• 19 Jul
    • 守谷ランチ

      先日、友人と茨城県の守谷にある「さくら坂VIVACE」というカフェレストランでランチをしました☆   イタリア・トスカーナ地方に4年暮らしたオーナーシェフがその魅力を随所に再現したというお店は、広々とした敷地に見晴らしの良い空間が広がっていてとても素敵でした。   つくばエクスプレスに乗って都会の喧騒を離れて、ちょっとした小旅行気分に。   面白いなと思ったのが、ランチを食べたあとカフェスペースに移動してデザートを食べたこと。カフェスペースは外と中が選ぶことができ、さすがにこの暑さなので中にしましたが、外もすごく素敵で、次回はぜひ季節のよい時期に外で楽しみたいなと思いました。   メニューも充実していて、素敵な庭を楽しみながら楽しいひとときを過ごしました。    

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  • 04 Jul
    • 元気になれる曲

      最近気に入っている曲が、アンドリュー・マクマホンの『ファイヤー・エスケイプ』。   ここ数週間、TVでビエラのCMが流れるたびに画面に吸い寄せられ、なんでだろう?と思っていたら、 曲だ!!と気づき^^;、調べてみたらこの曲とわかる。 アルバムが発売されたばかりだったので1曲に惹かれて購入。   彼は、2005年に急性リンパ性白血病と診断され闘病生活に入り、病を克服したのち2015年からソロプロジェクトを始動したそうで、最新作『ファイヤー・エスケイプ』は、ニューヨークで彼自身が再発見した“生きる喜び”を綴った曲だそう。   普段仕事のときは音楽を聴かないし、ここ10数年は家事・育児と仕事で1日があっという間に過ぎるので、音楽を聴くこともなくなっていたけど、昨年くらいから子どもたちを送り出して仕事をスタートするまでの短い時間に聞くように。No Music No Lifeだった高校時代を思い出す。当時はパンクロックにはまり、アメリカに留学したらちょうどメタルイヤーで、メタルは苦手だったはずがガンズ&ローゼスやデフ・レパード、メタリカなどにはまる。   徐々に好みも変わってきたけど、ブルース・スプリングスティーンやブライアン・アダムス、インエクセスは今もよく聴きたくなる。朝聴くからか、最近は元気になれる曲を聴きたくなるかも。   今日も音楽に元気をもらって一日を始める☆  

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  • 01 Jul
    • 2017年上半期の記録

      今日は7月1日。2017年下半期のスタートです。 2017年上半期の出版翻訳活動を振り返ると…… 〈2017年上半期〉 1月~3月 下訳(一部・サスペンス) 4月~6月 下訳(一部・ノンフィクション) 備忘録として2016年下半期の記録も… 〈2016年下半期〉 9月 『スタートレック オフィシャル宇宙ガイド』刊行(下訳・一部)、リーディング1本 10月 リーディング1本 11月 リーディング1本 今年に入って下訳を2本頂きました。初の下訳『スタートレック オフィシャル宇宙ガイド』から徐々に担当量が増え、4月~6月には1冊の約4分の1を担当しました。 今年からフェローのゼミクラスに通い始め、自由が丘勉強会も継続する中で、この6ヶ月間は実務の仕事と翻訳学習の課題提出に加えての下訳作業となり、時間の確保に苦労しましたが、子どもも成長して数年前に比べると格段に楽になってきました。 子どもが小さかった頃は、子どもと一緒に夜9時頃寝て朝3時4時に起きる朝型生活で時間を確保していましたが、ここ数年は徐々に夜型に変わってきました。 自由に使える時間が増えるにつれて、健康管理の重要性も痛感するように。 去年の下半期に身につけたジョギングの習慣も、今年の上半期は忙しさに負けてご無沙汰に……(_ _;) 今年の下半期は、本の発掘に力を注ぎながらコツコツ精進したいと思います。 また、運動習慣も定着させるべく、意識して時間を取っていきたいと思います!   写真は近所に咲いていた紫陽花=☆=☆    

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  • 29 Jun
    • 名刺収納ケースを購入

      ここ数年、出版翻訳関連のセミナーや懇親会によく顔を出すようになって頂いた名刺がだんだん増えてきました。   これまで名刺を作る機会がなく、名刺を持つことが憧れでしたが、念願叶って数年前に作成。40過ぎての名刺交換デビューに最初はドキドキでしたが、最近ようやく慣れてきました。   はじめのうち、頂いた名刺はカードケースやファイルに入れたりしていましたが、しまいこんでしまうと探し出すのに苦労したので、卓上タイプの名刺収納ケースを買うことに。 迷いに迷ってシンプル・イズ・ベストで選んだのがこれ↓ バトラー カードホルダーです。   海外の映画などによく出てくるグルグル回るタイプ↓にも惹かれて迷ったのですが、 長く飽きずに使えるのはシンプルな方かな、と。   あかさたな順に分けても、まだ8つほど仕切りがあるので、グループ名などのカテゴリーを追加でき、木の優しい温もりと無駄を省いたシャープなデザインが気に入っています。 当初の予定より値は張りましたが(類似品で安価な品多数あり)、一生ものと思えばお手頃かもしれません。なにより見ているだけでテンションが上がります。   名刺は全部で約680枚入るそうなので、まだまだ十分余裕があります。 これからも様々な出版翻訳関連のイベントに積極的に顔を出して、交流の輪を広げていきたいと思います。      

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  • 27 Jun
    • 25年ぶりの再会

      先週末、高校のとき我が家に1年間ホームステイしていたオーストラリアからの留学生と、25年ぶりで再会しました(現在はシンガポール在住)。 今回は娘さんも一緒に来日していて、私の姉も息子を連れて駆けつけてくれて、私も娘たちを連れて行き、賑やかな再会になりました。近況を報告しあい思い出話に花が咲き、とても楽しかったです^^。 日頃は英語を話すことがなく、久しぶりの英会話にかなりドキドキだったのですが、いざ会ってみたら、ブロークンながらもちゃんと会話が通じてホッとしました。そして、当たり前ですが1日ずっと話しているうちに段々と口が回るように^^ 昨年くらいから、東京オリンピックの時に英語を活かして何かできたら…、せっかくなら本業ではなく直接海外の人と触れあえるような…と思いつつ、でも英会話大丈夫か?と不安だったのが、今回喋ったことでこれなら何とかなるかも、と自信がつきました。彼女も日本語をまだ少し覚えていたのと、こちらに合わせてゆっくり話してくれたせいもあると思いますが^^; 気づけば私も姉も彼女も母になり、それぞれの家庭があって、それぞれの道を歩んでいて、その道のりは違ってもこうして共通の思い出に寄り添えるのは素敵なことだなぁと思いました^^  

