【2人とも1889年の4月に生まれた】

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 2人とも1889年の4月に生まれた。きょう20日が誕生日のヒトラーと、その4日前に産声を上げたチャップリンである

 共通点は、まだある。希代の喜劇王はスクリーンを通じて感動を与え、ナチスの総統も映像を中心とするメディアを「戦車や爆撃機と同じぐらい重要な武器」(「チャップリンとヒトラー」大野裕之 岩波書店)として重宝した

 両者の戦いは名作「独裁者」で決着がつく。「民主主義の名のもとに、持てる力を集めよう」。映画史に残るラストシーンの呼びかけは人々の心を摑んだ。逆に、パロディー化されたヒトラーは、その後の演説回数が「極端に減っていく。リアルな戦場での敗北より先にメディアという戦場からの撤退を余儀なくされた」(同著)

 排外的なナショナリズムに訴えて、国民の支持を広げようとする動きは今も欧州などにはびこる。時代背景も経済情勢も異なるので、強権的な政治勢力の伸長が、直ちにかつてのような全体主義の復活につながるわけではない。しかし、そうした勢力は不確かな伝聞や嘘・デマを駆使して、人々の冷静な判断力を鈍らせようとする。放置すれば、民主主義を蝕みかねない

 虚実の境界線が曖昧な時代こそ、民主社会の基盤であるメディアの役割が重みを増す。持てる力を集め、発揮してほしい。 

【4/20 公明新聞・北斗七星】
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