2006-03-22 12:55:01

レクイエム・フォー・ドリーム

テーマ:映画まみれ

『レクイエム・フォー・ドリーム』(‘00/アメリカ)
監督: ダーレン・アロノフスキー


レクイエム・フォー・ドリーム



監督は『π』で一躍その名を知らしめたダーレン・アロノフスキー。
『π』では数字に取り憑かれていく男を描いたアロノフスキーが今回テーマとしたのはドラッグだ。


ドラッグを小道具として使う映画はいくらでもあるし、ドラッグに限らず中毒の様を描いたものは多くあった。
『パルプ・フィクション』は、ジョン・トラヴォルタがヘロインを打つシーンをある種スタイリッシュに描いたし、
『トレインスポッティング』は若者がドラッグにどっぷりはまった様を独特な疾走感で描いた作品だった。

この『レクイエム・フォー・ドリーム』もそんなドラッグを扱った映画だがほかのそれらとはまるで重さが違う。


昔、「覚せい剤やめますか?それとも人間やめますか?」というACの広告があったが、
この作品はドラッグに溺れ、中毒になり抜け出せなくなった末の悲劇的な顛末を描いた作品だ。
ストーリーの一つの材料としてではなくドラッグの恐ろしさ、ただそれだけをこれでもかと叩きつけられる。


レクイエム・フォー・ドリーム2



未亡人サラは、ある日、TVのクイズ番組から出演依頼の電話を受け、亡き夫との思い出の赤いワンピース

を着て出場しようとダイエットを試みる。またその頃、彼女の息子ハリーと恋人マリオンのもとに、

友人のタイロンが麻薬密売の話を持ちかける。
サラは病院で出されたダイエット薬としてドラッグに出会い、息子たちは密売という形でそれぞれ関わるようなる。


ストーリーはこの2組の話を交互に進ませながら、ドラッグ依存に陥いる経緯と中毒の恐ろしさと

その先に待っている残酷な結末を描いていく。

この映画の中ではドラッグによるトリップ状態を、コラージュなどを駆使したサブリミナルのような映像と

音楽によって疑似体験でもしているかのような錯覚を観客に体験させる。
この映像の気分の悪さは、まさにドラッグのもたらす恐ろしさを身をもって感じさせられているようだ。
もちろん経験はないが、きっとこんな感じなんだろうなと思わせる嫌な感覚に襲われる。


REQUIEM FOR A DREAM



当たり前だが、ドラッグは始めることは簡単だが抜け出すのは困難。

最終的には一粒の希望もない結末が待っている。


そもそも、ドラッグに限らず中毒というものはそういうものだ。タバコ、酒、ギャンブル、その他多くの娯楽が

僕らの周りにはあふれているし、その可能性はそこら中に転がっている。
人間なんてちっぽけで一人では決して生きられないし、絶えず何かに依存していていなければ生きていけない生き物。
たとえばこの映画で語られるドラッグ。中毒になることはひとりでもきっかけ一つで簡単に出来る。
だけど、抜け出すことは簡単じゃない。そんな時頼るのは実は周りの人間だったりする。

依存を断ち切るのは一人ではやはり難しいだろう。ただ、もし周りにも頼れる人間がいなかったら・・・ 

この映画では本来頼るべき、親・恋人・友人という周りの人間も同じく中毒であり手を差し伸べる相手さえいない。
徹底的に体と心を破壊しつくさなかれば永久に終わることのない地獄のような状況だ。

まさに悪夢としか言いようがない。


レクイエム・フォー・ドリーム1



このアリ地獄にはまってしまった彼ら、ドラッグ欲しさにハリーは犯罪に走りマリオンは自らの体を売る。

特に劇中、あの美しいジェニファー・コネリー演じるマリオンが狂気に落ちてしまった顛末は悲劇そのもの。

金を得るため、セックスショーの見世物となってしまった彼女の壮絶なシーンは目を覆いたくなるほど。


そもそも人間はとても感情的で弱い生き物。そんな人間が、奈落の底に落ちていく様は見ていてとても辛い。
ドラッグの恐ろしさは言うまでもないが、ドラッグをした側の意識の中にまで入り込んだかのようなこの