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  • 25 May
    • 映画『人生タクシー』を見て

      渋谷のUPLINKへ映画『人生タクシー』を見に行ってきました。   2015年ベルリン国際映画祭の金熊賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞した同作品は、政府から映画監督としての活動を20年間禁じられたイランのジャファル・パナヒ監督の最新作です。   タイトル通り、82分間の中に様々な人々の人生がぎゅっとつまっていました。監督自ら運転するタクシーにつぎつぎと乗ってくる客と監督との会話が続くのですが、何げない会話の中からこの国の”今”が伝わってきます。詐欺師と教師、映画レンタル業の男、死に瀕した男性とその妻、監督に憧れる男子大学生、金魚を運ぶ老女たち、制約だらけのなか短編フィルムを作ろうとする姪、投獄経験のある女性弁護士…。 ひとりひとりに大切な生活があって、大切な人がいて、大切な人生がある。 そして、去年見たトルコの映画『裸足の季節』もそうですが、厳しい管理下に置かれた中にあっても、それぞれが自分らしさを失わず、自分の価値観を尊重して生きようとする強さに心を打たれました。 政治や人権といった堅苦しい視点からでははなく、市井の人々の生活を垣間見るような視点で、広くたくさんの人々に見てもらいたい、そう思った心に響く作品でした。   かの巨匠アッバス・キアロスタミ監督に憧れて映画監督になったというパナヒ監督。 キアロスタミ監督のデビュー作『友だちのうちはどこ?』が発表されたのがちょうど30年前。イランに残り、イランで映画を撮ることにこだわり続けたキアロスタミ監督の神髄と遺志を受け継いだパナヒ監督の最新作、見に行けて良かったです。  

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  • 14 May
    • 『水曜日の南階段はきれい』を読んで

      あれはハッピーエンドだったんだ。そう思えたのは数日後だった。   朝井リョウさんの短編小説『水曜日の南階段はきれい』を読み終えたとき、正直、ラストが腑に落ちず、釈然としなかった。自分が想像していた終わり方ではなく、肩透かしをくらった気がして、え?それで良かったの?とじれったい気持ちがわき上がってきた。   でも、読後の余韻が消えないまま数日が過ぎたとき、ふと気づいた。夕子さんがとった行動によって、南階段の思い出は、主人公の神谷くんと夕子さんの心に一生涯刻まれるだろう。時の経過とともに記憶が薄れることはあっても、互いの存在がそれぞれの記憶から消えてしまうことはきっとない。だからあのラストでなければいけなかったのだ。   高校卒業を間近に控えた神谷光太郎は、バンド活動をしながら将来ミュージシャンになることを夢見るクラスの人気者。一方、同じクラスの荻島夕子は、物静かで飾り気がなく、教室ではおとなしそうな2人の友人と過ごす目立たない存在だった。   接点のない二人の関係が交わるのは卒業の一か月前。第一志望の受験を控えた神谷が、英語の得意な夕子さんに英語を教えてほしいと頼むところから、物語は動き出す。   卒業を前に浮足立つ周囲の喧騒や、あけすけな感情の吐露の中にあって、夕子さんの周りだけは、少しだけ流れている空気が違うように感じられる。その理由も最後に明かされる。   思いがけず神谷が話しかけてきたこと。そして思いがけず夢と秘密について尋ねてきたこと。その時の夕子さんの感情は、どうってことのない2人の会話からは読み取れないが、ラストを知ると、もう一度、2人が最初に言葉を交わしたところから読み返したくなる。神谷の動きを受けて、夕子さんも行動を起こす。そんな彼女の決意を知り、彼女がどんな思いを抱いて旅立ったのかを感じきったとき、ようやく気づいた。あれはハッピーエンドだったんだと。   彼女の本意を知った後、神谷の目を通して語られる最後の一文は、心に刺さる映画を見終えて映画館を出たときに目に映るすべてのものが違って見える錯覚を感じさせてくれる。   この短編小説は、同業の友人に薦められて手に取りました。彼女が「翻訳者なら嗚咽必死の名作」と言う通り、途中、翻訳の神髄が短い文章の中にぎゅっとつまった箇所がでてきます。 翻訳者にも、そうでない方にもお薦めの一作です。^^      

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  • 26 Apr
    • 河野通和×池澤夏樹トークイベントに参加して+『スティル・ライフ』を読んで

