ネパールにおける2015年新年第一弾トレイルレース。The North Face Kathmandu Ultra 2015 は1月3日土曜日、カトマンズ外輪山の北側に位置するシバプリ国立公園で開催された。主催は、カトマンズ首都圏で年3回ウルトラ・トレイル(1日)レース、そしてムスタンやマナスルでのステージレースを主催するTrail Running Nepal。率いるのはご存じ、カトマンズ在住の英国人ランナー、Richard Bull。

記録に拠れば今回、132名の参加があり、カテゴリー別では
11km 59人 (M 36 / F 22 / ? 01)
27km 47人 (M 38 / F 07 / ? 02)
50km 18人 (M  12/ F 06)
80km 08人 (M 07 / F 01)

レース結果 リンクページ
50km女性4位に、日本のYukiko Okuzonoさんが入賞!


レース写真 Kathmandu Trail Running Group on Face Book
        Photographer Anuj Adhikary's Photo on Face Book

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今回印象に残ったのは、過去の同一主催者のレースと比較して、マーキングが改善されていたことである。間違うと大きくコースアウトする場所には、スポンサーのロゴ入りのフレックスプリントのマークがあった。矢印の表示が分かりにくい場所もあったが、ルートは「こっち!」と分からせるのには最低限の役割を果たしていた。

また、それ以外の場所にも所々、ピンクのペイントスプレーで「控え目に」マーキングされていた。私と前後して走っていた日本人ランナーの方と「ピンクのマーキングって?」「これですよ」「ああ、これね。これがマーキングなのね。なるほど」という会話があった。日本の方の目には最初、岩肌などにポチッとついたピンクが、マーキングとは結びつかなかった様子であった。

説明申しあげた時は雨降りで、その後晴れて日射しが出て私は偏光レンズのサングラスをかけた。そうすると、日本人ランナーの方は次々にピンクマークを見つけるのに、私には全く見つけられず。「あれぇ?」と狼狽して、数キロ走って気がついた。

偏光レンズを通してみると、ピンクが「白」に見えて、岩肌の模様と区別がつかなかったのだ!

前回は透明なレンズで走っていたから気づかなかった。ネパールのピンクマーキングレースでは、サングラスのレンズには気をつけないといけない。

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エイドは、今回ミネラルウォーターでなく、湧き水が提供されていた。シバプリは清涼な湧き水で有名だが、透明なボトルに入った水は若干濁っていた。真冬で、しかも雨と曇りで気温が低く、自分が背負っていた750mlのスポーツドリンクで何とか、27kmを走り抜けられたが。晴れていたとしたら、危なかった。水を消毒する錠剤(カトマンズで買える)を持参しておくべきだった。

エイドでは通過したランナーのゼッケン番号が控えられており、この「当たり前」のチェックが為されないことが殆どであるネパールのレースにおいては、画期的に立派だった。

27/50/80kmコースで、ゴール14km手前のエイドは素晴らしかった。バナナ、チョコレート、ひとくちケーキ、チョコを塗ったパン、オレンジなどが取りそろえられていた。またエイド係員が大変親切で、とても励まされた。聞けば、シバプリ森林内でアドベンチャースポーツを行う会社が担当していた。自分自身もマウンテンバイクなどのスポーツをする人だから、ランナーに対しても優しかったのだ。

エイドで優しくしてもらえること...カトマンズでは、期待出来ないことなのだ。普通なら、村の人が迷惑そうに「むすっ」として座っているだけだ。

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カトマンズにはナガルジュン、ハッティバン、ゴダワリ等の森林でもトレイル・ランニングが楽しめる。今回のシバプリはカトマンズ他の森林に比べて、飛び抜けて気持がよい。他の森林に比べて、森の中を気持ち良く走れる場所が多い。

もうひとつ。シバプリの中には、村が少ない。その結果、トレイルが明確だ。

村があると、トレイルはあの家、この家、あっちの学校に向かって枝分かれする。マーキングが控え目なレースでは、迷ってしまうことが少なくない。それがシバプリではない。小さく迷う心配は、殆どない。

ただ、「大きくコースアウトする」「違うカテゴリーのコースに迷い込む」可能性はある。このエリアをはじめて走る外国人ランナーが、どっちなの?と困惑しているのに何度も出会った。私は過去のランニングで地理感あったので困らなかったが、初めてであれば簡単ではなかったと思う。スタート前に地図が配布されたが、基本的な地図読みが出来る事が必要だ。

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シバプリの森には、豹がいること、ご存じ?私自身今回、コース上に残る足跡を見た。シバプリだけでなくカトマンズ外輪山の森林には、全部の場所にいると思っていた方が良いだろう。

50km/80kmの場合、ゴール手前15-16kmの森林は日没後になる可能性がある。参加者も少なく、エイドの間隔も非常に長い。真っ暗な森をひとりで、自分のヘッドライトだけで走る事になったら...脚力、体力以前に、心の強さがないと前に進めないだろう。

というか、そこまで進んでいたら、後ろにも下がれないしリタイアするにも夜の村ではバスもない。タクシーもない。森には豹がいる...外国から来たランナーたちは「知らない」だろうけれど。

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レーススタート地点までの移動バスの時間と場所、コースの説明も、前夜になってはじめてメイルが来る。これも不安だったと思う。しかし、Trail Running Nepal主催のレースでは毎回のこと。

そういう不安を少しでも埋めていくため、トレイルランニングネパールグループがお手伝い出来れば...と思っている。自分が走るために情報を集めるので、それをみなさんと共有出来れば。と。

今回のシバプリレースに参加された日本人のみなさん、外から来たみなさんの目で見たレースの感想についてお寄せいただけましたらありがたいです。

今後みなさんの意見で、レースのマネジメントが大きく改善されることは「ない」と思います。私は主催者たちのことをよく知っていますが、あれがカトマンズの状況で出来る最善で、最大の善意です。

我々が出来る事は、事前に様子を知り、準備し、自分の身を守りつつ、先進国では味わえないワイルドなレースと割り切って楽しむことだけです。このことを、参加される日本人同士を中心に、みんなで共有していきたいと願っています。