『レクイエム・フォー・ドリーム』の後味はやはり劇的に悪い。
人間のもろさをまざまざと見せ付けられたようでとても悲しく、しばらくは辛い余韻を残す映画だ。


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コメント

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12 ■>TS1349さん

とんでもないです。こちらこそすいません。
ただ、とにかく恐ろしい作品でしたね。
映画を観ていろいろと感想を話し合うのってやはり映画好きにとってはとても楽しいですよね。
多くの解釈がある作品ならなおさらだと思います。
またまた遊びにきてくださいね。
がんばって更新しますw

11 ■無題

>そこには正解も不正解もないですよね
そうですよね,
すいません、なんだか浮かれた感じで書き込んでしまったのですが、お恥ずかしい。

10 ■>TS1349さん

コメントありがとうございます。

>モンスターや残酷シーンなしのホラー
まさしくそう思います。ホラー的な要素は充分ありましたよね。ただ、主題がなんであるかどうかは感じ方で人それぞれだと感じます。
製作者の意図がどうであれ映画(その他すべての芸術)というものは見るものの感じ方で様々な解釈があるものだと信じていますし、そこには正解も不正解もないですよね。


9 ■無題

はじめまして。さっき見たばかりで、熱が冷めないので、失礼もあるかとと思いますが異論を…

この映画の一番表現したかったのは"モンスターや残酷シーンなしのホラー"だと思いますよ。
ドラッグ氾濫に対する問題提起は優先度低いと思います。
DVD特典の中でも制作者がそういっていたし、アンチドラッグを一番見せたければあんなに誇張した表現にしないだろうと思います。
パイもそうでしたが、この人の作品はスタイル重視で社会性はゼロに近いと感じています

8 ■>cocoさん

コメントありがとうございます!
わりと難解な『π』とは対照的で、ある意味わかりやすい映画でした。
どの中毒も人間が堕落していくさまは、やはりみていてとても辛いですね。
また遊びにきてくださいね!

7 ■TBありがとうございます!

記事を読ませていただきました。
この映画の良さはジャンキーのなれの果てを非常に恐ろしく描いているところにつきると思います。基本的に中毒から抜け出すことは不可能だというメッセージがあって、手を出したらおしまいと辛辣に語っていますよね。少しの希望も与えていないところが麻薬の怖さだとしっかり伝わっていると思います。

6 ■>isa0hさん

こんにちは。コメントありがとうございます。
心身ともに徹底的に蝕まれるドラッグの怖さがとても恐ろしく描かれていますよ。
ぜひ観てみてください!
また遊びに来てくださいね。

5 ■はじめまして

TBさせて頂きましたッ
コノ映画はまだ観てないです…
きっと現実を描いているのでしょうね

4 ■>miya_wuuさん

『Leaving Las Vegas』もありましたね~ あの映画はまだお互いに愛がある話でしたからね。酒もドラッグも中毒の末路というのはやっぱり辛いものですよね。

3 ■>travisさん

この失恋レストランさんは筋金入りです。

で、travisさんが書かれた
周りにも頼れる人間がいなかったら
の部分、非常に納得です。
「Leaving Las Vegas」なんかは救われてるほうでしょうか。

2 ■>miya_wuu さん

コメントありがとうございます!うれしいです。

清水健太郎って麻薬かなんかで逮捕されたんですよね。でも、ドラッグ撲滅にはこういう映画を見せるのが一番効果的?かも知れないですね。
また遊びに来てくださいね!

1 ■無題

こんにちは、はじめまして。
いつも読んでます。
この映画の公開時に清水健太郎が宣伝していたのが非常に印象的でした。

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