      4月25日(火)、青山ブックセンター本店にて開催された河野通和さんと池澤夏樹さんのトークイベント「自分の頭で考えることはやっぱり大切ですか。」に参加しました。   河野さんの『「考える人」は本を読む』の発売を記念して開催されたこのトークショーでは、池澤さんに『スティル・ライフ』を書かせた(執筆を依頼した)のが河野さんだというエピソードから始まり、30年以上の付き合いがあるお二人の息の合った軽妙洒脱なトークが心地よく、あっという間の1時間半でした。   特に心に残ったのは以下の通りです。   河野さん ・以前、池澤さんが3ヶ月経って読まない本は処分していると聞き、自分も実践してみようと思ったがとても無理だった。また、池澤さんは小説の舞台となる場所に実際に足を運ばれているだけでなく、非常に緻密によく調査されている。読んでいて実際に行かれたことが伝わってくる ・雑誌は一種のコミュニティビジネス。ただ売るだけでなく、そこに込められているメッセージをより立体的に伝えることが大事 ・創刊から15年を迎えた雑誌『考える人』が4月4日をもって休刊したが、今後は、ほぼ日(ほぼ日刊イトイ新聞)さんでやっていくことになった(http://www.1101.com/hayano_kouno/ )   池澤さん ・『古事記』を訳して新しい発見があった。本は読んでみるもの、訳してみるものだと思った。 ・古代のように女性原理が機能している社会の方が面白く、古代では様々な女性の活躍が見られるが、応仁の乱以降ぱったりなくなってしまう、次は樋口一葉まで待たなければいけない ・紙とウェブでは質感が違う。ウェブでは噛んで含める、子ども相談室のような文体を採用した方がいい場合が多い。池上彰さんなどが好例。 ・twitterは考える人ではなく思う人のツール。思ったことがそのまま文に。ひとつひとつは小さいのに、まとまると大きな動きになる。天気図のよう     私が初めて読んだ池澤夏樹さんの小説は『キップをなくして』で、上の子が小学校高学年だった頃、読ませたい本を探していた時に見つけたのがきっかけでしたが、その独特で不思議な世界感にするすると引き込まれました。興味深い設定に惹かれて次へ次へと読み進めたくなる半面、ところどころに「生」と「死」が自然に織り込まれており、読み終えた後に何とも言えない余韻が続く、そんな不思議な魅力のある本でした。子どもたちにも響いたようで、電車に乗るとよく子ども同士で「切符ちゃんと持ってる?なくしたら駅の子になっちゃうよ」と言いあっていました。   今回のトークショーに先駆けて、初めて『スティル・ライフ』を読みましたが、同様に非常に独特な世界に入り込み、読了後に不思議な余韻が残りました。理科系の話がでてくるせいなのか、星座の話がでてくるせいなのか、読んでいるとき、物語全体に流れる非常に澄んでいて綺麗な(英語でいうとclystal clearな)空気を肌で感じているような気分になりました。ただそれは、単に心地よい空気ではなく、死とも隣り合わせの、厳しく容赦ない自然の空気、なにものにも阿らない独立した一つの個体(人間であれ動物であれ)だけが体感する空気、そんな空気を、本を通じて池澤さんが読者に感じさせてくれている、そんな印象を受けました。   最後の質疑応答で、若い男性の方が「ネットが主流になっている今の若い世代に期待すること」を質問したときに、池澤さんが「せめて新聞を読んでほしい。インターネットでは自分に近い情報しか寄ってこない。全体を見ることで、ことの見方が変わってくる」と仰っていたのが大変印象的でした。含蓄のあるお2人の貴重なトークを拝聴できた大変有意義なひと時となりました。  

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  • 21 Apr
    • 『時をかけるゆとり』を読んで

      何なんだ、この面白さは。 朝井リョウさんの『時をかけるゆとり』を読んだ率直な感想だ。   笑いにツボがあるように文書にツボがあるとすれば、朝井リョウさんの文章は間違いなく私のツボにはまる。そこには当然個人差が出てくるので、人に薦めたいかと言われると躊躇するが、何が面白いのかと聞かれたら、とにかく読んでみてほしいとしか言えない。   本書は、大学在学中に『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞し、華々しくデビューした朝井リョウさんの初のエッセイ集で、大学時代の出来事を中心に綴られている。   朝井リョウさんといえば、『何者』で戦後最年少の直木賞受賞者となるなど話題に事欠かない。その緻密かつ冷静な人物描写はあくまで淡々としているが、リアルに肉薄した文章が心の奥底に揺さぶりをかける。他人をせせら笑う傍観者たちに「お前はどうなんだ」と問いかけ、ビューティプラスで写真を盛りSNSでリア充をきどる今の世代に、その人「本来の姿」をつきつける。   正直、初めて朝井リョウさんの本を読む時に「共感できるだろうか」という不安がよぎった。青春群像劇と謳われることの多い彼の作品を、青春がはるか彼方に霞んでしまっている自分が楽しめるだろうか。そう思いながら『桐島…』を手に取った。   まったくの杞憂だった。取り巻く環境も、盛り上がる話題も、コミュニケーションツールも、何もかもが昔とは違うが、誰の心の片隅にもうっすらと、けれど決して消えることなく残っている青春が、そこにあった。私にもその断片が残っていたことに安堵した。   そんな風に出会った朝井リョウさんの初エッセイを読んだ感想は…。 冒頭に戻るが「何なんだ、この面白さは」である。   なにが面白いかは、とにかく読んでみてほしいとしか言えないが、映像や漫画などにはできない(できるかもしれないが本来の魅力が半減するであろう)文章だけが伝えられる面白さがそこにはある。   ただ、惜しむらくはタイトルで、元々は『学生時代にやらなくてもいい20のこと』だったそうだが、個人的には元のタイトルの方が本書の持ち味を伝えている気がする。   思わず声に出して笑い、嘘でしょうとつぶやき、バカなの?とつっこみを入れながら読み進めた。 そうやって笑い(時にせせら笑い)ながらも、どこか他人事ではない可笑しみと哀しみを自分の中に発見して心の内を見透かされたような気分になる。文章のベクトルはまるで違うのに、彼の小説を読んだときのような感情に包まれた。 こんなにも楽しい読書体験ができたこと、同じ時代に生まれ、次の作品を待ちわびる楽しさをこれからも提供してくれること、そんな諸々に感謝しながら本書を閉じた。        

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  • 20 Apr
    • 『太陽のパスタ、豆のスープ』を読んで

