死亡ひき逃げの加害者が殺人罪に問われた例としては、大阪府富田林市で平成20年、新聞配達員の少年が6・6キロ引きずられ死亡した事件がある。殺意を否認した被告に、大阪地裁堺支部は「未必の故意」を認定、懲役13年を言い渡した。

 今回の事件での検察側主張と同様、引きずり行為が死亡に至らせたと判断されたケースだが、死亡ひき逃げで殺人罪が適用される例は少ない。警察庁によると、昨年1年間で160件が摘発されたが、殺人容疑での送検はゼロだった。

 「TAV交通死被害者の会」事務局、米村幸純さん(59)は「少なくとも事故後に逃走する行為は過失ではなく故意。逃げ得を許さないためにも、遺族からは殺人罪で裁いてほしいという意見が根強い」と話す。

 一方、交通事故裁判に詳しい高山俊吉弁護士は「厳罰化するほど加害者がパニックになり、逃げる可能性が高くなる」と指摘。「殺意は結果から認定されがち。殺人罪とすることが雑な論理になっていないか、十分な検証と慎重な判断が必要だ」としている。

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