズンには「1日あたりクーポン2枚必要(通常は1枚)」みたいな形にすれば、レジャーシーズンに子供を預けたい人は減り 預かりたい人が増えて需給は調整されます
冬場は逆にする訳です
そうやってクーポンの枚数や率を操作して 需給をイーブンに持っていく訳です

では仮に「マイナス30度の大寒波、1mの大雪」が来たらどうでしょう
皆が「預かりたい」と思っても誰も外出出来ないから預けられません
つまり クーポンの枚数や率の操作が意味を為さない訳です

氏の指摘は クーポンの操作ではなく 寒波の解消しかない
つまりクーポン操作が無効 という訳です。
日本経済を襲う大寒波は高齢化と財政問題による将来不安
皆が不安だから消費が増えず、結果需要が足りない
インフレにして貯蓄を目減りさせても、目減りした 貯蓄の穴埋めにさらに貯蓄を増やす(消費を減らす)始末です(オイルショック期のインフレで消費性向の低下が観測された)
つまり デフレを解決したいなら金融政策ではなく 抜本的な改革が必要 という訳です

蛇足
では日本経済を襲う大寒波とはなんでしょうか
よくあるのは少子高齢化問題
ただしこちらはドイツや台湾 シンガポール等他国でも見られる現象です(しかしそれらの国は国際化と移民受入というカードを使っている)
岩田一政氏いわくデフレになった4つのショックは
1)少子高齢化
2)円高
3)不良債権
4)労働時間減
との事
3と4は一応解決しつつある中、金融政策はいかなるアプローチが可能か 翁氏はそちらを触れてほしい所です