      決してインスタ映えはしないけれど、栄養がぎゅっとつまっていて体の芯まで温まる。読み終えたとき、そんなスープを飲んだ気分になった。 宮下奈都さんの『太陽のパスタ、豆のスープ』は、主人公あすわが婚約解消を切り出されたところから物語が始まる。 いいようのない怒りと理不尽さ、自分に対するふがいなさ…。一気に押し寄せる様々な感情に押しつぶされそうになりながらも、おばのロッカさんや幼なじみの京、同僚の郁ちゃん等に助けられながら、あすわは新たな一歩を踏み出していく。 婚約解消後、あすわを取り巻く環境に大きな変化が起きるわけでもないし、あすわ自身が大きく変化するわけでもない。進んでいるのかいないのか...そんなじりじりとした日常を、奈都さんは丁寧に丁寧に紡いでいく。お鍋の底に残った小さな豆をそっと掬い取るように。 私が一番好きなシーンは、エステサロン〈サルヴァトーレ〉での、あすわとエステティシャン桜井さんの会話だ。ふだんは決して踏み入れることがない高級サロンにビビりながら入っていき、京の知り合いだという桜井さんの、非の打ちどころのない美しさに嫉妬する。桜井さんの質問に対し、精一杯の(でもとんちんかんな)抵抗を試みるも、すべてを見透かされているシーンが可笑しくも哀しい。 そして、桜井さんがあすわに言う「あなたみたいに、生きることと食べることが直結している人はどちらかといえば生きやすいはずなのよ」という言葉が心に響く。 郁ちゃんの存在もすごくいい。郁ちゃんの意外な一面を知ってから、自分にとっての「お豆」を見つけたいと思うあすわ。それは、「生きがい」とか「ライフワーク」とかそんな大仰なものではなく、そのことを考えただけで自然と気持ちがほっこりする、そんな小さくてささやかなものなのかもしれない。 でも、そんな「小さくてささやかなもの」を大事にすることの大切さをこの本は教えてくれる。  

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  • 17 Apr
    • 「洋書の森」創設10周年記念講演・祝賀会に参加して

        4月15日(土)に「洋書の森」創設10周年記念講演・祝賀会に参加しました。   河野万里子さんと井口耕二さんの対談「翻訳のある日々」では、不思議な巡り合わせで知り合ったお二人の貴重な翻訳エピソードの数々を伺うことができました。   対談の中で特に印象的だったのは以下の通りです。 河野さん ☆翻訳は、ニュアンスの違いの積み重ねで(文章を読んだときに)受ける印象が変わってくる(たとえ訳が間違っていなくても)。 ☆一つ(の作品)と出会うことは一つ(の作品)と別れること(一つの作品に巡り合うタイミングは「ご縁」だという話から) ☆心や頭にどんなものを蓄積してきたかが翻訳には大事 ☆新訳をすることで、光の当たっていなかったところに光を当てることができる ☆訳すときには、(主観を出すことを)怖がらないで自分の気持ちを届ける   井口さん ☆スティーブ・ジョブズの公認自伝『スティーブジョブズⅠ&Ⅱ』を訳された時の非常にタイトな納期と、納期に合わせるための仕事にまつわるエピソード ☆ある文章で「高級寿司屋で鰻を食べた」という英文が出てきて、寿司屋で鰻?とひっかかりお店に問い合わせたら、鰻ではなく穴子だったというエピソード(ファクトチェックの大切さ) ☆小さい頃に世界文学全集などは挫折したけれど、自分の好きなジャンルの雑誌はずっと読み続けていたというエピソード ☆好きで読んできたものでないと仕事としてはやりにくい   お二人とも翻訳をするにあたって「無駄な経験は一つもない」と口を揃えて仰っていたこと、最後に河野さんが「翻訳した本が読んでくれた人の思いや経験に響くかもしれない。自分が響いた作品が誰かの心にも響くかもしれない。翻訳はそんな素晴らしい仕事です」と仰っていたことが大変印象的でした。   続いて行われた祝賀会には、亀井よし子先生や原田勝先生、芹沢恵先生などの蒼々たる面々や、これまで「洋書の森」に尽力されてきた魔王や魔女(ボランティアスタッフ)の方々が一堂に揃い、新しい魔女も加わるなど大変盛況な会となりました。   私自身、洋書の森主催のセミナーや懇親会に参加することで数多くの同業者の方々と知り合うことができ、普段はめったにお会いする機会のない著名な先生方と直接お話をする機会が得られるようになりました。そうした感謝の気持ちも込めてお花を贈らせて頂きました。   翻訳はともすれば家にこもりがちになり、一人で長時間、長期間パソコンと向き合う孤独な作業ですが、こうした交流の場があることで、情報交換だけでなく、頑張っている皆さんから良い刺激を頂くからこそ自分も頑張れるのだとしみじみ感じ入りました。   これからも良い刺激を受けながら、皆さんの後に続けるよう精進したいと思います☆    

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  • 13 Apr
    • 走ることについて語るときに…

      去年から少しずつ走り始めたので、走ることについて書いておきたいと思います。 備忘録として。村上春樹さんの話ではありません。^^;   ジョギングを始めたのは、正確には5年前。近年のマラソンブームに煽られて6、7年前から走りたいなぁと思っていたものの、当初はまだ子どもが小さくてままならなかったが、下の子が小学1年生になった2012年の春頃から走り始めました。走り始めて半年ほどして申し込んだ大会が、2012年の「第6回 いたばしリバーサイド・ハーフマラソン」の5km。その時の記録が26分10秒。   思った以上に良い記録に気をよくして、翌年の2013年、トレイルランをしている友人の旦那さんに薦められるまま「白馬国際トレイルラン」のショートコース20km申し込みました。しかし9月の大会に合わせて距離を伸ばしていたところ、本番直前の8月に膝を痛めてあえなく棄権…。   その後、ジョギングを再開しても1、2km走ったところで膝に痛みが出て中断。間をあけて再度走っても同じ状態が続き、「もう長く走るのは無理かも」と走ることを断念…。   それが、去年の夏にたまたま「ビギナーズラン講座」を知り、「自己流ではなくプロについて基礎からやればまた走れるようになるかも…」と再び挑戦することにしました。2016年の8月から11月の3ヶ月間、毎週土曜日に1時間「ビギナーズラン講座」を受けた結果、膝の痛みが再発することもなく4、5km走れるように!   そして11月にラン講座の仲間と参加したのが「2016FIA全国スポーツクラブ駅伝~東京大会~」@夢の島陸上競技場。ラン講座では「終了までに1度は大会に出ることを目標にすること」とコーチに言われ、どうしよう…と思っていたところに駅伝に誘われたので軽い気持ちで参加。1.5キロの周回コースを3時間もの間チームで走り続けるという未知の体験に戸惑い、競技場全体に漂う体育会系のノリに圧倒されながらも何とかチームでタスキをつないで無事ゴール☆   ラン講座終了後の12月に参加した5キロの「皇居1周チャリティーラン」では26分36秒で女子の部で2位に入賞!立派なメダルまで頂きました。   そして、今年の4月2日に参加した「第5回あだち五色桜マラソン」の5kmでは27分56秒で「5km49歳以下女子」の部で7位に入賞☆この大会直前、家族4人中私も含めて3人がインフルエンザに倒れて2週間以上走れなかったので、完走できれば…という気持ちだったのが思いがけず良い結果となりました^^。   これからも無理のないペースでランを続けていきたいです☆

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  • 10 Apr
    • 『屋根裏の仏さま』を読んで

      一行目を読んだだけで、居たたまれない思いが込み上げてきた。 数ページ読んで、そっと本を閉じてしまいたい衝動にかられた。   この先、彼女たちに待ち受けていること。彼女たちの期待と不安の先にあるもの。 その大半が十代と思われる彼女たちが希望に胸を膨らませて日本を発ったのち、米国で心に描いた生活とはかけ離れた現実を目の当たりにした時、いったい何を思うのか……   船の中の描写だけでもう十分だと感じ、彼女たちと一緒に港に降りて悲惨な現実と直面するのかと思ったら、ほんの数ページだけですでに暗澹たる気持ちになった。 だが、もう船から降りることはできない。いや、物理的に本を閉じることはできる。でも閉じてはいけない。この物語を見届けなくてはならない。何かが私にそう語りかけていた。   「船のわたしたちは、ほとんどが処女だった」 この一文で始まる『屋根裏の仏さま』は、20世紀初頭に「写真花嫁(ピクチャーブライド)」としてアメリカに渡った女性たちが苦労を重ねながら生活を築き、ようやく安定してきた頃、真珠湾攻撃をきっかけに始まった強制収容策により日本人収容所に送られるまでを描いた物語である。   物語は「わたしたち」を主語に語られ、描写に大げさな表現は一切なく、全体を通して淡々と、実際に起きた出来事が綴られている。彼女たちの佇まいと同様、あまりに静かに淡々と語られるその内容は、ごく控えめに表現しても、惨たらしく、やりきれず、ただただ哀しい。   写真とはかけ離れた結婚相手と対面し、一方的で愛のない初夜を迎え、過酷な重労働に明け暮れ、子どもが産まれる直前も直後も働き、大きくなった子どもからは住居、身なり、職業、英語力、すべてにおいて恥ずべき存在とされ、使用人として働くアメリカ人の夫人からは、きちんと勉強しないと〇〇のようになりますよ、と子どもを躾ける際の引合いに出され、旦那からは、二十数年もアメリカにいて英語でそれしか言えないのかと罵られ、それでもようやくどうにか自分の生活が回るようになってきた頃に真珠湾攻撃が起こり、強制収容所への連行が始まる。物語は「わたしたち」が収容所に向かうところで終わっている。   歴史を紐解くと、19世紀後半に始まった米国への日系移民は、その大多数が労働目的の独身男性だったとされ、1907-1908年の紳士協定によって労働目的の移民が禁止されるなか、すでにアメリカに定住している日系人の両親や妻子等の渡航のみが許可されていたため、妻を娶るために「写真結婚」が登場したとされている。金銭的理由などで日本に戻って嫁探しができなかった日系人男性は、日本の親戚に自分の写真と履歴を送って結婚相手を捜し求めた。写真の交換のみで直接顔を合わせることなく、花嫁はアメリカに渡ってはじめて自分の夫である人の姿を目にすることになる。この写真一枚だけで結婚をする「写真花嫁」は当時のアメリカ人には野蛮な習慣と映り、また移民制限の網の目を潜り抜けて多数の女性移民を新たにアメリカに送り込む結果となったため、1920年にはパスポートの発給が夫とともにアメリカに渡航する妻に制限され、事実上「写真結婚」は終焉したとされる。   本書を読んでいて、どのみち日本に残ったところで…というくだりを読んですぐに浮かんだのが、朝の連続テレビ小説「おしん」の物語である。調べてみると、「写真花嫁」の全盛期は実におしんの時代とぴったり重なっていた。日本で困窮を極めた人々が他国に活路を求めた時代で、ここに残るよりはましだろう…と考えて出国を決意した人が多いとされるが、待ち受けていた現実は、想像をはるかに超えた過酷なものだった。   また、「写真花嫁」たちは識字率が高かったにもかかわらず、それほど多くの日記類や記録が残されていない。移民後の生活があまりにも多忙で記録を残す余裕がなかったのが原因だと考えられる。そうした、語られることなく忘れ去られつつあった歴史に光を当て、経験者に一人一人聞いて回り、当時の状況を丁寧に掘り起こしたものが『屋根裏の仏さま』という形になって現代の私たちの元に届けられることとなった。   なお、本書は翻訳家・岩本正恵さんの最後の訳書にあたる。もともと岩本さんが強く推されて新潮社が版権を取得した経緯があるそうだ。志半ばで筆を置かなければならなかったのはどれだけ無念なことだっただろう。そんな岩本さんの遺志を小竹由美子さんが引き継がれ、どこで訳者が変わったのか分からない見事な訳が編み出されている。   一つ一つの事実が淡々と語られるさまは、事実であるだけに重くのしかかる。決してどんどん読み進めたくなる物語ではないが、一行一行が心の奥底に響き、その余韻がいつまでも消えない。   読み終えた今、すぐに閉じたくなった冒頭と矛盾するようだが、できるだけ多くの人に本書を手に取ってほしい、これまでほとんど語られることのなかった「写真花嫁」の歴史に耳を傾けてほしい、そう切に思った。今からほんの100年前に何が起きていたのか。一人でも多くの人に彼女たちのヴォイスを届けたい、そう強く感じて本書を閉じた。

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  • 05 Apr
    • ここ数年間に見た映画

      ここ数年間に見た映画は英語圏以外のものが多く、どれも秀逸で満足度が高い作品ばかりでした。   去年の東京国際映画祭で、見たかったけれど人気でチケットが取れなかったのがフィリピンの映画『ダイ・ビューティフル』。インドネシアの映画の勢いもすごく、90年代に活躍した香港のウォン・カーウァイ監督やベトナムのトラン・アン・ユン監督の初期を彷彿させる宣伝にワクワクしました☆   備忘録として、ここ数年に見た映画のうち特に良かった映画は以下の通りです。   『おみおくりの作法』(イギリス)Still Life (2013) 『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』(イギリス)About Time (2013) 『めぐり逢わせのお弁当』(インド)The Lunchbox (2013) 『すれ違いのダイアリーズ』(タイ)The Teacher’s Diary (2014) 『ハッピーエンドの選び方』(イスラエル)The Farewell Party (2014) 『神様の思し召し』(イタリア)God Willing [ Se Dio Vuole ](2015) 『裸足の季節』(トルコ)Mustang (2015) 『愛しき人生のつくりかた』(フランス)Les souvenirs (2015) 『幸せなひとりぼっち』(スウェーデン) A Man Called Ove (2015)

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  • 03 Apr
    • 映画『幸せなひとりぼっち』を見て

      ちらほらと良い評判が聞こえていて気になっていた『幸せなひとりぼっち』を見に行きました(1ヶ月ほど前の話になりますが…)。スウェーデンの映画を見るのは多分これが初めてです。   愛する妻に先立たれた老人オーヴェが、頑固で厳格な性格を貫いて近所の人々と対立する冒頭から、隣家に引っ越してきた家族と衝突しつつも心を通わせていくストーリーに一気に引き込まれました。   父との数々の思い出や妻との出会いのエピソードとその後の悲劇、隣人と意気投合してから喧嘩別れするまでの経緯など、現在と過去が交錯するうちに、最初は「こんな老人が近所にいたら嫌だ」と思っていたのに、どんどんオーヴェの本来の人柄に魅かれていきました。 また奥さんに対する愛情が素晴らしく、奥さんを通して彼の実直さ、ひたむきさ、誠実さが伝わってきます。ラストが本当に素敵で涙が止まりませんでした。悲しいけれど幸せに満たされた気持ちになり、清々しい気分で映画館を出ました。『幸せなひとりぼっち』お薦めです☆

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    • 『青空のむこう』を読んで

      物語は、交通事故で突然この世を去った小学生のハリーが〈死者の国〉に来たところから始まる。ハリーには〈この世〉でやり残したことがあるため、〈死者の国〉の先にある〈彼方の青い世界〉に行くことができない。   普段、慌ただしい毎日を過ごしていると、こうした日々は当たり前のようにずっと続くような気がする。けれど、ふいに「その日」はやってきて愛する人は突然〈この世〉から去ってしまう。交通事故で亡くなったハリーのように。ハリーの視点で語られる愛する人を失った悲しみはもちろんのこと、ハリー自身が体験する〈この世〉で起こる出来事のひとつひとつが切ない。   久しぶりに学校を訪ね、友達や先生に再び会えて喜ぶハリー。だが、みんなにはハリーが見えないし、思っていたほどには自分の死を嘆き悲しんでいるようにも見えない。つい最近のことなのに、自分がいなくても何事もなかったかのように世界は普通に回っている。しかも、親友のピートは、自分と仲の悪かったジェリーと楽しそうに遊んでいる。裏切られた気分になって打ちひしがれるハリーだが、やり残していたことを思い出し、家族に会うため家へと向かう…。   読み終えた後、身近な人々に優しく接したくなる、そんな気持ちがわき上がる物語です。 いつか人生を終えるときに後悔しないためには、今何をしたらいいか、今何ができるだろうか、読み進めながらそんな思いも頭の中を駆け巡りました。当たり前のようで当たり前ではない日常。こうした日常を恙無く過ごせることに感謝を感じながら本書を閉じました。  

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  • 02 Apr
    • 『おやすみ、リリー』(サンプル本)を読んで

      先日、ハーパーコリンズ・ジャパンさんの『おやすみ、リリー』事前ゲラ読みモニターに当選し、4月15日の発売日前に同書のサンプル本を読む機会を頂きました。 SNSなどに感想を載せるのは発売日以降の方がいいかと思いハーパーコリンズさんに確認したところ、「まだ読んでいない読者様にご配慮を頂けましたら(ネタバレありと最初に記載頂くなど)発売日前にブログをアップして頂いて構いません。むしろ大歓迎です!」とお返事を頂きました^^。というわけで、【ネタバレあり】ですが、以下に感想をまとめました。 『おやすみ、リリー』を読んで、犬を飼ったことのない私でも、主人公とリリーの絆の強さ、これまで一緒に紡いできたかけがえのない時間が伝わってきました。体が弱って行くにつれて、同時に語られる元気だった頃の思い出との対比が切なく胸にささりました。また、主人公テッドとお母さんの関係や、テッドと友人のトレントの関係も物語に深みを与えていて、それぞれの絶妙な距離感がテッドを間接的に救っていたのかなと思いました。 とはいえ、決して悲しいだけの物語ではなく、セラピストであるジェニーの名前にまつわる冒頭は、映画「恋人たちの予感」の一節を思わせたり(シェルドンという男の名前について)、「フェリスはある朝突然に」の主人公と親友を引き合いに出す場面などは「なるほど」とすぐピンとくるなど、映画好きには思わすクスリと笑ってしまう場面が多くて楽しかったです。 タコの例えや冒険話は、若干突飛な感じで正直戸惑いも覚えましたが、それでも、突然現れた邪悪な敵と戦うという設定にしたのは、ストレートに病気と闘う話を綴るよりも精神的に耐えられると判断したせいかもしれません。読者にとっても、著者にとっても。 それでも、徐々に弱っていくリリーを一緒に見守るうち読み進めるのが苦しくなってきますが、最後がハッピーエンドだったのも救われた気持になりホッとしました。また、読んでる途中で何度か、なぜか本書のタイトルが「さよなら、リリー」だったっけ?と表紙を確認しては、「おやすみ」だったと思い直して安堵しました。「おやすみ」と「さよなら」では心に響く重さがまるで違うので、あえて「さよなら」とせず、「おやすみ」と訳した越前敏弥さんの配慮に感心すると同時に感謝して本書を閉じました。 素敵な機会を下さったハーパーコリンズ・ジャパンさん、どうもありがとうございました☆#おやすみリリー 

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  • 31 Mar
    • 「宮脇孝雄翻訳教室」と『翻訳の基本 原文どおりに日本語に』

      昨年10月から今月までの約半年間、ユニ・エージェンシー主催の翻訳ワークショップ「宮脇孝雄翻訳教室」を受講しました。去年7月に開催された洋書の森主催「第23回 翻訳者のためのウィークエンドスキルアップ講座~」に参加した時、先生が事前課題の訳を提出した方全員の訳文を印刷・配布し、丁寧に解説されていた姿が印象的でした。行間を丁寧に読み取る読解力に感動し、どこかで翻訳講座を開いていないか探したところ、折りよく10月から開講されることを知り早速通学することを決めました。   講座では10~12月にA.L. Barkerの“Lost Journey”、1~3月にJames Purdyの“You Reach for Your Hat”が教材に使われました。今回初めてフィクション翻訳の講座に通いましたが、原文から聴こえてくるヴォイスに耳を傾ける難しさを痛感しました。   宮脇先生の授業は、洋書の森の時と同じように全員の訳文を印刷・配布し、順に自分の訳を読み上げる形で進められました。受講生の皆さんのレベルが大変高く、すでに訳書を出されている方もいらっしゃいました。また、先生の鋭い指摘にはいつもハッとさせられ、自分の読み込みの甘さを痛感しました。授業の中でも特に印象的だったのは、「この人物がこういう言い方をしますかね(この語彙を使うか)」という視点と、「原文の順番通りに頭から訳した方がうまくいく場合が多い」の二点です。これらに留意して訳すようにしたら、登場人物の輪郭がはっきりし、当初はまどろっこしく感じられた自分の訳が大分すっきりするようになりました。まだまだ課題は山積みですが、大変学びの多い半年間でした。   そして、受講後に宮脇先生の著書『翻訳の基本 原文どおりに日本語に』を購入。本当はまず読んでから授業に臨むべきだったのかもしれませんが……。 読み終えて心に残ったのは、授業でも感じたことですが、原文に丁寧に向き合うことの大切さと、その訳が原文に沿っているかを客観的に判断する第三者的視点の大切さです。   誤訳・珍訳をベースに構成される本書では、宮脇先生の鋭い指摘が随所にみられます。「この訳ではおかしい」とは分かっても、ではどうしたら良くなるか、と一歩踏み込んで考えるとこれがなかなか難しく、先生の改訳を見れば「そうそう」とすぐ頷けるのですが、実際自分でひねり出すのは並大抵のことではありません。原文に引きずられすぎないようにするのが今後の課題だと感じました。   本書で特に印象に残った点は… ☆頭だけで翻訳をしていては駄目 ☆人物の描写でdarkと出てきたら、辞書では「〈皮膚・眼・毛髪が〉黒い」とあるが、どれかひとつに絞るなら「髪」を選んだ方がいい ☆採点官はもういない(マイナス点を取ることを恐れて無難な訳に逃げるようなことはしない) ☆小説の翻訳がうまくいっているかどうかは煎じ詰めれば語感の問題になる ☆悪態の翻訳には、案外、訳者の育ちが出る などなど。   また「英語では、「伯爵」はcountと呼ぶ。」という一文を読み、セサミストリートに出てくるカウント伯爵の名前は〈言葉遊び〉だったんだ!と気づきました^^;。村上春樹さんの短編「納屋を焼く」も“Barn Burning”という〈言葉遊び〉だと知ったときは感動しましたが、本書はそうした知的な喜びも含めて、様々な角度から楽しむことができました。   他にも「翻訳が上手になるにはどうしたらいいか」の回答は意外ながらも「それでいいんだ」と嬉しく感じ、「小説の翻訳にかぎれば、あなたが翻訳家としてデビューして(中略)「優秀な新人だ」と認めてもらう手っ取り早い方法」の回答は、すぐに挑戦してみたくなりました。また、「シャロン・フルーツという夢のような果物の正体は…」を読んで〈灯台下暗し〉を実感しました。何の果物の話なのか最後まで見当もつかず……^^; これらの回答については、是非本書を手に取って見つけてもらえたら……と思います。   ご自身の訳書の他にも、『翻訳家の書斎―「想像力」が働く仕事場』、『英和翻訳基本辞典』、『続・翻訳の基本』など翻訳指南書を多数出版されている宮脇孝雄先生、ぜひこれらも入手して今後も先生の翻訳の極意を吸収していきたいと思いました。

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  • 26 Feb
    • 「洋書の森」第26回翻訳者のためのウィークエンドスキルアップ講座〈講師:金原瑞人先生〉に参加して

      昨日は、洋書の森主催のウィークエンドスキルアップ講座、金原瑞人先生の講演会と懇親会に参加しました。金原先生と言えば、言わずと知れたYA翻訳の第一人者で、これまでに訳された書籍は実に495冊(2017年1月現在)! 昨年12月に開催された「はじめての海外翻訳スペシャル」で初めてお目にかかり、その若々しさにビックリしましたが、今回も前回同様、颯爽と登場し、翻訳にまつわる非常に興味深い話を次々と披露して下さいました。   まず、冒頭でお話しされたのが、「I」の訳し分けについて。英語では「I」しかない一人称が日本語では実に100種類以上にも及ぶという話から、翻訳不可能な和文の例や、夏目漱石の「吾輩は猫である」は「I am a cat」なのか、Iで進められる原書の性別はどう見分けるのか、見分けられない場合にはどのように処理するべきかなど、一人称についてだけでも興味深い例を次々と紹介されていて、時間の経つのがあっという間でした。   文楽や歌舞伎、落語に短歌など日本の伝統芸能にも造詣が深い金原先生。落語を聞きながら訳される話や、お酒が入ったときに知らぬ間にいい訳が閃いていた話などもとても面白かったです。   他に心に残った点は以下の通り。 ☆訳書が面白いかどうかは、訳者の腕によるところも大きいが、原作の持つ力も大きい。 例えるなら、翻訳者は板前と同じで、素材が良ければ多少腕が劣ってもおいしかったりする ☆翻訳とは時代を映す鏡 ☆昔の翻訳を批判することがあるが、100年後には私たちの訳が笑われているかもしれない ☆いい翻訳とは、時代性、社会性、個人の好み、これらが翻訳を作り上げる。 ☆(訳す本の探し方のコツ)あまり訳されていない分野を狙う、ただし自分が好きなジャンルであることが大事 ☆聖書やシェークスピアはすべてを網羅する必要はなく、聖書なら聖書物語、シェークスピアは名言集など、まとまっているものに目を通せばいい。 ☆(プロとして活躍できる人とは、の質問に)編集者の相談相手になれるくらい、一つの分野に強くなること。人間関係に営業努力。営業の苦手な人は、仲間の中で能力に長けた人を見つける。あとは運! ☆内容をしっかり読んでから引き受ける、つまらない本はひきうけない。 ☆今訳している本が、(常に)一番気に入っている本   講演会の後の懇親会では、金原先生の若さの秘訣に皆さんの注目が集まりましたが、運動など特別なことは何もしていないとのこと。しいて言えば一日2合の日本酒?しかも、学生時代は今より10キロ近く痩せていたそうで、今でもとてもスリムなのに!と一同ビックリ^^; 和やかな雰囲気の中でも、先生のYAへの情熱がひしひしと伝わってくる大変有意義なひとときでした。 印象的だったのが、私が日本人の作家で好きな方を質問したところ、三浦しをんさん、江國香織さん、伊坂幸太郎さんなど、多くの方の名前を挙げて下さり、私が重ねて「そういった方々の作品を読むことがご自分の訳にも反映されて…?」と尋ねたら、先生が間髪入れずに「あまい!」と^^; 講座を聞いている時にも感じましたが、「こうしたら効果的じゃないか」といった姑息な考えではなく、ただただ純粋に「いい作品だから紹介したい」という真摯な気持ちが金原先生の翻訳の原動力となっているのではないかと感じ入った大変貴重な体験となりました☆

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  • 24 Feb
    • 『みかづき』を読んで

      「私、学校教育が太陽だとしたら、塾は月のような存在になると思うんです」(本書より)   本書は、昭和36年に幕を開け平成19年に幕を閉じる、約半世紀に渡って塾の経営に携わった3世代を描いた壮大な物語である。真の教育とは? 塾が果たせる役割とは? 学校教育と塾は互いに歩み寄ることができるのか?   著者の森絵都さんは、『風に舞いあがるビニールシート』を読んでファンになった。同書の短編はどれも素敵だが、とりわけ好きなのが「ジェネレーションX」。 最初こそ、いかにも今どきの若者といった20代の石津を苦々しく思う主人公の野田に共感しながら読んでいたのが、次第に、意外にも仕事に真摯に取り組む石津を野田と一緒になって応援している自分がいた。軽んじていた相手を見る目が次第に変わっていく。そんな心理描写を緻密かつ丁寧に綴る著者の筆力に舌を巻いた。読み終わると、今度は石津の視点からもう一度読み返したくなる。そんな小説の醍醐味を存分に味わった一作だった。   『みかづき』は、絵都さんの新作ということで手に取ったが、正直なところ、あまり物語に入っていくことができなかった。冒頭から、女性に誑し込められがちな大島吾郎に共感できなかったせいもあるかもしれないが、その妻となる赤坂千明の教育にかける凄まじいまでの熱意と既存の学校教育に対する反感、千明の長女蕗子のひたむきな従順さと気丈さ、次女の蘭の奔放さと強い自我、三女の菜々美のほんわかした優しさと自由人気質。 一人ひとりのキャラがたっていて性格や人柄がよく伝わってくるのだが、いまひとつ誰にも感情移入できないまま物語は進んでいき、徐々にラストへ近づいていく。最後は円満に幕を閉じるのだろう…と半ば読み終えた気分になっていた。それなのに、である。   終盤のシーンで突如心が揺さぶされた。それは、蕗子の長男の一郎が、学校の勉強についていけないが塾に通うこともできない子どもたちのために、ボランティアで勉強を教えている時のワンシーンだった。   一郎が熱心に教えるも、生徒の直哉の母洋子から、言葉使いが悪くなったことを理由に「もうそちらには通わせない」と言われてしまう。一郎はその後も直哉を気にかけるが、母親を説得できず悶々と過ごしていたある日、洋子が直哉を連れて一郎に会いに来る。一郎のおかげでテストの成績が良くなったのに対して、学校でカンニングを疑われて先生にも信じてもらえなかった。だが、直哉が自ら先生に手紙に書いて、先生が謝ってくれたのだという。感情を表に出すことのなかった直哉が、初めて自分の気持ちをはっきりと外に出し、きちんと受けてとめてもらえたシーンに思いがけず涙がこぼれ落ちて自分でもびっくりした。   教育に情熱を傾ける両親と祖父母に共感を得られないまま成長し、いったんは教育と関係のない仕事に就いた一郎、そして最終的には、本当に教育を必要とする者に従来の形式にとらわれず教育を施そうとする一郎に、最後の最後で共感を覚えた瞬間だった。   私自身、母親が自宅で塾を経営していて両親共に教育熱心だったが、学校教育にも塾にも深く携わりたいと思うことなく大人になったため、一郎の気持ちがよく分かる気がする。 それでも、大学時代に一時マンツーマンの塾で講師のアルバイトをしたときには、子どもが理解を示してくれると本当に嬉しかった。一郎が教育へ舵を切ったのもこうした喜びからだろう。 そして、ひねくれ者の私は、大学を卒業してからの方がそれ以前よりはるかに勉強している。それ以前に勉強していなかったのと、内容が英語・翻訳関連に偏ってはいるが。母からも「みんなが勉強しなくなる頃に勉強しだした」と驚き呆れられている^^;   学校教育とは。塾とは。読む人によって受け止め方は様々だと思う。取材に3年の月日をかけて、3世代に渡る壮大な家族の物語を通じて日本の教育のあり方を丁寧に綴った森絵都さんの渾身の一冊☆最後の最後でやられました^^;    

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プロフィール

Shinako Komori

自己紹介:
翻訳(日英、英日)/Translator (JE/EJ) 実務翻訳歴10年 資格:英検一級 ...

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